晏子(一) (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (430ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101444215

作品紹介・あらすじ

強国晋を中心に大小いくつもの国が乱立した古代中国春秋期。気儖な君公に奸佞驕慢な高官たちが群れ従う斉の政情下、ただ一人晏弱のみは廟中にあっては毅然として礼を実践し、戦下においては稀代の智謀を揮った。緊迫する国際関係、宿敵晋との激突、血ぬられた政変…。度重なる苦境に晏弱はどう対処するのか。斉の存亡の危機を救った晏子父子の波瀾の生涯を描く歴史巨編、待望の文庫化。

感想・レビュー・書評

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  • 随分前に胸を躍らせて読んだ記憶がある。マンガで三国志を読んだ勢いで、再度「晏子」を読むことにした。時代は春秋時代。諸葛亮孔明の生まれが181年、晏弱(父)の生まれが紀元前556年ということなので、この本の舞台は、三国時代から遡ること700年くらいだということになる。

    春秋時代中期に大国と呼べる国は、秦、晋、楚、斉の四国で、本書の主人公晏子はその斉の人である。ただし、本書はその父・晏弱の活躍の時代から描いている。

    第一巻の主役は父・晏弱。斉の当時の君主・頃公の品のない外交上の悪戯が晋との間に確執を生じるもととなり、その尻ぬぐいにかりだされたのが、本書での晏弱の最初の役割だった。

    晋の郤克の怨念の種を蒔いたのは、晋の頃公なのだが、その郤克の執念深さもまた強烈で、その両国のプライドをかけた戦いに、斉の側で戦いを進めたのが晏弱あった。

    彼の勇と智、そして人を引き付ける魅力で、読者としては、どうしても斉びいきとなっていってしまう。

    子の晏嬰の誕生に触れられたが、まだその片鱗は紹介されていない。

  • 前520年頃。晏嬰(あんえい)とその父晏弱(あんじゃく)の物語。斉の名宰相と呼ばれた晏嬰。史記の著者である司馬遷も彼を尊敬していたそうです。
    晏嬰は,父が死んでから古い礼儀にしたがい3年間の喪に服したそうです。当時は1年はあったとしても,3年間は珍しく,これが人々の尊敬を集めるきっかけになります。喪中に敵が晏嬰宅に攻め込みましたが,これを見て感激し「手を出してはならぬ」と命じたそうです。
    晏嬰が喪から明けたとき,斉は宰相の崔杼の陰謀等により滅亡の危機でした。しかし崔氏も没落し,景公が王位についた時,晏嬰は入閣しました。晏嬰は景公にも臆することなく諫言し,国を大いに栄えさせました。
    晏嬰は歯に衣を着せず,相手が君主であろうとNOを言い続け,しかも天寿を全うしたことがすごい。
    また晏嬰は位が高くなろうとも質素倹約につとめたことは,管仲や范雎,子産が多少吝嗇に走ったことを考えると異質であり,すばらしい。
    春秋戦国時代は,富めば嫉視され,貧しければ蔑視される。力があれば憎まれ,力がなければ虐げられる。このような中,正道を進んでゆくのは至難である。しかも天寿を全うするなど,天が晏嬰を生かしたとしかいいようがない。
    「君主に愛されるより,民に愛されることだ。君主は一代であり,民は永代である」「人が迷うとすれば,欲においてである。欲を捨てれば,自ずと迷いも消える。ただ,欲を捨てようとすることも欲であり,難しい。過大な欲を捨て,寡欲であればよい」「勇気とはおのれの正しさを貫いてゆく力をいう」「やり続ける者は成功し,歩き続けるものは目的地に到着する。わたしは人とかわったところはないが,やりはじめたことはなげださず,歩き続けて休まなかったものです。あなたが私に勝てないというのであれば,ただそれだけのことです。」この言葉が好きだ。
    全4巻
    1回目2008/2/3

  • 一度読んだときに父親に惚れ、三度読み直したときに息子にやられました。ふと、晏子親子に会うために読み替えしたくなる物語です。

  • 古代中国春秋期に活躍した晏子父子を描いた小説。
    戦乱の時代にあって、信念を貫き、生き残った父子の姿に感動しました。
    中国歴史の知識が無くても、人間ドラマとして楽しめる作品です。一読あれ!

    【鹿児島大学】ペンネーム:まり
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    鹿大図書館に所蔵がある本です。
    〔所蔵情報〕⇒ http://kusv2.lib.kagoshima-u.ac.jp/cgi-bin/opc/opaclinki.cgi?fword=21195014420
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  • 久々に中国史熱に冒されたため、前から気になってた晏子を読んでみた。
    晏弱、晏嬰の父子2代にわたるドラマの幕開けである第1巻。春秋時代の斉において決して高い身分にない晏子が、その才能と国への厚い忠義心によってどう出世を遂げていくのか…
    熱い、熱すぎるぜ!

  • 宮城谷昌光さんの作品の中でベストと言っていいでしょう。晏子と聞いて、まさか父親の代から物語が始まるとは!しかも、ストーリーとしては、父、晏弱の方が面白いかもしれません。少しづつ頭角を現しながらも、人として男として屹立している姿にしびれます。

  • 大学の図書館でこの本に出会ってから、宮城谷昌光さんのファンです。
    私の人生に大きな影響を与えてくれてました。

  • 晏子の言行録から得られる人となりを、まごころを通じて体現した小説。宋の公子として生まれたために亡命を余儀なくされた晏子。斉では不遇であったが戦略眼で国難に立ち向かう、といったところでしょう。ここでいう晏子は晏弱です。宋は殷の子孫なので子弱、晏に領地をもらったため晏氏となりました。全てを失った男の決死の覚悟が突き動かしたものは!?

  • 人間の運命は神意によって決められた一定不変のものではなく、人間の後天的な行動、修養をつみ、道徳を励ますことによって、ある程度変えることができる。

  • 全体の感想は最終巻に記載したい。

    だが、流れるような言葉と描写は流石と感じた。

    第二巻も期待して読みたい。

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著者プロフィール

宮城谷昌光
1945(昭和20)年、愛知県蒲郡市生れ。早稲田大学文学部卒業。出版社勤務のかたわら立原正秋に師事し、創作を始める。91(平成3)年『天空の舟』で新田次郎文学賞、『夏姫春秋』で直木賞を受賞。94年、『重耳』で芸術選奨文部大臣賞、2000年、第三回司馬遼太郎賞、01年『子産』で吉川英治文学賞、04年菊池寛賞を受賞。同年『宮城谷昌光全集』全21巻(文藝春秋)が完結した。他の著書に『奇貨居くべし』『三国志』『草原の風』『劉邦』『呉越春秋 湖底の城』など多数。

「2022年 『馬上の星 小説・馬援伝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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