生者と死者―酩探偵ヨギガンジーの透視術 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (215ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101445069

作品紹介・あらすじ

はじめに袋とじのまま、短編小説の「消える短編小説」をお読みください。そのあと各ページを切り開くと、驚くべきことが起こります-。そして謎の超能力者と怪しい奇術師、次次にトリックを見破るヨギガンジーが入り乱れる長編ミステリー「生者と死者」が姿を現すのです。史上初、前代未聞驚愕の仕掛け本。

感想・レビュー・書評

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  • この前から泡坂妻夫熱に。ヨギガンジーシリーズの第三弾であり異色作。袋とじだから買うしかない。ヨギガンジーの探偵ぶりもミステリーのオチもそんなに驚きはなかったけれど短編→長編にちゃんとなってる!こんな本を作ろうとしたことに感動。

    • たださん
      111108さん

      へえ、「しあわせの書」は二作目なんですね。びっくり(゜o゜;)

      しあわせの書については、仕掛け以外、あまり記憶にないの...
      111108さん

      へえ、「しあわせの書」は二作目なんですね。びっくり(゜o゜;)

      しあわせの書については、仕掛け以外、あまり記憶にないのが正直なところですが・・おそらく、111108さんのイメージ通りで合っていると思います(笑)

      そして、泡坂妻夫的なのも確かだと思います。キャラクターはB級的な異色さがあるけれど、手品師らしい、大掛かりなトリックにはすごくワクワクさせられて、好きですね。

      ぜひ、しあわせの書も、お楽しみください(^_^)

      それから、亜愛一郎好きなの、分かる気がします。
      あのシリーズも泡坂妻夫的で、作者のお人柄がすごく感じられて良いですよね♪

      私も、一番怪しい「生者と死者」が読めるように、まずは、「妖術」を探してみます(≧∀≦)
      2021/12/15
    • 111108さん
      たださんお返事ありがとうございます♪

      しあわせの書、読む気満々です!キャラクターのB級感いいですね〜(´∀`*)
      亜愛一郎もそうですが、な...
      たださんお返事ありがとうございます♪

      しあわせの書、読む気満々です!キャラクターのB級感いいですね〜(´∀`*)
      亜愛一郎もそうですが、なんか面白かったなぁという曖昧な記憶だけど忘れ難いというか‥。そんな泡坂妻夫感を満喫したいなと思います。

      生者と死者は、専用の原稿用紙に手書きで作ったらしいとの裏話と、再現性の無さに感動してます。あまり期待せず⁈読んでみてくださいね♪
      2021/12/15
    • たださん
      111108さん

      読んでみます。
      ありがとうございます(^o^)
      111108さん

      読んでみます。
      ありがとうございます(^o^)
      2021/12/16
  • 「しあわせの書」から7年後の作品だそうだが、本書もスゴイ!

    最初の短編にはヨギガンジーは登場しない。
    短編に登場した人物が、長編では全くの別人になっている。
    短編で使われた物も、長編では別の物になっている。
    短編は長編とは全く別の話になっているので、「消える短編小説」の謳い文句に納得。

    日本語の特徴や日本の常識を利用したトリックなのだが、すっかり騙された。
    これは翻訳不可能なので、日本人だけが楽しめる作品だ。

    佐藤雅彦さんの本で学んだ「代表制ヒューリスティック」という人の脳の癖を利用している。
    「代表制ヒューリスティック」とは、物事を見聞きした時に、既に抱いているイメージに囚われて、直感的に偏った判断をしてしまうこと。
    例えば、白衣を着ている → 医者? 理科の先生? と、自分の中の情報に左右されてしまうという現象。

    短編では確かにちょっと不自然な口調や描写があっても、自分のイメージに合うように補正して読んでいた。
    長編を読み終えてから、もう一度短編のページだけ読み直してみたが、長編のキャラクターが邪魔をして変な感じになってしまった。

    泡坂妻夫さん、チャレンジ精神にお手上げです\(^_^;)/

  • これは、さすがに図書館で借りるわけにはいかず、ネットで新品を購入。

    16ページ間隔で袋とじされた初期の状態において、まずは、その袋とじと袋とじの間の文章だけで構成された短篇を読み、その後で、全ての袋とじを切り開いていくと、短篇は消滅し、長篇ミステリーが現れるといった大仕掛けは、所々、苦しい部分も感じられたが、きちんと成立しているところに、尊敬の念を抱かずにはいられませんでした。

    しかし、ヨギガンジーを愛する者としては、ヨギガンジー始め、不動丸や美保子も含めて、それぞれのキャラクターの特性があまり活かしきれていないように思われたのと、探偵ミステリーとしては、物足りなさを感じたことが残念でしたが、おそらく物語の構成だけでも大変だったかと思われるので、仕方ないのかなと。

    個人的には、探偵ヨギガンジーの活躍を最も堪能できるのは、一作目の「ヨギガンジーの妖術」だと思うので、本書を読んで興味を持たれた方は、そちらもおすすめいたします。

    • なおなおさん
      たださん、また詳しくありがとうございます。

      「妖術」、まだほんの少し読んだだけです…挫折したらかえって申し訳ないです^^;
      責任なんて感じ...
      たださん、また詳しくありがとうございます。

      「妖術」、まだほんの少し読んだだけです…挫折したらかえって申し訳ないです^^;
      責任なんて感じないでください〜(;_;)
      今度は本屋さんで、新品ではどのような状態になっているのか確認してきます。
      (確認ばかりしないで、早く読め!って感じ^^;)
      ありがとうございました♡
      2022/05/14
    • たださん
      111108さん

      ワクワク感、その通りだと思います。

      長篇を読んでいる途中で、ちょうど短篇の、ある一つの部分まで読み終わって、次の袋とじ...
      111108さん

      ワクワク感、その通りだと思います。

      長篇を読んでいる途中で、ちょうど短篇の、ある一つの部分まで読み終わって、次の袋とじを開けている間に、どんな言葉で繫げるのかを想像する楽しさは、一度きりですものね(>_<)

      お墨付きなんて、恐縮です・・111108さんの本棚を見ると、本への愛がそこかしこに窺えますので(^-^)
      2022/05/14
    • たださん
      なおなおさん

      やさしいお言葉、ありがとうございます(^o^)

      おそらく、初めて新品の本を見たときは、その前代未聞の状態に驚くと思いますよ...
      なおなおさん

      やさしいお言葉、ありがとうございます(^o^)

      おそらく、初めて新品の本を見たときは、その前代未聞の状態に驚くと思いますよ。

      本書の趣旨を知らない人だったら、不良品だと勘違いされる方も、もしかしたらいるかも、なんて(^_^;)
      2022/05/14
  • 袋とじは男のロマンらしいです。週刊ジョージアアプリにも袋とじがあるし、男性にとっての袋とじとは思い入れの対象なのかも。

    この本に関しては、袋とじでないとこの「消える短編」トリックが使えないので、電子書籍で再現するとなるとジョージアアプリのように、開封に必要なモノが必要かな。

    図書館ではどうやって管理するのかと気になっていましたが、消える短編のページを最初に記載してくれていたので、まずクリップで留めてそこだけ読み、クリップを外して全編を読みました。

    読み物としてというより、こんな仕掛けを実現したことを評価したい。
    著者はマジシャンとしても活躍された方のようですから、本にも奇術を仕掛けられたのね。

    消える短編ページは、16.17.32.33.48.49.64.65.80.81.96.97.112.113.128.129.144.145.160.161.176.177.192.193.208

  • 「消える短編小説入ってます!」
    袋とじのまま読むと短編。その袋とじを全て切り開くと、全く別の長編小説になり、もとの短編は消えてしまう。作家でマジシャンでもあった泡坂妻夫の大胆な仕掛け本。

    着想も、それを実現させた並々ならぬ努力も緻密さも、確かにすごい。

    短編では女性だったはずの人物が、長編では男性となり。当然その逆もあり。
    短編は、しっとりした雰囲気の謎めいた淡い恋物語だったのが。
    長編は人を食ったようなコメディ要素を含んだ、超能力と奇術をめぐる殺人ミステリーへと化け。
    短編のラストシーンは、長編の本編ではなくあとがきの締めくくりだったり。

    たった一文字でもズレたら全く成立しなくなる二本の話をそれぞれ保つために払った労力に感心します。

    けれど、「質」を考えると、仕掛けに縛られてしまっている感も否めない。
    短編も長編も、単体で見ると、凡庸な出来、というか、仕掛けのために無理くりつなげているな、という部分が散見されます。
    まごうことなき中年男性がいきなりそこだけ女性言葉になっちゃうとか…。
    あまりに唐突な場面の切り替わりとか。
    突如現れて重要そうでそうでもないような立ち位置のよくわからない登場人物とか。
    色々と違和を感じるのは否めない。

    それでも、十分楽しませてもらったし、こんな仕掛けを実現させた泡坂妻夫氏の着想と努力はすごいです。

    図書館の貸し出しや中古品、電子書籍やオーディオブックが攻勢となった現代に、新品の紙の本を買う喜びと楽しみを再確認させてくれる作品です。

  • 嵐にしやがれで又吉さんが紹介していた小説。とても気になったので購入。

    この本の読み方「はじめに、袋とじ製本のまま、この本をお読み下さい。短編小説を読むことができます。次に、各ページを切り開いて、長編ミステリーをお楽しみください。元の短編小説は消失してしまいます。」
    どういう事だろう?と思いながら短編を読んでチョキチョキしながら長編を読んだ。なるほど〜これはとても大変な執筆だったと思う。

    酩探偵ヨギガンジーが今回も大活躍⁉︎ 超能力はあるのかないのか。これは超能力なのか、犯罪なのか。千秋の自動書記した言葉の深さは凄いです。

    派手さはないけど凄さのある仕掛けミステリー小説。内容やミステリーを期待しすぎると物足りないかも。私は長編よりも短編小説の素朴さが心に残りました。

    113〜114ページの繋ぎ目はちょっと笑ってしまったけど、そこがまたこの小説の大変さを表していると思った。

  •  十六ページで一塊の袋とじが、十いくつか並んだ形にできている文庫本。はじめは袋とじ製本のまま短編小説として読む。次に各ページの袋とじを開いて、長編ミステリーを楽しむ。すると、元の短編小説は消失します。…という仕掛け本。
     よくもまあこんなことをやろうと思って、やり遂げたものだ!感服。ちょっと強引だったり、普通のミステリーとしては薄味だったり、ガンジー先生たちにもっと活躍の場が欲しかったりとか、不満な点をあげることはできる。けれども!けれども、各袋とじの内側を読み終わって、さっき読んだ短編小説の一部にたどり着くたびに、それがものの見事に長編ミステリーに溶け込んでまさに「消失」してしまう様を目の当たりにするときの驚きといったらない。こんなユニークなマジック、奇術を一度の読書のうちに十なん回も味わうことができるなんて、あっと驚くのがミステリー読みの醍醐味であるとしたら、この本はどんなミステリー小説よりも「お得」だと言って良いのではないだろうか。私はひたすら感嘆しっぱなしだった。アワツマさんさすがとしか言いようがない。
     ちょっと嬉しかったのは、『亜愛一郎の狼狽』の短編に出てきたとある人物が名前だけ登場したこと。世界がつながってる!どんどん色んな作品を読みたくなった。
     あとがきも、制作秘話的な内容で面白かった。私は、好きな作家さんや作品でも「生原稿」というものにはそんなに興味がないほうなのだが、本作と、前作『しあわせの書』の生原稿は、とってもとっても見てみたい。アワツマミュージアム建ってほしいなあ、絶対楽しそう。

    • akikobbさん
      111108さん、こんにちは。

      レビュー読みましたよ♪
      お気に入りとおっしゃっていたうちのひとつ、『掘出された童話』に出てくるスナックに、...
      111108さん、こんにちは。

      レビュー読みましたよ♪
      お気に入りとおっしゃっていたうちのひとつ、『掘出された童話』に出てくるスナックに、不動丸さんが通っていた…というつながりだと思うのです!
      2022/09/10
    • 111108さん
      akikobbさんお返事ありがとうございます。

      『堀出された童話』のスナック‥なるほど〜この話では亜愛一郎と一荷が手錠でつながって過ごすシ...
      akikobbさんお返事ありがとうございます。

      『堀出された童話』のスナック‥なるほど〜この話では亜愛一郎と一荷が手錠でつながって過ごすシーンが面白すぎて印象薄くなってました!
      2022/09/10
    • akikobbさん
      111108さん、コメントありがとうございます。

      変わった名前だったのではっと思い出した(気がしている)のですけど、合ってましたかね??^...
      111108さん、コメントありがとうございます。

      変わった名前だったのではっと思い出した(気がしている)のですけど、合ってましたかね??^^;
      手錠のシーンありましたね!また愛一郎さんに会いたくなってきました。
      2022/09/10
  • 冒頭の著者の言葉~〝はじめに袋とじ製本のまま、短編小説の「消える短編小説」をお読みください。次に各ページを切り開いて、長編ミステリ-をお楽しみ下さい。元の短編小説は消失してしまいます〟✂✂✂ トリックの種明かしに挑む酩探偵<ヨギガンジー>の迷推理や如何に?・・・という訳で、袋とじ装丁により、短編と長編の両方を楽しめる、史上初(?)、前代未聞の仕掛け本とやらを紐解いてみますれば、登場する謎の超能力者と怪しい奇術師たちの不可解な言動に翻弄されたまま、何が何だかと迷走するうちに、一件落着と相成りました。

  • もしもあなたが、まったく見知らぬ人から、あからさまに大切にしているものを壊してくれと頼まれたら?
    ためらうでしょう?

    いや、フツウ、そうですよね?

    この本、明らかに本好きに訴えるくせに、本好きなら躊躇う必定の造りをしてる。それが最高にすてき。

    この本、ものすごくかわってるんです。
    よっ、製本屋泣かせ!
    って言いたくなる、16ページごとの袋とじ構成なんですよ。
    読めるのは16-17, 32-33, 48-49ページ・・と、決まって16ページごとに閉じられている。
    なのにページの書き終わりとつながったページの書き出しがもちろん、ばっちりあっている。
    そのうえストーリーになっているんだから。
    解答編だけ袋とじして見えないようにする、じゃない。袋とじを開くとまったく別の物語になるの。

    袋とじ?はあはあ・・そういうのではなく、こほん、そこにもう、作者のおもてなし精神がさあどうだ!とばかりにつまってるから御用心。

    まずは王道、消える短編。
    袋とじは別に、章立てでなされてるというわけでもなくて、なんとなんと!
    (かなり合いの手うるさいですね・・笑)
    とじられていない部分がきっちりつながってよめるのですよ。独立した味わいある短編に。
    短編は単に消えるのでもなく、別立てでもなく、それどころか推理小説にたまに使われる、とあるトリックも隠されていて、叙述部分もトリッキー。
    ふたつの話はまったく別の話として成立して、しかも短編のエンディングは、
    本編のXX部分を利用するため、あ、ホントに!という技も成立しちゃうんですねこれが。

    他にも、表現をつまむことで人物の関係性の濃度がまるで変わったり、
    主要人物を完全に袋とじすることで短編の登場人物を絞り込んだり、
    ある人の行動が袋とじを挟むことで別の人の行動になっていて、展開にまったく別の位相が持ち込まれたり、
    同じ単語を前からの文脈で、まったく別のものにしてしまったり・・


    これがもし、閉じられてないとこが独立した物語内物語だったりしたらあたしもここまで興奮しません。
    でもでもでも!


    ジェットコースターどころじゃない。毎回別の場所に連れて行かれるカラフルな冒険。飽きないなあ。
    百万人が言うとおもうけどあたしも言う。これ、これこそが泡坂妻夫のトリックそのもの!

    いやすごかった。
    色んな意味で楽しめました。
    本当のこと言うと、読了の人向けにもうひとつ感想文書きたいくらいです。
    全部ネタバレして、ね、あそこ!ですよねあたしもー。お、あ、ナルホド、そうも読めますかあ、ふむふむ。なんて。



    もーーー!
    言えない・言いたい部分が多すぎる。

    ということでここはぜひ、ご一読を。読み終わってこんなに、終わったことが寂しかった本は久々です。
    ちなみにこの、短編消失があまりに素晴らしくて、この小説の本編のテーマが透視なんだけど、
    絶対消失にしてほしかったのに!って、ワガママにも思ったり。

    いや~ご馳走様でした、本当に堪能しました。
    極上の、これはまさに本当の、御褒美読書。

  • 袋とじのまま読むと短編小説で、
    袋とじを開けると長編ミステリーになり、最初の短編は長編に混じって消えてしまう

    本自体に仕掛けがあるというのが新鮮で面白かった。また、袋とじを雑に開けてしまったので、これがまた本自体に愛着がわくような気もしてよい

    一方で内容はあまり頭に入ってこない。
    けど、それは読み手側の問題

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著者プロフィール

泡坂妻夫(あわさか つまお)
1933~2009年。小説家・奇術師。代表作に「亜愛一郎シリーズ」など。『乱れからくり』で第31回日本推理作家協会賞。『折鶴』で第16回泉鏡花文学賞。『蔭桔梗』で第103回直木賞。

「2020年 『秘文字』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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