この世は二人組ではできあがらない (新潮文庫)

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  • 新潮社 (2012年12月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (183ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101383729

この世は二人組ではできあがらない (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 口幅ったいようですが何か共感できる雰囲気をもった小説で、どんどん引き込まれていきました。
    もしかするとこれは著者の私小説的作品なのかな?大学生活から「社会人」になった主人公の栞(シオちゃん)の思考錯誤の野心と定まらない立ち位置への不安を、当時の社会状況と並行に辿りながら、見事に描写していて面白かったです。
    小説を書きたい私。男と付き合いたいが一人の人間として自立したい私。社会人として生きたいが社会に迎合したくない私。いや、むしろ社会とは緩やかに繋がっていたい。芸術観賞は己を磨くためではなく現実を逃れて別の視点に立つため。確固とした意志というほどでもないが、自分は「自分」のために生きていきたい。何もかもが出来上がってしまったこんな現代社会に生まれて、苦しみもがきながらも「自立」したい現代「女性」を丁寧に描き、未来を感じさせる清々しさも印象的でした。それに自分自身、「若さ」への憧れも強く感じ、少々、羨ましかったです。(笑)
    解説の西加奈子さんも書いておられるように、「ページをめくらせる魅力」と「ページをめくる手を止めさせる詩性」の共存も全くその通りですね。

  • もうこれわたしじゃん、って思う人って今の世の中にどれくらいいるんだろう。

    かくいう私もその一人です。
    もがいてもがいてもがきまくっていた、
    22~25くらいまでのことがありありと思い出された。

    読みすすめるたびにビリビリして、かなりエネルギーがいった。

    でも、何度も読み返して、この頃の気持ちを忘れてはいけないような気がする。

    こうゆう子って、めちゃくちゃ生きにくいけど、
    でもそれだけに瞬間瞬間をすごく大事に生きてると思う。
    人より辛さが倍なだけに、人生の喜びも何倍も感じることのできる人だと思う。

  • 17.10.24再読。
    なんだかモヤモヤが止まらなくて、本でもよむかと久しぶりに手を取った。
    最初から読む気分にはなれなくて、適当に開いたページから読んだけど、驚くほど、言葉がスッと入ってくる。
    前に読んだときには思わなかったが、今回は、栞と自分の明確な違いを感じた。それは、栞は紙川さんと暮らしたいけど、それは2人で生きていきたいというわけではなくて、あくまで1人で生きていきたいというところだ。「愛されたところで、満たされそうにない。何かもっと、社会の芯に繋がるようなストローを見つけたかった」
    わたしはまだまだ男に愛されたいし、頼りたい。と思う。頼られたいとも思うけど。

    初山崎ナオコーラ。主人公の栞は大学卒業後、働きながら小説家を目指している。大学の一つ上の先輩である紙川と付き合うことになったり、仕事を辞めたり再就職したりしながら、紙川との関係のこと、日本という国のこと、自分の性のこと、、、様々なことを思案しながら生きていく様子を描いた私小説ような小説。
    タイトルにひかれてなんとなく手に取ったらまさかのヒット。しかも西加奈子のあとがきも素晴らしくて、読んでいて確かに感じたけれど、文章力の乏しさゆえに言葉にできなかった気持ちや感情を、きっちりと代弁してくれた。なので感想を書こうとしても、あとがきの引用ばかりになってしまいそうなので、ひとつだけにしぼると、「山崎ナオコーラの才能はページをめくらせる魅力とページをめくる手を止めさせる詩性を、ナチュラルに物語に共存させていること」。どんどん読み進めていきたいのに、さっきのあの言葉がもう一度読みたくてたまらなくなって、そのページまで戻ってしまう、ということを読者にさせるくらい魅力的な言葉たちが本当に何気なく並んでいる。主人公の栞のつぶやきはわざとらしくなくて、本当にストーリーの流れに沿った自然なもの。強いメッセージ性もない。けれど私の中に確実に残るものばかりだった。こんな素敵な文章を書く人に、もっとはやく出会いたかった!あとこれも引用になってしまうけれど(笑)「紙と栞という関係性はキュート」すぎ。

    「現代社会にあわせて人生設計をたてるなんて馬鹿だ。社会というのは、これからつくるものだ。ここに合わせて生きるのではなく、大人になったわたしたちがこれから社会を構築し、新しい生き方を始めるのだ」

  • 大好きとも大嫌いとも言えない、好きとも嫌いとも言えない、けど琴線に触れてくるこの感じ。

    山崎ナオコーラさんの小説を ちゃんと読むのはこれが初めてなのだけど、思っていた通りの文章を書く方だな、というのをまず思いました(『人のセックスを笑うな』の映画は観たので、その印象から)。

    栞と紙川さんの関係、冒頭からしばらくは、紙川さんが栞を溺愛していて 栞のほうはそうでもない という感じがしていたけど、実はそうではなかったところが自分としては印象的でした。栞は栞なりに、とても激しく紙川さんを慕っていたこと。そしてそのことは、他の誰よりも紙川さんが知っていたのじゃないかな、と思いました。

    紙川さんとはお別れしてしまったけど、それは栞にとってとても辛い事ではあったけど、本当は最初からそうなる事をわかっていたというのも、わかる気がしました。
    どんなに好きで、必要でも、一緒に居る時間はここまでだなって感じる瞬間って、あるんだよなぁって。それはセンチメンタルになる必要もないくらい、本当に、ただその事実として、ある。
    わたしにはまだその経験はないし、出来ればしたくないけど…でも、わたしにも…というか世界中の誰もに そういう瞬間が来る(来てしまう、ではない)可能性があるっていうことも、何故か、わかる。不思議。

  • 「しどろもどろで喋る人が抜群のアイデアを持っていることもあるというのに、それは切り捨てるのか。」
    私自身も話すのが得意でなく、自分の考えや思いを伝えるのが不得手である。この一文に出会い勇気をもらった。

  • 「金のこと。国のこと。時代のこと。
     働きながら小説を書く私は、社会とどう繋がっていくのだろうか。
     主人公の挑戦と葛藤を描いた
     ポップな社会派小説!」

    私の地元・たまプラーザが舞台。

    栞・紙・川。

    生きること。
    電車に乗って川を越えること。
    恋をすること。
    言葉を紡ぐこと。
    働いてお金を稼ぐこと。
    誰にも侵されない自分を持つこと。

    シオちゃんの日々、
    紙川さんの日々、
    縮こまったストローの外紙に水を垂らすと、ぶわっと伸びるような。
    そんな物語です。

    相変わらずナオコーラさんの言葉選びの綺麗さには
    嫉妬みたいなものを覚えます。
    山崎ナオコーラに恋して焦がれて嫉妬して狂っちゃいそうになった
    西加奈子も短編の物語を思い出します。笑

    「川を何度も何度も渡ることで、
     私は生を実感する。
     流れ続ける川の上を乗り越えるのだ。」

    「死んだあとの世界をより素敵にできるような
     今を生きたい。」

    「人はひとりで完全だ。
     だからベターハーフなんて探していない。
     価値はひとりの人間に十分ある。」

    「人間は遺伝子の乗り物というだけでなく、
     文化の乗り物でもあるのだ。」


    くっついて離れて
    少しずつ少しずつ変わっていく二人の関係と感情と
    静かな予感。

    ただただ過ぎて行ってしまうような
    見落としてしまいがちな
    奇跡みたいな一瞬。
    それをしっかり掴むこと。

    繋がりたい。
    私もそう思いました。

  • 栞の主張の矛盾や、時々理論をぶっ飛ばして感情的になる彼女の言動は、元来女という生物の象徴として描かれてきた像からはまだ脱しきっていないように思う。新しい性別になりたい、という決意には胸を打たれるが、人間の命の縦の繋がりを「汚らわしい」「自分には絶対にできない」などとまで言ってのけるところには、幼さを通り越した傲慢さがあると感じた。社会の風潮というものの暴力性に、おなじ否定という暴力で向かい合っている時点では、本当の自由を主人公が手に入れる日は、まだ遠いのだろうと思う。

  • 9割くらい、私。

    静かに衝撃を受けたっていうか
    「ぴったり」自分のなかに収まったというか。

    私、こんなこと考えてます。
    すっきりした。
    気持ちいい小説だなぁ。
    なかなか出会えないよ。

    出会ったなぁ。

  • 自伝的小説?
    さいたま市からたまプラーザに通う
    普通で会話がおもしろいカップルの自然な姿が面白い。
    分籍という制度がある。
    10歳年上の世代、ロストジェネレーションの雰囲気。フリーターのほうがいいという価値観。

    紙川さんと言っていたのに、急に紙川になるとこがとってもすき。

  • 圧倒的に言葉がすてき

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この世は二人組ではできあがらない (新潮文庫)の作品紹介

「社会の芯に繋がるようなストローを見つけたかった。」1978年生まれの私は大学をでて働きながら、小説を書いている。お金を稼ぐこと。国のこと。二人暮らしのこと。戸籍のこと。幾度も川を越えながら流れる私の日常のなかで生まれた、数々の疑問と思索。そこから私は、何を見つけ、何を選んでいくのだろうか。「日本」の中で新しい居場所を探す若者の挑戦を描くポップな社会派小説。

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