いつか陽のあたる場所で (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (348ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101425498

感想・レビュー・書評

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  • 前科のある女性二人の日常を描いた話。
    真面目に生きる二人の会話がほのぼのと弾んで面白く、ずっと見ていたい気持ちになる一方、切なくて考えさせられる話でもある。
    罪を犯したこと、刑務所にいたという過去が、彼女たちに暗い影を落としているのは無理もないと思う。
    最後の章は辛かった。
    主人公芭子(はこ)の家族関係が明かされる。
    22歳で罪(ホストに貢ぐため昏睡強盗罪)を犯し、7年間の服役生活の中で家族は一度も面会に来なかった。三歳下の弟の結婚を機に、分籍、相続人廃除の手続きをさせられる。家柄、血筋、世間体が何よりも大事な、優しさの欠片もない冷たい家族なのだ。
    芭子が言っている。
    「私だって好きで罪を犯したわけじゃない。ただ人を好きになる方法を間違えただけ。お母さんは一度だって誰かを好きになった時のことを教えてくれなかった。私はいつだって、独りぼっちで苦しんできた。母親ならこんな時にこそ大丈夫、安心しなさいとどうして迎え入れてくれようとはしてくれないの」
    芭子がこの冷たい家庭の犠牲者のような気がしてならない。

    (その他)
    乃南アサさんは、本書でも他作品でも、登場人物にあだ名をつけるのがうまい。

  • 乃南アサさんて、色んなジャンルの小説書くな。
    基本読むのは、ミステリーとか、SF多いんやけど…
    最近、近くの古本屋が閉店になって、最後は1冊11円になって、その時に、爆買い。あらすじすら見ずに、作者だけで…
    失敗しても、この値段なんで(^^;;
    さて本題。
    マエ持ち女二人組シリーズ第1弾!
    前科持ちの女二人が日陰で生きる。
    そら、勤めを果たしたとはいえ、刑務所入ってたなんて、言いたくないし、聞いたら線引きする人もいると思う。
    「気にするな!」と言われてもね。
    それぞれ、支え合いながら生きていく。やはり、人は、自身だけより、誰かと共に生きた方が楽しい。
    もう過去は消せないので、前向いて未来に向かって生きてくれ〜!
    大きな事件(人死ぬ)が起こって、それを解決みたいなのばっかり読んでるけど、こういうのもたまには良い!

    • 本ぶらさん
      ultraman719さん、フォローありがとうございました。
      自分もフォローさせてもらいます。

      しかし、1冊11円というのはうらやま...
      ultraman719さん、フォローありがとうございました。
      自分もフォローさせてもらいます。

      しかし、1冊11円というのはうらやましいですね。
      でも、なんで10円でなく11円なんだろ?ってw
      「いつか陽のあたる場所で」は、確か3部作なんでしたっけ?
      読みたいなーと思いつつ、いまだ手が出てない本です。
      これからもよろしくお願いします。
      2021/03/09
    • ultraman719さん
      本ぶらさん

      はじめまして!コメントありがとうございます。

      1冊11円となると普段読まない系もチャレンジできるので良かったです。1円は消費...
      本ぶらさん

      はじめまして!コメントありがとうございます。

      1冊11円となると普段読まない系もチャレンジできるので良かったです。1円は消費税ですかね?
      ちなみに、東野圭吾、宮部みゆきさんらは、残骸しか残ってませんでしたが…
      このシリーズは、3部作ですね。まだまだ、積読本多数あって、なかなか続編まで、辿り着けない状況です(^^;;
      こちらこそ、これからもよろしくお願い致します!
      2021/03/10
  • 刑務所暮らし経験がある二人の女性の出所後の人生観。人により人生観は違うにせよ、他人には分からない問題を誰でも抱えている。あれからそれぞれどんな人生を歩んで行くか気になる。

  • 乃南アサさんは力のある作家だと思っています。好きな作家。
    久しぶりに手にとったのはドラマがとても良いという評判を聞いたから。
    残念ながらまだ見ていないのですが、、、、、

    罪を犯した二人の女性がシャバに出て、罪を犯す前の人生と決裂して、二人で助けあいながらこれからの人生に立ち直っていく友情の物語。
    そこに暗さはなく、丁寧に日々日々生きていく姿に好感が持てる。
    人はどこでつまずくか、なんてわからなくて、読んだあとに等身大の身近な女性としての登場人物に励まされたような読後感があった。
    夕やけだんだんに代表されるあのあたりの雰囲気も助けになっている。


    失敗しても、地道に明るく生きていくのよ、というメッセージ。
    それにしてもろくな男が出て来ません、、、、、、この小説。笑。

  • NHKのドラマからの原作読み。

    原作の方がリアルな感じ。
    例えば、はこちゃんが、ドラマだとものすごいピュアないい子だけど、原作だと割と嫌な面も持っている。

    ドラマよりもたんたんとしている。
    ファンタジーな温かさを持つドラマの方が、今のわたしは好きな感じです。

    なんにしろ、温かな悲しい小さな光を遠くに見るようなお話のタイプ。好きです。

  • このシリーズやっぱり好き。私はあやさんてきなキャラかもな〜と思った!

  • 友人から借りで拝読。

    特に、大きな事件もなく、
    ハコとアヤさんの日常を垣間見ている感じ。
    シリーズものみたいだから、読み進めると、なんか違う感じもあるのかな?

  • 乃南アサさんは初めて読みました。
    ドラマでみていたので読みやすかったけど、そうでなかったらどうだったのだろう。

  • ピアカンの大切さや出所者への支援を考えさせられる良作。家族との生き別れ、絶縁…。底まで沈んでしまったら後は自然に浮き上がるもの。そうした時の流れが必要な時もある。寄り添ってくれる人がいたら安心が他者への関心を生み出す源泉になるのだなぁ。

  • 刑務所で一緒だった、芭子と綾香。
    年齢は一回りも違うけれど、刑務所を出てからは何かと助け合い、支えあいながら生きている。
    もちろん、刑務所時代のことは隠して…
    そんな二人の第二の人生。
    辛い、悲しい、悔しいことがあっても、二人で励ましあいながら生きていく。
    女性って、やっぱりたくましい!

著者プロフィール

1960年東京生まれ。88年『幸福な朝食』が第1回日本推理サスペンス大賞優秀作となる。96年『凍える牙』で第115回直木賞、2011年『地のはてから』で第6回中央公論文芸賞、2016年『水曜日の凱歌』で第66回芸術選奨文部科学大臣賞をそれぞれ受賞。主な著書に、『ライン』『鍵』『鎖』『不発弾』『火のみち』『風の墓碑銘(エピタフ)』『ウツボカズラの夢』『ミャンマー 失われるアジアのふるさと』『犯意』『ニサッタ、ニサッタ』『自白 刑事・土門功太朗』『すれ違う背中を』『禁猟区』『旅の闇にとける』『美麗島紀行』『ビジュアル年表 台湾統治五十年』『いちばん長い夜に』『新釈 にっぽん昔話』『それは秘密の』『六月の雪』など多数。

「2022年 『チーム・オベリベリ (下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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