恋文 (新潮文庫)

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著者 : 連城三紀彦
  • 新潮社 (1987年8月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101405049

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恋文 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 「僕に小さな小さな名場面や名台詞をくれた素人のしたたかな名優さんたちへの、これは、表題通り、僕の“恋文”です」と著者はあとがきで語っている。
    昭和の大人たちの物語。昭和の大人たちって、何でこんなに大人なんだろう。
    平成の我々は40代になってもなんか、良くも悪くも「現場」なんだよな。
    この物語の人たち、同じ年代や少し下の世代とは思えない。

  • オススメの1冊。
    誰もが持っている何かが燻り、揺り起こされ、堰を切ってしまう…。
    でもその中には優しさが隠れている、そんな大人の物語。
    一番良かったのは「紅き唇」。

  • 『恋文』★★★勝手な男と勝手な女と勝手な女/『紅き唇』★★★★いのち短し恋せよ乙女/『十三年目の子守唄』/★★★無様な男と母と子と義父/『ピエロ』★★★★★お前もう一人前だよ、浮気できりゃ女は一人前だよ/『私の叔父さん』★★★★あいつ、とうとう借金のカタにあの赤ん坊を俺に置いていきやがった

  • 大人の恋を描いた5つの短編を収める。

    「恋文」は、郷子の夫・将一が、死の床にある江津子という女性のもとへと去ってゆく話。夫婦がたがいのことを深く理解しあっているために、悲しい結末へと導かれてゆくストーリーを、わがままを通すことのできない場所へと閉じ込められてしまった郷子の視点から描いている。

    「紅き唇」は、結婚したばかりの妻を事故で亡くした和広と、妻の母・タヅとの暮らしを描く。和広の恋人・浅子によるタヅの心情の「種明かし」が、物語の軽妙さと静謐さを併せ持った雰囲気を壊してしまっているような印象。もう少しスマートなオチはつけられなかったのだろうかと残念に思う。

    「十三年目の子守唄」は、料亭を営む母が若い男と結婚し、自分の居場所がなくなったように感じている息子の視点から描かれた物語。これは完全に短編ミステリだろう。他の4編とはかなり作風が違うように思う。

    「ピエロ」は、美木子のことを深く理解しているように見えた夫の計作が、美木子の営む美容室の若い女性と家を去ってゆく話。計作が、美木子の望むことを先回りしてこなしているうちに、自分自身の心がどこにあるのか、美木子にも彼自身にも見えなくなってしまうという話だろうか。

    「私の叔父さん」は、東京でカメラマンをしている構治のもとに、死んだ姪の夕希子の娘・夕美子がやってきて、かつて構治と夕希子の間で起こった心理劇を再演することになる話。子どもから大人になろうとする夕美子のみずみずしさが、少し人生にくたびれた構治の視点からうまく描き出されている。

    「ピエロ」と「私の叔父さん」の2編がとくに秀逸だと思った。他の3編も、ストーリーはたいへんよく練られていると思うのだが、心情の転換がミステリの「種明かし」のような仕方で描かれているのが、恋愛小説にしてはややとってつけたような印象。ミステリ作家的な読者サービスが過剰だと思う。

  • とある読書家から貸していただいた作品。

    短編集だとは思わなかった。

    各々の話に出てくる男性の、頼りなくて、でも憎めないようなキャラクターが良い。
    表題作「恋文」では、どうしても女性目線で「それはありえないだろう」と肩をいからせてしまっていたのだが、「ピエロ」辺りになって、「もう、しょーがないなあ」と笑ってしまう。
    しかし、女性が我慢させられる「恋文」はだめで、男性が我慢をさせられる「ピエロ」はいい、なんて自分勝手なレビューですいません。

    女性にとって可愛げ?は幼い時特有の武器だが、男性は年と共にその不器用さが温もりを持つのだなあ。

    どの話も、素直に推したい。ガツガツした男性より、ちょっと首を傾げたくなるような男性がいいな、と思える私もある種の「ツヨクテユウズウノキカナイ」女なのかもしれない。

  • 映画もドラマも見た。
    大好きな一冊。

  • 何回読んでも、泣いてしまう本。
    すごい、恋の話。
    5枚の写真の話は、鳥肌がたちました。
    惚れるって、すごいな。
    恋をしたくなる一冊です。

  • 悪くないんだけれども男目線の、いやおっさん目線の小説かなぁ。発想と言い、観点と言い。別に悪くはないんだろうけれども、その身勝手さが直感的に分かるような気がして何だかなぁという感じ。要するに当方も歳を食ったということなんでしょうが、その設定・オチは無いわなという感触を捨てきれないのもまた確かではあります。

  • <淡くも濃くも,ひとしだい>
    その話もドラマティックで,少しのさみしさを感じる.
    「紅き唇」はセピア色,「私の叔父さん」はインディゴブルーな映像が似合う.
    自分の生まれる前の作品でも,今読んでもグッとくるものがあると,やはり連城三紀彦は凄いといか言えなくなる

  • 読後にしみじみとした余韻をもたらす5編の短編集。
    いずれの作品も、登場人物の秘められた想いに焦点が合わされている。

    「恋文」
    文学性の高い作品で、50ページ足らずの中にいくつもの名場面がある。
    主要な登場人物は、響子、将一、江津子の三人。この三人の感情が交錯し、時に爆発して、微妙な恋愛模様を織りなしていく。三人とも心中に隠し持ったものがあり、それが最後に明らかとなる。作中に「恋文」がいくつか出てくるが、響子から将一への恋文が出色。
    ラストで響子の問いかけに対して、将一が首を振る場面があるが、将一は首を横に振ったのであろうか、それとも縦に振ったのであろうか。

    「紅き唇」
    主人公の和広とその義理の母のタヅを巡る物語。
    タヅの語る昔話が印象的であり、口紅が重要なアイテムとなっている。最後まで読むと、タヅの秘めた想いが判明する。パチンコの景品として口紅を選んだことに、重要な意味があることがわかる。

    「十三年目の子守歌」
    オチの意外性は、本短編集中でも一番。
    突然、実家に舞い込んできた年下の義理の父親への反感が切々と綴られていくが……。
    主人公の知らない秘め事があり、それが判明した時、「ああ、そういうことだったのか」と思わずのけぞってしまった。「父さんと呼べ」という言葉にそんな意味があったとは。
    父親への想いが、この作品の底流にある。

    「ピエロ」
    「いいよ、俺なら」が口癖で、決して怒らない夫の計作に一抹の寂しさを感じ、浮気をしようとする美木子。美木子の視点で語られるこの話は二転三転し、二段構えのどんでん返しが用意されている。
    飄々として、常にピエロのような道化役を演じている計作の人物造形がすばらしい。計作の道化に隠された真意はどこにあったのだろうか。

    「私の叔父さん」
    四十五才の構治、19年前に20才で亡くなった姪の夕希子、その娘の18歳の夕美子が主要な登場人物。夕希子が亡くなる前に撮られた五枚の写真が重要なアイテムとなり、夕希子の秘められた想いが明かされる。
    夕美子が突然予想外のことを言いだし、ひと騒動起こる。それに対して、構治が取った態度も意外であり、ひとつの想いが結実する。

  • 1984年上期:第91回直木賞受賞作品。

  • 時代を感じるが、繊細でとても切ない作品集。

  • 連城さんの作品だから、最後に何かがあるんじゃないかと身構えながら読んでいましたが、表題作の「恋文」は直球勝負でした。
    私には妻の心情はちょっと理解しがたいですが……。
    「十三年目の子守唄」と「ピエロ」はちょっとトリッキーで、十三年目の方はこうくるかと意表をつかれました。
    一番好みだったのは「私の叔父さん」で、過去の叔父と姪の叶わなかった禁断の愛情がベースになっていて、カメラマンの主人公が撮影した姪の5枚の写真にやられました。
    「アイシテル」のサインはテールランプだけじゃないんだね。

  • 連城三紀彦ならではの緻密な作り込み感を味わう。

  • こころのかたち。

    少し古臭い匂いのする文章でだ。けれど、この昭和の半ばをイメージさせる文体が好きだ。
    短編集であり、5編の男女又は親子の物語が紡がれる。
    ぎこちなさが愛おしく思えたり、スッと心に入る率直な物言いが気に入ったり。どれもいい余韻を残す。

    中でも、表題が印象深い。
    この旦那にしてこの奥さん。この二人の組み合わせでなければこの物語は渡りきれなかったであろう。
    見栄っ張りでもいい。この人が思う道を歩ませられるのなら、…多少の事はがんばれる。

  • 2015年2月2日読了。長年連れ添った男から、他の女性の最期を看取るため別れてほしいと切り出された主人公の葛藤を描く表題作ほか、男女の機微や恋愛を描いた短編を5編収録。「わたしの叔父さん」の中で主人公が「大人というのは…嘘をつくことではなく、嘘をつけることをいう」と発言するが、登場人物たちの多くは誰もが相手を思いやって嘘をつき、相手もその嘘と真意が分かって、さらにフォローのための嘘をつき、お互いが傷つきあいながらかばいあう、というような関係がなんとも切ない。女性の心情描写も細やかでリアル(、なんだと思う)。

  • 実在の誰かの恋愛を小説にまとめたような本という印象だったので、あまり内容を覚えていない。ただ、ところどころ切なくて、癖のない読みやすい文体だった気がする。

  • 何度も何度も読み返して、恋文に心を掴まれ、ピエロでいつか戻ってくることを願い、私の叔父さんで号泣するやつ。

  • いや~久しぶりに素晴らしい本に出会えました。どうしてこの本を手に取ったのかは、またすっかり忘れたのですが、作者はミステリー作家としても知られていることから、興味を持ったのだと思います。
    短編集で泣けたのは、浅田次郎氏の「鉄道員(ぽっぽや)」以来ですが、浅田氏ほどわざとらしくないです。どの短編も、心の琴線に響きます。文章は、繊細でありながら、ストレートの直球でガツーンと胸に来ます。文章もさることながら、構成のうまさには脱帽。どの話にも、心の美しい、魅力的な人物が描かれています。共通のテーマは、「一筋縄ではいかない家族愛」でしょうか。
    5つ話があるなかの、私は最初の3つが心に残りました。書評を読むと、5つ目の「私の叔父さん」が一番人気のようですけど。表題作の「恋文」は、登場人物たち全員のやりきれない切なさが苦しいほどです。相手を愛するということは、どういうことなのか。夫婦と夫の元恋人の3人が、他の二人を思いやりながら、どう自分の気持ちに折り合いをつけるか。
    「赤き唇」も、じわ~っと感動する話です。義理の母と息子の愛情。豪快で憎めないおばあちゃん。終わり方もいい。
    「十三年目の子守唄」も、ちょっと普通じゃない家に、とびきり若い再婚相手(夫)がやってきて…素直になれない男と、新しい家族のありかたの話で、これも愛に満ち溢れています。
    大切にして何度も読みたい本です。連城氏のミステリも是非読んでみたいと思いました。

  • 何度でも読みたい本に、出会いました。

  • 引き込まれて一気に読んでしまったけど共感度は低い。
    でもこんな大恋愛少し羨ましい気もするなぁ。

  • 深い心情を積みかさねて書いているのに、
    共感できてどんどん読んじゃう。
    恋文はちょっと泣いてしまった。

  • 佳作短編集。どの作品も素晴らしい。『ピエロ』『私の叔父さん』の結末はぐっとくる。

  • 非常によかった。
    5話の短編だったけど、どれも切なくて澄んでいる文章で、なんというか読み終えてから美しさの余韻に浸るようなところがあった。こういう気持ちは言い表しがたくてもどかしいなぁ。男性より女性のほうがこの本は好きそうだし、古典の純文学好きな人は好きな作品だと思った。読みやすいし、実際内容もありえるような話なんだけど、読み終えたときの後味がすごくいい。

  • 直木賞受賞作「恋文」。夫婦とは何かを考えさせられた。10年一緒にいても分からない部分があるのは当然で、それは本当の友人と思う人にも言える事。別れの証がラブレターに変わる時、そんなこと全てが受け入れられるのかも。その他4作奥深い恋愛小説。

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