中国という大難 (新潮文庫)

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著者 : 富坂聰
  • 新潮社 (2013年4月27日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (443ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101391212

中国という大難 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • この本を読めば読むほど、中国との付き合い方の難しさ、そして空しさを感じる。

    環境汚染、汚職、そして格差。13億人中9億人もの貧困層という過剰な人口の過剰な欲望。それをもはや抑えきれない共産党政府。
    それらを共産党政府が放置している最も重要なポイントは、今経済発展のチャンスを逃せば、それこそ中国全体の死活問題となるからにほかならない。
    「ルールを守ることの出来る社会は、ルールを守っていれば最低限のものが手に入れられるという裏付けがなくては成立しない。中国にはこの範囲を超えた競争が存在する」
    そして中国共産党はソ連崩壊を反面教師として、未だに報道の自由を認めない。
    そこへ反日という火種を投げ込むと、貧困層の不満は一気に爆発するのも当然。
    もはや中国における大難は日本にとっても、かなりのレベルの災難となっている。

    また米国の東アジアへの驚くほどの無関心さと、中国の増々強力になる米国でのロビー活動。そして日本にとって最悪は親中国の米国民主党左派が政権を取った時・・・この本の初稿は民主党左派のオバマ誕生の前ですが・・・今は日本の取って最悪の時期か。

    日本でもっとも信頼できる中国ウオッチャーに、これだけ悪しき隣人の事を伝えられると、この先が思いやられ気が滅入るばかりです。

  • 本書は、日本にとっての中国の脅威を、水不足・環境破壊、汚職、農村の貧困、人民解放軍の闇、反日、台湾問題から説き起こしている。

    何れも、そのおおもとには「過剰な人口による過剰な競争」が育んだ強かさと、虐げられてきた層の苛立ちがあるとのこと。「ルールを守ることのできる社会は、ルールを守っていれば最低限のモノが手に入れられるという裏つけがなくては成立しない。中国にはこの範囲を超えた競争が存在する。」という言葉が印象的。

    兎に角厄介な国だなぁ。

  • 21世紀は、水資源を取り合う争いが、世界で起こると予測される。特に水量の乏しい中国は、近年の近代化により水資源の枯渇が、大問題になっているらしい、少女たちが朝シャン(自由経済振興地域の女性たち)している場合じゃないほど、緊迫している。

    合わせて、利益優先の工業化により、全国的に環境汚染は、取り返しのつかない状態なのだとか、そして所得格差が広がることで、内陸の農民の暴発はいつ起こるともしれない。他、日本政府の対中国外交が、あまりの体たらくであるなど・・・昨今の中国情勢を詳細に知ることができる。

  • 日本の中国ウォッチャー富坂聰氏の著作。
    厚いベールに包まれた中国という国で、外からは見えずに燻っている火種は何か。
    格差、環境などの中国の国内問題が、日本の国内問題になってしまう時代の到来。まさに大難。
    NHKの歴史番組で、歴史学者の磯田道史氏が、停滞即ち新政府の威信の失墜に繋がるため拙速でも政策を打ち出し続けなければならなかった明治日本を評して、常に回転し続けなければ転がってしまうコマだといったことがあったが、周りを押しのけながら回り続けなければ立っていられず、かといって回転が緩めば周りを巻き込みながら転倒する、この中国こそ、現代ではその例えにふさわしい。

  • 本著者は中国ウォッチャーの中では良質。理由は➀現地でのインタビュー・調査を励行、②党派に拠らない批判(特に、民主党でなく、自民党政権の外交失策への批判が手厳しい。またプラグマティズムの点で十分な説明のない中曽根靖国参拝への批判)、③単純な二項対立で分析しておらず、事実に即して中国の問題点を解読し批判する点、④中国の問題点を安易な日本礼賛に結び付けない叙述態度(中国の問題と日本の美徳とは本来無関係)、⑤中国で苦闘する貧困民衆への暖かな目線など。なるほど記述内容は新奇ではないが、一読に如くはない価値あり。

    2013年(加筆前の底本2007年)刊行。

     なお、中国の問題は日本の国内問題に直結する(特に環境、エネルギー、在日中国人の増大)点は、中国が輸出二位(2012年までは一位)、輸入一位の貿易相手国である点から見ても、なるほどの感。

  • 数字で

  • 急激な経済発展とその代償を抱え、近隣国にも影響を及ぼす。中国ばかりでないが大国だけに厄介だ。内政問題を党がやらないのでなく、仕切れないというのもよくわかった。中国だけでなく、北方領土に対するロシアも同じなのかもしれない。15.8.30

  • 中国ウォッチャー富坂聰氏のによる、水問題、汚職、所得格差、ジャパンバッシング、軍事、外交といった日本にも大きく関係する諸問題の中国レポート。広い国土に多くの人口、急激な経済発展で、矛盾が出るのは当たり前。07年の単行本版から問題の質はあまり変わっておらず。政治の動きなど昨年の文庫化の際に加筆修正されていますが。

  • 著しい経済成長、世界の工場、新たな市場、などと経済の文脈で語られる中国。その経済力は世界経済に影響を与えている。
    そんな中国は実際どんな国か。本書は実情を取材したレポート内容だ。
    大気汚染の話はよく聞いていたし格差が激しいと耳にしていたが、ここまでとは・・と読んでて驚きだった。特に水不足の問題は初耳。人民解放軍がどこまで共産党のコントロール化にあり、文民統制が末端まで行き届いているのか。ほんとの所は日本人には分からないのではないかと思ってしまう。それほど複雑な力学が権力の中枢で働いている。中国共産党と解放軍が一枚岩でもなく、きっちりと統率もとれていない実情に背筋が寒くなった。


    中国国内の苛酷な生存競争と超絶な格差。医療・社会保障制度の未整備。人口の流動化。これらが引き起こす国民の社会不安や不満を外国相手にガス抜きする。あり得る話で中国だけの事例ではない。だが、周辺国としてはたまったもんじゃない。特に標的とされる日本は格好のサンドバッグだ。
    隣に存在する以上、好悪を越えてうまくやっていくしかないのだが、ほんとやっかいな国が海を隔てた隣にいる。やれやれである。

  • テレビでもお馴染みの富坂聰氏が、その取材力・人脈を駆使して公にする中国レポートであります。
    本書では一般の報道では伝へられてゐない事項がわんさと盛り込まれ、門外漢のわたくしにとつては「ほほう」と唸る事実が多いのです。俺だけか?

    六章構成なのですが、そのうち第一章と第二章だけでも十分なイムパクトがあります。
    第一章は「三峡ダムが中国を滅ぼす」と題し、環境汚染の実態をルポしてゐます。まあ大体の事情は各種報道で分かつてゐる積もりで読み始めると、想像以上のひどさに唖然とするのであります。

    特に水の問題。北京オリンピックを機に、河川を汚染する企業が摘発され、北京周辺から排除されました。おかげで外国人の目に触れる部分はキレイになつたやうに見えます。しかし実態は、さういふ企業は地方に追ひやられただけで、別の場所で更なる汚染を引き起こしてゐました。著者は取材のため、特に汚染が酷い場所まで車で案内されるのですが、「近づけば悪臭で分かるから」といふ理由で窓は開け放しだつたさうです。

    わたくしもごく最近、同乗者ふたりを乗せて車を運転してゐましたが、先に降りる一人が、下車寸前に何と放屁を爆発させたのであります。これが猛烈な悪臭を放ち、涙が出るほどでした。本人は涼しい顔で「ぢや、お先にー」などとうそぶいて去つてしまひ、残るわたくしとあと一人は「くそつ、あいつ何を喰つたらこんな臭い屁が出るんだ!」と窓を全開にして苦悶したことであります。

    おそらくそれの数倍から数十倍(計測できるのか知らないが)もある悪臭の中で、日常を送らねばならぬ地元住民。無論住民たちは抗議行動を起こすのですが、浄化工事もままならぬやうです。こんなところにも都市と地方の格差はあるのですね。
    著者の取材に応じた若い中国人ビジネスマンの話。「中国の経済発展を止めるのは不良債権でも人民元の切り上げでもなく、まさにこの“水”なんじゃないかって」 
    さうすると中国が狙ふのは...? 日本も対岸の火災視できなくなるであらう、と著者は言ひます。

    第二章は「汚職天国」であります。中国の腐敗ぶりは巷間でも伝へられるところ。しかし昨今始まつたものでもなく、中国何千年の歴史は汚職の歴史といふくらゐ根が深い。
    むろんどの国でも汚職はありますが、中国の役人が汚職と無縁で生きることはまことに困難。摘発する側より、享受する側に廻らうと考へても不思議はありません。

    習近平くんも腐敗撲滅に取り組んでゐるポオズを見せますが、単に政争の具と化してゐます。人民の支持を得やうとする時、「日本叩き」と並んで有効なのが「腐敗摘発」らしい。しかし本書を読んだ後では、本当の意味の腐敗撲滅は不可能であることが分かります。

    長くなるので第三章以下については省略。
    別に他所の国の問題だから、そんなに深刻に受け取らなくてもいいぢやん、と考へる向きもあるかも知れませんが、現在は鎖国時代ではありませんからな。
    すでに中国とは相当の関りを持つてしまつたわが国ですから、中国の「大難」はそのまま日本の「大難」に直結する恐れがあると申せませう。剣呑剣呑。

    http://genjigawa.blog.fc2.com/blog-entry-191.html

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「世界の工場」として、アメリカに次ぐ経済大国の地位に登りつめながら、凄まじい貧富の差や大気汚染、水不足など容易に解決できない難題を抱える現代中国。加えて、軍事費を増大させ、外洋進出まで図る人民解放軍を党中央がコントロールできているのかどうかも定かでない。無関心ではいられない「やっかいな隣人」のありのままの姿を、綿密な現地取材で明らかにした必読ルポ。

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