霧越邸殺人事件 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (701ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101386119

感想・レビュー・書評

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  • 雰囲気もいいし、幻想的にするのはいいけど、少しやりすぎかな。

  • ☆一つ(もしくはゼロ)

    この本をづいぶんと長い期間読んでいる。たぶん2014年早春の頃から読んでいる。読了するのに夏を過ぎ秋の気配までが漂うことになってしまった。

    もちろんその間に別の何冊かの本を読み終えたのではあるが。

    わたしの原則としての日常が、他の本をメインで読んでいるからであって、インターバル的には、まあ一週間に一回この本へ戻って読むという事になっていた。

    従いこの本を読むときはいつも数ページ戻ってから読むことになっている。下手すりゃ戻ったまんまで1ペジも先へ進めないこともあるw。費用のかかる本のこととて長持ちするのは良いことだww。

    「新本格派ミステリー」というジャンルの本なのだ・・・らしい。
    わたしにしてみりゃ「推理小説」でしょ、なのだけれど、今はその言葉は死語らしい。

    で、いっときは松本清張や横溝正史に代表される「社会派ミステリー」というのが全盛であって、昔ながらの謎解きをメインにお話が進むミステリーは影を潜めていたらしい。

    そこへ登場したのが島田荘司を始めとする一連の「本格ミステリー派」らしいのだけれど、わたしは現在の島田荘司の作品はミステリーだなんて思ってない。
    「トンデモ破天荒小説」だと思っている。幾つかの別々なお話を強引にくっつけちゃうその剛力だけで持たせている作家だと思う。
    ありゃ、話が島田荘司へ逝っちまってる。すまぬ。

    でこの本の作者・・・ええと誰だっけ、ははは、すまぬ。あそそ綾辻さん。なんだか華族みたいな名前だけど、もし筆名でないのなら、まそういうご身分なのでしょうねぇ。いいねぇ偉いねぇ。

    吹雪の山深き別荘での殺人事件。外界との接触を閉ざされてしまった・・・という、もうこてこての関西漫才みたいに設定の万古な推理小説、あいや、ミステリー小説なのであった。

    そして、そしてこれがなんと全然面白くない!
    読むだけ損の本ですので、みなさまくれぐれもお気をつけくだせい。
    すまぬ。

  • 綾辻行人『霧越邸殺人事件』を読了。あとがきを併せて約700ページと厚めの作品だったが、内容は大変面白かった。

    『霧越邸殺人事件』は、外界との連絡が遮断された状況、クローズド・サークルの環境下での事件。本作の場合は吹雪の中の館が舞台。道に迷ったある小劇団の一行が、吹雪の中、命からがら偶然この霧越邸に辿り着くところから物語は始まる。

    オレはミステリの中でもクローズドサークルものが好みだ。犯人も一緒に閉じ込められている中での殺人というだけでサスペンス性が上がる。それだけでなく、わざわざなぜその状況で殺人をする必要があるのか等、様々な理由付けも作者の腕の見せ所だと思う。

    それとこの霧越邸は不思議なところでもある。現実にはありえない事が起きるのだが、それが事件に関わってくる。

    見立て殺人が使われていたことにも興味を惹かれた。例えば、北原白秋の「雨」になぞらえ死体を装飾する。「雨」に見立てるのにはもちろん意味があるのだが、それはネタバレになるので語れない。

    とにかく、完成度は高い作品だと思う。今なら新装版も発売されているので、未読の方にはオススメしたい1冊(新装版は上下巻)。

  • ながすぎる。

  • 槍中の推理と蘊蓄が長くてうんざりしました…。
    時計館の殺人と双璧、と聞いていたので楽しみにしていましたが時計館の殺人のほうが断然上でした。

  • 幻想的、かつ本格。

    吹雪の雪山。不気味な館。
    いわゆるクローズドサークルに加えて暗示じみた名前や予兆の数々。

    犯人当ては可能。
    それは論理的な道筋が一つ。
    そして非現実的な道筋が一つ。

    説明が付かない、ファンタジーな部分もあるが、
    そこからも推理できることにより噛み合わないように見える二つの要素をうまく合成した、素晴らしい作品だ。

  • 幻想的な雰囲気とロジカルな推理、そして数々の偶然。非常に風格があり、読み応えのある作品。

    まず、第一の榊殺しについては「なぜ見立てをしたのか」、「動機は何なのか」という二つの観点のどちらからも犯人を絞れている点が面白い。

    そして第二の事件は、事件自体は単純ではあるものの、第二の犯人によって"見立てのすり替え"が行われたことで謎が増え、より複雑になっている。
    それにしても「カナリヤ」をさかさにすると、はビビったな...

    第三の事件は、「甲斐は忍冬の乱雑なカバンの中から睡眠薬を選ぶことはできない」というのは気付きたかったなー。

    近年では嵐の山荘に閉じ込められてもミステリマニアの主人公は少しウキウキしてる、というような"軽い"クローズドサークルものが多いが、本作は登場人物たちがあまりミステリかぶれしていないことや、館の幻想的な雰囲気、不思議な力などにより全体的に重厚な仕上がりになっている。

    こういう雰囲気のものは好きなのだが、自分はどうしても「館の力」などがかなり取り上げられていたこともあり、館に関する壮大な仕掛けを期待してしまった。結局そこに関してはやや拍子抜けではあったが、それ以外の真相はなかなかフェアにできている部分も多く、結構レベルが高い。
    この雰囲気を壊さないためにはやはり館の仕掛けは要らなかったのかな、とも思えてくる。



  • 終盤いきなりババアがライフル持ち出してくる展開やめろっつってんだよ!!!!!!!!!!!!(よろずのことに気をつけよの傷が……いやこっちのほうがずっと前の作品だけど)

    槍中が犯人なのはまさしくいきなり八十の本とか言い出した時点で察してたからむしろ榊と蘭を殺したのが甲斐なことにびっくりした。かなりやがヤリナカなのは気づいてなかったけど。
    それまで探偵役がいたのに急に何でもお見通しの名探偵が出てくるの、黒祠の島の浅緋を思い出しちゃったな……
    結局邸の人がみんな未来を諦めていてとか不幸が起きる前に名前にちなんだものが壊れてみたいなやつは邸の不思議パワーってだけでいいの?

  •  国内ミステリで、とびっきり面白い芸術殺人がありました……!
     クリスティーのマザーグース殺人を読んで育ってきた私には、詩や童謡をモティーフとする殺人への、断ちがたい憧れがあります。日本にもそういう作品があってほしい。と願ってきた人間にとって、『霧越邸殺人事件』は特殊な愛着が湧き起こる一作★

     吹雪に視界を奪われてさまよっていた劇団員たちは、謎めいたお屋敷「霧越邸」にたどりつきます。
     悪天候によって閉じこめられてしまった彼ら。そこは未来に関心を持たない人間たちばかりが暮らし、外界とは違った時間が刻まれている館でした。行きつく先のない時間は、流れ去るのではなく静かに渦を巻いているのです。
     しかし、過去から未来に向かっている人間たちが邸内に入ったことで、空気は変わり、屋敷は動き、未来を映し始めた。その時、不思議な館で、北原白秋の詩を見立てに、どこか演劇チックに人の寿命が止められるのでした――

     孤島の別荘物だったデビュー作『十角館の殺人』を彷彿とさせる天然密室物でありつつ、醸す雰囲気は2作目の『水車館の殺人』に近く、時間が外に流れ出ることのない館、未来をうつす幻視の力という設定が再度扱われています。加えて、『迷路館の殺人』で実現された、調和のとれた作品づくり。
     ここまで培われてきた要素をいちどきに見ることが叶う、初期綾辻の集大! ひそかにお館シリーズのファンである私は大喜び~☆

     事件の舞台となるお屋敷の、水際立った美しさを描写した文章にも魅せられます。ちと生意気を言うと、綾辻さんの初期作品は文体がぎこちない感じを受けていたので……(ごめんなさい★)。洗練されたなぁ。なんて、他作品の文章へのぴり辛評価はお許し願いたいです。
     本書に関しては、外の世界とは異なる時間の渦巻きに引きこまれて、しばし日常を忘れてめくり、どっぷり浸りました。最後の黄昏た雰囲気もたまりません。

  •  吹雪の山荘での殺人事件。少し動機は弱かったし、館シリーズのようなドンデン返しはなかったけれど、本格推理の雰囲気は楽しめた 奇妙な名前の一致や山荘でのポルターガイスト現象はちょっとホラーっぽい。

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著者プロフィール

1960年京都市生まれ。京都大学教育学部卒業、同大学院博士後期課程修了。87年、大学院在学中に『十角館の殺人』でデビュー、新本格ミステリ・ムーヴメントの契機となる。92年、『時計館の殺人』で第45回日本推理作家協会賞を受賞。2009年発表の『Another』は本格ミステリとホラーを融合した傑作として絶賛を浴び、TVアニメーション、実写映画のW映像化も好評を博した。他に『Another エピソードS』『霧越邸殺人事件』『深泥丘奇談』など著書多数。18年度、第22回日本ミステリー文学大賞を受賞。

「2023年 『Another 2001(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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