男と点と線 (新潮文庫)

  • 442人登録
  • 3.34評価
    • (11)
    • (36)
    • (50)
    • (12)
    • (4)
  • 57レビュー
  • 新潮社 (2012年2月27日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101383712

男と点と線 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 「慧眼」の冒頭を読んだ時点で脱帽してしまった。
    山崎ナオコーラ、あなたはすごい人だ。
    目覚めた瞬間の、自分であって自分でない感覚。
    朝の気だるい空気と、次第に覚醒していく身体。
    寝起きの一幕をあんなに美しく表現している文章はないと思う。
    すばらしい、と同時に悔しい。
    あんな文章を書けるなんてずるい。
    もっともっと、読ませてほしい。

  • どんなときも、こんな風に待つだけで人生を過ごしてきたような気がする。曖昧で、かっこ悪く、子供の頃からずっと、自分のことを好きになれなかった。
    でもこれが私のやり方だ。待っているとき、私は辛くない。


    これが甘い。この国は恋の生まれ易い土壌。言葉が親密なのだ。


    相手を好きだと思うことは、自分を低くすることなのだ。相手に優しくする権利が自分にあるというだけで、嬉しいことなのだ。

    あちらこちらでレディーファーストが起きている。
    すべての男が、すべての女に優しい。

    すべての男が、すべての女を、自分の恋人のように扱っている。(もしも、この女が自分の恋人だったら...)そういう想像力が、空間に満ちている。

  • パリの女の子。理由は違うけど私も男の人の方が付き合いやすくて、周りに多い。
    最後の4行が秀逸。
    「いつか男の人と大親友になれる、と私は信じていた。それが夢だった。みんなが仕事をして、男の子たちは結婚をしていって、それぞれに生活をしていき、年をとるごとに大親友になれる可能性がどんどん薄くなっていくなんてことは、想像だにしなかった。」

  • 短編集。気に入ったものは“スカートのすそを踏んで歩く女”と“膨張する話”。女はいくらあがいたって男と大親友にはなれやしない、仲良くなるには恋人になるしかないのだ。

  • ずっと気になっていた山崎ナオコーラの作品を初めてちゃんと読んだ。

    感性の人、という印象だったけれど読んでみてさらに一層強く思う。
    なんでこんな風に思い描けるんだろう。
    なんだか小説のようでいて小説でないような、絵画を見ているような、詩を詠んでいるような、不思議な感覚に陥る作品。

    きっとこの人はみんなと同じものを見ても同じようには感じないだろうな。


    愛と友情の6編。
    正直、特に面白い!と思ったわけではないのに、さらりと読めて、もう一度、二度、と読み返したくなる。
    なんだかよく分からない。だから今は★3。また読んでみる。

  • やっぱりこの人の書く小説が好きだ。
    どうやったらこういう感性で文章を生み出せるのか。

    よくわからないことも
    意味深なことも
    空気だけで伝わる気がする。


    『慧眼』より
    私たちは、いつか子どもができたら、と考えながら過ごしてきた。
    けれど、恵まれないまま、二人の生活が続いている。
    それでも、未来の子供たちとの日々よりも、今の妻との暮らしの方が、
    いつだって今の自分にとっては大事だ、そう考えて暮らしてきた。


    『スカートのすそをふんで歩く女』より(わたしはこの作品が一番好き)
    いつか男の人と大親友になれる、と私は信じていた。
    それが夢だった。
    みんなが仕事をして、男の子たちは結婚をしていって、
    それぞれに生活をしていき、
    年をとるごとに大親友になれる可能性がどんどん薄くなっていくなんてことは、
    想像だにしなかった。


    『膨張する話』
    オレたちは。一体いつまで仲が良いのだろう。
    大人になっても、ずっと仲が良い、なんていうことは、ありえないよ、たぶん。

    また暗闇の生活が始まる。
    ガケップチを手探りで進むんだ。
    年が若いと、死にそうになる。


    『男と線と点』
    相手を好きだと思うことは、自分を低くすることなのだ。
    相手に優しくする権利が自分にあるというだけで、嬉しいことなのだ。

    さおりのことを一所懸命考え抜いたせいで、
    俺には精神的な愛とは何かが、わかりかけている。
    一生、そっと好きでいるという選択肢があることを、
    俺はつかみとったのだ。
    早々と結婚した人には決して知ることのできない、この、
    苦くて高潔な愛を俺は知ることができた。
    新しい知識を手に入れたのだ。
    俺はこれからも、さおりと会うときはずっと、
    「あなたが大好きだ」という顔をして、
    一秒、一秒、見つめようと思っている。

  • なんだかいまいち、と思っていたけど表題作が良かったので星四つ。
    あとがきにあるように人生をテーマにせず、女性と男性のその時の気持ちの動き方を丁寧に描きとめる。年齢も性別も様々で、NYや上海やパリの情景と男女のありふれた、でも繊細な言葉が良かった。

  • 登場人物の近くにいるように物語が進む感覚。とても読んでいて気持ちよかった。
    友達に紹介したくなる。
    また読もう!

  • 慧眼…このマシュマロのような柔らかさが生き延びる知恵。
    スカートのすそをふんで歩く女…かなり異質な関係のはずなんだけど友達として自然に繋がっている。
    邂逅…これって酔っ払いながら書いたのかな?この破天荒なファンタシーに驚いた。
    膨張する話…どこにも行き着かない、平行線がどこまでも伸びているような。
    男と点と線…評価はこの作品。この感覚すごくわかる。幸せとはこうあるべきという価値観の押し付けはいらない。幸せは一人一人違うのだから。
    物語の完結…どことなく漂う自由な風を感じる。

  • 胃潰瘍で仕事を辞め、喫茶店をたたみ、マレーシアはクアラルンプールで甥のコーヒー屋を手伝う、68歳老夫婦の「慧眼」

    同じサークルの仲のいい男子3人と卒業旅行で、フランスはパリに行き、男の子になって人生を謳歌したいと思う、22歳女子大生「スカートのすそをふんで歩く女」

    出張先の上海で取引先の美しい若社長の姉が失踪し、彼女の足跡を一緒にたどっていく、32歳会社員「邂逅」

    受験勉強の合間に真面目な彼女と水族館に行き、お互いのエロの相違を話し合う、17歳男子高校生「膨張する話」

    幼なじみのさおりと娘の亜衣と一緒にNYに行き、彼女を好きだと再確認する、42歳独身男性「男と点と線」

    友達と一緒に、友達の彼氏がお世話になったアルゼンチンの、日本人向けの栗本山荘を訪ねる、女性小説家「物語の完結」

    文芸誌以外でナオコーラさんの本は初めて読んだが、
    これはいい文章。
    特殊ではない人の特殊でない体験を通じて、共感できる感覚・新奇な感覚を過剰でなく齎してくれる。
    そのひとつひとつがじんと馴染む。
    いい本を読んだ。

  • ”私は自分の人生が嫌いだ。自分に集中する事無く、世界を見て回りたい。”
    と作者が最後に言っているのですが。
    なるほどそのとうり。私もです。
    全体的に漂う、小気味よい捻くれと、ユニークは、こういうところからきてるのかなと思いました。


    重くなく、物語はすらりと自分の中に入ってくる短編集はあっという間に読めます。

    信じていた、信じていたというよりこういうもんだと現状を安心しきっていた女性が
    あ、違うだ、、と現実を突きつけられ目がさめる場面があのですが。
    ”まじか、、”とショックでもあり、
    ”いい気味だ、”と痛快でもありました。

  • 結婚していてもしなくても、紆余曲折がありながら、同じ一人の人を「一生そっと好きでいる」って本当に凄いことだと思う。そういう意味で「慧眼」と表題作は、外部からの刺激に常に揺さぶられる頼りない人の心が、こんなにも強く果てへ広がっていけるのかと眩しい気持ちでいっぱいになる。決意した姿は清々しい。「慧眼」のクニヤスさんとマリエさんの何気ない夫婦の距離感もよかった。

  • 耳はこの世で一番クールな髪留めとして、
    頭の両脇にくっついている。



    そうかもね。
    ……強そうだと、
    周りからは、ひとりでいても
    平気そうに見えるものね



    何かを成すことばかりが
    素晴らしいのではない、
    感じるだけで、素晴らしいのだ。


    普通じゃない事が沢山かかれてて。
    それがなんだか
    自分を救ってくれて
    ありがたい。

  • 地球儀を俯瞰する短編集(笑)
    現時点では山崎ナオコーラ作品No.1。
    世界のどこかで、男と女は出会い続けているし、色んな関係が生まれ続けている。
    そんな物語。
    表題作が一番好き。
    上海の話だけは、突然ファンタジーなので面食らうかも。
    これといった事件は起きないけど、淡々と人の生活に寄り添う感じが、とても好き。
    物事をフラットに観る事ができるのは、この人の才能だと思う。

  • ナオコーラ2つめ。

  • 淡い文章だと思う。
    静かというより、沈んでいる感じ。けど軽やか。

    「慧眼」人生の移ろい。泡沫の渦中。「スカートのすそをふんで歩く女」羽化の前のセカイ。「邂逅」夢の夢は夢?「膨張する話」炭酸のように甘い「男と点と線」見えてくることの愛おしさ。「物語の完結」終わらない。

    6つの短編。

  • シュヴァルの理想宮
    フランス旅行



    ジャズを気持ち良いと感じることのできる自分の感受性が、ギフトのようだ。
    この耳こそが、神様がくれた蜜。
    何かを成すことばかりが素晴らしいのではない、感じるだけで、素晴らしいのだ。




    伝統がある、ということは、角が取れている、ということだ。柱に彫られた模様にさえ、丸みがある。



    *・*・*・*・

    世界のいろんな都市の、日本人の、男女の話。さらっとした方。
    素晴らしく面白くて、白骨温泉で一気読み。
    最後にウシュアイアのおばあちゃんの宿が出てきたのが、なんか、うまく言葉にできないんだけど、なにかを感じた。あれからもう一年だ。
    ナオコーラさん、こんないいって知らなかったなー。しかも國學院なんだね!びっくり!
    これからざくざく読んでいきたい作家さん増えた。嬉しいなあ

  • 文章のセンスというか、空気がすき

  • 「邂逅」の話の キリンの鱗がコンタクトレンズになって足跡が見えるようになる所がすごく好きで何回も読みました。クアラルンプールの話も好き。あと、プリンターが壊れたところから始まるアメリカの話も好きです。

  • 前に読んだときはあまり魅力を感じなかったのだけど、読み直したらなんだかとてもよかった。
    中国が舞台の話はファンタジーが強くて共感しづらかったけど、
    スカートのすそをふんで歩く女と、膨張する話は好き。
    スカート…は基本の設定が世界は二人組…と似ていて、しおちゃんが学生の頃の話を読んでいるようで楽しかった。

    あとがきで、栞のついている新潮文庫で出せてうれしい、というようなこと が書いてあって、私も、新潮文庫で読めてうれしいです、と思った。

  • 世界のさまざまな都市が舞台。一緒にその都市の空気を吸っているような楽しい気持ちになる。パリの話が一番好きだ。ラストがまたせつないなあ。

  • ひさしぶりにナオコーラさん。

    スカートのすそをふんで歩く女
    がすきだった。
    あとFAXがこわれる話。
    男の子の中にいられない私とは真逆の女の子。
    ずっと幼なじみに恋をしている惣ちゃん。

    んー、すきになる登場人物はだいたい、羨ましいと思ったり憧れたりする一面を持ってる。

  • あまり評価の高くない作品だけど、私は好き。
    社会において「普通であること」、「ルール」、「幸せ」は常にセット。地位、名誉、結婚と社会は様々なものを与えるが、同時に別の可能性や多様性を奪っていく。「普通であること」と「ルール」から外れた「幸せ」を探そうとした短編集。

  • 先日の"男ともだちをつくろう"で読んだナオコーラさんの文章が気になって、本屋で探した短編小説集。

    このヒトの文章を読んでいると、それが小説であってもそこに確実に本人がいるような感じがして、スゴく惹かれる。
    それから、ナオコーラさんはときどきドキッとするような言葉の組み合わせ方をする。
    至って平易な言葉と言葉を組み合わせたときの意外性というか、すっと読み飛ばせてしまいそうなところに、このヒトは何かを忍ばせようとしているように感じた。

  • うすうす気付いていたけど、たぶんわたしは山崎さんの小説が好きです。それはもしかしたらこの本のあとがきにあったようなことに関係しているのかな。少なくとも最近の私には合っている。

    他人に興味ないよねとよく言われてたけど、今もそうなのかもしれないけど、だから小説を通じてぼんやり感じたり思ったりして、足しにしている。それで、山崎さんの小説は、よく足しになるというか、しっくり思ったりする。

    学生時代に何度も読むチャンスはあったのに、あんまり読んでなかったんだけれど、今、20代半ばを過ぎて、少し離れたところに大切な友だちや家族がいて、一応は一人で生活して働いているこの時に読んでちょうどよかった。

    海外にいきたくなります。

全57件中 1 - 25件を表示

男と点と線 (新潮文庫)に関連する談話室の質問

男と点と線 (新潮文庫)に関連するまとめ

男と点と線 (新潮文庫)を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

男と点と線 (新潮文庫)を本棚に「積読」で登録しているひと

男と点と線 (新潮文庫)の作品紹介

妻の離婚資金でクアラルンプールに暮す老夫婦、男友達と卒業旅行でパリへ行く女子大生、上海出張に戸惑う32歳の会社員、東京で水族館デートをする高校生カップル、幼馴染にNYに誘われた42歳の独身男、彼氏にドタキャンされた友人と世界最南端の町へ行く28歳の小説家-この瞬間にも男と女は出会い繋がっていく。ささやかな日常の中で、愛と友情を再発見する6つの軽やかな物語。

男と点と線 (新潮文庫)の単行本

ツイートする