盲目的な恋と友情 (新潮文庫)

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著者 : 辻村深月
  • 新潮社 (2017年1月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101388823

盲目的な恋と友情 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • タカラジェンヌの母をもつ一瀬蘭花は自身の美貌に無自覚で、恋もまだ知らなかった。だが、大学のオーケストラに指揮者として迎えられた茂実星近が、彼女の人生を一変させる。茂実との恋愛に溺れる蘭花だったが、やがて彼の裏切りを知る。五年間の激しい恋の衝撃的な終焉。蘭花の友人・留利絵の目からその歳月を見つめたとき、また別の真実が…。男女の、そして女友達の妄執を描き切る長編。

  • ほぼ同時系列のお話しを、盲目的な「恋」と「友情」の2つのパートで描いた今作。

    大好きな作家さんでも文庫化してからじゃないと買わないんで、出版順に読めてはいないんだけど、辻村さんがあまりに表現うまくて恐くなるくらいの女の世界、女の友情が書かれてる作品で、あーまたコレ系かぁ…。なんて思いながら読みました。

    が、読んでみたらやっぱうまいんだよなぁ。
    最近一冊を一気読みすることなかったのに、これは一気読みしてしまった。野球のCSやってるというのに、読みたい衝動の方が勝つなんて!(笑)

    「ふちなしのかがみ」や「太陽の坐る場所」はうまいけどなんか好きになれず、心に残らない作品で、今作「盲目的な恋と友情」のあらすじ読んだときにこの2作品と同じ傾向かな…と思ってなかなか手がでなかったんですが、いや、おみごと、今作は読み終わってからも余韻にひたり、所々何回も読み返してしまいましたよ❗

    辻村さんはほんとラストの持って行き方が秀逸で、毎回これ以上はないだろう…と思わされるし、同じようなテーマでもさらに予想を裏切ってきて、ただただ感心する。

    ある程度先は読めるんだけど、それでもきちんと裏切ってくれる、というか…。
    いや、これは面白かったです。

    最後まで同時系列で「恋」と「友情」を描いてましたが、恋が終わってからも友情は続いていたのに、ラストで友情も終わる予感?余韻?を残してend…だったのでめちゃめちゃ続きが気になります。


    あと、関係ないけど最後の解説が非常にうまくて共感しまくりで、読み終わってから誰が書いたんだ?と見返してみたら、山本文緒さんでした。
    有名だから名前も代表作品名もすぐ出てくるけど、実際作品読んだことないんで、これきっかけに、山本作品読んでみよう、と思わせる文章でした。

  • 我を忘れて恋愛にのめり込んだ時の怖さ、女同士の友情のドロドロした部分。それにミステリ要素が加わった一作。
    読んでいて明るい気分にはけしてなれない作品。違和感と、複雑な感情と。そういう気分を楽しむためにある、と言ってもいいかもしれない。

    タカラジェンヌの母を持つ一瀬蘭花は自身の美貌に無自覚で、大学に入るまで恋も知らなかった。しかし大学のオーケストラに指揮者として迎えられた茂実星近が、蘭花の人生を一変させる。
    茂実との恋愛に溺れる蘭花だったが、やがて彼の裏切りを知る。
    茂実と蘭花の激しい恋と衝撃的な終焉。その歳月を蘭花の友人・留利絵が見つめた時、また別の真実が見え始める。

    様々なかたちの“嫉妬”が存在する物語だったように思う。
    友人の美貌や才能に対する嫉妬、好きな男を友人にとられたことに対する嫉妬、というそこそこ分かりやすい感情の中に、女同士の友人関係における嫉妬(親友だと思っている女友達が他の友人と仲良くしていることに対する嫉妬など)とりわけ学生時代にありがちな、複雑なかたちの嫉妬も紛れ込んでいる。
    試したり、妨害したり、図り合ったり。
    そういうドロドロした感情を持たないのがこの小説の中心人物の蘭花で、心が純粋すぎて浮世離れしている感さえあるのだけど、容姿の美しさがその性質を納得させる材料になっている。
    それと正反対の性質を持つのは留利絵で、容姿の悪さが彼女にコンプレックスをもたらし、それが少しひねくれた嫉妬心になり、自分の周りの人間関係を壊す原因になっている。

    純粋すぎる蘭花と、嫉妬心が強すぎる留利絵。その中間あたりに位置する美波が一番バランスの取れた人物像で、蘭花が美波を慕った気持ちも、留利絵が美波を憎んだ気持ちも、なんとなく分かる気がした。

    そして盲目な恋の突っ走ってしまうエネルギーの凄まじさは、そういう恋愛をしたことのある人にしか理解出来ないのだろうと思った。
    個人的にはそういう経験をしたことがある人の方が幸福だと思うけれど(結末はどうあれ)、この小説の場合は事件を産んでしまう要素になってしまった。

    ここまでドロドロ感を楽しめる小説を久しぶりに読んだ。女友達と密に付き合っていた頃に読んだら、もっと複雑に思ったかもしれない。

  • タイトル通り
    盲目的な「恋」と「友情」を二つの章で、別の目線から描かれる。

    「恋」の蘭花 と「友情」の留利絵

    どちらかというと留利絵のほうに、ヒリヒリしたものを感じる。
    それは私の中に「留利絵」が少なからずいるから。

    コンプレックスと自意識でがんじがらめになって
    他人のために動くことすら、自分の価値のため。
    自分の価値を他人からの目線でしかみられないから、「自分は選ばれた」「自分が傷つけられている」と一人で舞い上がったり恨んだりする様子は、ヒステリックなようだけど、ものすごい共感があって怖くなる。

    日頃ひた隠しにしているはずの、底にある自尊心を引きずりだしてくるところが、辻村さんを時に強烈に読みたくなる理由なのです…
    デビュー作が未だに平積みされているほど愛されている影に、それが見たくて読んでるファンが多数いるはず…!

  • 蘭花、留利絵、美波。いまのわたしにはわからなかったけど、もしかしたら菜々子にも。
    登場する女性3人ともにすごく共感する部分があって、同じくらい「ここまで盲目的になりたくない」って部分がある。

    蘭花は恋に盲目的で、名前で出てくるのは普段呼んでる部分だけ。茂実星近以外は。
    それは家柄とかを気にしない大らかさでもあるし、興味をもってないとも言える。
    対照に留利絵は、良くも悪くも相手を強烈に意識するから、苗字に含まれる”家柄”も読み取ろうとしてる。
    二人とも、「自分は特別な存在」でありたくて、その度合いが「現実でここまで意識してたらやばいでしょ笑」ってとこを超えてるところが、共感できるとこであり、共感したくないとこ。

    美波は軽やかに見えるし、こうあったらいいなあ、わたしはこのタイプだなあと思ったけれど、こーゆう生き方は留利絵のような人をものすごく傷つけてるんだなって気がついた。
    留利絵が気にしすぎで、ちょっと病的、って言うのは簡単だけど、美波の軽やかさは、軽薄さ、無神経さでもあるなって気づいた。

    読後感は決して良くないし、おもしろいよ!って薦めたい内容ではないけど、久しぶりにのめり込んで読んだ、いい小説でした。

  • これな、なかなか面白かった。
    前半、元タカラジェンヌを母に持ち、大学のオケで第一バイオリンをつとめる美しい娘・蘭花の、将来を嘱望される指揮者の卵・茂実に対する「盲目的な恋」のお話。
    少女マンガのようでもあり通俗的でドロッドロのお話をグイグイ読ませてしまう。
    後半、背が高くて細くて猫背でニキビで悩んでいて自意識過剰な留利絵の、蘭花に対する「盲目的な友情」について。
    同じ時間の同じ出来事を留利絵の側から見てみると、その時の言葉やイベントの持つ意味がこうも違うかと思い知らされ、コンプレックスに苛まされる彼女にとって一筋の光である蘭花を自分のものにするために行う行為が狂おしい。
    どのような結末になるのか、ベタな恋愛ものから一転、サスペンスに溢れたダークさがぞっとする怖さ。
    巻末、山本文緒の解説が的確。

  • 思春期の不満やコンプレックスに起因するドロドロした人間心理に関して、辻村先生の描写は相変わらず神レベル。
    逆に、これだけ深く描ける辻村先生自身の内側には、いったいどれだけの闇が、、とつい思わずにはいられない笑
    特にルリエは、じゃあ自分が同じ生い立ちだったらどうすればいいかといっても、果たして救いの道なんか無いんじゃないかなあ、、茂実に子供っぽいと言われるシーンは胸が抉られた。
    盲目的な友情からのクライマックスは予想を超えていて、さすがのおもしろさでした!

  • 派手さはないけど、女友達の欲とエゴがたっぷりのお話♪
    同じ時間軸を、二人の女性の視点から見た2偏からなる本で、
    日常にありそうな疑いや泥沼はドラマ見てるみたいでしたが、別視点から見る事で全然違って感じられました♪

  • よくできる憧れの友達が自分と仲が良いこと。それだけで強くなれるし、自分まで持ち上げられたような気持ちになることはよく分かる。
    辻村さんの作品を読むと学生の頃の自分を思い出して、あの頃感じていた気持ちは、まわりに選ばれない私だけの独特な特別な感情だと思っていたのに、そんなことなかったことに気付ける。
    今まではそれが嬉しかったし、癒された。
    でも今回は違った。わたしが共感するのはるりえの気持ちの方が多いのに、るりえの考えに嫌悪感を抱いてしまう。私ももしかしたら、いつだって主人公は自分で、自分を中心に物事を考えて悲劇のヒロインだと思い込んでしまっているのではと思うと、とても怖いと思った。それはただの勘違い野郎‥。
    私の中にもるりえちゃんがいる。このままではいつまでたってもそばにいてくれる大切な人たちの本当の気持ちや痛みに気付けない。どうすれば良かったのかな?と考えると‥
    まわりを信じて、自分のことを認めて、表現する。
    人を評価する指標は外見じゃない。
    私もみんなも平等。私はみんなより劣ってないし下じゃない。私はかわいそうなんかじゃない。
    そして私は誰かより上ではない。
    そう思えることって難しいけど、そう思えた人間はとても強いと思う。
    2017/11/24

  • 大学時代のオーケストラの指揮者と熱烈な恋に落ちる主人公蘭花。
    一方、蘭花の「親友」であることに固執する留利絵。

    同じ物語を二人の視線から描くことで異なる真実を写し出す。
    辻村深月の講談社以外の作品はダークなものが多く、これもかなり暗いテイスト。
    個人的にはあまり好みに合わない。

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盲目的な恋と友情 (新潮文庫)の作品紹介

タカラジェンヌの母をもつ一瀬蘭花(いちのせらんか)は自身の美貌に無自覚で、恋もまだ知らなかった。だが、大学のオーケストラに指揮者として迎えられた茂実星近(しげみほしちか)が、彼女の人生を一変させる。茂実との恋愛に溺れる蘭花だったが、やがて彼の裏切りを知る。五年間の激しい恋の衝撃的な終焉。蘭花の友人・留利絵(るりえ)の目からその歳月を見つめたとき、また別の真実が――。男女の、そして女友達の妄執を描き切る長編。

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