しゃぼん玉 (新潮文庫)

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著者 : 乃南アサ
  • 新潮社 (2008年1月29日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (326ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101425467

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しゃぼん玉 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 身近な大人に不信感を抱きつつ、日々を生活していた少年が、突如非行に走り、自暴自棄になってしまい、行き着いた先が宮崎県のとある村である。都会と違い、村特有のお節介などにより、少年は村人と接していくうちに、鬱蒼としていた気持ちが一歩前に進みだした心情の変化を感じられ、非行に走り、罪を犯した少年、精神的にも歯車が狂っていたはずなのに、それらを邪険にせずに迎え入れてくれた村人の懐の大きさに感動。帰れる場所、包み込んでくれる人がいることが荒んだ心を修復させ、人の心に染み入るのを感じさせたものである。

  • 素直に素直に泣けました。あまり本を読めたことの無い私でも、しっかりストーリーに入り込めた本です。最後自分があんなに泣くとは全く思っておらず、止まらない涙に驚きました。

    主人公・翔人の身勝手な言動には常にハラハラ。ただ、育ってきた過程を知っていく中で、周りの環境がいかに影響を与えていくかを知り、その後の人との出会いも大きいと感じた。
    翔人が婆さん、村の人達と出会えたことに感謝。未来が明るくあって欲しいと願うばかり。

  • 帰る家も頼る家族も仕事も何に一つ持っていない
    ただ漂うようしゃぼん玉のように生きてきた翔人。

    そんな翔人にとって温かく何品もある食事、シーツのかけられた布団、汗水垂らして働いた後のご飯やお風呂、どれも当たり前の事の様だけど穏やかで幸せの象徴に感じられたと思う。

    スマ婆ちゃんやシゲ爺、村の人たちとの愛のある温かい生活の中で徐々に変わっていく翔人の心の変化が丁寧に描かれています。

    自分を想ってくれる人、自分が想う人、帰る場所が出来ると人はこんなにも変わる事が出来る。良かったね翔人。

    ☆.。.:*・゚☆.。.:*・゚☆.。.:*・゚☆.。.:*・゚☆.。.:*・゚☆.。.:

    田舎って良いですね。描写が上手くて、自分も一緒に住んでいるように感じられました。

  • 人を改心させるのは、結局北風ではなく太陽。
    素の優しさに触れたとき、人は初めて償おうとする気持ちになるのだろう。
    物語もきれいにまとまっていて素敵な作品でした。

  • 自暴自棄で何をやっても長続きしない、主人公の伊豆見翔人。
    ひったくりや強盗を繰り返し、遂に人を殺めてしまう!?



    ヒッチハイクをし、逃げるようにしてたどり着いた九州の田舎の村で出逢ったおスマばあちゃんや村の人々は都会に住む翔人にとって、今まで会ったどんな人とも違っていた。




    自然に囲まれた、時代に取り残された様な小さな村での近所の人達との交流で翔人の心が少しずつだが変化していく、、、、


    シゲ爺の野良仕事を手伝う翔人は人のせいにしない、今あることから逃げないという事を学ぶ。
    しかし、自堕落な生活を長年送ってきた翔人はすぐには公正できない、、、


    味気ない容器に包まれているコンビニ弁当ばかり食べていた翔人、素朴で温かな手作りのご飯を食べ、汗水流して働く事の心地よさを知る。


    当たり前の事を忘れていたなってはっと気づかされる一冊。



    ボウはええこというおスマばあちゃんの優しさにじんわり心があたたかくなった。



    根っからの悪人なんて何処にもいないんじゃないか、、、
    愛情によって人はこんなにも変われる。


    一人の少年の再生を描いた、あったかくて、読んだあと清々しい気持ちにさせてくれるそんな物語☆

  • 親からも見捨てられ、通り魔や強盗障害を繰り返す無軌道な若者・伊豆見翔人は、逃亡途中で宮崎の山村にたどり着く。成り行きから助けた老婆スマの家に滞在することになった翔人は、近所の老人シゲ爺の野良仕事を手伝ううちに村の暮らしに馴染んでいくが…。現代の若者の“絶望感”をこまやかな心理描写で描き出す傑作長篇サスペンス。

  • ちょっと濃く作ってしまったカルピコの多めに入れた氷とコップにつく水滴が流れて溜まった木製の机。

  • 初・乃南アサ。昨年映画化された作品の原作だが、映画は未見。
    この作品をひと言で言うと、「道を踏み外した青年が田舎の人々に触れて更生する話」。
    これだけ聞くと陳腐すぎるほど王道。だからこそ、きちんと先を読み進めさせるのはすごい。
    各登場人物をきちんと掘り下げ、描写することによって現実感を生み、「もしかしたら、こういうことあるかもしれない」と思わせる。
    内容は期待通りに進むので意外性はないが、終始著者の人間に対する温かい眼差しを感じて心地のいい作品だった。

  • 悪夢のようなことを繰り返し、行き着いたのが山奥にある村、椎葉村。

    温かい人々に囲まれ、頼りにされ、人間味を取り戻していく、ボォ。

    決して少しの時間だけ漂って、いつか割れてしまうしゃぼん玉なんかじゃないよ。

  • 読み初めにいきなりひったくりの青年が登場し、一度表紙のタイトルを見直した。「しゃぼん玉」でどんな「おち」が待っているんだろうと…

    物語に引き込まれて一気に読了。

    ちょっとずれた田舎の高齢者とのやり取りの中で、よくやり直しに結び付いたと、後半は主人公の更生の道を様々想像しながら読み進めた。

    気持ちが何度もぶれて、そのたびにまた前のように戻るのかとひやひやしした。
    時間の経過の中で初めは「うっとおしい」と感じていたシゲ爺が言うことが、きちんと心根に響かせて聞けるようになる、その変化の過程が素晴らしい表現力で(上からですが…失礼)物語に引き込まれて同化してしまい、号泣に近い涙を流しながら読んだ。

    若い世代に同じことを質問されて、果たして私はこのように返せるのか、まだまだ人間としての未熟さのほうが多いだろうと恥じ入りながら、この本に出会えて本当によかったと思った。

  • 「人はやりなおせる」
    『いつか陽のあたる場所で』と対な気がする。
    オーディオブック版で再読。読み落としていた細部までじっくり読めてよかった。

  • 今まで乃南アサの作品はサスペンス、推理物しか読んだことがなかった。乃南アサ、イコール、サスペンスというイメージがあった。しかしこの作品は人間の成長物語である。サスペンスではない。
    その日その日を犯罪に頼りながらなんとか生きてきた主人公が、山奥深い村で出会った人びとと共に生活する中で自分の生き方を見直していく物語だ。
    ストーリー自体は「よくある」ともいえるが、場面場面の人物たちの表情や行動を表現していく文章に細密な表現力や緊迫感がある。また心情を表現するなにげないことばにその人物の本質や性格が的確に読者に伝わってくる。読みやすい文章でありながら奥深い。
    終盤のストーリー展開、人間の優しさに涙してしまった。
    そして乃南アサの作品の多彩さに驚かされた。

  • Rさまオススメ本の乃南アサ
    こちらも1日で読了。
    最初はなんとゆうダメな若者と思っていたし、なんか読んだことのあるような内容?とも思っていたのに、心の揺れ動き加減で、ほんとにこんな考えに陥るようになるのかもしれないと思わされ。
    最後に婆ちゃんと会えるところまで見たかったような気もさせられ、じんわりきました。

  • 綺麗にまとまった。
    最後、翔人が刑務所から戻ってきたときに
    おばあちゃんがまだ生きてて良かった。

    なんというか、グレてる少年少女に
    読んで欲しい本。(←読むわけない。笑)

    そういえば、
    老人ばかりの田舎で突然おばあちゃんと暮らすようになるのは
    亜人に似てますなあ。

  • 小悪党矯正物語。
    出てくる田舎の風景や暮らしぶりが、本当に田舎っぽくて、きっといい大人は少しは憧れてしまうような懐かしい感じだった。
    大きな何かがあるわけでもないのに、飽きずに読めるのは、文章力なのかも。

  • 実家のばーちゃんに会いたくなった。
    こんなに改心するものなのかねー、と思いながらも良い話だった。

  • *通り魔や強盗傷害を繰り返す卑劣な伊豆見翔人は、宮崎県の山深い村でたまたま出会った老婆を助ける。翔人を彼女の孫と勘違いした村人たちは翔人を歓待しするが・・・*

    「涙なくしては読めない心理サスペンス」の帯とは少々違う印象だった。が、村人の善意に囲まれた翔人が、紙一重で狂犬に戻りそうな描写が本当に上手い。何一つ持たず、ただ漂って生きているだけの、やがてパチンと消えてしまうしゃぼん玉に重ね合わせるなんて、本当にこの人は素晴らしい表現者だと思う。シゲ爺に背を撫でられても消えない自分を「もう、しゃぼん玉ではなくなったと思った」ラストが心に沁みた。

  • 女性や老人だけを狙った通り魔や強盗傷害を繰り返し、自暴自棄な逃避行を続けていた伊豆見翔人は、宮崎県の山深い村で、老婆と出会った。翔人を彼女の孫と勘違いした村人たちは、あれこれと世話を焼き、山仕事や祭りの準備にもかり出すようになった。卑劣な狂犬、翔人の自堕落で猛り狂った心を村人たちは優しく包み込むのだが…。涙なくしては読めない心理サスペンス感動の傑作。

  • 主人公がクソ野郎すぎて
    腹は立つわ胸糞悪いわで
    もうほんとうざい!!



    んです、途中までは。


    ところがそんな彼(主人公)も
    ド田舎での人々の優しさに触れて
    少しずつ変わっていきます。

    ベタなのかもしれない
    だけど最後は涙目になってました。

    素敵な話です。

  • これは、ずっと手元に置いておきたいと思える、私にとっては大切な一冊。

    犯罪を犯した少年が逃亡先で出会った町の人々の人間味に触れ人間の心を取り戻し、更生にむかうお話。
    あらすじだけを聞くと、ありふれた感動物のように聞こえますが、沢山の魅力がつまっています。

    まずは、ありふれたストーリーであるからこその読みやすさ。
    そして、登場人物が素敵。しかし、ただ単にいい人達、悪い少年。ではなくて、本当の素の人間らしさ・ズルさ・汚さが見え隠れする場面があるからこそ、共感し親近感が生まれます。

    そして、ラストも最後の最後まで書かれていないんです。もう少し読ませて泣かせてくれたら、どんなにスッキリすることか…お涙頂戴物ではないことは明らかです。

    読後感を例えるならば、心地よい眠りから覚めたような名残惜しさや思い出して心が温かくなるような。

  • もしも自分が子供の時に、毎日のように両親が喧嘩をし、暴力をふるわれ、母親に「あんたなんか産まなきゃよかった」と言われていたら、私はどんな人間になっていただろうかと考えさせられた。

    生きていれば嫌なことは山程ある。でもそういう時に、感情に任せて暴力をふるったりせずグッと耐える方を選んでいる最大の理由は、本書でシゲ爺も言っていた通り、家族に迷惑をかけたくないからだ。自分の事を本当に大切に思ってくれていることを知っているから、絶対に悲しませたくない。でもこの主人公のように、ろくでもない親に育てられ、頼る人もなく、人を信じることも出来ず、全てに対して諦めのような感情を抱いていたら、我慢できる自信はまったくない。でもきっと世の中には沢山そういう人がいる。

    翔人がスマお婆ちゃんや村の人と出会って変わっていったように、親子関係にしても、(本書とは関係ないけど)イジメにしても、萎縮したり諦めたりせずに、色んな人と出逢って話をして世界を広げて行くことが、なにより必要なことのように思う。

    ひとつ残念に思ったのは、そんな言い方しないよなぁと思う方言が所々あったところかな。

  • 乃南アサさんの本は初めて読みました。
    物語は、後半にまだ若い主人公の人生と、無関係の土地での人生経験豊かな老人たちとの繋がりから、徐々に主人公の心が代わっていく心模様を旨く表現している。

    やりなおせる人生を「シャボン玉」に例え、今度も消えて無くならないような生き方を主人公を通じて読者に伝えたかったのだろう。後半は泣けるシーン。

  • 泣けた。都会に住む若い主人公が、ひったくりなどを繰り返し挙句、逃げた先に九州の田舎にたどり着く。そこで出会った老婆との心温まる物語。家庭不和、目的のない人生、なんでも「しょうがない」と片付け「投げ出したい、逃げたい」と無気力になる。自身を「しゃぼん玉」のように希薄な存在と感じていたが、老婆おスマやシゲ爺などの人々の優しさで人としての輪郭を取り戻していく。優しさは包み込むものであったり、厳しいものであったり。黒木嬢や豊昭氏の出会いで今迄の自分のしたことを鏡のように見せつけられ、ラストに至るのであるが、人の心の弱さはまさにしゃぼん玉だ。フラフラとし楽な方向へ逃げようとする心理描写が自然で圧巻。最後はおスマに頭を撫でてもらえただろうか。

  • この後どうなるんだろう?と、どんどん続きが読みたくなる小説。

  • 田舎っていいなー。人生の先輩たちは偉大だなー。
    ラストは涙。読後はホッとするお話でした。
    シゲ爺の言葉や態度がかっこよくて好きでした。

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しゃぼん玉 (新潮文庫)の作品紹介

女性や老人だけを狙った通り魔や強盗傷害を繰り返し、自暴自棄な逃避行を続けていた伊豆見翔人は、宮崎県の山深い村で、老婆と出会った。翔人を彼女の孫と勘違いした村人たちは、あれこれと世話を焼き、山仕事や祭りの準備にもかり出すようになった。卑劣な狂犬、翔人の自堕落で猛り狂った心を村人たちは優しく包み込むのだが…。涙なくしては読めない心理サスペンス感動の傑作。

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