- Amazon.co.jp ・本 (366ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101445021
感想・レビュー・書評
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シリーズ始動!の短編集。後に弟子となる不動丸や美保子、強引に登場する赤染姉妹など登場するのが楽しい。思っていたよりガンジー先生がまともなことに驚き。新保博久氏の解説で〝魞沢くん〟の櫻田智也氏と泡坂妻夫の遭遇が知れて良かった。
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当初、読みたいと思ったのは「しあわせの書」だが、ガンジーシリーズの第1作であるこちらを優先。
表紙の絵から ヨギ ガンジー は、いかがわしそうな奇術師で、インチキ臭い感じがプンプンしてる。
表紙の絵では「名探偵」と書かれたターバンを巻いているが、しあわせの書では「迷探偵」生者と死者では「酩探偵」と変化するそうだ。
ふざけた野郎だとガンジー像を作って読み始めたが、意外と真面目と言うか癖がなかった。
このへんは亜愛一郎も同じで、主人公のキャラで遊ぶのはほどほどにして、トリックの内容をきちっと語らせることに徹している。
さて、その肝心の作品内容だが、
最初の「王たちの恵み<心霊術>」の謎解きから、まさかそうくるとは!…と予想外の展開だった。
普通は皆が考えがちな判断が実は間違っているという、ごく常識的な決めつけを逆手にとられ「やられた」感を受ける。
「ヨギ ガンジーの予言<予言術>」も勝手な思い込みを利用して騙す手口の種明かしが語られる。
予言の内容を書き留めるために使った、どこにでもある道具にそんな仕掛けをしているとは微塵も思いもしない。
何とかトリックを暴いてやろうと思って読んだのだが、どの話も全く予想できなかった。
全てが明かされた後、もう一度読み直してもトリックがわからないように書かれている。
全編、素直に「へぇ~、そういうこと?!」と、からくりを楽しむ内容だった。 -
本書はブク友のたださんと111108さんに教えていただいた。
「しあわせの書」「生者と死者」という何やら仕掛けのある本が気になったのがきっかけ。
しかしまず本書を読んで"ヨギガンジー"なる者が何者か知った方がより面白いかも、というアドバイスを受け、借りてみた。
ヨギガンジー?妖術?何のこと?、と最初は主旨が掴みにくかった。表紙の絵みたいな人なのかな〜。とにかく怪しい人。でも探偵らしい。
しかし読み進めるうちに、このヨギガンジーと弟子の不動丸のキャラクターが好きになっている不思議。そして事あるごとにプッと吹き出して笑ってしまっていた。
胡散臭いキャラクターとその言動の可笑しさ、しかし実は人間味溢れた人柄。私はこのヨギガンジー先生が好きになってしまった。胡散臭さをもっと見せてほしい、笑わせてほしい。
殺人など恐ろしいことは起こらず、ヨギガンジー先生の手で、穏やかに事件が解決するのも良い。
さて次は「しあわせの書」を読んでみよう!
その次はいよいよ「生者と死者」。後で袋とじを開けて読む、仕掛けのある本らしいのだ。楽しみ。
(その他)
「釈尊と悪魔」が面白かった。
作中の劇というのかな…劇の進行も織り交ぜた話の進め方が見事だった。
またその劇の演目はお釈迦様の話。そこに怪しげなヨギガンジー達も舞台に上がり、うまく配役されたドタバタ劇が可笑しかった。-
111108さん、なおなおさん、こんにちは。
コメント欄が更新される度に、かつての内容が懐かしく感じられ、作品を読む以上に、それについて語...111108さん、なおなおさん、こんにちは。
コメント欄が更新される度に、かつての内容が懐かしく感じられ、作品を読む以上に、それについて語り合ったことが、如何に楽しいのかを実感させてくれます(^_^)2022/08/07 -
たださん、こんにちは。
あちこちのコメントで盛り上がっております。
akikobbさんの方では、妄想キャスティングを展開しております。
た...たださん、こんにちは。
あちこちのコメントで盛り上がっております。
akikobbさんの方では、妄想キャスティングを展開しております。
たださんのご意見も伺いたいなー。2022/08/07 -
なおなおさん、111108さん、たださん、こんにちは。
たださん、お三方のやりとりを拝見していたので、私こそ、仲間入りできたようで嬉しいで...なおなおさん、111108さん、たださん、こんにちは。
たださん、お三方のやりとりを拝見していたので、私こそ、仲間入りできたようで嬉しいです。どうぞよろしくお願いします!2022/08/07
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ヨギ ガンジー。年齢不詳(意外に若い?)。
陽焼けした顔は鉤鼻で目が大きく、見るからに外国人で、筋肉質に痩せており、ヨーガが得意。
日本語を辿々しく話すときもあるが、各地で講演会をするくらいには、普通に話せる(要するに、わざとそうしているのだ)。
その内容は、ピックアップショウ(すり)、催眠術の講義、心霊術の実験、等々…、非常に胡散臭い(笑)
しかし、それらが彼の持ちうる人間性のほんの一部にすぎないことは、この連作短篇集を読むにつれて、自ずと実感できるようになり、殺人事件は全くなくても、彼は素晴らしい探偵だと納得させられることでしょう。
それは、マジックにタネがあるのと同じように、物事をよく見、かつ、それに心を奪われないことが大切だと、彼自身が話していたことそのものを、実践している点にあり、そこには、いかさまではなく、トリックであると述べる、彼自身の拘りも同時に感じられて、胡散臭い外面は、あくまでカムフラージュの可能性が高いのである。
また、物事だけではなく、人間の内面もよく見ている彼の人の良さも、いくつか見受けられ、「王たちの恵み」の、町の文化の未来を見守る姿勢に、「隼の贄」の、信者たちの将来を気遣う気持ち、「釈尊と悪魔」での、小さな大衆劇団への温かい眼差しなど、こうした一面もあるから、ガンジーの胡散臭さが、より魅力を増して見えてくるのも、作者のマジックであろうか?
いや、それはないだろう。彼には天の邪鬼だったり、好色の一面もあるし、何より講演会の質をケチったり、関西弁で喋ったりと、やりたい放題ではないか(本当にそう)。
まあ、それが面白いからいいか、と最終的には納得させられるのですがね。
ただ、知性があることも確かで、その境界線がしっかり見えるので、私は彼を信頼しております。
ちなみに、ガンジーと、二作目の「しあわせの書」で登場していた、「不動丸」、「本多美保子」との出会いのエピソードも本書で知ることができ、これが一作目だということに、再度納得しました。-
たださん、さっそく読まれたんですね‼︎
うさんくさい感があくまでカムフラージュなのか本当なのか‥実際自分の近くにいたら「近づきたくないなー...たださん、さっそく読まれたんですね‼︎
うさんくさい感があくまでカムフラージュなのか本当なのか‥実際自分の近くにいたら「近づきたくないなーでも気になるなー」という人なんでしょうね。そんな人がどんな推理するのか気になります。
私も妖術→しあわせの書の順で読もうと思います。楽しみ♪2022/01/22 -
111108さん、コメントありがとうございます(^-^)
ガンジーについて、色々、書きましたが、どこか達観した雰囲気もあって、それがユーモ...111108さん、コメントありがとうございます(^-^)
ガンジーについて、色々、書きましたが、どこか達観した雰囲気もあって、それがユーモラスな物語と結びついて、独特の面白さになっていました。
解説によると、他二作品は仕掛けがメインになっていて、探偵としてのガンジーは短篇向きらしいです。
私も、「しあわせの書」は仕掛けしか覚えていないし(あれは忘れられない)、副題が迷探偵になっているのも気になる…
実際にどうなのか、「しあわせの書」も、また読んでみようと思います。
111108さんも、探偵ガンジーを、最も堪能できるであろう今作品を、是非お楽しみ下さい(^o^)2022/01/23 -
たださん お返事ありがとうございます♪
探偵ぶりと仕掛け、どちらも楽しみ。読みたくてうずうずします!たださん お返事ありがとうございます♪
探偵ぶりと仕掛け、どちらも楽しみ。読みたくてうずうずします!2022/01/23
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面白かった!でもその魅力を説明するのが難しい(笑)。
ヨギガンジーと不動丸という、何者なのか説明しづらい男ふたり(一応、師弟関係)が探偵役?のミステリー?ですが、よくよく考えると殺人事件も窃盗事件も怪現象も起こってない…?でもトリックはある!作家でありながらアマチュアマジシャンでもあったというアワツマならではのミステリー、なのかな。ミステリーを読みたいけど怖いの苦手な人におすすめかも。
ガンジーは、「霞以外は食しませんので」と言いながら出されたご馳走をバクバク食べたり、片言の日本語で登場したと思ったら後できれいな東京弁を話していたり、「陰陽の特性からして助手は女性でなければなりません」と言って女性の手を握ったりと、胡散臭いこと極まりないのだが、「人を喰ったような」というちょっと悪意も滲むような形容はそぐわない。作品全体には下世話なネタもちらほらあるのに、不思議と下品じゃない。なんとなく品がある。どこか星新一味を感じる(最近私、感想でこのワードを使いがち)。
赤染明子・照子姉妹がなんか好きです。-
akikobbさん、こんにちは。
ヨギガンジーシリーズ、未だ終わらず! ・・・何のことやらと思われたら、すいません(^^;)
「泡坂妻夫...akikobbさん、こんにちは。
ヨギガンジーシリーズ、未だ終わらず! ・・・何のことやらと思われたら、すいません(^^;)
「泡坂妻夫引退公演 手妻篇」に最新のヨギガンジー作品が、三作収録されていることを、ヨギガンジー好きな方に、お知らせしてまして・・感想も書きましたので、よろしかったら、覗いてみてください(^_^)2022/08/19 -
たださん、ご紹介ありがとうございます!
さっそく読ませていただきました〜。
「引退公演」てタイトルも洒落てますね!たださん、ご紹介ありがとうございます!
さっそく読ませていただきました〜。
「引退公演」てタイトルも洒落てますね!2022/08/19 -
akikobbさん
いえいえ。こちらこそ、読んで下さり、ありがとうございます(^_^)
そうなんですよ。おそらく、泡坂さん自身が洒落た方...akikobbさん
いえいえ。こちらこそ、読んで下さり、ありがとうございます(^_^)
そうなんですよ。おそらく、泡坂さん自身が洒落た方なのを、皆さんご存知だから、こういうタイトルにしたのだと思います。2022/08/19
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超常現象を奇術で解決するミステリ
ドイツ人とミクロネシア人と大阪人の血をひき、ロンドンではヨーガを教え、シカゴではすりの実演、東京では医者を相手に催眠術の講義をする、謎の男ヨギ ガンジー
「しあわせの書」と「生者と死者」が気になり、シリーズものは1作目から読みたい派なのでまずはこれから読んでみた
連作短編で、収録は7編
・王たちの恵み〈心霊術〉
・隼の贄〈遠隔殺人術〉
・心魂平の怪光〈念力術〉
・ヨギガンジーの予言〈予言術〉
・帰りた銀杏〈枯木術〉
・釈尊と悪魔〈読心術〉
・蘭と幽霊〈分身術〉
奇術師が超常現象の裏側を見破るという設定はドラマ「TRICK」を思い浮かべるけど、ドラマのずっと前にこんな発想の物語はあったのですねぇ
使われているトリックに関しては、説明されればミステリではありがちなものだけど
そこに至るまでのミスリードなどが上手い
著者自身が奇術師であり、観客や読者の注視する部分の誘導に慣れているんだと思う
いかにも怪しそうなもの、常識や物語の定番など、読者は思考を誘導されてしまいがち
そんな思い込みをひっくり返す構図はなかなかよい
さて、ヨギ ガンジーとお付の者の概要を知ったので、「しあわせの書」と「生者と死者」も続けて読みます -
ドイツ人とミクロネシア人と大阪人の混血でヨガの達人という怪しげな男ヨギ ガンジーが、全国を講演しながら出会った謎を解く短編集。
遠隔殺人、念力、予言など超自然を思わせる事件が多いが、ガンジーは胡散臭い行者のような見た目ながら奇跡や超常現象はトリックであるという視点から事件を見て、論理的に解決するのが面白い。ネタはいま読むと古かったりするものもあるが、著者らしいトリッキーで楽しい短編集である。
なお、今出ている新潮文庫には7編入っているらしいが、読んだのが古い単行本で最後の短編が入っていなかったのが残念。 -
入手困難だったこの名作がやっと再販されたので再読。装丁は変わっていないが、新保博久氏の解説が追加されている。
改めて凄い短編集だと思った。奇術に相通じるトリックが惜しげも無く使われている。こういう騙し方があるのか、こんな伏線の張り方があるのか、と、前にも読んでいるのに唸ってしまった。
あまりにも斬新なトリックなので、他のミステリ作家がアレンジして使っている例が数多く存在する。泡坂さんは絶対にもっと評価されて良い作家さんだよなあ。
おお、ついに読まれたのですね(^_^)
しかし、ヨギガンジーがまともというのは、私にはちょっと解せない・・あれだけ好色...
おお、ついに読まれたのですね(^_^)
しかし、ヨギガンジーがまともというのは、私にはちょっと解せない・・あれだけ好色で、適当に生きているのにって、まあ、あれが世を忍ぶ仮の姿だというのも、認めざるを得ないところなのでしょうが(-ω-;)
ただ、探偵としてのヨギガンジーは、間違いなく素敵でした。
また、「生者と死者」においては、ヨギガンジー、何してたっけ? なんて、私にはほとんど印象に残らなかった感じだったので、そういう思いになったのかもしれません(失礼なこと書いてすいません)。
それから、解説の櫻田智也さんは、「蝉かえる」の方ですよね。
上記の作品で、亜愛一郎と同等の探偵の評価は、私も納得で、やさしさを感じられる物語も好きでした(^_^)
「サーチライトと誘蛾灯」も読まねば。
胡散臭さ、たぶん読む順番のせいでそう思ったんだと思います。順番大事ですね‥
胡散臭さ、たぶん読む順番のせいでそう思ったんだと思います。順番大事ですね‥
やっと読めました!
ヨギ・ガンジーがまともに思えたのは、読む順番のせいだと思います。最初に読ん...
やっと読めました!
ヨギ・ガンジーがまともに思えたのは、読む順番のせいだと思います。最初に読んだ「生者と死者」ではみんなが胡散臭かったので、私が色眼鏡でガンジーと弟子達を見てしまったのです。何をしてもインチキ商売の人みたいって思ってたので。あ、内容はこの前読んだはずの私も詳しくはもう忘れかけてるので、あくまで印象ですよ。
今回弟子達との出会いなどを知ると、ガンジーは逆にインチキ商売とか宗教とかそういったものをたしなめてる、まともな人だというのに改めて気づいたのです。そういう人達を陥れるためにワザと変なこと言ったりやったりしてるんだなぁと。そういう点で本書を読むきっかけを作ってくれたたださんに感謝です(´∀`)
そうなんです。「蝉かえる」の作者櫻田さんが泡坂妻夫と奇跡的な遭遇したことが新保さんの解説に書かれていて感動しました。「サーチライトと誘蛾灯」も良かったですよ。