ホスピスという希望: 緩和ケアでがんと共に生きる (新潮文庫 さ 83-1)
- 新潮社 (2014年4月28日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101383613
作品紹介・あらすじ
「がん」は痛みに耐え苦しむ、怖い病気ではありません。ホスピス医である著者は、大事なのは我慢しないこと、ほとんどの痛みは取ることができるのだから、と断言します。人生の最終章を輝かしいものにするためには、どのようなサポートが必要なのか。感動的なエピソードを交え、緩和ケアを分かりやすく説く。最後まで生き抜くためのガイドブック。『緩和ケアでがんと共に生きる』改題。
感想・レビュー・書評
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モルヒネは極力使ってはいけないと思っていた。癌で亡くなるのは運が悪い、不幸だと思っていた。本書を読むまでの誤解に気付かされたことがまず良かった。
次にホスピスを職場に求める人たちへの敬意。誰でも死について向き合うことにためらいがある。それぞれにきっかけがあっただろうが、自分のためにもなっていると言えることは素晴らしい。もちろんボランティアの人を含めて。何のために生きるかをあらためて考えさせてくれた一冊だった。2019.5.9詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
妻がホスピスに入って50日間、先月、そこで最後を看取っただけに、残された時間が短いからこそ自分らしく人間らしく生きる場所と言う考え方には大いに共感するところ。医療と言えば辛くても苦しくても延命して、いずれは元の健康な体に戻るという発想ですが、元には戻れない病気の場合、辛く苦しい延命だけのための時間よりも、家族との大切な時間を共有することの大切さを実感しました。亡くなって読むのではなく、先に読めばよかったかもしれません。緩和ケアに入る患者さんの苦しい気持ちを理解した上で過ごせたらなおいいですから。
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臨床研修プログラム責任者講習会で著者の先生から頂いた。
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この本を読むまでは、ホスピスに対して悲しい場所というイメージしかなかった。しかし、本書を読むと、ホスピスで人生を終えることも幸せの選択の一つかも、と思えるようになった。誰でも迎える人生の終末期に、苦しみをできるだけ緩和しながら、その人の人権を尊重したまま、穏やかに旅立つ準備ができる優しい場所なのかもしれない。現代医療の進歩とともに、緩和ケアサポートも大変充実してきているが、最後までその人らしく輝いて生きることができる場所が、自宅以外にもあれば、安心だなあと思った。