涙 下巻 新潮文庫 の 9-16

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (494ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101425269

作品紹介・あらすじ

川崎、熱海、焼津、田川…わずかな手がかりをもとに、萄子は必死に婚約者の跡を追った。やがて捜査から、ある男が重要人物として浮上するが、勝が逃亡する理由は不明のまま。勝への思いが消え入りそうな萄子だったが、当時米領の沖縄・宮古島に彼がいる可能性を大阪で知る。島でわかった慟哭の真実とは?'60年代の出来事・風俗をちりばめ、男女の一途な愛を描いた傑作ミステリー。

感想・レビュー・書評

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  • まだ私が若かりし頃、20代の時に読みました。

    今までで面白かった本は?と聞かれたら、宮部みゆきさんの「火車」と、乃南アサさんの「涙」と答えます。20年以上経ってるのに、今だに面白かった記憶が強い本。内容は忘れてますけどね。


    「涙」は当時、半身浴をしながら小説を読むのが日課だったんだけど、もう本当に涙、涙で、風呂場でワーワー泣いた記憶があります。
    もう、どうにもならないようなことが次から次に起こって、どうしてこんなことに〜って、泣いた気がします。
    確か、帯にもピーコさんの推薦文が載っていて、涙、涙が止まらなかった!的なことを書いてありました。その通りだ!と当時は思ったものです。

    再読したいけれど、今は感じかたが違うだろうし、
    昔のように涙ひとつも流せなかったら、と思うと哀しいので、できないでいます。
    昔の記憶は大事にとっておこうかと。

  • 久しぶりに泣いた本。

    自分の生まれる前の日本の様子に驚きながら、登場人物の心境に頷いたりしながら、結末が早く知りたくてぐいぐいと引き込まれるように読みました。

    萄子が真実を求める気持ちに共感しつつも人はあれほど強く変わっていけるのだろうか、と妙に感心したりもしました。

    事件そのものは、かなり惨いものだったけど最後は本当に切なくて色々なことを考えさせられました。

    それにしても、のぶ子は…。

  • 萄子の行動力に脱帽。この時代の女性が全国各地に人探しをするとは、どれだけハードルが高かったのだろうか。

  • 主人公は刑事である婚約者と東京オリンピック後に式を挙げる予定だったが、オリンピック直前に電話で自分のことは忘れるよう言われ姿をくらましてしまう。混乱する主人公に彼が殺人事件の容疑者であるということも知らされる。しかも被害者は婚約者とコンビを組んでいた老刑事の娘だった。
    主人公は婚約者の潔白を信じながら、彼を自力で探し出すことを決意。細い糸をたどりながら川崎、熱海、焼津、筑豊と彼を追うがすんでのところで会えず仕舞いでいた。
    一方、その後の捜査で彼は嵌められただけということがわかる。しかし黒幕を裁くためには何としても彼の証言が必要。そのことを知った主人公はさらに彼の足取りを辿るが、ある偶然から彼の居場所をつかむ。向かったのはアメリカ占領下の宮古島。そこで彼と再会し事の真相を知るのだが、それはあまりにも理不尽で耐えがたいものだった。

    追っては逃げられ追っては逃げられの追走劇。向かったあちこちで親切な人に出会ったり、たまたま情報を持っている人に出会ったりなど、人探しするのにこんなに簡単にいくかなとは思うものの、婚約者を追う執念は漂ってくる。
    主人公もそうだが、娘を殺された老刑事側から事件に迫っていくのだが、娘の知らなかった一面を目の当たりにした親の心情や情けなさなど風采の上がらない刑事であるが故に迫るものがある。
    そして今までの全ては最後の章に向けての助走のような感じで、それが最後の章に活きてくる。
    この作家さんは痛みや悲しみ、背負ったものによる苦悩を描くのがうまい。

  • 実際起り得ない話だけど、読んでて止まれなかった。

  • R様オススメ本下巻
    まあこんなひどい悪党がいたものだと、今更ながらにひどい事件だったと思わされる。

    まだ沖縄へ行くのにパスポートがいる時代のお話。
    下巻は一気に読ませる内容でした。
    すごく悲しいお話なのに、最後はじんわりときました。

  • うちにあった本を再読。でも内容をすっかり忘れていたので、引き込まれて読みました。上下巻のけっこうなボリュームの長編。
    東京オリンピックの年、結婚を控えていた萄子の前から「もう会えない」という電話一本で突然姿を消した刑事の奥田。
    何があったのか、奥田はどこにいったのか、失意の中で奥田を追う萄子。川崎、熱海、焼津、田川。あちこちであと少しというところで会えない。
    そして最後にたどり着くのが宮古島。驚愕の真実が明かされる。
    萄子の気持ちが丁寧に描かれていて、引き込まれる。
    結末はつらい。どうしようもなかったのか、奥田の正義感が招いたことなのか、萄子も奥田も悪くないのに。刑事の韮山も印象的。萄子も奥田も韮山も被害者で犠牲者だ。やるせない。

  • 泣きました。
    上巻では見えなかった、登場人物の側面が見えてきて、萄子の奥田探しの旅も大スペクタクルとなり、一気に読んでしまいました。
    なんで、現代から始まったのかな?と思いましたが、現代で締めくくられ、実は、昭和の事件だけでもかなりの小説だったのに、そこにある現代がまた涙をさそう。
    今まで読んだ、乃南作品で一番良かった。

  • 殺人現場から疾走した婚約者を探し全国を旅。長々と引っ張った割には驚きの真相も特になく、1960年代の日本の情景をただ描きたかっただけなんじゃないかと。上下巻に分ける必要はなかったですね

  • まじ涙!!

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著者プロフィール

1960年東京生まれ。88年『幸福な朝食』が第1回日本推理サスペンス大賞優秀作となる。96年『凍える牙』で第115回直木賞、2011年『地のはてから』で第6回中央公論文芸賞、2016年『水曜日の凱歌』で第66回芸術選奨文部科学大臣賞をそれぞれ受賞。主な著書に、『ライン』『鍵』『鎖』『不発弾』『火のみち』『風の墓碑銘(エピタフ)』『ウツボカズラの夢』『ミャンマー 失われるアジアのふるさと』『犯意』『ニサッタ、ニサッタ』『自白 刑事・土門功太朗』『すれ違う背中を』『禁猟区』『旅の闇にとける』『美麗島紀行』『ビジュアル年表 台湾統治五十年』『いちばん長い夜に』『新釈 にっぽん昔話』『それは秘密の』『六月の雪』など多数。

「2022年 『チーム・オベリベリ (下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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