三億円事件 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (452ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101426228

作品紹介・あらすじ

1968年12月10日「三億円事件」発生。多くの謎を残し、7年後に時効が成立。それから約20年、一枚の焼け焦げた500円札が一人の男を動かした。執念の取材が明らかにする捜査本部の混乱、モンタージュ写真の欺瞞、浮かび上がる三人の男…。やがて突き止めた「真犯人」はアメリカにいた!6時間にも及んだ手に汗握る「対決」。正体は?動機は?そして三億円の行方は?文庫化にあたり衝撃の後日談を収録。

感想・レビュー・書評

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  • 横山秀夫著「ルパンの消息」、松本清張著「水の肌"小説三億円事件"」と、「三億円事件」を取り扱った小説に立て続けに出会った。
    なんたるこの偶然!昔、近所に住んでいたことも重なり、今更だが好奇心を掻き立てられた(事件は私が生まれる前)。
    また他にも小説がたくさん出ており、それぞれ作者がどのように描いているのか興味がわいた。

    本書は小説ではなく、ルポルタージュのようだ。よく取材されていると思った。
    ページを開くといきなり強奪された紙幣の断片の写真が出てきて引きつけられる。
    犯人として疑い深いのは三人。黒幕、お金を保管する役、白バイ役の三人組の共犯。
    大金の保管場所に米軍基地を利用したのではないかと指摘したのは、松本氏と同様であった(※松本氏のはあくまでも小説)。

    最後は、この三人の生い立ちや人生、心情なども書かれており、少し救われた思いもしている。同情するわけではないのに何故だろう。

    あとがきはビートたけし氏。この本を元にしたドラマで犯人役を演じた。
    事件後の周りの人々の反応や、たけし氏の考える犯人像をあの独自の口調で語り、おかしくなった。
    当時の金銭価値に触れていたのもイメージができて良かった。

  • 執念の取材。当時の警察に不甲斐なさを感じつつ、時が経たないとわからない、出てこない事も多いのだという事がわかる。
    世紀の大犯罪!お金が欲しいというのもあるが、ビックな事をして世間をあっと言わせたい。上手く逃げ切れたとしてその先にあるのは、生涯逃れられない破滅の予感と苦悩だけなのか。

  • 面白い。内容が取材形式でどんどん引き込まれる。
    これが本当であれば、犯人を捕まえられるチャンスがあったのに。なんか、真相わからずモヤモヤする。ますますこの事件に興味が湧く。
    いつか、犯人は死ぬ前に表にでてきてほしい。最後まで謎のままは納得いかん。

  • ジャーナリストの「一橋文哉」が三億円事件の真相に迫った『三億円事件』を読みました。

    テレビで三億円事件を扱ったドラマを放映していたので、三億円事件に関する作品を読みたくなったんですよね。

    -----story-------------
    ついに警察が緊急事情聴取! 
    やっぱり「あいつ」だった――。
    新たに衝撃の「後日談」を収録!

    1968年12月10日「三億円事件」発生。
    多くの謎を残し、7年後に時効が成立。
    それから約20年、一枚の焼け焦げた500円札が一人の男を動かした。
    執念の取材が明らかにする捜査本部の混乱、モンタージュ写真の欺瞞、浮かび上がる三人の男……。
    やがて突き止めた「真犯人」はアメリカにいた! 
    6時間にも及んだ手に汗握る「対決」。
    正体は? 
    動機は? 
    そして三億円の行方は? 
    -----------------------

    内容の真偽については、様々な意見があるようですが、、、

    綿密な調査とインタビューにより、なかなか説得力のある内容になっていると感じましたね。

    以下の構成で、著者が三億円事件の真相に迫る姿が描かれています。

     ■プロローグ 証拠
     ■第1章 雷鳴
     ■第2章 布石
     ■第3章 内紛
     ■第4章 接点
     ■第5章 疑惑
     ■第6章 黒幕
     ■第7章 捕捉
     ■第8章 対決
     ■第9章 混沌
     ■エピローグ 孤独
     ■資料編(事件関連地域地図・脅迫状全文)
     ■「クレイジー・ジョー」最果ての地に死す
     ■あとがき

    子どもの頃に時効になった大事件で、当時は子ども向けの雑誌にも取り上げられており、爽快さを感じるくらい見事な手口だったことや、奪った金額が三億円と高額だったことから、印象深い事件でしたね。

    この事件で時効という言葉を覚えたことと、警察官の姿をしたモンタージュ写真が鮮明に記憶に残っています。

    当然、事件のことはキチンと理解できていなくて、

    ■白バイ警官に扮した犯人が、現金輸送車を騙して三億円を奪った。

    ■現金輸送車から、別のクルマに乗り換えて逃走した。

    ■奪われた現金は使われた形跡がない(全てのお札の紙幣番号が記録されていたと勘違い)

    程度の、当時の知識しか持ち合わせていなかったのですが、

    ■事前に多摩農協に脅迫状を送りつけ、金融機関や警察の行動を観察していた。

    ■多くの目撃情報や遺留品があった。
     (ただし、警官の制服、ヘルメット等は未発見)

    ■白バイの偽装は意外と稚拙だった。
     (専門知識不要?)

    ■米軍基地との関連…。

    ■モンタージュ写真にはモデルとなる男性がいた。

    等々の、様々なことを知ることが出来ましたね。


    著者は、元警察官で日本信託銀行や東芝府中に怨みを持つ「先生」、混血で非行少年グループのボス的存在「ジョー」と、その弟分の「ロク」の三人組が真犯人と確信し、渡米して「先生」に直接取材をしながら真相を明らかにしとうと試みますが、残念ながら、真相究明にまでは至りませんでした。


    取材内容については、どこまで本当なのかなぁ… という疑問もありますが、、、

    まぁ、小説として愉しく読むことができましたね。


    真相を知りたくなりますねぇ。

  • 三億円事件を追ったノンフィクション。
    幼かった私でも、あの写真と事件の概要だけは覚えています。
    さて、犯人は誰(たち?)だったのか。
    なぜ捕まえることができなかったのか。
    小説より奇なりとはよく言ったものですが、かなり昔の事件を根気よく取材してきたことに敬意を表します。
    果たして、真実はどこにあるのでしょうか。

  • 同著者の「もう時効だから、すべて話そうか」にて、「三億円事件を解決した」という様な表現とともに、この書籍が紹介されていた。
    え?解決したの?と興味を持って、読み始めた。

    本事件自体が、極めてドラマ性に溢れているのだが、この著者の文章の著し方は、事件によく合っていると感じた。
    ドキュメンタリーとしては、推定事項をそのまま進めたり、読者には判断できない事柄が含まれたり、事件と関係ない描写が多かったりと、読みづらい側面もある。

    しかしドキュメンタリーらしからぬ、この描き方も有りなのではないか、と思える程に内容は重厚と感じた。
    後に北野武氏が主犯役でドラマ化されたとあるが、もっともだと思う。

    後半、とうとう主犯格の男に辿り着き、インタビューの機会が得られる。
    ここまで辿り着いていた事にまず驚く。

    インタビュー中、相手が狼狽する様や激高しかける描写があるが、この辺りは著者の描き方次第だな、と感じた。
    その為ああ映像で観てみたい、という気持ちを強く持った。

    私が好きなTV番組に、NHKの「未解決時間」という番組があるが、ここと組んだら凄い番組になるのでは、と夢想する。
    好き嫌いが判れそうだが、私はこの著者の他の「作品」も読みたいと感じた。
    既に2冊目だけど。

  • 前半は概要説明と証拠の羅列が長く感じられたが、真犯人への突撃インタビューからの展開は引き込まれて一気に読了した。筆者の真実を追求する姿勢と執念には、非常に感服させられると共に学ぶものがあった。

  • 文体や表現が長編には向いてないような気もしたが、構成は面白かった

  • フィクションなのか、ノンフィクションなのか
    曖昧な小説?

    事件内容も、資料関係も世に公開されている物が
    多いので、読む方もスラスラ読み進めていける。
    飽きさせずに読ませて行く文章は魅力。

    警察の威信を賭けて、延べ17万人の捜査官が
    時効まで追ったのにもかかわらず
    何故かここの、ジャーナリストとスタッフに
    事件関係者がポンと現れ、真犯人を追える根拠が
    微妙な感じがした。

    後半「先生」なる人物も、証拠不十分、
    捜査官でもない人物に、青ざめたり
    口ごもったり、2度も面会したり。
    さらにはジョーが…など。

    ここが。
    一番ノンフィクションぽくない。

    だが、事件の背景、捜査資料や
    地理な部分には極めて忠実であり
    福生、埼玉川越ラインの何処かに
    アジトがありそうと思わせてくれる
    文章はとても良かった。

  • 2019/09/08

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著者プロフィール

東京都生まれ。早稲田大学卒業後、全国紙・雑誌記者を経てフリージャーナリスト。本名など身元に関する個人情報はすべて非公開。1995年、「ドキュメント『かい人21面相』の正体」でデビュー。グリコ・森永事件、三億円強奪事件、宮崎勤事件、オウム真理教事件など殺人・未解決事件や、闇社会がからんだ経済犯罪をテーマにしたノンフィクション作品を次々と発表している。近著に『餃子の王将社長射殺事件』『人を、殺してみたかった 名古屋大学女子学生・殺人事件の真相』(KADOKAWA)など。

「2020年 『政界ヤクザ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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