凍える牙 (新潮文庫)

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著者 : 乃南アサ
  • 新潮社 (2000年1月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (520ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101425207

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凍える牙 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 丁度、「気負わず読める娯楽小説」を求めているときに、本屋さんで買いました。以前から気にはなっていたので。
    まず、面白かったですね。

    音道貴子さん、という、
    ●婦人警官
    ●バツイチ30過ぎ独身
    ●バイクが趣味でバイクの扱いが上手い
    ●男性社会で細く傷つきながらも情熱をもって警察勤めしている
    という人が主人公さんですね。
    1996年の初版小説なんで、2013年現在からすると、17年前になりますね。
    まだ携帯電話じゃなくてポケベルの時代ですね。

    警察モノなんで、基本、主人公と関係なく事件は起こり、その解決に向かう主人公を通して、主人公の性格とか感情とか生活とかが見えてくる、という作りです。

    あらすじで言うと。
    事件軸は、
    ①10年前に娘をシャブ中にされて廃人化されてしまった、元警官が、その恨みを晴らす。当時娘をシャブ中にした人々を殺していく。
    ②その手段として、その人は警察犬の調教係だったので、狼と犬の合いの子のウルフドッグを使って、殺す。
    ③それと全く別線で、お金にいきづまった男が、金のために爆薬を使って人を殺す。ただ、たまたま、元警官がそれを知って、ふたつの殺しが錯綜する。

    という事件です。
    ミステリーなんで、上記の全貌がわかるのは終盤です。謎で引っ張ります。

    でも無論、優れた警官モノは必ずそうですが、この小説が面白いのは、上記の捜査を通して、

    ①男性社会で辛い思いをしながら頑張る、微妙に若くないバツイチ主人公。
    ②はじめは女だからという理由でやたらとイヤミばかり言っていた、相棒のオジサンが、だんだん打ち解けてくる。
    ③家族からもあまり暖かくされず、辛いんだけど、仕事と自分の人生になんとか誇りを持って前向きに頑張る主人公。

    みたいなことが描かれます。それが面白いですね。
    手法で言うと、基本三人称で描かれながら、音道貴子さんの目線と気持ちで描くことが多いですね。そして、時折、相棒のオジサン・滝沢さんの目線や気持ちに入って描いたりもする。

    この辺のさじ加減が上手いですね。

    あんまり、性差別で迫害される主人公の気持ちにばかり振り切れずに、迫害しているつもりはないけど、男性社会にどっぷり浸かって、女性の刑事にどう接していいか分からない滝沢さんの気持ちも分かる。読者としては、「ああ、この二人、もっと素直になれば、ストレスのない良き相棒関係になれるのに!」と思って、頁をめくるわけですね。上手いです。

    でもって、たまに犯人とか関係者の目線に入る章もあります。
    この辺はなんとなく、大沢在昌さん「新宿鮫」シリーズを思わせる技術ですね。

    ま、ぶっちゃけ、買った僕も
    「女性版新宿鮫かな。評判いいし面白いかなあ。正直、新宿鮫はヤッパおもしろいしなー」
    という意識で買ったんで・・・。

    で、正直「女性版・新宿鮫」じゃん、と言われちゃうと、それだけじゃない!という個性は、やっぱり「女性である、ということでストレスが多いけど頑張る」というところに尽きるんですけどね。

    面白かったトコロで言うと、上記の
    「(1996年時点で、男性社会の中で保守的な生き方を捨てて生きていくことを選んでしまった)女性はつらいよ」
    という孤独感が、上手いこと、鍵を握る孤独なウルフドッグ・疾風くんに重ね合わせて見える、という部分ですね。これは十分意図的に、そう作られてますけど、僕は上手くいっていると思います。

    あと、全体にオトナな作り、ちゃんとある程度ハードボイルド、であること。強引に人情話にせず。強引に主人公に花道大活躍もさせず。

    あと、やっぱり語り口とか文章が上手いと思います。
    終盤で、深夜の首都高をバイクでウルフドッグ追跡する主人公。それを追う滝沢さん。
    そんな場... 続きを読む

  • まだポケベルの時代の話だったが、物語としては古さを感じないで読めました。音道さんと滝沢のコンビもお互いに嫌いながらも、段々とイイ味になってきて良かったです。またシリーズものに手を出してしまった(*´-`)

  • まだまだ男性社会である警察組織。
    女性というだけで周囲の目はどこか冷たく、ベテラン刑事である滝沢も貴子にどう接していいのかなかなか掴めずにいる。
    「こいつが男だったら」とつい考えてしまい、貴子と組むことに面倒臭さを感じている。
    孤独だが気高く生きているようにみえる疾風。
    貴子は、強いがゆえに一方的に負わされた罪に疾風への哀れさと切なさを感じる。
    与えられた使命を必死に果たし、傷つき、それでも闘いを終えることが出来ずにいる。
    貴子もまた、どんなに頑張っても色眼鏡で見られることから逃れられない世界に身を置いている。
    捜査に対する真摯な姿勢も、刑事としての優秀さも、男たちへの強烈な対抗心も、貴子が警察社会で生き抜いていくためには必要なものだ。
    だからこそ、孤独な疾風に感じるものがあったのだろう。

  • こどもの部屋から拝借シリーズ。
    ひさびさに「警察もの」読みましたが、まだポケベル時代の作品。
    疾風(はやて)なる登場人物(?)と主人公との追跡劇は、心に残りました。
    厚い本ですが、一気に読めますよ~。

  • 図書館で。読了しました。今はもう、頭も心もこの物語でいっぱいです。はぁ、なんて素晴らしい作品なんだろ。もっと早く読めばよかった!オオカミ犬の疾風(はやて)。私も疾風のことは、忘れないよ。音道貴子シリーズ。次の作品も遅まきながら読ませてもらいます。滝沢刑事と音道刑事のコンビもなんだかんだで最高でしたね。

  • 最初の事件からすると、え?っ感じの事件へ展開して、一体どういうオチになるのかと、かなり引き込まれたな。のわりには普通なラストだった。でも、それがリアル。むしろカッコいいのかもしれない。うん、カッコいい奴だ(>_<)

  • 男性不信の刑事、音道貴子と、女嫌いの滝沢刑事の最悪なコンビが、人を殺すよう訓練されたオオカミ犬「疾風」を追います。男社会の警察の中で対立しながらも表には出さず、行動で示していく貴子には好感が持てました。刑事も犯人も、家族というもののあり方がひとつのテーマになっていたと思います。疾風と貴子との心の交流も心に響くものがあり、単なる刑事物では終わらない深みのある作品になっていると思います。

  • 直木賞作品ということで手に取ってみた。
    だが、何とも長く感じられ早く読んでしまいたくて仕方なかった。
    終盤のオオカミ犬の追跡のシーンは良かったが、全体的にすっきりと
    しないことが多い。
    例えば、犬を本当に愛する人が犬を殺人の道具に使うとか、
    会社を燃やしたいだけなのに人に火をつけてしまうとか、
    同時に二人が同一人物を殺そうと考えていたりとか、
    今更の復讐劇とか。
    刑事の地道さや警察社会は垣間見れたが、目新しさは無い。
    最後の最後に経緯が全て説明されるスタイルも好みでない。

  • 二日で読んだ。止まれなかった。読みながら、やめるタイミングが分からない、と思った。物語が軌道に乗ってからは、まさに疾風のごとく読んだ。久々の乃南さん。そしてまたも女刑事が主人公。今回も、とても魅力のある女刑事だった。最初の方はあまり感情移入できなくて、近くに感じられなかったけど、読み進めていくうちに、だんだん音道貴子と一緒に走ってる感覚になった。疾風を追って、バイクでひたすら走るシーンは、なんかすごかった。読んでる方も、疲れた。一緒に走ったから。貴子が転んで、疾風がそれを待っていたかのようなシーン。なんか、そのあたりで感動して泣きそうになってしまった。なんていうか、疾風のことを思うと切なくなる。病室で笠原に貴子が言った、「家族じゃ、ないんですか」って言葉もなんかすごく悲しいというか、切なくて。そしてその、疾風のラストも本当に悲しくて。切なくて。なんて言葉で表したら良いんだろう。最後、泣いた。疾風は、どう感じていたんだろう。ただ、飼い主のために。ただ、自分に愛情を注いでくれる信頼してる相手のために。そんな、育てられ方で、そんな、人生で、良かったんだろうかと思う。でも、それが疾風の幸せだったんだろうか。貴子と滝沢のコンビも良かったなあ。コンビって、なんだかんだやっぱりこういう、あったかい関係になるから好き。すごい、いいお話を読んだ。なんだか感動した。音道貴子シリーズ、全部読みたいなあ。それにしても、タイトルの「凍える牙」とは。なんとも良いタイトル。読了して、改めてそう思う。

  • 話がすごくテンポよくおもしろかった。この人の本はたぶん初めて読んだが、読みやすくどんどんひかれていった。
    主人公の強さはすごいなーと思ったけど、いつか崩れてしまうのでは?と不安定な感じもした。気持ちはわかるけどもっと力を抜けばいいのに、と。ちょっと同感しにくいところも多々あった。
    推理小説チックでもあった。そのジャンルも初めてだったのでなかなか楽しめて読めた。

  • ようやく、と、いっていいですね^_^; 平成12年第一刷ですから、本当に失礼しました。直木賞受賞作、オオカミ犬、気にはなっていましたが,手に取ること無く、今まで過ぎていました。読み始めたら、一気でした。他のシリーズも大人買い、、します(-_^:)

  • 犬好きとしては、とにかく読んでいて辛い結末。コンビのやり取りも魅力的だったが、なによりもラストが辛い。

  • ちょっとファンタジー入ってるけど疾風の描写は良かった。嫌な癖はなくて文章読み易い作家さん。淡々と読了

  • Audibleにて。ファミレスで突如前進が炎上して焼死した男性、謎の動物によってかみ殺される事件の連発。主人公はともにバツイチのアラサー女刑事と中年おっさん刑事。丁寧な心理描写と、次第に相棒として心を通わせていく2人の関係性の進展は細やかで好印象。後半はなかなかほかの警察小説では見れないような手に汗握るまさかのレースシーンがあったりする。文章量は多いが、文章そのものにクセはなく、読みやすい(聴きやすい)。

  • 主人公が、なんと犬だった。いや、女性刑事か。
    珍しい事件。とても躍動感がある。
    面白かった!
    この作家は、なかなか読みやすい。

  • 今の時代と比べて、女性蔑視が強く、警察官のみならず他の職業においても男性優位が強かっただろうなというのが物語っている。貴子はその中において、男性と同等の立場になりたい思いが強く、捜査に他の刑事とコンビを組み、お互いの心情や捜査の進捗状況から見えてくる物が分かる。貴子が犬のことをしきりに気にしていたのは、自分と重ねていたり、このようになりたいという思いがあったのではないだろうかと思う。犬との疾走シーンはスピード感あるもので、捜査に絡み合い、解決へ結びつくのは良い。最後はどこか悲しみが残るという感じだった。

  • 所有の本を再読。面白かったという記憶はありながらも内容の詳細は忘れていて、読みながら徐々に思い出してきたり。再読だけど、やはり引き込まれる。
    主人公で女刑事の音道貴子がいい。男社会の警察の中で理不尽な思いを強いられる。それを表に出してキーキー言うことなく黙々と自分の任務にまい進する姿がかっこいい。
    そして「疾風(はやて)」。この狼犬こそがこの小説の一番の要ではないか。圧倒的な存在感と威厳、気品、知性、飼い主だけへの従順。人間の都合で殺人に利用されてしまうけれど、その気高さを侵すことはできない。
    貴子とどこか心が通じ合う。貴子と疾風は似た者同士だ。知的で気品があり、でも本当は寂しがり屋のところも。そして疾風の最期もあまりにも疾風らしい。人間を越える何かを持っている気がした。
    疾風と貴子に心惹かれ魅せられる一冊でした。
    ちなみに最初は嫌悪感を抱いた男社会の象徴の滝沢に、最後はちょっと好感を持てた。

  • 20年前の直木賞受賞作。
    あらためて、オーディブルで聴きました。

    「フロスト警部」の日本版での滝沢警部に、音道刑事がからむ。
    警察署内の女性への異質感がすごい。
    いや、実は今もあまり変わらないのかも…
    携帯電話もなく、ポケベルの時代。
    捜査も大変だったよね…

    そして、「凍える牙」のハヤテがカッコいい。
    書けば書くほどネタバレになるけど、今のように防犯カメラがない時代は、こういう犯罪も可能だったのだろうか。

  • 狼犬との追跡走2は興奮。女性警察官としての葛藤と妹智子とのことが脇ストーリー。

  • 事件自体にあまり面白みはなかったけど、貴子と滝沢の関係性がじっくり描かれているのがよかった。

  • 主人公の性別に対するかたくなさが、鼻につく。性差別にこだわること自体すでに自身も強く性別に意識を持っている詳左ではないか?

    また、2桁数字を、例えば十二ではなく、一二等と書くのがとても気になる。読みにくくて仕方がない。

  • めちゃくちゃ犬のはなし。女性蔑視に苦しみながら犬に関心をもちまくる女性警察のはなし

    おもしろくなかった。主人公が犬に興味をもちすぎ。さらっと読める推理サスペンスを期待していたらめちゃくちゃ犬に取り付かれていた。

  • 音道刑事デビュー作?狼犬。
    ありがちな設定で、話も途中で展開がわかってくる。それでも最後まで読ませてくれるのは流石。

  • 著者は1960年生まれで、この作品は1996年に出版されたようなので、著者が36歳位の時に書かれたものである。

    長い作品だなあ、というのが正直なところで、飛ばし読みで読了とした。

    この作品では、組織内での女性蔑視感とでもいうものが書かれており、セクハラ的な発言も多々出てくる。
    20年前の作品だからそんなものだろう、という見方もあるかもしれないが、それにしても違和感はぬぐえない。
    もちろん、今にしても、組織内での女性の立場が、男性と平等かというとそんなことはないと思う。ただ、あからさまにセクハラ的な発言をすることは減っているだろうが。

    この作品には、女性刑事、音道貴子が初登場している。
    そして、直木賞受賞作とのこと。

  • 女性刑事が主人公の小説。

    警察組織の描写が細かく、読み応えがある。

    登場人物の心理描写もうまい。

    謎解き部分があればもっと楽しめるがそれはナシ。

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