望みは何と訊かれたら (新潮文庫)

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著者 : 小池真理子
  • 新潮社 (2010年5月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (621ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101440255

望みは何と訊かれたら (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  •  いわゆる学生運動に大学生の多くが何らかの形で関わってきた1960年代後半~70年代前半期は過激派活動も活発であった。本作は、この時代に焦点を当てた、私より一回り半ほど年長の女性の青春回顧物語である。

     本作は過激派内でのリンチ事件を題材にしていて、確かに著者の描く題材は他の作と違ってはいる。
     しかし、著者の人物造形は過去作と大した違いは見出せない。そして、その青春の燃え滓が、現在の幸福そうに見える家庭の虚構性と、女の破滅願望を炙り出す様も同様だ。

     ただ小池氏著の小説「律子慕情」でも感じたが、この狂騒の時代と称すべき70年代前半期の空気感は、同時代を生きた著者ならでは。
     なかでもここで描かれるのは、高邁な理想を高らかに歌う政治的暴力革命肯定主義者たる男性(リーダーだけではない)による、同士女性への態度と行動が人間的に唾棄すべきレベルであることだ。
     70年代的フェミニストと規程されそうな著者らしい切り方である。

     一方で、主人公沙織の、自己決定の意思力の乏しさと、素敵な男性に飼われたいという幼児退行的願望もまた、当時の同性への痛烈な皮肉を感じさせる描写である。

  • 時代に流されること、学生運動の行き着く先が怖い。

    庇護される女と庇護する男の関係が濃密。

  • 様々な要素が含まれた長編作。70年代の過激派の組織や個人が実名で登場し、当時の高校・大学生の生活が生々しく描かれている。
    一方で青年に匿われているうちに飼いならされていく沙織。
    確かに明確なテーマは見え難いかもしれない。
    ただ、やっぱりこの物語は最終章に全て濃縮されていると感じる。
    再会した時、吾郎が手に持っているプリンに自らが口を差し出した時、止まっていた歯車が回り始める。
    30年間封印されてきた狂気とも欲望とも言える忘れられない狂喜に再び堕ちていく沙織がそこに居た。

  • 文句なしの小池さん。

  • この前に読んだ無伴奏と同じ時代背景。
    またまた主人公に感情移入できず。
    悪くはないと思うけど・・・

  • 初めて読んだ小池真理子さんの著作。

    去年の秋頃、とっても色っぽく年を重ねている女性の方とお会いする機会があって、その際におすすめの恋愛小説として小池真理子さんの著作を挙げられた。
    彼女曰く、小池真理子は作家の中で特に美人で、きっとものすごくもてていた、そういう人が書く描写はすごく生々しくて、だから好きなのだそう。
    それ以来ずーっと読んでみたくて本作を購入し、今年になってようやく読み始めたの。笑

    読んでみての感想は、久しぶりにこんなどろどろした気持ちになった。
    読んでいて気持ちがずーーーんとなる小説が(特に去年の夏、ロンドンから帰国後)好きだったんだけど、まさにそう。
    本作については、読んでいる間はすらすら先が気になって読み進めちゃうんだけど、ふと本を置いた時とかにくるなんとも表し難い暗さが癖になっちゃう。
    どうしようもなく、包まれる、
    暗くて、痛くて、狂気的な感じ。

    なんか、流されて生きるって怖いと思った。
    自分の芯を持ってそれを信じ続けて生きるのって、今の私にとっては難しい。(自信がないからかな?)
    他人を応援することや、思想や行動についていくのは、簡単。
    簡単だけど、その分なにかを犠牲にするのかな。
    なにかを犠牲にするって言うのも語弊があるな。自分のために使える時間なのに、他人のために貴重な時間を費やしてしまってる、というニュアンス。
    確かにそれは誰かと生きていくことに必要なこと、、、だと思う。ある程度までは。
    ただそれが過度になりすぎちゃうと依存度の高い、自分がない人生になっちゃうのかなって思った(・ω・)ノ
    私も最近そうだから気をつけよう。

  • 小池真理子にやられました。

    モロー美術館の一角獣の前で再開!
    名刺の裏に携帯ナンバー → これはやったー!!!
    どろどろの恋愛小説! → これはやったー!!!
    しかし、読んでも読んでも秋津吾郎が出てこない。
    どろどろとした不倫だと思っていたのに。

    しかし・しかし・・
    読むにつれ引き込まれていきます。

    「震えるほど怖いと思うのに、追いすがりたくなるほど恋しい。」
    小池真理子の恋愛小説である。

  • この時代(政治と思想)の小説がとっても好き。60年代70年代の大学生を描いたものがたまらなく好き。
    私らの時代には時代の核とよべるものはもう何もないからなぁ。核の有無は単純な善し悪しでは測れないけど、ぼんやりとした憧れがある。

    安穏としているうちに終わりそうな今も好きだけど。

    小池真理子さんの作品は3作目。
    「恋」(これも政治と思想の季節が描かれている)、「瑠璃の海」。
    「恋」はひょっとしたら今まで読んだ恋愛を扱った小説の中でもかなり好きな作品になったんだけど「瑠璃の海」があまりにも陳腐なフリンものだったんで萎えてそれ以来読んでなかった。

    「無伴奏」も「恋」と本作と同じような時代が描かれているらしいので次は「無伴奏」かホラー短編集を読む。

  • 本としてはとても読みごたえがあるし、
    さすがに小池真理子さんって事で、一応★は4つにしました。
    が、
    内容は自分の好みから言えばものすごく気持ちの悪い本でした~。

    学生運動盛んな時代に青春を過ごした人には、
    あの時代は本当に特別なものなんでしょうが、
    その時代を知らない自分には、その特別感がうまく言えませんが
    なんだかうっとうしい。
    (だからどーした。何がそんなに特別なわけ??って、感じ・・・。)

    それに50も超えた男女のあられもない性描写は、なんだか醜悪・・・。
    色々理解出来ない感覚が多かったせいか、
    人間の内面の毒気にあてられたせいか、
    読後感はなんともいえない気持ち悪さ・・・。

  • 学生運動。異常な状況での男女関係。
    タイトルがいい。

  • 学生運動はただの前ふり。
    退屈だった。

  • 途中から、読んだのを後悔したほど恐ろしくてたまらなくなったのだけれど、ものすごおおーーく引き込まれて夢中で読んだ。やめられなかった。小説らしい小説というような感じがして、読みごたえあった。衝撃的ですら。わたしは1964年生まれなので学生運動についてはあまり知らず、これまであまり深く考えたことがなかったんだけど。でも、ごくごく普通の学生でも、ちょっと文学とか哲学とかに興味あったりしたら、たちまち運動に引き込まれてしまいそう。あと、普通に分別のある人間だろうに、特殊な状況に置かれると、集団の狂気というか、リンチ殺人とかおかしいと思わないようになるのか、などと思うと人間って本当に怖い、としみじみ。現在の、原発のこととか、肉の食中毒のこととか、人間って集団とか組織になるとまともな分別をなくすんだろうか、とかまでいろいろと考えてしまった。恋愛モノとしては、わたしは、どろどろした、とか、退廃的とか幻想的とか、苦手なので、あまり……。これが初小池真理子だったのだけれど、「恋」も読んでみるべきなんだろうか……。

  • 「学生運動(と、その後の彼らと
    彼女らの)小説」。そのカテゴライズで良いのだが、それだけでは無い。タイトルにもなっている「望みは何と訊かれたら」?この答えをとにかく分かっている様な分かっていないような明暗が入り混じる世界に放り込む小説だ。

    学生運動の持つ青臭く初期衝動だけの感情も、その渦中で起きる事件も、その後の人並み以上の幸せも、学生時代をフラッシュバックさせる再開も、全てこの問いに主人公を答えさせるための舞台装置。

    ラストの「答えははっきりしている。たが、言葉にできない」を読者に納得させるために全て必要なディテール。

    「完全なる飼育」の世界と「自己批判」と言う名の思考停止状態には共通の闇と快楽があることを見い出したのは、さすが恋愛小説の名手。

    あの時代を知らない人が彼ら/彼女らの当時と今を追体験できるという特典付きの秀作、お勧めです!!

  • 背景にあるのは学生運動…私には無縁の世界だったのでその時の主人方たちの心情がイマイチ理解出来ない…

  • ◆あらすじ◆
    パリの美術館で、槇村沙織は三十数年ぶりに秋津吾郎に再会する。
    彼こそは、学生運動の果ての壮絶な静粛リンチから身ひとつで逃走した二十歳の沙織を、半年間匿ってくれた男性だった。
    運命の再会は二人に何をもたらすのか───。
    殺意と愛情がせめぎあう極限状況で人生を共有しあった男と女ゆえの、根源的な結びつきと、身体も魂も貫く究極の悦楽を描き尽くした著者最高の恋愛小説。

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パリの美術館で、槇村沙織は三十数年ぶりに秋津吾朗に再会する。彼こそは、学生運動の果ての凄絶な粛清リンチから身ひとつで逃走した二十歳の沙織を、半年間匿ってくれた男性だった。運命の再会は二人に何をもたらすのか-。殺意と愛情がせめぎあう極限状況で人生を共有しあった男と女ゆえの、根源的な結びつきと、身体も魂も貫く究極の悦楽を描き尽くした著者最高の恋愛小説。

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