よるのふくらみ (新潮文庫)

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著者 : 窪美澄
  • 新潮社 (2016年9月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (294ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101391441

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よるのふくらみ (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 商店街で育った男女のお話。家庭の事情やらも商店街の人たちみんなが把握していることとか、すごくありそうな話だと感じた。
    なかなか自分の気持ちに素直になれないもどかしさを、それぞれの視点で描かれていて、読みやすかった。
    女性にも性欲はあるのだと、大好きな人に抱かれたいのだと、まざまざと感じさせられた。

  • あぁ人間臭いなぁ…と、まず感じた。
    基本的にはみんな自分が一番大事で、自分の気持ちに正直になることで誰かを傷つけたりして、そのくせ変に気を遣い合ったりもして。
    そして、女性の性欲というものにまっすぐ向き合っている作品というのはもしかしたら珍しいかもしれない、と思った。
    同じく窪さんの「ふがいない僕は空を見た」にもそういう要素はあるけれど、この小説ではもっとリアルに描かれている。

    同じ商店街で幼なじみとして育ったみひろと圭祐・裕太の兄弟。
    高校時代から付き合い始め圭祐と同棲しているみひろは、長い間圭祐との間にセックスがないことに悩み、そんなことで悩む自分に嫌悪感を抱いていた。
    昔からみひろに対する淡い想いを抱いていた裕太は、うまくいかなくなってきている2人の関係に感づき、そしてみひろは、同い年で気安く接することができる裕太に徐々に惹かれ始める。

    スタートが違っていたら、と考えるのは、鶏が先か卵が先か、という話になってしまうのだけど、物事のはじめが違っていたら遠回りしなくて済むこともたくさんあるんだろうな、とついつい思ってしまう。
    でもその遠回りの過程が人の関係性に影響をもたらすことも多々あるだろうから、そう思うと必要な無駄だったのだろうか、とも思う。

    シンプルな三角関係なのだけど、少女マンガ的な美しいものではなくて、だからと言ってドロドロもしていなくて、みんなが少しずつ諦めたり狡さがあったり見ないふりをして逃げたり、そういうところがリアル。
    本当はこうすれば良いのだろうと頭では分かっていても実際そんな風に行動することはできなくて思い悩んだり、好きな相手の幸せを願いつつも自分の欲望を捨てきることができなかったり。

    みひろが持つ、女の生理的な感情にドキっとさせられることも多々。これは男の人は見たくない側面なのかも。
    自分の彼氏や夫の性的な部分を、女って平気で友だちやら同僚やらに言っちゃったりするけど(この小説にもそういう場面が)男の人は絶対嫌だろうなと思う。
    私も出来れば友だちからそういう話は聞きたくないけど。笑

    心が繋がっていれば体なんて、という話って昔からあるけれど、そのふたつを切り離すのは無理がある、表裏一体のもの。体の面が原因で心が離れてしまうことも実はけっこう多いだろうから。
    でも大切に思うからこそ口には出せなくてすれ違うっていうのがまた厄介なところだったりして。

    窪さんの小説は相変わらず鈍い爪痕を残す、と思う。致命傷ではないものの長く残る傷痕のような。

  • 同じ商店街で幼なじみとして育ったみひろと圭祐、裕太の兄弟。圭祐と同棲しているみひろは、長い間セックスがないことに悩み、そんな自分に嫌悪感を抱いていた。みひろに惹かれている弟の裕太は、二人がうまくいっていないことに感づいていたが…。抑えきれない衝動、忘れられない記憶、断ち切れない恋情。交錯する三人の想いと、熱を孕んだ欲望とが溶け合う、究極の恋愛小説。

  • なんていうか窪美澄のどろっとした生々しさの良いところが詰まってる気がして、とても好き。
    優しくなんてないし、この世は割とどうしようもなくて、悲しいことのが多くあって、それはだいたい避けようもない、誰も悪くないものだったりもするんだけど、最後は何故か笑って明日を迎えられるような気がする。窪美澄の小説を読むと、話は重いのに、何故か救われたような気持ちになる私がいて、それなのにしばらくは、その小説のことが私を支配していて、一週間は小説のシーンが頭の中で反芻されてる。

    三角関係、で済ませられるなら、どれだけ楽だろう。セックスレス、で済ませられるならどれだけ楽だろう。
    大人になればなるほど、余計なしがらみのようなものは増えていくように思うけど、それは逃れようがないのかも

  • なんとも、生々しく、人間臭い。全てがきれいごとでは片づかない、人間の感情、そして生が描かれている。

  • 今年一番の本。大人の恋愛小説。主人公みひろの圭祐、裕太兄弟への揺れる心を描く。文章も3人を取り巻く登場人物の描き方も素晴らしい。章ごとに語る人が変わり、それぞれの心の内側が良く分かるため、人物が生々しく描かれているのは流石!「ふがいない僕〜」と同じ構成です。

  • 性的な表現が多かった。生々しいのでそういうのが苦手な人はよくないかも。
    ただ、そんな人間の正直なところがリアルに出てる良くも悪くも人間の本質に迫るものだと感じた。
    そんな中、素敵な言葉が2つありましたので抜粋して書きます。

    一生のうち本当に好きになれるやつはそう何人もいない、出会えないやつも多い、出会えただけで幸運

    誰にも遠慮はいらない
    なんでも言葉にして伝える、どんな小さなことでも。幸せが逃げてしまう。

    この2つの言葉は良かった!

  • 大人の恋愛

    何処か、何かが心に引っかかって
    自分の中で苦い味がするけど
    忘れたくはない事もあるんだなあと思った

  • 登場人物それぞれが小さな秘密を抱えている。とても生々しくて目をそらしたくなる。でも、それが ほんとうのこと なのだろうなとも思う。

    p.25
    私のからっぽに栓をしてほしかった。
    p.104
    同情している、というポーズで自分の身を守りながら、皆が皆、他人の家で起こった火事に油を注いでいた。
    p.120
    今思えば、あの人を見た瞬間、僕はもうあの人に心のどこかを強くつかまれてしまったのだ。だけど、そのみひろの震えるような声を聞いていたら、そう思った自分が急に恥ずかしくなった。そして、自分の気持ちをしまい込んだ。心の奥にあるいつもの場所に。鍵付きの小さな箱の中に。
    p.134
    誰にも遠慮はいらないの。なんでも言葉にして伝えないと。どんな小さなことでも。幸せが逃げてしまうよ
    p.197
    2人の女のことが俺の頭の中で溶け合い、混じり合い、その境目がよくわからなくなっていた。さて、どうしたらいいのだろう。そう思いながら、すぐには答えを出そうとしない自分の汚さにちょっとがっかりもしていた。

    解説(尾崎世界観)
    どんなに繋がっていても相手を疑ってしまう瞬間がある。繋がっていることすら信じられなくなってしまうとき、信頼が甘えに形を変えて裏切りや憎しみに取り囲まれるとき、どうしても楽をして孤独に逃げてしまう。それでも、生きている以上は誰かと繋がっていなければいけない。いつだって喜びや安心は、誰かと繋がっている状態でしか得られなかったから。

    窪さんの作品を読むと、誰かと繋がっていたくなるから困る。諦めていた本当のことに向き合ってしまいそうで苦しくなる。そして、そのことに安心する。

  • なんと表現したらいいのか。
    一人一人の心情が重々しくて、生々しくて、読んでいてきついところも結構あった。
    けれど、最終的にはそれぞれが「許されて」これから先に希望を持って進んでいける、そんな話。

    父と子を捨てた「インラン女」と呼ばれる母親をもつみひろ。
    そのみひろを大切に思う圭祐と裕太の兄弟。

    心のつながりと身体のつながりと。
    どちらかだけじゃダメなのかもしれない。
    だから人間は面倒だ。

    読後感がなんとも言えず。
    「ふがいない僕は空を見た」もこんな読後感に浸れた気がして、この作家さん、結構好きなんだろうな私。

    解説が尾崎世界観さんで、それもまた面白い。


    【やさしくて、そして、だらしなく人を許す】

  • 同じ商店街で暮らした、兄弟と兄の彼女。3人の物語をそれぞれの目線で語った連作短編集。3人がそれぞれ2つの短編で主人公となる。
    性欲と愛情、親子の確執、それぞれのパートナーとの苦悩、さびれていく商店街。いんらんじゃない女なんていないってフレーズは男にとって恐ろしく、とても切ない。
    誰もが持っていそうな歪な愛の形を描くのが上手な作家だ。

  • 長男としてみひろは許せん!(笑)
    最後は圭祐も少し報われ(つつあっ)てよかったな。 窪氏の物語を読むといつも思ってしまうが、恋愛とはすれ違いと思い込みの交差点にあるんだな。本作でも強く強く、そう思わずにはいられかった。

  • とにかく良かった。
    窪美澄さんファンになりそうです。

  • とある商店街で育ったみひろ。同じ商店街で育った裕太と仲良く育つが、裕太の兄圭祐に告白され、結婚を前提に交際を続ける。

    各章ごとにみひろ、圭祐、裕太等それぞれの視線で物語が進んでいく。

    狭いコミュニティーで生活していく中での息苦しさがよく描かれている。

  • 「みひろ」も、奔放な彼女の母も、マリアさんも、里沙さんも、彼女たちは一見違うタイプのようだけれど全員どこまでも女だ。
    生ぬるいやさしさよりも求められることを選ぶ女。
    そんな彼女たちに男たちがアクセントを加える。
    そして、露呈する「恥ずかしい部分」。
    でも、そっと拾ってくれる人がちゃんといる。

    残酷で、やさしい、そんな話。

    釈然としない結果も、読み手しだいなのだろう。

  • 精神とは独立したものではなくて、肉体的なあれこれとどうしようもなく結びついたものなんだと、窪美澄さんの小説の中で感じる。
    親しい人の知らない見えない一部によって結びついたり離れたり。
    わけも分からず、導かれるように、丸ごとの大きな流れの中に今日も身を浸す。

    ほんの少しだけ他人の人生をしょっと背負ったような不思議な勘違い的体感を経て
    じゃあ自分の人生はどうだろう、自分の人生の周囲の人達にはどんな見えない一部があるのだろうなんて。
    その見えない一部がどんな風に作用して自分に降りかかってくるだろう。
    何を取り零すだろう。
    分からないまま生きる。

  • 人間が生きていく上で、切っても切り離せない「性」。
    「性」に翻弄される、3人の男女の物語。
    兄弟で一人の女性を取り合い、想いは複雑に交差していく。
    セックスとは?愛とは?生きるとは?
    絡まる想いの糸がほどけるとき、三人はそれぞれの結論をだす。

  • 痛い。心のどこかが。そして、やさしい。
    恋愛の、タイミングの重要さ、一瞬で終わる脆さ。

    汚い と 尊い が交錯する。
    いつも感情は一言では伝えられないのに、過ぎていく言葉は一瞬で、それの答え合わせもできないまま口から弾き出されていく。その重さと、思考と表情(みていないのにね)が生々しくて、夏の匂いが肌にまとわりつくんだよな。

    そして尾崎世界観の解説が好きだった。

  • 人間味あふれる、人間臭い、人間の汚れたところと綺麗なところ、突き付けられるような作品だなと思った。
    どろどろしてる。
    狭い世界である同じ商店街で兄から弟のあいだをフラフラして最終的に乗り換える女に振り回される周辺、ていう感じ。
    結婚前に読んだらしたくなくなる気がする。

  • 幼馴染のみひろと圭佑、裕太の兄弟、3人の恋愛小説。しっかり者だがインポテンツの長男圭佑、みひろと婚約するが破局、そして奔放な次男裕太と結婚。。。みひろの母の不倫、圭佑裕太の父の不倫と、狭い社会のリアルな恋愛事情が描かれる。大阪に転勤した圭佑は、風俗嬢と付き合い教会へ、終了。生きてる空気が伝わるが、弟が兄の婚約者と結婚、どんな理由があろうともゲスい。

  • 男女の話だけど、一つ一つの文章や言動からもどかしさや苦しみがひしひしと伝わって、苦しくなった。胸が締め付けられた。
    セックスレスの結末は、やっぱり別れしかないのかなあ。裕太の魅力もあるけど、個人的には圭ちゃんとハッピーエンドになってほしかったなあ。

  • 人なら誰しも経験があるだろう、みっともない恋の思い出とか思い返しても身悶えするような恥ずかしさとか、そんなままならない感情を、窪さんの文章は的確に表現してくれる。人は基本的に優しくできている。各パートのタイトルも秀逸。最初は好感もてなかった圭祐、幸せになってほしいなあ……。

  • う〜〜〜〜〜ん、みひろには兄から弟にいくんじゃなくて、もっと広い世界に飛び立ってほしかったな、、、
    まあでも、こういう狭い世界でくっついたり離れたりするコミュニティがあることはわかる。

    ミミ編も読みたかった

  • なかなか読まないタイプの小説で、新鮮だった。視点が順番に変わっていくので、飽きずに一気に読めた。ちょっと狭い世界でドロドロ過ぎなので、読み終わってすっきり感はない。

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よるのふくらみ (新潮文庫)の作品紹介

同じ商店街で幼なじみとして育ったみひろと、圭祐、裕太の兄弟。圭祐と同棲しているみひろは、長い間セックスがないことに悩み、そんな自分に嫌悪感を抱いていた。みひろに惹かれている弟の裕太は、二人がうまくいっていないことに感づいていたが――。抑えきれない衝動、忘れられない記憶、断ち切れない恋情。交錯する三人の想いと、熱を孕んだ欲望とが溶け合う、究極の恋愛小説。

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