晴天の迷いクジラ (新潮文庫)

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著者 : 窪美澄
  • 新潮社 (2014年6月27日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (430ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101391427

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晴天の迷いクジラ (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 本って、本当に良いものだなと思った。

    本を読んでいると、この主人公のような体験をしてみたいと思うことがある。

    遊園地や水族館、花火大会、旅行、スカイダイビング・・・。

    本の中の世界に、良い意味で影響されることで、世界が広がってゆく。

    でも、時には、あまり体験したくない出来事が書かれていることもある。

    人は、簡単に壊れてしまう。死んでしまう。
    この本を読んで、改めて教えてもらった。

    大切な人の全てを受け入れて、何かを求めるんじゃなくて、ただ、自分の傍にいてくれる。それだけの事が、とてつもなく幸せなことなんだと。

    悲しい思いをするために生まれてくる人なんて一人もいない。みんな、幸せになって良いんだよと言っているような気がした、心が暖かくなる小説でした。

  • 自ら死のうとしていた性別も年齢もバラバラの男女三人が出逢い、ひょんなことからある島の入り江に迷い込んだクジラを見に向かうという物語。
    三人はそれぞれ、いわゆる“毒親”の元に育ち、その影響もあって間違いを犯したり失敗したりして傷つき、ぼろぼろの状態で死のうとしていた。
    一人ずつのエピソード、そして三人が出逢った最終章。
    絶望から始まった物語に、光は見えるのか。
    それぞれのエピソードの章は胸が痛かったし、解る、と思うところがいくつかあった。
    きっとどんな人が読んでもそう思う瞬間があるのではないかと思う。

    窪さんの小説は、とても温かい。
    駄目でも、いろんなことがうまくいかない人生でも、「それでいいんだよ、あなたは悪くない」と言われてるような気持ちになる。
    そうして自分自身も、大切な人が苦しんでいるときに、理屈じゃなく「ただ生きていて欲しい」と言える強さを持ちたいと願う。

    けっこう何でも読むわりに「好きな作家は?」と訊かれると言葉に窮するかも、と最近なんとなく感じていて、でも今もし同じ質問をされたら窪美澄さんって答えると思う。他の既刊の小説をもっと読みたい。

  • 生きる中で人は、心も体も呼吸をしている。
    心の呼吸が出来なくなったら……
    教え諭すのではなく、呼吸するための空気穴をひとつ、作ってもらえる作品。

  • 2013年本屋大賞6位

    「死にたい」と思った3人が出会い、湾に迷い込んだクジラを見に行く話。

    本の4分の3が三者三様の「死にたい」と思うまでの生い立ち。
    かといって取り立てて感情移入するほどでもなく、逆に腹立たしく、憂鬱になってくる。
    でも、そんな「負」の状態が、3人が出会ってからの最後の4分の1は…

    マイナス×マイナスはプラス?
    それとも
    毒を以て毒を制す、ってこと?

    いつの間にか泣いてもーたぁ。

  • 今年22冊目。「言わなくちゃ。死んでしまったら、何も話せないから。」
    帯に惹かれて読むことにしたのだけど、まさかの一気読みでした。
    誰もが、誰にも言えない絶望を抱えて生きていて、それでも、みんな何もないかのようにしてて。
    ふとしたきっかけでその絶望が溢れ出すのかもしれない。
    絶望の向こうに、光り輝く希望なんか、なかなか見つけられないけど。
    迷って苦しんで、それでも生きなくちゃ、言わなくちゃ、自分の人生を精一杯生きなくちゃ、と思いました。
    重いけど、素敵な小説でした。
    母の愛の在り方にも、いろんなかたちがあるなあ、というのも感想のひとつ。

  • 窪さん初読み。正子の最後の決断には、うんそれでいい、と頷いてしまった。死と生と。ばぁちゃん、いいねぇ。きっと辛い思いとたくさんの生死を見つめてきたから、慈しむ心が人に届くんだろうな。くじらもぐっじょぶ。どこでもいいからみんな笑顔でいられる場所にいて欲しい。曇天の雲の切れ間から暖かい光が溢れだすようなお話

  • 正子の話が、微妙にホラー。
    いい出会いがあってよかったね。

  • いつかまた、人生に迷った時この本を読みたい。その答えがここにあるんじゃないか、そう思わせてくれる一冊でした。

  •  前半は読んでいて胸が苦しくなった。後半は、読んでいて気が付いたら泣いていた。生きているだけで、ここにいるだけでいいんだと、そう思わせてくれた。

     それぞれ異なった理由で3人の主人公たちが生きることをやめようとしていた。でも、やめることをやめた。

     いわゆる、「生きていればいいことがある」みたいな当たり障りのないものではなく、「ここにいればそれでいい」という最低限のもの。そう言ってくれる人がいるだけで、人は救われるんだなって感じた。

     私にはそういうひとは多分いない。もうやめてもいいのかもしれないけど、この本との出会いが私を止めようとしているのかもしれない…と感じたら、もう少し。と少しだけ思えた。

  • 以前読んだアニバーサリーはそんなに胸に来なかったけれど、この本はページを繰る手を止められない程一気に読んだ。年齢も性別も違うけれど、それぞれに深い絶望を抱いていた3人が死を選ぶ前に湾に迷い込んだクジラを見に行く。その3人のそれぞれの事情もきちんと描かれるのでこの3人が絶望を抱くに至った心境も理解できる。そして迷いクジラの陥っている状況と3人の心情がリンクしクジラが自力で何とか沖へと向かう姿にそれぞれが生きるということを見いだすラストには感動。

  • みんなそれぞれ生きることに必死で、疲れて、なにも希望も見いだせなくて、病んでいる。一人ひとりの違った痛みのさまがすごく魅力的だった。
    野乃花の高校生での妊娠、子供を置いて出ていくまでの壮絶な人生。
    正子の毒母に壊されていく思春期。娘を抑圧し管理する描写がすごくリアルで怖かった。
    最初から最後の一行までとても良い。
    要所要所で登場するフェルトのハートのおもちゃが可愛くて、作品のシンボルのようでとても印象に残りました。

  • 再生の物語。絶望の先に希望があるとは限らないけど、人間は再生できると信じたい。

  • さまざまな理由で人生に絶望した人たちが登場する物語なので、ちょうど心が弱っているタイミングに読むにはキツかった。

  • 本屋大賞2013年6位。1章から3章まで章ごとに異なる3人の苦しい生活のお話があって、4章で3人でくじらを見に行く物語。この人の文書にリアリティがありすぎて、2、3章あたりは胸がしめつけられるようになって読むが辛かった。最後はハッピーエンドとまではいかないけど、前向きな希望が感じられる結末でさわやかな読後感が残る。

  • ばあちゃんがいい。ちゃんと生きてきた人。
    まずは自分が幸せにならなくちゃいけない。

  • 読み終わったあとに、生きている心地がした。最後の由人の「だけど僕は死なない。たぶん。」がすべてを掻っ攫っていって、不思議な読了感があった。生きているだけで、それだけでいいんだと許してくれる窪さんの本はどんな救いの言葉よりも強力な気がした。きっとまた数年経って、違う立場になって読んでみたら、また違う感想を抱くんじゃないかと思った。

  • 「ふがいない」より衝撃はなくともよかった。この人の作品を続けて読んでみたい。

  • 生まれて初めてされた本のプレゼントが、この一冊だった。
    激務や兄弟の死など、身に覚えのある悲しみもちらほら。
    結婚すらしたことはないけれど、街中で泣き叫ぶ子どもを見て「私は立派な母親になれるのだろうか」と思うことも多く、野乃花の逃げ出す気持ちも、同じ女として他人事ではないように感じた。
    混沌としているのに爽やか、悲しいのにさらっとしている、そんな不思議な読後感。

  • 【図書館本&初読み作家さん】全4編からなる長編小説で、最後の「迷いクジラのいる夕景」では、それぞれの編の主人公が交わる話。特に「ソラナックスルボックス」「ソーダアイスの夏休み」が印象的であった。僕も今人生に迷い込んでいるので、今後のことをしっかり考えたいと思う。

  • デザイン会社に勤める由人は、失恋と激務でうつを発症した。社長の野乃花は、潰れゆく会社とともに人生を終わらせる決意をした。死を選ぶ前にと、湾に迷い込んだクジラを見に南の半島へ向かった二人は、道中、女子高生の正子を拾う。母との関係で心を壊した彼女もまた、生きることを止めようとしていた――。苛烈な生と、その果ての希望を鮮やかに描き出す長編。

    中身は重たいはずなのに、風に吹き飛ばされてしまいそうな軽さのある文章で、不思議な感じ。野乃花の過去に対する正子の言葉にグサッときた。私、子供捨てた経験とかないけど。でも、間違えることが怖くて子を縛ってしまいそうなのは正子の母と似ているかもしれない。子育てにしろ働き方にしろ、「正解」なんてなくて挫けることは数えきれないほどあるのだろう。でも、死んでしまえば何も残らないし、明日生きてることで幸せなことがひとつはあるかも。誰か心を預けられる人と一緒に歩けますように。

  • 思い内容だけど、サラッとしたタッチで描かれていて、読後感はむしろ清々しい感じ。結末がドロドロじゃないから、ってことかもしれないけど。4章構成で、別々の主人公の物語が、最後でひと繋がりになるっていう、僕の好物パターン。それら好印象が相俟って、やっぱり「山田風太郎賞」受賞作にはハズレがない、という思いを新たにしました。皆が家族関係に悩みを抱えているんだけど、それが黄金パターンってことなんでしょうか。実世界で、どの程度までそれが当て嵌まるのか、ってことが気になっちゃいます。

  • さまざまな環境で追い詰められた三人がクジラを見に行く話。田舎のおばあちゃんの暖かさがよかったぁ。東京を離れて田舎に行ったのは、三人がこれから生きていくために必要なものを与えてくれる選択だった。
    初窪美澄だったけどびっくりするくらいすんなり入ってきた。重いテーマなのに時にコミカルに、淡々と進むので読みやすかった。たくさんの人がなんとなく抱えてる苦悩を描くのが上手い。

  • デザイン会社に勤めるデザイナー、その会社の女社長、そして潔癖な家庭で過ごす女子中学生。三者それぞれが心に痛みを抱え日々を過ごしている。やがて限界に達した三者は導かれるように動き出す。ただ生きることを痛いほど深く考えさせられる。

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晴天の迷いクジラ (新潮文庫)の作品紹介

デザイン会社に勤める由人は、失恋と激務でうつを発症した。社長の野乃花は、潰れゆく会社とともに人生を終わらせる決意をした。死を選ぶ前にと、湾に迷い込んだクジラを見に南の半島へ向かった二人は、道中、女子高生の正子を拾う。母との関係で心を壊した彼女もまた、生きることを止めようとしていた――。苛烈な生と、その果ての希望を鮮やかに描き出す長編。山田風太郎賞受賞作。

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