夜ごとの闇の奥底で (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (460ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101440118

感想・レビュー・書評

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  • 雪深い山奥のペンションとそこに住むサイコパセティックな男という設定はスティーブン・キングの小説を彷彿とさせ、息詰まるような心理劇が展開されるものの、主人公の祐介が殺人容疑をかけられる話と監禁される話とがどちらも中途半端で終わった感が否めず、サスペンス性の点では盛り上がりを欠いた。祐介の味方となる亜美に驚くべき重大な秘密が隠されていそうにも思われたのだが、然にあらず、結局は型通りとも言える幕切れで終わったのは勿体ない。筋立ての巧みな小池真理子の作品にしては消化不良気味。曰く有り気なタイトルはボードレール「深淵」からの引用で、如何にも若い頃より詩に親しんできた著者ならでは

  • どんな結末が待っているのか?ドキドキしなから最後までイッキ読み。かなりサスペンスな内容ですが読後感は悪くない。

  • 犯した罪を隠そうとしたために、どんどん深い穴に落ちていく、、、。怖い怖い。

    狂気に満ちた父親の言動に、BGMとしてクラシックが使われている。小池真理子の話によくあるのだけど、本当に効果的。歌詞のないクラシックが余計に怖さを増す。逃げてーーーー!笑

  • 誤って恋人を射殺してしまった妹をかばうため、拳銃を捨てに山奥へ向かう世良。まずそもそも無理がありすぎる気がしました。

    妹をなぜそこまでかばうのかっていう背景も丁寧に描かれていますが、なんかすっと入ってこなかったです。

    そして拳銃を捨てに向かう最中何故か高熱に見舞われている世良。ってのも「なんで?」って感じでした。
    登場人物たちの行動・判断に納得いかない場面が多い!

    まぁそんなこんなで、結局世良は事故を起こし、亜美という女に助けられてペンションへ行き、そこで亜美の父親に監禁される。

    結局は亜美の父親の狂気を描いているのですが、それが思ったほど怖くないんですよね~。

    物語の大半が、ペンションに閉じ込められた世良と、亜美と、父親の3人で進むのですが、いまいち盛り上がりに欠ける。基本、ペンションの中で世良が監禁されてるだけなんで(笑)
    いや、逃げようと画策したり色々あるにはあるけど中途半端。そしてラストも非常にあっけない。
    ちょっとこの作品は合わなかったです

  • 行きの新幹線で読了。面白く読んだが、主人公にとって亜美ちゃんは都合良すぎるキャラクターだ。もっと父娘一体という設定なら怖かったかも。最後は、そこだけ西村京太郎が書いたような急展開だった。

  • 読んでる途中で気づいたけど、これ昔に読んだことある(-_-;)

    あんまり面白くない。
    登場人物の誰にも魅力がない。
    最後のオチもなんだかなぁー

  • 「ミザリー」と「シャイニング」を足して割った様な。

  • 主人公はフリーの雑誌記者、世良祐介。
    彼は誤って恋人を射殺した妹をかばうため、凶器となった拳銃の捨て場所を探しに山梨方面に向かった。
    そして山中でハンドルを切りそこない、車を木にぶつけてしまう。
    そこに幸運にも一人の若い女性が通りかかり、近くにある彼女のペンションに向かう事となる。
    そのペンションは彼女と父親の二人で経営しているペンションで、客はほとんど来ない寂れたペンションだと言う。
    その言葉通り、客は誰もおらず彼一人。
    父親は元教師だと言うが、最初から彼を胡散臭い目で見て質問責めにする。
    祐介はペンションから何度も妹に電話をするも通じず、悪い予感がして早く東京に帰りたいと思う。
    ペンションは雪にふさがれて、駅からも遠い。
    しかし、歩いてでも帰ろうとする祐介。
    所が、ペンションの支払いをする際、財布がない事に気づき、それを知った父親はそれならばここから出す訳には行かないと言う。
    そして、彼は雪と狂気の中に囚われる事となった-。

    「出ていくな」と言われても普通だったらそれを振り切って出て行く事は出来る訳です。
    いくら雪に閉ざされて、駅が遠いと言っても主人公は30代の男性ですから。
    でも、彼にはそうできない理由がある。
    拳銃が手元にあり、今指名手配されているかもしれない事を考えると派手な行動を起こす事は避けたい。
    一方、「出て行くな」と言う父親の方も無銭飲食をしたからと警察を呼ぶ訳でもない。
    彼を縛りつけたりする訳でなく、3食の食事も用意する。
    その辺の意図の分からなさが却って、普通の精神状態でない、と思わせて不気味な雰囲気が漂います。

    この父親は娘が過去に犯した男性問題で教師の職を辞め、さらにペンションを始めたこの地でも同じく娘の男性問題によって肩身の狭い思いをする事になる。
    それがプライドの高い彼には耐えられず、人づきあいを避けて、静けさの中でどんどん狂気を育てていった-そんな人です。

    そして、娘の亜美はそんな父親に罪悪感をもっている。
    同じく、主人公の男性も幼い頃、妹と遊んでいる時に、妹の小指を無くしてしまうという悲惨な事故を起こし、それで妹に罪悪感をもっている。
    それがこの事態を招いたとも言えるのではないか・・・と思いました。
    罪悪感は一種、優しさにつながっていると思うけど、それが皮肉にも狂気だとかひ弱さだとかを育てる土壌になってしまった・・・そんな風に感じました。
    途中、主人公の妹に猛烈に腹が立つ場面がありましたが、ラストを見て気がおさまりました。

    静かな雰囲気漂うサイコサスペンスです。
    「ミザリー」っぽいな、と思ったけど、主人公が30代男性のためあれほどの恐怖は感じませんでした。

  • 親父の乱れっぷりと、闇に潜む親父にビクビク感はなかなか良いが、もっと乱れて欲しかった

  • 解説 吉野仁 によれば、
    心理サスペンスであり、モダンホラーだとのこと。

    たしかに、心理不安,現代恐怖ということばはよく似合う。
    妹が事故で人を殺した時,不安さえなければ、すぐに救急車を呼び,
    必要があれば警察が来るだろう。

    不安だからこそ、冷静な時になら取れる行動が取れない。

    山奥のペンションの親娘も同様だろう。
    不安だからこそ、男を監禁しようとする。

    現代社会の心理の裏側を描写している。

    最後は裁判の陳述を台本風に描写しているのは一工夫なのだろう。

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著者プロフィール

作家

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

小池真理子の作品

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