恋文・私の叔父さん (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 47
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  • Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101405209

作品紹介・あらすじ

マニキュアで描いた花吹雪を窓ガラスに残し、部屋を出ていった歳下の夫。それをきっかけに、しっかり者の妻に、初めて心を許せる女友達が出来たが(「恋文」)。二十一の若さで死んだ、姉の娘。幼い子供を抱いた五枚の写真に遺された、姪から叔父へのメッセージとは(「私の叔父さん」)。都会の片隅に暮す、大人の男女の様々な"愛のかたち"を描く五篇。直木賞受賞。

感想・レビュー・書評

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  • 久しぶりに文学の世界に入り込んだ気がした。
    男と女 こんなに深い関係があるのか??
    ただ溺れるのではなく、精神的に。
    5編の短編集。
    「恋文」、「紅き唇」、「十三年目の子守唄」、「ピエロ」、「私の叔父さん」
    どれもよかった。
    一番よかったのは、、、選べない、、、

    ブクログさんのおすすめだったのだけれど、本当にこの本に出会えてよかったと思いました。。
    これは手元に置いておいて、何度も読み返しますね。

    • 地球っこさん
      いるかさん

      この本大好きですー♡
      私はとくに「私の叔父さん」が大好き。

      いるかさんの本棚「源氏物語の時代」から「鉄道員」まで、私の泣ける...
      いるかさん

      この本大好きですー♡
      私はとくに「私の叔父さん」が大好き。

      いるかさんの本棚「源氏物語の時代」から「鉄道員」まで、私の泣ける大好きな本ばかり並んでるー。
      共読本が増えたら嬉しいな。これらも「ブクログさんのおすすめ」なら、びっくり 笑
      2022/08/08
    • いるかさん
      地球っこさん

      おはようございます。
      地球っこさんもレビューで書かれているように、間違いなくこの本は何本かの胸に響いた一冊です。
      大...
      地球っこさん

      おはようございます。
      地球っこさんもレビューで書かれているように、間違いなくこの本は何本かの胸に響いた一冊です。
      大人の切なさがありますね。
      地球っこさんのレビューがいつも素晴らしくって、どれも読んでみたくなります。
      同じ本を読んで、感想もお互い出来るって、とても幸せです。
      本当にいつもありがとうございます。
      2022/08/09
  • 誰もが高評価の文学作品。
    男と女の物語。
    直木賞受賞作。

    「恋文」
    「紅き唇」
    「十三年目の子守歌」
    「ピエロ」
    「私の叔父さん」

    すいません。
    まったく合いませんでした。。。_| ̄|○
    やっぱり【文学】は手ごわいなぁ。

    • おびのりさん
      すごーい!
      作るの⁉︎
      すごーい!
      作るの⁉︎
      2023/03/03
    • なおなおさん
      おびのりさん、これは私が作ったのではないのです(。>ㅅ<。)՞՞
      スマホのキーボードアプリでオリジナルキーボードを使っているのですが、ここに...
      おびのりさん、これは私が作ったのではないのです(。>ㅅ<。)՞՞
      スマホのキーボードアプリでオリジナルキーボードを使っているのですが、ここに顔文字がたくさんあって。
      例えば「遊ぶ」というワードを入力して虫めがねマークを長押しするとたくさん顔文字が出てくるのです。
      (๑•̀ㅁ•́๑)✧ドヤッ!! ←これもそう·͜·♡
      2023/03/03
    • みんみんさん
      使いこなしてるΣ(゚д゚lll)
      使いこなしてるΣ(゚д゚lll)
      2023/03/04
  • 1984年の直木賞受賞作品。5作品収録。日常にありそうな風景から始まって、噺をどんどん複雑に転がして、意外な着地ながら納得のエンディングで締める。エンターテインメントの見本のような作品集。

  • とてもよい本を読んだ。
    今年上半期(少し早いけど……)一番胸に響いた本。
    それが読み終えて最初に思ったこと。
    夜の静寂の中でわたしの鼓動がトクトクしている。あぁこの余韻にしばらく浸っていたい。

    大人って意地を張らなくちゃいけなかったり、
    嘘をつくんじゃなくて、つけることだったり、
    好きだからって口に出して簡単に好きって言っちゃいけない。思いのままを相手にぶつけるのは、まだまだ子どもなんだ。

    ここに出てくる大人の男と女は、皆マグマのような熱量をお腹の底に持っているように思う。その熱で愛する人を焼き尽くしてしまわないように、ぐっと自分の中で熱さと痛みを堪えている。それが愛。力強くありながら繊細な愛。
    相手を想うからこその愛の形はどれも尊くて自然に涙が溢れでた。

  • 知り合いにおすすめされて読みました。『恋文』は感情の表現が素晴らしい。特に好きなシーンは、鉄幹作の小説のことを江津子と話合っているときの描写です。
    「郷子の胸が冷たい一滴を覚えた時である。」
    「今まで胸の奥に隠していた感情が一挙に爆発し、流れ出した気がしたのだった。」
    ラストで離婚届をラブレターと表現するシーンも好きでした。全然共感はできないけど、何故か泣けます。

  • あとがきの「これは僕の恋文です」が全部持っていった。他の作品も読みたい。
    1984年の単行本だからかバーコードもないし検索でも掛らない…とりあえず文庫で登録

  •  結構読んでいない作家作品があり、連城さんの著書は初めて読みました。「恋文」は直木賞受賞作品で、「恋文・私の叔父さん」と改題されています。

     さて物語は。、男一人・女二人の三角関係になっているのですが、不思議と世間一般に連想される愛憎劇とはならないのです。
     どういうことか?要はダメ男を愛した女二人が・・・。
     それにしても母性という感情は不思議なものですね。恋愛ミステリーかな?氏は上梓に至るまで、意識して書いていたのでしょうか?   おもしろい!

  • 愛というのはその対象を選ばす、何に対しても惜しみなく注がれるものだと思っている。飼っている猫や育てている植物、勿論本にだって。
    でも恋は違う。
    一般的には、両親や兄弟、子どもに対して抱く感情ではない。そして大抵は一対一のものであり、自分と同じ気持ちでいることを相手に求めてしまうし、始まりがあり終わりがあるものなんじゃないかと思う。

    『恋文』に出てくる郷子と将一は夫婦であり、優という小学生の子供がいる。将一は郷子より一つ歳下で教員をしているが、ある時突然「昔の恋人が不治の病にかかり残り少ない命なので、せめて残された時間を共に過ごしてあげたい」と家を出て行ってしまう。
    恋人の名は江津子といい、漢字は違うもののわたしと同じ名前だ。郷子は将一の居場所を突き止め、話をする。そして彼が江津子の最期を看取ることを認めてしまうのだ。そして更に将一の従姉妹と偽り、定期的に江津子を訪ね、話し相手になってやる。

    郷子のこの行動を、勤め先の編集長は健気だけど見栄っ張りだと言った。わたしもそう思う。でももしわたしが彼女の立場なら、おそらく同じことをしただろう。周りの目を気にして、自分自身に同情しないよう、傷に塩を擦り込んで早くその痛みが気にならなくなるように。
    離れて暮らすようになり、郷子は初めて将一を夫としてではなく一人の男性として意識するようになった。もともと最初から、夫婦愛と家族愛で成り立っていた関係だった将一に恋をしたのだ。でもその恋仇の江津子は、彼女にとって唯一心を許してなんでも話し合える親友のようになっていた。ただひとつ、この苦しい恋心を以外は。
    さて、この複雑な三角関係はどのような結末を迎えるのか。そしてそれがまた一対一に戻ったとき、二人はどんな決断をするのか。

    郷子が最後に流した「それまで忘れていた涙」の忘れていたものはなんだったのか。彼女の心情に思いを馳せれば、この物語の余韻も更に深くなり、美しくて儚い数々の情景と共に、しみじみと心に染み入るものになる。

    それ以外の作品ももちろん『恋文』に負けず劣らず素晴らしいものだった。特に女のいじらしくも哀しい想いの描き方は秀逸だ。作中に引用される詩のひとつひとつも心に強く残った。

  • 今まで読んだ著者の作品には、『恋文』に出てくるような女を振り回す身勝手な男ばかり出てきてたけど、なぜか憎めない。その身勝手を許して受け入れてしまう気持ちがわかってしまう。
    『紅き唇』のタヅさんの想いが切ない。
    『私の叔父さん』が一番好きかな。

  • 年下の夫に寛大すぎる妻とわがままを突き通す夫、一見なんとも後味が悪い関係性だけれど、それを覆す究極の愛が描かれている。難しい、実に難しい判断だけれど妻はよくやった。そして最後の夫への言葉。受け止めろよ夫。2話目、亡くなった妻の母、義母とある男の物語。この話が一番好きだ。集まってみれば全員他人である登場人物が労り合って、気遣い合って人生を歩もうとしている。義母の奥ゆかしい去り方。そして男の新しい妻になろうとしている女のさりげない優しさ。みんなが思いやりを持ち寄れば家庭は築ける。3人笑い合っている絵が浮かぶ。

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著者プロフィール

連城三紀彦
一九四八年愛知県生まれ。早稲田大学卒業。七八年に『変調二人羽織』で「幻影城」新人賞に入選しデビュー。八一年『戻り川心中』で日本推理作家協会賞、八四年『宵待草夜情』で吉川英治文学新人賞、同年『恋文』で直木賞を受賞。九六年には『隠れ菊』で柴田錬三郎賞を受賞。二〇一三年十月死去。一四年、日本ミステリー文学大賞特別賞を受賞。

「2022年 『黒真珠 恋愛推理レアコレクション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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