テーブルの雲―A book for a rainy day (新潮文庫 は 25-1)
- 新潮社 (1996年9月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (334ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101428215
感想・レビュー・書評
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国文学者、林望先生のエッセイ。インターネットより少し前くらいだが、すでにコンピューターの話なども入ってくるのに対して突然、鴎外の時代に戻ったかのような文章が出てきたりするのが面白い。
基本的に、オチは特にない柔らかいエッセイなので、気軽に読める。また、面白いとはいえ、始まりと終わりで全く違う話になったりもしない。テーマを決めたらそこからはなれないので理解もしやすいだろう。
ところが、毎回テーマが決まっているわけでもないのか、どこか別のエッセイから寄せ集めているのか、時々はさまれる、一般論をぼんやり書いた短い文章が浮いている。
やはりエッセイの醍醐味というのは、自分の体験を書いたものに有るのであって、一般論で説教されたくないものである。
それはそうと、面白いのがシモネタの話。まあ、ここまで上品にシモネタを書ける人って、なかなかいないんじゃないかと思う。上品なシモネタって矛盾してますが。
細切れで読めるので、電子書籍にも向いてます。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
本を読んでいて、出会うべくして出会った、と思える瞬間がある。
幸せなことに、この本でもそんなことがひとつ。
それ以外に、全体を通して林さんの考えるところが滔々と書いてあり読んでいておもしろい。
また、一日で一気読みできたのは、文章の魅力故とも言える。
あまい/すっぱい/しほからい/にがい/からいという章立てもおもしろい。それぞれのイラストが素敵。
このタイミングで読めたことに感謝して、☆4つ。 -
何につけ一過言あるハヤシセンセイ。テーマは多岐に渡るけれど、軽妙にして洒脱な文章で、するする読める。