盲目的な恋と友情 (新潮文庫)

  • 739人登録
  • 3.54評価
    • (22)
    • (69)
    • (77)
    • (13)
    • (1)
  • 70レビュー
著者 : 辻村深月
  • 新潮社 (2017年1月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101388823

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
恩田 陸
有効な右矢印 無効な右矢印

盲目的な恋と友情 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 我を忘れて恋愛にのめり込んだ時の怖さ、女同士の友情のドロドロした部分。それにミステリ要素が加わった一作。
    読んでいて明るい気分にはけしてなれない作品。違和感と、複雑な感情と。そういう気分を楽しむためにある、と言ってもいいかもしれない。

    タカラジェンヌの母を持つ一瀬蘭花は自身の美貌に無自覚で、大学に入るまで恋も知らなかった。しかし大学のオーケストラに指揮者として迎えられた茂実星近が、蘭花の人生を一変させる。
    茂実との恋愛に溺れる蘭花だったが、やがて彼の裏切りを知る。
    茂実と蘭花の激しい恋と衝撃的な終焉。その歳月を蘭花の友人・留利絵が見つめた時、また別の真実が見え始める。

    様々なかたちの“嫉妬”が存在する物語だったように思う。
    友人の美貌や才能に対する嫉妬、好きな男を友人にとられたことに対する嫉妬、というそこそこ分かりやすい感情の中に、女同士の友人関係における嫉妬(親友だと思っている女友達が他の友人と仲良くしていることに対する嫉妬など)とりわけ学生時代にありがちな、複雑なかたちの嫉妬も紛れ込んでいる。
    試したり、妨害したり、図り合ったり。
    そういうドロドロした感情を持たないのがこの小説の中心人物の蘭花で、心が純粋すぎて浮世離れしている感さえあるのだけど、容姿の美しさがその性質を納得させる材料になっている。
    それと正反対の性質を持つのは留利絵で、容姿の悪さが彼女にコンプレックスをもたらし、それが少しひねくれた嫉妬心になり、自分の周りの人間関係を壊す原因になっている。

    純粋すぎる蘭花と、嫉妬心が強すぎる留利絵。その中間あたりに位置する美波が一番バランスの取れた人物像で、蘭花が美波を慕った気持ちも、留利絵が美波を憎んだ気持ちも、なんとなく分かる気がした。

    そして盲目な恋の突っ走ってしまうエネルギーの凄まじさは、そういう恋愛をしたことのある人にしか理解出来ないのだろうと思った。
    個人的にはそういう経験をしたことがある人の方が幸福だと思うけれど(結末はどうあれ)、この小説の場合は事件を産んでしまう要素になってしまった。

    ここまでドロドロ感を楽しめる小説を久しぶりに読んだ。女友達と密に付き合っていた頃に読んだら、もっと複雑に思ったかもしれない。

  • 現実感のない作品でした。キラキラネームとまでは言い切れないけど、登場人物たちの名前がどこか安っぽく気取っていて、まるでその名前のように作り物めいたキャラクター。全体的に品がないドレスとアクセサリーでけばけばしく着飾ったセレブみたいな物語。胸焼けしそう。タイトルのインパクトはあって好きなんですが、結局読み終わってもう一度読み返そうと思うほどの目新しさがありませんでした。
    正直なところ辻村作品の性行為シーンはさらっと流してほしいところです。とにかく女性心理を描くことに長けてる作家さんなので、何をしたかではなく何を思ったかを描いてもらえると楽しめたのにと思いました。燃え上がる恋も友情もありきたりな結末で終わってしまったので消化不良です。
    オケメンバーの結婚式に呼ばれない留利絵だけが妙にリアル。オケメンバーだって蘭花とルームシェアしてるって知っているでしょうにね……嫌われてるというより本当に周りの人には眼中に入れてもらってないんですね。しかもあだ名がルリエールって。じわじわきますね。盲目的というかはっきり変人です。

  • 女性の感情が詳細に説明されていた。
    男性なので、理解はできるが、気持ち悪いと感じた。
    ここまで恋焦がれるのはうらやましいが、ここまで友情を持たれるのはいかがなものか。

  • とびきりの美貌を持つ女の子の恋と、地味だけど優秀な女の子の恋にも似た友情の話。
    ろくでもない男との恋に翻弄される蘭花は、留利絵の危うさに気付かない。
    二人が恋人相手に、親友相手に、それぞれどこで均衡を崩すのか、はらはらしながら読み進めました。
    心中みたいな結末だったな…。

  • 「恋」に溺れる主人公と、彼女のそばで「友情」に溺れる友人のお話。あるいは、恋や友情による社会的結びつきの実践が提供してくれる「地位」(○○の恋人、○○の夫・妻、○○の親友など)と、それがもたらしてくれるであろう「利潤」の追求に、意識的にも無意識的にも囚われた主人公たちのお話です。自分の文化資本に照らしてふさわしい相手、自分のコンプレックスを解消してくれる相手、自分の破綻・没落しつつある出自の代替となり、自身の社会的上昇を実現してくれる相手などなど。それらを探し求めるゲームは、経済的安定の追求とくらべて、本質からして終わりのない、より疲労困憊させられるゲームです。柚木麻子の『けむたい後輩』などもそうですが、こういう差異化・卓越化の実践のお話は重たいですがきらいではありません。

  • 相手に狂気を見出した時
    自分も静かに美しく狂っていく。

    どうにもできないほどに。



    共鳴し、自分が親友だと
    理解者なのだと。
    選ばれ、頼られる事の優越感。

    自分だけが特別なのだ、と。


    盲目的な恋と友情

  • 人物の名前がゴテゴテしている事や、留利絵以外の人が外見の恵まれた人ばかりの設定に拒否反応。
    厭なんだけど、これどう収拾つけるの?と気になり、「うわ、いちいちヤな捉え方すんなー」「嫌な奴ばかりだなー」なんてツッコミつつ一気読み。
    楽しめたって事かな?

  • 表紙はなかなか素敵なんだけど、中身はあんまりだったかな。嫉妬とか、恋と友情、辻村さんのイメージでもなく、残念。

  • 2017.05.14読了図書館

  • 恋愛、友情の暗い部分を痛いほど感じた。
    辻村さんの今までの作品とは少し異なるように感じたが、ラストの展開はやっぱり辻村さんだった!
    個人的には「友情」での留利絵の想いを第三者としてみるのであれば気持ち悪いと思うこともできるが、共感できるところも非常に多く、リアルな、まさに盲目的な友情を感じた。

  • タイトル通り
    盲目的な「恋」と「友情」を二つの章で、別の目線から描かれる。

    「恋」の蘭花 と「友情」の留利絵

    どちらかというと留利絵のほうに、ヒリヒリしたものを感じる。
    それは私の中に「留利絵」が少なからずいるから。

    コンプレックスと自意識でがんじがらめになって
    他人のために動くことすら、自分の価値のため。
    自分の価値を他人からの目線でしかみられないから、「自分は選ばれた」「自分が傷つけられている」と一人で舞い上がったり恨んだりする様子は、ヒステリックなようだけど、ものすごい共感があって怖くなる。

    日頃ひた隠しにしているはずの、底にある自尊心を引きずりだしてくるところが、辻村さんを時に強烈に読みたくなる理由なのです…
    デビュー作が未だに平積みされているほど愛されている影に、それが見たくて読んでるファンが多数いるはず…!

  • 盲目的な恋愛はまあそこまでではなくてもあるよね、っと思ったけど盲目的な友情は全く感情移入できなかった…後半になるにつれて薄気味悪くなって、最後の最後も後味悪すぎ!

  • 読み終えた直後の感想→「怖…!」
    なんだが、冷静に嚙み砕いてみると登場人物のそこかしこに、人間誰しも少なからず芽生えたことのある感情が確かに根付いていて、それが極端に増幅するとこんなことになるのね、と客観視出来たような。

    全体がタイトにまとまっているので、読みやすく、だいぶ闇深いが続きが気になって一気に読み切ってしまった。

  • 『君は誰からも執着されたことがないんだろう。』たしか茂実さんの言葉だ。なぜか1番刺さった言葉。最初の人は特別な人。好きかどうかじゃない、特別な人なのだ。やめられない、別れられない。同じように、友情と書かれた女同士も、るりえにしてみれば恋であり憧れ。執着だった。見返りを求めてしまうことが悲しみのはじまり。。自分の存在価値を図ろうとする、人に期待してしまう、、全部重かった。

  • 誰もが持ってる良くない感情を増長させて怖い人間を作る天才だな辻村さんは。みんなが少しは思ったことのある思いだから共感するしその怖い人間が身近な存在かのように思っちゃう。
    最後まで読むと蘭花は夢見がちで愚かなお嬢さんだし、るりえは自意識過剰ゆえの被害妄想が強く、自己愛過剰で他者に依存する怖い人だな

  • 重かった。
    一冊の本を読んで、こんなにも気分が滅入ったのは初めてかもしれない。

    つまり、それほどまでに、濃い内容だったってこと。

    人は、誰かに執着すると、こうも周りが見えなくなり、物事の正しい判断もできなくなるのだろうか。

    誰かに必要とされることは確かに嬉しい。それこそが、人の存在価値だとさえ思うこともある。

    しかし、それにすがり過ぎると、まさに、「盲目的」になる。

    人間の醜い部分が巧妙に描かれている作品だと感じた。


    個人的には、物事を、事実そのままではなく、ねじ曲がってしか受け止められない留理絵の心の闇が一番深いと感じた。

  • 深月さーん、今回も素敵でした。本当に大好きな作家さんです。

    今回はお得意のミステリー要素全開ではないのに黒深月寄りのダークな感じ。やっぱり深月さんは女の心情の変化を言葉にするのは流石上手いです!

  • 辻村深月が恋愛を描くとイヤミスになる……辻村作品にしては珍しく濡れ場があったりしますが、恋愛における甘美さはない。蘭花の『恋』も留利絵の『友情』も読んでいる間、不協和音をずっと聞かされているようにぞわぞわしました。本当に辻村さんはコンプレックス持ちで拗れていて、痛い女の子を描くのが上手い。出てくる男はクズだし、どっちにも共感できないし、楽しい気持ちにはならないけど、面白くて一気に読みました。

  • 装丁にひかれてポイッと購入していた。
    会社帰りに電車が動かなくなったあいだに読んだ。
    女の腹の中、愚かさというところですか。星近の後ろ盾のなくなったことに対する反応のちがいは楽しめた。

  • 普通のよくある恋愛小説かなと思っていたら、まさかの展開。
    留利絵の友達に対しての心情がちょっとこわい。

  • 他人への強い執着が描かれた作品。

    ごくごく個人的なことを言えば、リアリティを描いている部分と極端な設定とのバランスが、好みじゃなかった。
    ”人間のこういう側面を描くなら、ここの設定はもっと普通なありきたりな感じにしてほしかったなあ〜”みたいなことを度々思いながら読んでいたので、あまり内容に没頭できなかった。

    ただ、全体を通して読みやすい文章でするする手を進められたことと、ピリッとしたラストはよかった。

  • 単なる恋愛ものかと思ったが、そうではなかった。
    同じ時間軸を視点を変えて書く、情事を詳細に描くなど、普段なら嫌だと感じる手法も気にならないくらい、夢中で読むことができた。
    1mmも前情報がなく読んだため、途中で切り替わる衝撃がよりくっきりと印象に残り、良かった。
    他の作品も読んでみたい。

  • ヒリヒリする読後感。恋愛メインの小説かと思っていたけど、実は友情といっていいかわからないような女同士の依存関係が描かれている。読んでいく手が止まらない。

全70件中 1 - 25件を表示

盲目的な恋と友情 (新潮文庫)を本棚に登録しているひと

盲目的な恋と友情 (新潮文庫)を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

盲目的な恋と友情 (新潮文庫)を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

盲目的な恋と友情 (新潮文庫)の作品紹介

タカラジェンヌの母をもつ一瀬蘭花(いちのせらんか)は自身の美貌に無自覚で、恋もまだ知らなかった。だが、大学のオーケストラに指揮者として迎えられた茂実星近(しげみほしちか)が、彼女の人生を一変させる。茂実との恋愛に溺れる蘭花だったが、やがて彼の裏切りを知る。五年間の激しい恋の衝撃的な終焉。蘭花の友人・留利絵(るりえ)の目からその歳月を見つめたとき、また別の真実が――。男女の、そして女友達の妄執を描き切る長編。

ツイートする