ぼくの大好きな青髭 (新潮文庫)

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著者 : 庄司薫
  • 新潮社 (2012年5月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (294ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101385341

ぼくの大好きな青髭 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • この世の不条理と戦うために
    極限状態で言葉を費やすことしかできない薫くん。
    そんな薫くんを受け入れてくれるのは由美。
    だけど戦うときは一人じゃないといけない。
    いくら言葉を費やしても、
    色々と捨てないと戦うことさえもできない。
    戦う相手である青髭によって追い込まれ、
    青髭によって救われる。

  • 「さよなら怪傑黒頭巾」の話の中で、薫君はお兄さんのお友達である山中さんの結婚披露宴に出席する。山中さんは東大医学部の出身で、学生時代には活動家としてならしたけれども、結局は、学会で有力な教授のお嬢さん(だっけ?)と結婚することになる、という設定で、それが非常に微妙なことであるために、披露宴自体が何だかおかしな雰囲気になる。あるいは、物語の最後の方に出てくる、新進の政治学者の中村さんは、1969年という大事な時期(1970年安保闘争を控えた大事な時期、ということだと理解したが)に海外留学することになり、皆の期待を裏切ってしまうことを気にして、薫君の家でしたたかに酔っ払ってしまうことになる。
    これらは、本の中で非常に大事な位置づけのエピソードなのだけれども、こういったエピソードは、当時の時代背景や雰囲気を知らなければ、その意味が分からないだろう、と思う。
    言いたいのは、「赤」「白」は、薫君の個人的な体験の物語として読めるけれども、「黒」「青」については、そういった読み方が出来ず、当時の時代背景や雰囲気が分からないと、理解することすら難しいのではないだろうか、ということだ。

    もう少し身も蓋もないことを言えば、たとえ、当時のそういった運動や活動といったものに対して知識として分かったとしても、今の時代から考えて、意味を見出せるだろうか、ということも疑問として湧いてくる。
    山中さんや中村さんが一生懸命に頑張って目指していたことは、そもそも本当に意味があったことなのだろうか、という疑問だ。
    もし、それが今から考えると、あまり意味のないことであったと考えるのであれば、山中さんや中村さんの苦悩や挫折の重みが理解出来ず、それが理解出来ないのであれば、物語自体が理解出来ない、というか、成立しない。少なくとも、4部作が発行された当時に読まれたような読まれ方では、これらの物語が読まれることは難しい、というか、無理だろうと思う。何のために頑張っていたのか、が理解されなければ、その挫折がどういう意味を持つのかを理解するのは難しいだろうから。

    こういったことが、庄司薫の4部作をあらためて読んでみた時の、全体的な感想だ。
    若い頃に夢中になって読んだという記憶があり、それに対しての懐かしさから今回も一気に読んだけれども、残念ながら (特に黒と青は)、発行された当時に僕が今の年齢であれば、読んでいないかもしれない。少なくとも、楽しめはしなかったような気がする。

  • シリーズ完結。一作目「赤頭巾ちゃん〜」のような スピード感はないが、若者の精一杯の真剣さ、時代の変化に対する若者の心理描写のうまさ は 感じた

    青髭とは、時代そのもの だったり 時代の変化 や 競争社会 を含めた時代 を指すのだと思う。挫折や迷走を繰り返しても 方向(風見鶏)を見失うことなく、人生を享受しよう というメッセージを感じた

    しかし、登場人物に 共感や尊敬はしない

    人生=悪さや怠けても 笑って待っていて 虹のような橋をかけて連れ出してくれるもの


  • 懐かしい

  • 薫くんシリーズ最終巻。全篇通しての物語の設定は1年ほどだが、前3作と青髭との間には執筆に6年以上の年月が経っている。おそらく当初、薫くんの将来にサヨク的知識人を見据えていたのだろう。しかしその6年の間に世界の状況は激変してしまった。(坪内祐三の解説に詳しい)。果たして、作者は薫くんの内的エネルギーの噴出を青髭というカタチで表出した。読後『ぼくの大好きな青髭』というタイトルの意味が大波となって押し寄せてくる。私は感動的に涙してしまった。この時代の若者がみんな薫くんだったとは言わない。でも確実に薫くんは存在した。若いエネルギーがあった。

  • 当然と思っていた自分の進路が突然切断されてしまった受験生の薫君があれこれ経験しながらいかにあるべきかを考えていきます。赤白青黒4部作一気に読んでみるとよいと思います。さらに作者が本名福田章二で20代前半に書いた「封印は花やかに」(「喪失」所収)と読み較べるとよいでしょう。

    人間科学部 N.K

    越谷OPAC : http://kopac.lib.bunkyo.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=1000914551

  • 今までのシリーズとは雰囲気が一変。会話形式に重きがおかれ、その会話内容が作者の最もいいたいことになってる。今までは薫くんの内面の気持ちや考えなどが地の文で語られていてそれが最も重要なことだったので、そもそもの方向転換が凄い。新たな試みをしようとしたのかもしれないけれども、なんだか肩すかし感はあるかもしれない。私は今までのほうが好きだったなあ、率直で分かりやすくて正直で。この形式では物語にずぶずぶと入り込むことはできなかった。元々そこまで小説的な機能を必要としていない主題なんだから、純文学っぽくかっこつけずに、今までみたいにそのままやってみてもよかったのにって思う。この新しい試みが庄司薫の様々な文学的限界だったのかな、ともおもうし、文学的限界を迎えたからこそこのシリーズはここで終わるのかな、ともおもうし、庄司薫は多分書きたいことがほんとうにひとつしかなくてそれを書き上げたのだからもう書く必要はなかったのではないか、ともおもう。この本にはどうしようもない物悲しさ、小説を書くことに必要とされる絶対的な才能の壁とか人間の本質とかそういう様々な限界が感じられてなんだかもうシリーズ最終巻だというのにわたしのなかで後味もそんなに良くなく終わってしまってかなしい。

  • ものすごく久しぶりに庄司薫を読んでみた。こういう復刻逃さず棚に並べていたガケ書房にまんまと乗せられて(笑)。
    こういう時代、閉塞感を感じるときに読むととても面白かった。
    いつの時代も変わらず若者は若者で居て、自分を含めたオッサンもかつては若者であったことを忘れないでいよう。

  • びっくり!これって「1Q84」?

  • 大ヒット!庄司薫君いい!
    ユートピアの崩壊する様がすばらしい!
    崩壊したところから始まるところがすばらしい!
    ちゃんと受けとめている若者がすばらしい!
    夢が現実になってしまうことの絶望
    叶わない夢のほうがいいな

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ぼくの大好きな青髭 (新潮文庫)の作品紹介

月ロケット・アポロ11号の月着陸の夜、若者の夢を乗せた葦舟ラー号が沈んでいく。突然自殺を図った同級生高橋の「親友」として、熱気渦巻く真夏の新宿に飛び込んだ薫が知ったのは、若者の夢と挫折を待ち受けて消費し発展する現代社会の真相だった。そんな時代をなお愛し続けなければならないのか…。「豊かな社会」へと向かう時代を、若者の切実な視点で描いた不朽の青春小説。

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