花盗人 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (277ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101425160

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  • 乃南アサさんの短編集。
    物語のその後を想像すると、どれも怖い。
    中でも、 「愛情弁当」はおすすめ。

  • 【2022年36冊目】
    母から「結構面白いよ」の言葉と共に乃南アサさんの本が4冊送られてきたので、読みましたの1冊目。乃南さんの御本は初めて読みましたが、短編一つ一つの起承転結が素晴らしく、面白さからスルスルと読み切ってしまいました。少しぞっとする話が多いのに、不思議と爽やかな読了感があり、文章の完成度の高さがよくわかりました。残り3冊もとても楽しみです。

  • とにかく、生々しい。

    短編のひとつひとつに、執着心だったり、怨恨だったり、コンプレックスだったりが、濃密に織り込まれていて、何となく、首の辺りに絡みついてくるような、独特の不快感。登場する女性たちも、そんな感じ。

    ストーリーは 良く出来ていますが。

  • ・薬缶
    ・寝言
    ・向日葵
    ・愛情弁当
    ・今夜も笑ってる
    ・他人の背広
    ・留守番電話
    ・脱出

    上記8作の短編集。

    それぞれゾッとする所がありますが、個人的には「愛情弁当」が一番ゾッとしました。

    乃南さんは短い文章で読者を引きこませるのがうまいですね。

  • R様オススメ本。乃南さんのブラックな短編集。
    とにかく最後がうわあと暗澹とした感じのする話が多い。というかそういう話を集めた本か?
    読み始めながら、もしかしたらそうかな?と読めてしまうあたりも多かったけど、それにも増して文章が面白いので読み進めてしまう。
    愛情弁当などは、クール便を見つけた瞬間にそうだろうと思ってしまったけど、心の内はとうなんだろうとかいろいろ考えてしまって、ページを捲らずにはいられなかった。
    留守番電話も、そんなことしてると危ないよと思いながら読み進め、最後はああああ~思った通りだよと思いつつ面白く読んいるという、やっぱり乃南さんすごいなと思わせる本でした。
    しかし、この次はちょっと幸せそうな本を読みたいかな。

  • ゾクゾクするような真相の「愛情弁当」と、過去と現在の自制が交錯するトリッキーな「最後の花束」が好き。「花盗人」のオチは、これでどうしようもない夫と離れるきっかけになったのでは、と思ってしまう。

  • (収録作品)寝言/薬缶/向日葵/愛情弁当/今夜も笑っている/他人の背広/留守番電話/脱出/最後の花束/花盗人

  •  うっ、そうくるか?! な短編集。
     結構好きだ。

  • 名前には見覚えがあって、でも初めて読んだ作家さんの短編集だった。直木賞作家さんでした。テーマと切り口が斬新で、10編それぞれに「えっ」と思わせる意外性があり、面白かった。受賞作も読んでみようと思う。

  • 短編だけれど一話一話がしっかり作られていて読み応えあり(^ω^)

  • いつ読んだか、内容もわすれた・・・

  • 花をモチーフにした短編集。
    救いのない話が多い。

  • 10話が収録された短編集。
    どの話も何気なく始まり、重苦しく暗い展開になり、ラストは恐怖や悲劇で終わる、というパターンの話になっています。
    正直、後味は良くありません。
    でもどの話も登場人物の心情が理解できるし、中にはちょっと意外なラストのものもありました。

    表題作の「花盗人」と最初の話「薬缶」はちょっとストーリーが共通しています。
    どちらも、家事もしなければ自分の事すらちゃんとしない夫に疲弊する妻の話。
    違いはその夫に対する怒りがどこに向かうかの差。
    「花盗人」というタイトルがきいてると思います。
    花盗人って罪に問われないんですよね・・・。
    「あなたが私にくれたものは、あの桜の小枝だけ。あなたが盗っていったのは、私のすべて-」
    とこの話の説明として、本の裏に書かれていますが、結局恋愛も結婚も強制されたものでない限りは自己責任なんだから・・・。
    そう思うと、自分自身、苦い思いになりました。
    それと「薬缶」の方は季節がきいていると思います。
    普段だと許せることも「暑さ」が普通でない気分を誘発させる。
    普段は心の奥底に横たわる凶暴な思い・・・。
    それを誘発させるのに、暑さ、特に疲れきって料理を作っている時の暑さは十分理由になると思います。
    これはほとんど同じ話を他にも見たことがあります。
    あれも作者は女性だった。
    女性だからこそ、描ける話なのかもしれない。

    他に印象的だった話は、
    「愛情弁当」
    ゴミの捨て方も知らないような世間知らずで頼りない男性が東京で一人暮らしをしている。
    彼のもとには毎日、料亭をしている実家から「愛情弁当」が届く。
    その「愛情弁当」の本当の意味は-。

    「脱出」
    女房とその愛人に殴られて、どこか暗い所に閉じ込められている男。
    この話はその男の独白によりなりたっている。
    次第に当時の記憶が戻っていく男に待ち受ける結末は-。

    「最後の花束」
    高校を中退して東京に飛び出した少年。
    そこで同じような境遇の少女と出会い、愛し合うようになるが、少年と同居していた性質の悪い男が少女に懸想し、衝撃的な事件が起きる。
    少年は実家に帰り全てを忘れて出直した。
    それと別に、結婚を目前に控えたフラワーデザイナーの女性の話。
    結婚を目前に、何故か彼女のもとに「素敵な貴男へ」というプレゼントが届くようになる。
    趣味の悪いプレゼントの数々は段々と悪意を感じるような物になって-。
    どちらも結末は思いがけないものでした。

    どうでもいい話ですが、解説によると、この短編集は「短編集の書き方」のテクストとして使われたそうです。
    それだけ本格的でちゃんとした本だという事だと思います。

  • 短いものは10ページ程度で終わってしまう短編集。
    その後どうなったの!? という所で終わっているの多数で
    想像するのが『苦しい』です。

    2番目の話の『寝言』は、一体どうしたかったのか、と。
    その状態で別れたら、それはそれで酷い人、みたいな感じがしますが
    男性側女性側、としたらそうでもないのでしょうか?
    しかし疑いでそうなってるわけですし、いいのか??

    一番怖かったのは『脱出』ですか?
    この後の人生が怖い。
    しかし中に入っていた時の事は忘れていってしまう、とも言います。
    いやでも何かの拍子に…と思うと怖いです。

    そして別の意味で怖いのが、表題。
    子供も夫も妻も、甘やかしすぎたら何もできないただの邪魔物件。
    まだ子供の方が、引き取り手に渡った場合どうにかなりそうですが。

    人間って怖いです。

  • サクサク読める短編集。だがしかし、読みやすさとは裏腹な陰湿さ、みたいなのがたっぷり詰まった、まぁ、日本文学ウケする感じ。

  • 1998年11月26日読了。

  • 私はえてして長編作品が好きなのだけれど、乃南アサの短編で物足りなさを感じたことがない。10の短編が収められていて、どれもゾッとする内容なうえ、驚きの展開もあったりしてとても楽しめた。「脱出」が特に気に入った。

  • 男女間のありそうでないような、ビミョウできわどい物語。

    しんみりとまとわりつくような女性の情念が重たくてコワイ。
    でも、さらっと読めて後を引かずに読めるので、就寝前の一冊におすすめ。

  • 家庭内殺人が起こる理由が分かった(笑)

    些細だけれど鬱屈した心情があるのね。

  • 人間って壊れやすいんだなぁ
    少しずつ少しずつ蓄積されたものがある瞬間にドシャアっと溢れ出す。
    そうなればもう元には戻れない。
    リアルな恐怖感を味わいたいなら是非。

  • 7歳下の旦那にイライラが止まらなかった。
    こういう人間はいまだにいるのだろうか

  • 自立できない夫との生活に疲れた女は逃げ場を求めた。しかしそれが彼女の「脱線」の始まりだった...。表題作のほか、「最後の花束」「脱出」など、怖くて意外な結末が詰まった全10編。

  • これはショート・ショートなので

    どんどん読めてしまうんだけど

    大どんでんあり

    ちょっと怖いendingばっかりで

    ちょっと背筋がゾクゾクする感じ

  • 『薬缶』『寝言』『向日葵』『愛情弁当』『今夜も笑ってる』『他人の背広』
    『留守番電話』『脱出』『最後の花束』『花盗人』

    久し振りに乃南さん☆
    私はホラーとかの怖いのがほんとダメだから(;_;)、
    乃南さんの本もあんまりディープなのはダメで(・・、)
    でもこれは短編集だったから、
    怖さもちょっとあったけれど、スパイスとして楽しめました☆
    これはお化けのような怖さではなくて、
    日常生活の中からどこか歪んでしまった世界を
    ちょっとずつ覗いた感じでした。

    そして、率直な感想は……〝うまい!〟。
    短篇だけど、構成やストーリー、描写がすごく上手くて
    それぞれとっても楽しめました(o^-^o)
    乃南さんの、怖くなさそうなのからまた読んでいこうっと♪♪
     
    (2007.05メモ→2010.04ブクログ)

  • 10本の短編。ちょこっと読みにはちょうどいいボリューム。乃南アサさんの本を読んだのはこれが初めて。さまざまな人の業。なんとも言えない読後感。久しぶりに背筋が寒くなった。もう一度読むかと言われればNOだけど、面白かった。

  • 目が離せなくって、それでも空寒い。ぞくって、きた。
    初めて乃南さんの小説これだった。
    最初から最後まで目が離せなかった。
    心の動きと身体の動きとが合ってるのね。
    チャコールグレーみたいな色の薄いベールが覆ってる感じ。

  • 女が怖い短編がもりだくさん。
    あっと言わせるオチが面白い。
    でも怖い。

  • ※バレあり。

    読中・読後感が悪かったです、多分作者さんの狙い通りだと思うので上手い作品なのだと思う。
    妻が自分のために心を殺して何でもやるのが当たり前と思ってる男は×ねばいいよ! ああー見ててイラッイラする!! 表題作は、早く主人公が旦那を×してくれないかとやきもきしていました。開始1,2ページで「早く×せ!」と思った。この1冊を読んだゆえだろうか、思考危ない。でも正常な気持ちだとは思う。主人公もパチンコに興じて浪費していると知った時はスッとしました。ここでやっと心が軽くなった。
    「他人の背広」や「留守番電話」は気楽に読める。「最後の花束」はさすがに予想外。「向日葵」はしあわせで良かったね。
    読後感の悪さから★×1(評価ではなく勝手な好みですね)で失礼します。

  • 最後の花束、まさかの展開!

  • ◆あらすじ◆
    「あなたが私にくれたものは、あの桜の小枝だけ。あなたが盗っていったものは、私のすべて」───。
    自立できない夫との生活に疲れた女は逃げ場を求めた。
    しかしそれが彼女の「脱線」の始まりだった……。
    表題作のほか、「最後の花束」「脱出」など、怖くて意外な結末が詰まった全10編。
    デビュー当時から直木賞受賞第一作まで、乃南アサの幅広い作風が楽しめる文庫オリジナル短編集。

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著者プロフィール

1960年東京生まれ。88年『幸福な朝食』が第1回日本推理サスペンス大賞優秀作となる。96年『凍える牙』で第115回直木賞、2011年『地のはてから』で第6回中央公論文芸賞、2016年『水曜日の凱歌』で第66回芸術選奨文部科学大臣賞をそれぞれ受賞。主な著書に、『ライン』『鍵』『鎖』『不発弾』『火のみち』『風の墓碑銘(エピタフ)』『ウツボカズラの夢』『ミャンマー 失われるアジアのふるさと』『犯意』『ニサッタ、ニサッタ』『自白 刑事・土門功太朗』『すれ違う背中を』『禁猟区』『旅の闇にとける』『美麗島紀行』『ビジュアル年表 台湾統治五十年』『いちばん長い夜に』『新釈 にっぽん昔話』『それは秘密の』『六月の雪』など多数。

「2022年 『チーム・オベリベリ (下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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