盲目的な恋と友情 (新潮文庫)

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著者 : 辻村深月
  • 新潮社 (2017年1月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101388823

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盲目的な恋と友情 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • タカラジェンヌの母をもつ一瀬蘭花は自身の美貌に無自覚で、恋もまだ知らなかった。だが、大学のオーケストラに指揮者として迎えられた茂実星近が、彼女の人生を一変させる。茂実との恋愛に溺れる蘭花だったが、やがて彼の裏切りを知る。五年間の激しい恋の衝撃的な終焉。蘭花の友人・留利絵の目からその歳月を見つめたとき、また別の真実が…。男女の、そして女友達の妄執を描き切る長編。

  • 我を忘れて恋愛にのめり込んだ時の怖さ、女同士の友情のドロドロした部分。それにミステリ要素が加わった一作。
    読んでいて明るい気分にはけしてなれない作品。違和感と、複雑な感情と。そういう気分を楽しむためにある、と言ってもいいかもしれない。

    タカラジェンヌの母を持つ一瀬蘭花は自身の美貌に無自覚で、大学に入るまで恋も知らなかった。しかし大学のオーケストラに指揮者として迎えられた茂実星近が、蘭花の人生を一変させる。
    茂実との恋愛に溺れる蘭花だったが、やがて彼の裏切りを知る。
    茂実と蘭花の激しい恋と衝撃的な終焉。その歳月を蘭花の友人・留利絵が見つめた時、また別の真実が見え始める。

    様々なかたちの“嫉妬”が存在する物語だったように思う。
    友人の美貌や才能に対する嫉妬、好きな男を友人にとられたことに対する嫉妬、というそこそこ分かりやすい感情の中に、女同士の友人関係における嫉妬(親友だと思っている女友達が他の友人と仲良くしていることに対する嫉妬など)とりわけ学生時代にありがちな、複雑なかたちの嫉妬も紛れ込んでいる。
    試したり、妨害したり、図り合ったり。
    そういうドロドロした感情を持たないのがこの小説の中心人物の蘭花で、心が純粋すぎて浮世離れしている感さえあるのだけど、容姿の美しさがその性質を納得させる材料になっている。
    それと正反対の性質を持つのは留利絵で、容姿の悪さが彼女にコンプレックスをもたらし、それが少しひねくれた嫉妬心になり、自分の周りの人間関係を壊す原因になっている。

    純粋すぎる蘭花と、嫉妬心が強すぎる留利絵。その中間あたりに位置する美波が一番バランスの取れた人物像で、蘭花が美波を慕った気持ちも、留利絵が美波を憎んだ気持ちも、なんとなく分かる気がした。

    そして盲目な恋の突っ走ってしまうエネルギーの凄まじさは、そういう恋愛をしたことのある人にしか理解出来ないのだろうと思った。
    個人的にはそういう経験をしたことがある人の方が幸福だと思うけれど(結末はどうあれ)、この小説の場合は事件を産んでしまう要素になってしまった。

    ここまでドロドロ感を楽しめる小説を久しぶりに読んだ。女友達と密に付き合っていた頃に読んだら、もっと複雑に思ったかもしれない。

  • タイトル通り
    盲目的な「恋」と「友情」を二つの章で、別の目線から描かれる。

    「恋」の蘭花 と「友情」の留利絵

    どちらかというと留利絵のほうに、ヒリヒリしたものを感じる。
    それは私の中に「留利絵」が少なからずいるから。

    コンプレックスと自意識でがんじがらめになって
    他人のために動くことすら、自分の価値のため。
    自分の価値を他人からの目線でしかみられないから、「自分は選ばれた」「自分が傷つけられている」と一人で舞い上がったり恨んだりする様子は、ヒステリックなようだけど、ものすごい共感があって怖くなる。

    日頃ひた隠しにしているはずの、底にある自尊心を引きずりだしてくるところが、辻村さんを時に強烈に読みたくなる理由なのです…
    デビュー作が未だに平積みされているほど愛されている影に、それが見たくて読んでるファンが多数いるはず…!

  • 蘭花、留利絵、美波。いまのわたしにはわからなかったけど、もしかしたら菜々子にも。
    登場する女性3人ともにすごく共感する部分があって、同じくらい「ここまで盲目的になりたくない」って部分がある。

    蘭花は恋に盲目的で、名前で出てくるのは普段呼んでる部分だけ。茂実星近以外は。
    それは家柄とかを気にしない大らかさでもあるし、興味をもってないとも言える。
    対照に留利絵は、良くも悪くも相手を強烈に意識するから、苗字に含まれる”家柄”も読み取ろうとしてる。
    二人とも、「自分は特別な存在」でありたくて、その度合いが「現実でここまで意識してたらやばいでしょ笑」ってとこを超えてるところが、共感できるとこであり、共感したくないとこ。

    美波は軽やかに見えるし、こうあったらいいなあ、わたしはこのタイプだなあと思ったけれど、こーゆう生き方は留利絵のような人をものすごく傷つけてるんだなって気がついた。
    留利絵が気にしすぎで、ちょっと病的、って言うのは簡単だけど、美波の軽やかさは、軽薄さ、無神経さでもあるなって気づいた。

    読後感は決して良くないし、おもしろいよ!って薦めたい内容ではないけど、久しぶりにのめり込んで読んだ、いい小説でした。

  • これな、なかなか面白かった。
    前半、元タカラジェンヌを母に持ち、大学のオケで第一バイオリンをつとめる美しい娘・蘭花の、将来を嘱望される指揮者の卵・茂実に対する「盲目的な恋」のお話。
    少女マンガのようでもあり通俗的でドロッドロのお話をグイグイ読ませてしまう。
    後半、背が高くて細くて猫背でニキビで悩んでいて自意識過剰な留利絵の、蘭花に対する「盲目的な友情」について。
    同じ時間の同じ出来事を留利絵の側から見てみると、その時の言葉やイベントの持つ意味がこうも違うかと思い知らされ、コンプレックスに苛まされる彼女にとって一筋の光である蘭花を自分のものにするために行う行為が狂おしい。
    どのような結末になるのか、ベタな恋愛ものから一転、サスペンスに溢れたダークさがぞっとする怖さ。
    巻末、山本文緒の解説が的確。

  • 衝撃だったのは 盲目的な友情。
    承認欲求をまじまじと見せられた感じ。
    留利絵の過去を思うと ただただ可哀想だなと思う…

  • 誰も幸せになれてないような気がする。でも気づいたら執着している、盲目的になる気持ちはわかります。周りを見渡せば他に選択肢はあるのはわかるけど、失うのが怖い。

  • 盲目的な恋愛は何となく分からないでもなかったが、友情は怖かった。
    友達への執着が行き過ぎると、喜ばせるのも破滅させるのも簡単なのだなと。

  • 対になる恋と友情。
    どちらの方が尊いのかという永遠の問いはあるが、どちらも盲目的に相手に依存した瞬間、自己満足にすぎなくなる。
    そんな、盲目的な人々の話。

  • 蘭花にも留利絵にも共感できない。
    なぜそこまで激しい感情を抱くのか、もう少し視野を広くできないのか。
    それなのに。共感できないのに。
    すごく怖い。
    彼女たちの傲慢な欲は、私の中にも同じく存在している。なんて愚かしいんだと彼女たちを嘲りながら、私の中で蠢く気配を感じる、同じ存在に蓋をする。
    とくに、一人に愛されたい蘭花より、自分は上等な人間だと認められたいがために選ばれたがる留利絵の気持ちがわかる。

    物語はページが進むだけ見方が変容していく。
    読了後、結局のところ、この二人に愛情や友情はあったのかと言われると、あれはとても自分本位で、依存で、そんなキレイな感情には思えない。
    けれど、愛情や友情はこんなものである、と言われれば、ああ、そんなものであるのだな、という気もしてしまう。
    これはひとつの解だと思う。

    辻村作品は、こういう、生々しい感情を描くのが本当に上手いよね。表紙も世界観をきれいに表現しててたまらない。

  • 盲目的なほど痛々しい

  • 本の装丁がかわいくて買った。
    中身は…こわすぎ。
    女ってこわい。
    恋か友情か。絶対女は恋。

  • 現実感のない作品でした。キラキラネームとまでは言い切れないけど、登場人物たちの名前がどこか安っぽく気取っていて、まるでその名前のように作り物めいたキャラクター。全体的に品がないドレスとアクセサリーでけばけばしく着飾ったセレブみたいな物語。胸焼けしそう。タイトルのインパクトはあって好きなんですが、結局読み終わってもう一度読み返そうと思うほどの目新しさがありませんでした。
    正直なところ辻村作品の性行為シーンはさらっと流してほしいところです。とにかく女性心理を描くことに長けてる作家さんなので、何をしたかではなく何を思ったかを描いてもらえると楽しめたのにと思いました。燃え上がる恋も友情もありきたりな結末で終わってしまったので消化不良です。
    オケメンバーの結婚式に呼ばれない留利絵だけが妙にリアル。オケメンバーだって蘭花とルームシェアしてるって知っているでしょうにね……嫌われてるというより本当に周りの人には眼中に入れてもらってないんですね。しかもあだ名がルリエールって。じわじわきますね。盲目的というかはっきり変人です。

  • 女性の感情が詳細に説明されていた。
    男性なので、理解はできるが、気持ち悪いと感じた。
    ここまで恋焦がれるのはうらやましいが、ここまで友情を持たれるのはいかがなものか。

  • とびきりの美貌を持つ女の子の恋と、地味だけど優秀な女の子の恋にも似た友情の話。
    ろくでもない男との恋に翻弄される蘭花は、留利絵の危うさに気付かない。
    二人が恋人相手に、親友相手に、それぞれどこで均衡を崩すのか、はらはらしながら読み進めました。
    心中みたいな結末だったな…。

  • 「恋」に溺れる主人公と、彼女のそばで「友情」に溺れる友人のお話。あるいは、恋や友情による社会的結びつきの実践が提供してくれる「地位」(○○の恋人、○○の夫・妻、○○の親友など)と、それがもたらしてくれるであろう「利潤」の追求に、意識的にも無意識的にも囚われた主人公たちのお話です。自分の文化資本に照らしてふさわしい相手、自分のコンプレックスを解消してくれる相手、自分の破綻・没落しつつある出自の代替となり、自身の社会的上昇を実現してくれる相手などなど。それらを探し求めるゲームは、経済的安定の追求とくらべて、本質からして終わりのない、より疲労困憊させられるゲームです。柚木麻子の『けむたい後輩』などもそうですが、こういう差異化・卓越化の実践のお話は重たいですがきらいではありません。

  • 蘭花の恋愛観も、留利絵の友情観も、自分と重ね合わせて考えてしまった。
    特に留利絵のような、「自分は一番の親友だと思ってるのに相手はそうじゃない」みたいな、友情のすれ違いみたいなものはすごく身に覚えがあるので本当に胸が痛かった。
    何で私が一番じゃないの、っていう。

    茂実がダメ男だってわかってるのに離れられず、何だかんだ付き合いを続けてしまう蘭花の気持ちもわかる。
    自分のことを愛してくれる人なんてこの人だけかも、って思ってしまうんだよなぁ。そんなことないのに。

    恋愛も友情も、ほどほどに健全な関係でいたいな、と思った。
    辻村さんの作品はこういう感情の動きがすごくリアルに感じられて、いつも登場人物にかなり感情移入してしまう。

  • 相手に狂気を見出した時
    自分も静かに美しく狂っていく。

    どうにもできないほどに。



    共鳴し、自分が親友だと
    理解者なのだと。
    選ばれ、頼られる事の優越感。

    自分だけが特別なのだ、と。


    盲目的な恋と友情

  • 人物の名前がゴテゴテしている事や、留利絵以外の人が外見の恵まれた人ばかりの設定に拒否反応。
    厭なんだけど、これどう収拾つけるの?と気になり、「うわ、いちいちヤな捉え方すんなー」「嫌な奴ばかりだなー」なんてツッコミつつ一気読み。
    楽しめたって事かな?

  • はっきり言って恋愛小説はほとんど読まない。
    これも心理分析のためにと買っておいた本の一つ。

    はっきり言って微妙…だったかな。

  • 表紙はなかなか素敵なんだけど、中身はあんまりだったかな。嫉妬とか、恋と友情、辻村さんのイメージでもなく、残念。

  • ビビビッと痺れる作品だった。辻村深月の、ダークな恋愛や女の友情物語、読んで見たいな〜と思っていたところで見つけた作品。期待以上だった。この作者は、どうして、こんなに人間の心がわかるのだろうか。登場人物の醜い部分を洗いざらいさらけだしているのに、なぜか憎めない。作者の人間愛を感じるんだよな〜。

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盲目的な恋と友情 (新潮文庫)の作品紹介

タカラジェンヌの母をもつ一瀬蘭花(いちのせらんか)は自身の美貌に無自覚で、恋もまだ知らなかった。だが、大学のオーケストラに指揮者として迎えられた茂実星近(しげみほしちか)が、彼女の人生を一変させる。茂実との恋愛に溺れる蘭花だったが、やがて彼の裏切りを知る。五年間の激しい恋の衝撃的な終焉。蘭花の友人・留利絵(るりえ)の目からその歳月を見つめたとき、また別の真実が――。男女の、そして女友達の妄執を描き切る長編。

盲目的な恋と友情 (新潮文庫)のKindle版

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