君の波が聞こえる (新潮文庫 い 116-1)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (375ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101392318

作品紹介・あらすじ

一学期の終わりの日、ひとりぼっちで海を見ていた健太郎は、沖に浮かぶ謎の城に迷い込む。そこには同じように囚われた人々がいた。元の世界に戻るには「出城料」が必要だという。それはお金ではない何からしい。健太郎はもう一人の少年と次第に心を通わせ、誓いを立てる。二人でここを出るんだ、初めて見つけた友達だから――。思春期の友情が胸に響く幻想小説。『四龍海城』改題。

感想・レビュー・書評

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  • タイトル縛り7作目、「き」。

    ファンタジー要素多めの青春小説だと思い読み進めていたら
    突然胸を一突きされた感じ。
    黄昏時に感じる切なさに今襲われている…

    約束の土曜日を2人して迎えられる事を信じ、
    本をそっと閉じました。

  • この話はこの終わり方が美しいんだろうけど、
    無粋なことを言えば、四龍海城がぶっ壊れて大切なものを取り戻したみんなが再会するハッピーエンドを求めてしまう。
    というかそのように補完して心の本棚に突っ込んである。

  • 中学生の頃に出会って以来、好きな本を聞かれたら真っ先に答えるくらい大好きな作品です。
    読了後のなんとも言えない切なさやモヤモヤがすごくクセになって定期的に読み返してます。
    読書をしているとたまに結末をちらっと見てから読みたくなることがあるのですが、この本は絶対に最初から読んでほしいです。
    毎年「この本を超えるくらい好きな本に出会いたいなあ」と思っているのですが、きっと今年もこの本が1番好きだと思います。

  • なんとも切ないフィナーレ。核心に迫った貴希と思いを遂げたい健太郎と...。半端に残った記憶はこの後の人生を苛むのではないだろうか。

  • 中学生の頃に読んだ本。再読。名刺代わりの10冊にに入れるくらいお気に入りの作品。
    読み終えてから題名見るとおや?ってなる。"君"って...ねぇ??
    貴希は出城料がある状態で城に留まり続けるのかなとか、健太郎が出城料が何か知ってたら出城を拒んだのだかなとか考えだすと止まらない!

  • 色々もやもや未消化。四龍海城がどうして日本の電力四割もの発電力を抱えているのか、城人化とはなんなのか、出城料をどうしているのか、そして最後、残った高希はどうなったのか、気になるが、そういう余韻が楽しめないあたり、無粋な読者ですわ;

  • 1学期の終わり、夏休みの最中に転校してきた主人公の健太郎は、ひょんなことから、その土地に昔から「神隠し」や「人さらい」が行われる場所として伝えられている謎の城「四龍海城」に迷い込んでしまう。

    海の上にあるその城の周りには境界が張られており、満潮になると陸への道も塞がって、勝手には出られないようになっている。唯一城から脱出する手段は城の門番に「出城料」を支払い、境界を越えること。



    健太郎は城の中で自分と同じ年齢の少年、貴希と出会う。吃音のコンプレックスのせいで、今まで人との会話を避けていた健太郎にとって、貴希は自分の喋り方を笑わない初めての存在であり、訳もわからず城に迷い込んでしまった自分と同じような境遇にも親近感が湧いて、彼にとって初めて「友達になりたい」「もっと話をしたい」と感じる相手になった。

    次第に友情を深めていく2人。
    何としてでも2人で元の世界に帰ると誓った彼らの行方は…。



    終盤、“友達”という存在に心を躍らせて、城から出た後、「これから」の未来に瞳を輝かせていく健太郎の心情とは裏腹に、「出城料」の正体に気付いてしまった貴希の、「城から出たいけど出たくない。」という相反する感情。読み手にはそのどちらともがダイレクトに伝わってきて、とてつもなく切ない、切なすぎてこの気持ちをどこにぶつければいいのか…なんとも言えないラストでした。

    改めてタイトルを読むと、またどこからともなくラッパの音色が聞こえてくるような…夕陽に照らされる海の情景とも相まって、全体的にノスタルジックな雰囲気が、涙が出そうなほど印象的な作品でした。

  • 四龍海城の文庫版。


    男の子の友情が大好きなので
    とても好きな作品。

    お互いがお互いの心を
    いつの間にか助けてる感じが
    素敵で涙が出た。

    終わり方に賛否両論あると思う。
    私はもし続くなら…を想像して
    勝手にハッピーエンドにしてる。

  • ふしぎな城にとらわれてそこからでるためにあれこれする様子とその過程で培われた関係に目が離せませんでした。
    それゆえ、その後の二人がどうなったのか、とても気になります。

  • 閉じ込められた城の中で、大切な友達を見つけた主人公の出会いと成長、そして別れの物語。
    王道な青春小説。関を含めた三人の関係も良い感じ。
    ただ、城の謎が全然解かれていないため、物語に深みが無くて、せっかく作り上げた世界観がもったいない印象。

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著者プロフィール

乾ルカ
一九七〇年北海道生まれ。二〇〇六年、「夏光」でオール讀物新人賞を受賞。一〇年『あの日にかえりたい』で直木賞候補、『メグル』で大藪春彦賞候補。映像化された『てふてふ荘へようこそ』ほか、『向かい風で飛べ!』『龍神の子どもたち』など著書多数。8作家による競作プロジェクト「螺旋」では昭和前期を担当し『コイコワレ』を執筆。近著の青春群像劇『おまえなんかに会いたくない』『水底のスピカ』が話題となる。

「2022年 『コイコワレ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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