- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101388823
感想・レビュー・書評
-
辻村さんの作品を読んでいると、いつも完全に引き込まれて虜になる。
作品の中で、主人公が、盲目的に恋をするように、夢中になる。
いつだって彼女の作品には、登場人物の命が宿っている。
解説を書かれた山本文緒さんの言葉が、的確にこの作品を表現している。
「客観性を失って自分の問題しか見えなくなっているふたりの一人称を並べ、家族や仕事などの要素を最小限に留めて、彼女たちの狭い視界をきめ細かく追った。それによって、混乱の渦はより濃く、凄みのある素晴らしい作品になった」
「恋」の章ではタカラジェンヌの母を持ち、とびぬけた美人の蘭花が、とびぬけた美男の星近と恋に溺れる様子が描かれ、
「友情」の章では蘭花の友人、留利絵の視点で蘭花と留利絵の友情関係が描かれる。
初めての恋、美男だけどダメな男星近とずぶずぶと溺れていく蘭花は見ていて痛々しくもある。
親しい友人は言う「別れなよ」と。
傷つく蘭花を見ていられない友人からしたら、適切な助言である。
でも、蘭花は。それでも彼を好きなのである。例え彼がクズだったとしても、彼を好きなのである。
好きという感情は、人間の心と、考える頭脳を、奪う。
留利絵も、蘭花と星近が別れた方がいいと思っている友人の一人だ。
ただ、留利絵の友情は、他の蘭花の友人のものとは異なる。
もっと熱烈で強烈だ。他のどの友人よりわたしを選んでほしい、ここまで蘭花のために自分を犠牲にしているのだからもっとわたしに感謝をすべき。
それは一方的な慕情だ。
だからそこに、相手からの見返りを求めてはいけない。
そんなの分かってる、それでも求めてしまう。
友情とは平等に存在するものだ。それが、相手から選んでほしい、感謝されたいと、そこに見えない優劣が生じたとたん、その慕情は暴走する。
わたしにもいつか、そんな風に思う友人はいた。
でも、そんな関係は自分が都合よく頼られているとわかると、とてつもなく疲弊する。
いつも自分だけが相手に合わせていて、なぜかいつもドタキャンされ、それを許している。
それを許さずに彼女と関わらなければいいのに。それでもその関係性を捨てられないのは。
ずっと人並みに扱われることがなかった自分を、人並みに扱ってくれたから。
もうこれ以上、自分が魅力的な友人に恵まれることはないと思い込んでいるから。
縋ってしまう、依存してしまう、期待してしまう。
「恋の前には、友人に失礼なことをしてもいいのか、思いやりを欠いてもいいのか、恋ならばすべてが許されるのか」
何より残酷なのは、恋と友情を天秤にかけた時、恋の方が、ガクンと下に、傾くことだ。
気付かないうちに、人は恋人を優先する。
つまり、自分自身を優先させる。
だから、恋は友情には勝てない。
結局、また友人に傷つけられておしまい。
今はもう、そこまで強烈な思いをもって関わる友人はいないけれど。
それが、恋なら。
今自分が抱えている慕情が、いつか暴走してしまうのでは。
いくら気をつけていても、その暴走に気付かなくなるほど強烈な愛情を孕んでいると、盲目になる。
他人事ではない、そんな不安に駆られる瞬間がいくつかあった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ギョえ~Σ( Д )ﻌﻌﻌﻌ⊙ ⊙
この本はいつから積読本だったかも忘れた頃に見つけたので読んでみた、数時間で最後まで読了。
恋愛と友情が同じ時間軸で語られていく2部構成!?盲目的とは?がピッタリ感じらる。
まじ、ぎょえー、、、、です。
恋愛の方の話は、まあ、わからなくもないけども、、冷めることないのか。もしや私がいないとこの人ダメになっちゃう…よく聞くケースなのか、、
てか、これこそ傲慢なのでは?とか、色んな感情を引き出す辻村さんは流石ですね。
友情の方の話は、こわい。。女同士って怖いわ~
なので私は基本的に女子会というものが苦手です。美味しい~かわいい~と言う女子会めんどくさいから昔から行かない派。笑
男子のグループに混じり野球やサッカーの話しながら飲む方が楽しい!
終始気持ち悪いというか、めんどくせーと思って読んでたけど、途中からイライラして最後はもう恐いわ:(´ºωº`):の感情です。
辻村さんがすごい。なんでこんなにも人間の感情を描く、引き出すのがうまいのか。。
1番無理なのは、(ここから下は登場人物の悪口みたいな、個人の感想なので読んだ人だけ)
菜々子さん。まじで気持ち悪い。
恐ろしい。。。バレた後のこと、もっと読みたかった!!こゆひとほんと嫌い。(>_<。) -
女のドロリとした雰囲気だすのうまいなー。
勝手に短編小説だと思いこんで読み始め、1話が長いなぁと思いながら。
あ、長編のたぐいだったか…と思いました(笑)
美月?さんはそんなに悪く言われるような人には思えなかったけど…
恋愛と友情。
似ているようで全く違う2つ。
確かに順調にいくまでは恋愛を重視する人が多いのかもしれないな。
友達としては淋しいけどね。
自分の〇〇してあげたのに!ていう気持ちは相手に押し付けるものでは無いと思う。
間違ってはいなかったけど、ちょっと重いし怖い。
オチはなんとなく予想通り。 -
まさに盲目的な恋と盲目的な友情。
恋愛への執着は経験があるが、友情への執着は経験がなかったので、友情パートはいろいろと衝撃かつ考えさせられた。
友達の友達にマウントとるなんて学生までで終わってほしい(^_^;)と、完全に美波タイプの自分なんかは思ってしまうが、蘭花パートも留利絵パートも共感とは違う新鮮な気持ちで読めた。
茂美、完全アウトな最低男だが、「誰にもきちんと執着されたことがないから、友達のことをまるで自分のことみたいに躍起になるんだよ。」は真理だと思った。でも留利絵の言った、「好きって気持ちは何もかもより一番偉いの?それは蘭花ちゃん自身の快楽と欲だよ。それが周りを苦しめてるんだよ。わかるよね?」って台詞は頭に残る。
経験することが違いすぎると価値観が似ることは難しい。価値観が違う友情も楽しいがここまでくると痛々しかった。
辻村深月さん、外さないな〜。 -
ヒグチユウコさんのカバー装画に惹かれて購入しました。
珍しく恋愛物でも読もう、と読み始めました。
一気読みです、あっという間に睡眠時間は削られた。
終わってみれば、完全なるイヤミスっ‼︎
今回はブラック辻村さんだったのか、と。
一人の男との恋愛に溺れる主人公蘭花と、蘭花に執拗に執着する女友達の留利絵。
その二人の目線からのお話。
『盲目的な恋』は、そんな時があってもいいなって思えるけど、『盲目的な友情』は怖い…
度が過ぎてしまうと、それは狂気そのもの。
留利絵の蘭花に対する独占欲や執着心が、もはや身勝手…
でも本人には、そんなつもりは少しもないし感謝されるべきだと思っている。
同じ出来事を各々の目線で語った時に、二人の感覚のズレや温度差がはっきりと分かる、何が余計なお世話なのかも。
ラストには、ゾワッとする結末が待っています。
男女の恋愛のやりとりや、女友達の微妙な会話や雰囲気など、さすがの辻村さんです。
わかるわかる〜、いるいる〜、です。
イヤミス苦手でなければ、おすすめです。-
ほん3さん、イヤミスでした。
自覚の無い盲目的な友情、怖いです。
辻村さんの文章は、こう自然にザワザワさせてくるんですよね_:(´ཀ`」 ∠...ほん3さん、イヤミスでした。
自覚の無い盲目的な友情、怖いです。
辻村さんの文章は、こう自然にザワザワさせてくるんですよね_:(´ཀ`」 ∠):2022/06/22
-
-
一気読み必須です。
読んでて感じたのが、辻村さんっぽくないなと
感じたことです。まったく無いわけじゃないですが、どこか洗練されているというか、上手いなと感じました。「恋は盲目」とは、よく言われますが、
「盲目な友情」とは、どういうことなのか、ぜひ
読んでみてほしいです。 -
恋も友情もゾッとするくらい異常だなって思ったけど、展開が気になってすぐ読めた。
たまにダーク系の読むの良い -
やめられないのです、最後まで一気読み
ホントはダークな話は嫌いなはずなのに
「黒辻村」にはまります
恋対友情
うーん
独り占めしたい
自分だけを見つめてほしい
それにしてもこの著者にはやはり惹きつけられる
過去にあったノンフィクションより
明日起こりそうなフィクションを書く
そう言い切る「黒白辻村深月」
これからも楽しませていただきます
≪ もう見えぬ その妄執が 壊してく ≫ -
読んだ感想としては、ううわぁ、みたいな感じ。
ハラハラドキドキする展開が続きます。
読む手が止められませんでした。
タイトルのとおり、盲目的な「恋」と「友情」について2部構成でできています。
主人公たちのずぶずぶと人間関係の沼にはまっていく感じ、客観性を失っていく感じ。
共感できるかどうかは別として、程度に違いはあれ少なからず誰しも経験はあるんじゃないかなぁ。
傲慢と善良を読んだ時も思いましたが、辻村深月さんはほんとに、人間の胸に秘めた誰にも悟られたくない醜い部分を描くのが達者だなぁ、すごいなぁと思った1冊。 -
面白かった〜。物語の真相というものが一応ありはするけど、そこにではなく、語り手の心理描写に重きを置いた作品(黒辻村らしい)。恋パート、友情パート、どちらの語り手も方向性は全く違えど、盲目的。理解できそうでできなくて気持ち悪い。