男と点と線 (新潮文庫)

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  • 新潮社 (2012年2月27日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101383712

男と点と線 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 「慧眼」の冒頭を読んだ時点で脱帽してしまった。
    山崎ナオコーラ、あなたはすごい人だ。
    目覚めた瞬間の、自分であって自分でない感覚。
    朝の気だるい空気と、次第に覚醒していく身体。
    寝起きの一幕をあんなに美しく表現している文章はないと思う。
    すばらしい、と同時に悔しい。
    あんな文章を書けるなんてずるい。
    もっともっと、読ませてほしい。

  • どんなときも、こんな風に待つだけで人生を過ごしてきたような気がする。曖昧で、かっこ悪く、子供の頃からずっと、自分のことを好きになれなかった。
    でもこれが私のやり方だ。待っているとき、私は辛くない。


    これが甘い。この国は恋の生まれ易い土壌。言葉が親密なのだ。


    相手を好きだと思うことは、自分を低くすることなのだ。相手に優しくする権利が自分にあるというだけで、嬉しいことなのだ。

    あちらこちらでレディーファーストが起きている。
    すべての男が、すべての女に優しい。

    すべての男が、すべての女を、自分の恋人のように扱っている。(もしも、この女が自分の恋人だったら...)そういう想像力が、空間に満ちている。

  • パリの女の子。理由は違うけど私も男の人の方が付き合いやすくて、周りに多い。
    最後の4行が秀逸。
    「いつか男の人と大親友になれる、と私は信じていた。それが夢だった。みんなが仕事をして、男の子たちは結婚をしていって、それぞれに生活をしていき、年をとるごとに大親友になれる可能性がどんどん薄くなっていくなんてことは、想像だにしなかった。」

  • 短編集。気に入ったものは“スカートのすそを踏んで歩く女”と“膨張する話”。女はいくらあがいたって男と大親友にはなれやしない、仲良くなるには恋人になるしかないのだ。

  • ずっと気になっていた山崎ナオコーラの作品を初めてちゃんと読んだ。

    感性の人、という印象だったけれど読んでみてさらに一層強く思う。
    なんでこんな風に思い描けるんだろう。
    なんだか小説のようでいて小説でないような、絵画を見ているような、詩を詠んでいるような、不思議な感覚に陥る作品。

    きっとこの人はみんなと同じものを見ても同じようには感じないだろうな。


    愛と友情の6編。
    正直、特に面白い!と思ったわけではないのに、さらりと読めて、もう一度、二度、と読み返したくなる。
    なんだかよく分からない。だから今は★3。また読んでみる。

  • やっぱりこの人の書く小説が好きだ。
    どうやったらこういう感性で文章を生み出せるのか。

    よくわからないことも
    意味深なことも
    空気だけで伝わる気がする。


    『慧眼』より
    私たちは、いつか子どもができたら、と考えながら過ごしてきた。
    けれど、恵まれないまま、二人の生活が続いている。
    それでも、未来の子供たちとの日々よりも、今の妻との暮らしの方が、
    いつだって今の自分にとっては大事だ、そう考えて暮らしてきた。


    『スカートのすそをふんで歩く女』より(わたしはこの作品が一番好き)
    いつか男の人と大親友になれる、と私は信じていた。
    それが夢だった。
    みんなが仕事をして、男の子たちは結婚をしていって、
    それぞれに生活をしていき、
    年をとるごとに大親友になれる可能性がどんどん薄くなっていくなんてことは、
    想像だにしなかった。


    『膨張する話』
    オレたちは。一体いつまで仲が良いのだろう。
    大人になっても、ずっと仲が良い、なんていうことは、ありえないよ、たぶん。

    また暗闇の生活が始まる。
    ガケップチを手探りで進むんだ。
    年が若いと、死にそうになる。


    『男と線と点』
    相手を好きだと思うことは、自分を低くすることなのだ。
    相手に優しくする権利が自分にあるというだけで、嬉しいことなのだ。

    さおりのことを一所懸命考え抜いたせいで、
    俺には精神的な愛とは何かが、わかりかけている。
    一生、そっと好きでいるという選択肢があることを、
    俺はつかみとったのだ。
    早々と結婚した人には決して知ることのできない、この、
    苦くて高潔な愛を俺は知ることができた。
    新しい知識を手に入れたのだ。
    俺はこれからも、さおりと会うときはずっと、
    「あなたが大好きだ」という顔をして、
    一秒、一秒、見つめようと思っている。

  • 世界各地を舞台にした短編集。
    唐突に終わる話や、非現実的な話もあり、ちょっとびっくりした。ナオコーラさんの文章は好きですが、深く読み解けなくて感想が難しいです。
    表題作が一番好きかな。42歳、独身男の純粋な愛。

  • なんだかいまいち、と思っていたけど表題作が良かったので星四つ。
    あとがきにあるように人生をテーマにせず、女性と男性のその時の気持ちの動き方を丁寧に描きとめる。年齢も性別も様々で、NYや上海やパリの情景と男女のありふれた、でも繊細な言葉が良かった。

  • 登場人物の近くにいるように物語が進む感覚。とても読んでいて気持ちよかった。
    友達に紹介したくなる。
    また読もう!

  • 慧眼…このマシュマロのような柔らかさが生き延びる知恵。
    スカートのすそをふんで歩く女…かなり異質な関係のはずなんだけど友達として自然に繋がっている。
    邂逅…これって酔っ払いながら書いたのかな?この破天荒なファンタシーに驚いた。
    膨張する話…どこにも行き着かない、平行線がどこまでも伸びているような。
    男と点と線…評価はこの作品。この感覚すごくわかる。幸せとはこうあるべきという価値観の押し付けはいらない。幸せは一人一人違うのだから。
    物語の完結…どことなく漂う自由な風を感じる。

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妻の離婚資金でクアラルンプールに暮す老夫婦、男友達と卒業旅行でパリへ行く女子大生、上海出張に戸惑う32歳の会社員、東京で水族館デートをする高校生カップル、幼馴染にNYに誘われた42歳の独身男、彼氏にドタキャンされた友人と世界最南端の町へ行く28歳の小説家-この瞬間にも男と女は出会い繋がっていく。ささやかな日常の中で、愛と友情を再発見する6つの軽やかな物語。

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