孤独の歌声 (新潮文庫)

  • 1283人登録
  • 3.48評価
    • (103)
    • (161)
    • (315)
    • (49)
    • (6)
  • 189レビュー
著者 : 天童荒太
  • 新潮社 (1997年2月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (386ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101457116

孤独の歌声 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • すごく面白かったと同時に、すごく恐ろしい物語だった。

    天童荒太さんの小説を読むのは初めてだけど、映像化されているものはいくつか観ていて、そのほとんどすべてに共通しているのが“人の生い立ちとその後のこと”だと思うのだけど、人の暗い生い立ちが凶悪な犯罪につながることもあるという物語の中の出来事は、現実でもけっこう見かける事実だと感じた。だからとても恐ろしかった。

    物語の大筋は、ひとり暮らしの女性たちが次々誘拐され悲惨な末路を迎えている連続殺人事件と、同じ管轄内で度々発生しているコンビニ強盗事件。
    コンビニ強盗を担当する女性刑事の風希、音楽をやりながらコンビニでアルバイトをしている潤平、コンビニ強盗事件の際たまたま居合わせた謎の男タカシが主要人物で、その3人の視点が順繰りに物語を綴っていく。

    人が痛めつけられるシーンはとても凄惨で、血の臭いさえ漂ってきそう。そういえば他の作品が映像化されたときもけっこう凄かったな…と思い出した。
    普通ならば想像もつかないけれど、酷いやり方で人を痛めつけ殺しても何とも思わない人間が確かにこの世の中にはいるのだと思う。けして物語上のお話ではないということ。

    凶悪犯罪が起こるとテレビでは度々“犯人の心の闇”にスポットを当てるし、実際生い立ちが人格形成に影響することもあるのだろうけど、すべてをそのせいにするのは違和感があるし、いくら心に闇があるからと言って他人を傷つけていいわけではない。
    この小説は主要人物がみんな何かしらの心の闇を抱えているからこそ、そうであってもまともに育った者とそうでない者の対比がはっきり見えたように思う。

    終盤は本当にドキドキハラハラしながら一気に読んだ。軸は重いけれど、ミステリ的な読み物としてすごく面白かった。

  • 女性連続監禁殺人事件とコンビニ強盗事件が、
    やがて繋がって展開していく作品。

    コンビニでバイトするミュージシャン志望の少年、潤平。
    コンビニ強盗事件を追いながら監禁殺人事件の進捗状況が気になる女性刑事、風希。
    監禁殺人事件の犯人である男。
    この3人の視点で描かれる。

    3人の共通点である「孤独」
    「孤独」を表現する者、抜け出せない者、埋める者。

    描写がグロすぎてなかなか読み進められなかった。
    犯人が求める愛の形が猟奇的で自分勝手。
    全てを理解してほしい、それが真実の愛へ繋がるのだと…。

    3人の過去の出来事が、この事件の核になっている。

    人を惹きつける孤高の歌声、宮沢賢治の詩、海外の楽曲、陸上リレーのバトンなど、
    潤平に関するものの描写が良かったです。

  • これはドラマ化されていたような…。

    一人暮らしの若い女性たちが拉致され、変わり果てた姿で発見される。

    自身もあるトラウマを抱える女刑事、その隣人の若い娘、コンビニでバイトをしつつ歌で食べていくことを夢見る若い男、特徴のない客。

    狂気がひたすら恐ろしく、哀しく…

  • ベタなノーマンベイツの焼き直し犯人。
    ベタこそ王道で本道と言わんばかりにグイグイ読ませてくれた。
    なんら新味もないからこそ安定のストーリー。
    ラスト数ページも展開は分かっていながらページを繰る手が止まらなかった。

    目撃者のコンビニ店員と女刑事の関係描写と会話シーンにちょいしらけてしまった。

    事件解決後の高が潤平を見舞うシーンにうるっときた。

  • 人間が「本質的に持っている孤独」を知り、受け入れて
    その先にあるかもしれない一瞬の深い交わりが作る
    「友情」とか「愛情」と呼べる瞬間を
    気持ちの深いところで信じることができるひとと
    徹底的に「孤独な状態」で生きてきて
    耳障りのいい愛とか繋がりに執着するひととの対比が
    実に鮮やかに描かれていて、読み応えがあった。

  • 著者の初期の作品で完成度は低いが、女性監禁、虐殺という異常人格者を中心に事件に巻き込まれる若い男性、美人警察官の3人の独白が中心に進んでいく。正に新潟の少女監禁を予言したような内容。コンビニを舞台にした一人住まいの孤独、危険、強盗という現代的な現実感があります。異常人格者なのにやや迫力を欠く面はありますが、3人の邂逅がとてもスリリングでした。

  • 天童荒太の小説はいつもこうだ。読み終えるのにパワーがいる。急いで読むととりつかれたように落ち込むから、ちょっとずつ読み進めて来たのだけれど。
    読み終わって外を見ると、世界の終わりみたいに景色が黒く霞んでいた。単に黄砂が来ただけだけど。
    まあ、兎も角酷く凄い才能を持った作家さんですよ。稀有な存在ですわ。

  • ラストシーン。主人公の女性が言った言葉が悲しいけどそうだなっと納得してしまう。
    この人の本は、心の奥底にある魂の叫びのようなものを、書いていると思う。文章の羅列ではなくて、こころの叫び。

  • 朝山刑事と潤平のからみがなんとも嘘くさく、苦手だったが、ミステリーとしては、ゾクゾクし、ハラハラし、と面白かった。

  • 今までよんだ天童さんの作品は子供の不遇のだったから、全然違った。コンビニ強盗と誘拐殺人と潤平とふきの過去と盛り沢山だった。薄い本だし、コンビニ強盗はなしでもよかったかも。他をもっと深く読みたかった。

全189件中 1 - 10件を表示

天童荒太の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

孤独の歌声 (新潮文庫)を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

孤独の歌声 (新潮文庫)の作品紹介

孤独の歌声は天童荒太さんのサスペンス小説です。犯罪の描写がグロテスクで目をつぶりたくなるほどの内容ですがそれが物語に読者をひきこんでいきます。登場人物三人の視点で描かれています。三人の視点で女性連続監禁殺人事件とコンビニ強盗事件がひとつの事件として繋がっていきます。物語の展開にもひきこまれてしまう作品です。

孤独の歌声 (新潮文庫)のKindle版

孤独の歌声 (新潮文庫)の単行本

ツイートする