蚊 (新潮文庫 し 25-2)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (276ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101448022

感想・レビュー・書評

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  • 2019.01.07

     小学校の塾で、国語の先生から特別賞としてこの小説を譲ってもらった。思えば、これが私の読書人生の始まりであって、それから今日に至るまで仕事でも余暇でも多くの本を読む最初のきっかけになった本である。

     全体として、当時の椎名さんらしい「面白い」文章に笑いが出てしまう。電車の中で読んでは危ない。
     「真実の焼きうどん」や「蚊」「戸間袋急行」など、日常の何気ない(どうでもいい?)風景をこれほど広げるのは見事。
     突如目の前に現れ消えた鶏と、なくした万年筆との関係に謎が残る「さすらいのデビルクック」、占い一家に焦点をあてた「よろこびの渦巻き」など、面白かった。
     電車に紛れこんだ犬を見ながら、旧友の山田や自分の飼っていた犬を思い出す「山田の犬」や、すっかり生き物が少なくなってしまった海を舞台とした「海をみにいく」は若干切なさも残る。
     世の中に出版される本を読んで評定をつける公社を描いた「日本読書公社」は、検閲を禁止されている日本ではさほどでもないが、外国なんかを念頭に置くと妙にリアリティがある。

     どれもすらすら、楽しく読める作品であった。久しぶりに読んだなぁ。当時の椎名さんは明るかった。後から鬱病になられたが、まぁ、これだけのものすごい感性と世界観を持っている椎名さんであるから、無理もないかなと思われる。
     椎名さんの本を引っ張り出してきて順番に読んでみたい。

  • 1997年10月読了。

  • 面白いからネタバレなしで読んだ方がいいですよ。
    この本、「蚊」がとにかく異常に大量発生して掃除機で吸っても吸いきれず、さされてコチコチパンパンになってしまって、とにかく大変という短編『蚊』が有名なわけですが、それ以外もタイトルを見ただけで面白いです。

    詳しくは http://d.hatena.ne.jp/ha3kaijohon/20120502/1335920973

  • むずむず

  • 読んでて体中むずむずしてくる作品集。
    なによりも「真実の焼きうどん」の主人公がきもちわるすぎる!

  • 短編集。奇妙な世界。

  • タイトルにもなっている『蚊』は、凄いですよ。
    虫嫌いの私は、鳥肌が立ちました。そして、口の中が気持ち悪くなった。
    でも、凄いです。

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著者プロフィール

1944年生まれ。作家。1988年「犬の系譜」で吉川英治文学新人賞、1990年「アド・バード」で日本SF大賞を受賞。著書に「ごんごんと風にころがる雲をみた。」「新宿遊牧民」「屋上の黄色いテント」「わしらは怪しい雑魚釣り隊」シリーズ、「そらをみてますないてます」「国境越え」など多数。また写真集に「ONCE UPON A TIME」、映画監督作品に「白い馬」などがある。

「2012年 『水の上で火が踊る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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