遭難者の夢―家族狩り〈第2部〉 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (298ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101457130

感想・レビュー・書評

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  • 二次元だからこそ、三次元に楔を打つことができる。それを改めて感じた。普段、考えているようで考えきれていないこと、見ているようで目をそらしていることが、これでもかというくらいに顕されている。この世界は家族の集合体なのだ、と感じた。

  • 自分がどうやって生きていられるのかということを 真剣に突き詰めようとすればするほど 偽善と矛盾に苛まれることになる、ということを ほとんどの大人は気づいているにもかかわらず 気づかない振り 見ない振りをしているのが現状ではないだろうか。そんな偽善や矛盾に真っ向から目を合わせてしまった者の苦しみは 抜け出すことのできない無間地獄のようなものであろうことは 想像に難くない。そして そんな風に苦しむのはたいていの場合 純粋な若い者たちなのであり それ故苦しみはより深いものとなるのであろう。
    世渡りが上手くなってしまった大人たちには そんな若者たちの心の叫びが もはや届かなくなっているのかもしれない。

    浚介は どうもまた厄介な場所に近づいているようだし、馬見原は 何かに引っかかっているようだ。第三部での展開が気が重くも楽しみである。

  • 登場人物の一人一人がそれぞれ問題を抱えている。
    それらが、微妙に絡み合ってる。
    おもしろいぞ。

    重いけどね。

  • かなりの長編だけど、一気に読むことが出来た。
    サイコな描写はあまり気にならず。人間の深い部分がよく描かれている。

  • 評価は4.

    内容(BOOKデーターベース)
    あの日の光景をふり払おうと酒に溺れていた浚介は、さらなる痛みを味わう。游子は少女をめぐり、その父親と衝突する。亜衣は心の拠り所を失い、摂食障害から抜け出せずにいる。平穏な日々は既に終わりを告げていた。そして、麻生家の事件を捜査していた馬見原は、男がふたたび野に放たれたことを知る。自らの手で家庭を破壊した油井善博が―。過去と現在が火花を散らす第二部。

  • 徐々に壊れていく家族や個人。
    電話相談に寄せられる叫びは、ときに切羽詰った状況で相談員にはどうすることもできない。
    子どもが両親と祖父を殺害し自殺した・・・と思われている事件では、事前に電話がかけられていたにもかかわらず、誰もその重要性には気づかない。
    異様な現場を見たために精神の安定を欠いてしまった美術教師。
    彼はその後、あらたな事件に巻き込まれ内なる恐怖を抱えながら生活することになる。
    児童相談員は、保護してきた少女の父親とのトラブルに悩んでいる。
    どうしたら少女のためには一番いいのか、いまできることを考えながらも、ずっと保護し続けることなど出来ない現実も理解している。
    一家4人が死亡した事件の捜査を諦めきれない刑事は、かつて自分が逮捕した男が出所したことを知る。
    実の子どもを虐待し収監された男は、刑事の家や子どもの学校にも姿を現すようになった。
    復讐、そして元妻を取り戻すこと。
    それが男の狙いだった。
    生まれたときから人は一個の個人として尊重されるべきものかもしれない。
    でも、実際には親の加護がなければ一日だって生きていくことはできない。
    その過程で、まるで所有物のように錯覚してしまうこともあるだろう。
    子どもは子どもなりに考えている。
    何も考えていないわけではない。十分に考え、そして感じているのだ。
    親子の関係は身近すぎて他者からは本当の関係性などみえないと思う。
    どんなに幸せそうに見えても、どんなに不幸そうに見えても、当事者が何を感じているのかなんてわからないはずだ。
    児童相談員の虐待児童への過剰な対応。
    刑事の子どもが絡む事件への異常な執着。
    美術教師の家族への本能的な嫌悪感。
    第3部ではどんな展開が待っているのか。
    出来るならば救いのある結末であってほしい。

  • このサイコパスは誰だ…それぞれが悩みや壁にぶつかりながらもがく二巻目。事件は刻々と進んでいく。天童荒太、人を引き込む魅力はどこにあるんだ…?

  • どこか問題を抱えた家族を、複数のパターンで描きながら、それぞれが微妙に絡まりあって、影響し合って、進んでいく物語。今のところ、殺人現場の残虐さにはゾッとさせられるものの、それ以外の展開がそれほど斬新なものではないせいもあり、そこそこの印象。犯人像が浮かび上がってくるにつれ、興味深い展開になってくることを期待。

  • ドラマ化

  • 生きるということ、何をもって幸せと呼ぶのか。
    紛争地とこの国を比べ、それに対してどうしたらいいのか誰も教えてくれないと苛立つ少女。
    不登校や家庭内暴力に走る、心に闇を持つ子供たち。
    親と子供の関係の危うさや脆さを感じずにはいられない。

    2015.2.23

著者プロフィール

天童 荒太(てんどう・あらた):1960(昭和35)年、愛媛県生まれ。1986年「白の家族」で野性時代新人文学賞受賞。1996年『家族狩り』で山本周五郎賞受賞。2000年『永遠の仔』で日本推理作家協会賞受賞。2009年『悼む人』で直木賞を受賞。2013年『歓喜の仔』で毎日出版文化賞を受賞する。他に『あふれた愛』『包帯クラブ』『包帯クラブ ルック・アット・ミー!』『静人日記』『ムーンナイト・ダイバー』『ペインレス』『巡礼の家』などがある。

「2022年 『君たちが生き延びるために』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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