贈られた手―家族狩り〈第3部〉 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (314ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101457147

感想・レビュー・書評

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  • 再読。

    少し中だるみかな。。長い。。

  • (感想は全5部まとめて書きます)

  • 第三巻。ようやく人間らしい人間(ケートク)が現れたのが救い。話は重く複雑に絡んでくる。個人的に謎だった人物の過去の扉のようなものも見えた。ただ、希望もある。ケートクの存在や、氷崎と巣藤の間に芽生えそうなもの。みながいったん立ち止まり、心の底より自分に問いかけるときがきた。

  • 年末に読み終えた!全5巻の3巻目!
    こんなに丁寧に細かく書かれている小説は久しぶりだ。
    胸に突き刺さる部分が多すぎる。何度本を閉じて考えたか・・・
    ただのミステリと決めてかかっていた1、2巻のイメージがここで完全に改めさせられた。もう事件なんてなくても成立しそうな小説だ。
    亜衣のくだりはショッキングだったなぁ・・・読み進むのが辛かった。

  • この作品が書かれたのは阪神淡路大震災の年だったらしい。でも親子・家族の問題は今でも存在しています。
    人と人との絆が見直された今年の終わりに、この本を読むと心がちくちくと痛みました。
    愛情を信じていた者との関係に苦悩する登場人物それぞれの立場に共感、同情してしまいます。
    続きの第4章を早く読みたいです。

  • ようやく希望が見えてきました!
    氷崎、馬見原は相変わらずですが、巣藤の新居、うらやましい!
    街からちょっと離れた古い日本家屋、庭付き周りに農民付きだと!?
    ようやく明るく頑張ってるケートクってのも現れて、みんな彼に流されて明るくなってくれ。

    いい加減読むのがキツクなってきたもん。ま、読むけど。

  • 天童荒太氏の長編小説『家族狩り』の第三部。

    本作の折り返し点となる第三部。
    ここまで読んで、難しく重苦しいテーマを取り上げてはいるものの、文章としては読みやすく、くどくどした描写もなく、スラスラと読むことが出来る。しかし、読了した後の遣る瀬無さは募るばかりか、読んでいてイライラしてくるのも事実だ。
    それは、道場人物の話が遅いとか、行動を取るのが遅いとか、そういうものではない。あまりにも、登場人物の負の面がクローズアップされて、いかにも「これが世界です」と言われているような描写が続く。一人一人の負の側面は、一個人としては本当に小さく、人間固有の臆病さを象徴したものである。しかし、その個々の小さな負の側面が、一つに集まり、モンスターとなって、物語を全体的に蠢いているかのような、いやらしく気持ち悪い感覚が襲いかかっているのだ。

    人間は完璧ではないのは皆知っている。少なくとも頭では理解できるだろう。だからこそ、本書の登場人物が、あたかも負の側面しか持っていませんと言わんばかりにクローズアップされているのが、どうにも鼻に付くというか、無性にイラつかせるのだ。
    特に、正論で論破されると、客観的に論理的に見てそれが正論であっても、まるで打ち負かすような持論を振りかざしたり展開されると、果たして『正論』としてカテゴライズされるものなのか、疑いをかけたくなる。さらに、盲目的にその『正論』を追随している人の姿を見ると、怒りを通り越して、哀れに見えてくる。
    「『正論な』んだからいいんじゃないか」と思うかもしれない。しかし、『正論』は時として残酷な様相としてその人に襲いかかる場合もあるし、ここまで世界の価値観が多様化すると、この世の全ての論理が『正論』になり得るし、または全く成立しえなくなることだってある。それが本当に「自分にとって正しいことなのか」を判断するのは、後にも先にも自分なのだ。もっとも、深刻な問題を、特に家族という最も身近で最も離れがたい問題を抱えていると、自分で冷静な判断をつけることが出来なくなってしまうのも事実であるが。

    しかし、そんな読んでてイライラしてしまうことも、作者の思惑の一つなのかもしれない、と思うこともある。
    そんな、負の側面が連綿と続く中で、ポッと出てくる、ほんわかした展開。何気ない日常の、何気ない会話のやり取り。取るに足らない描写のように感じても、負の側面に満ち満ちた文章を読み進めている中で、ほんのわずかな希望として照らし出される。特に、馬見原警部補の奥さんの佐和子が、ウォーキングでうずくまっているところを、見知らぬ青年に助けられた。その青年も、数日前にホームレスに助けられた。そのホームレスは、さらにその前に芹沢亜衣に助けられた…
    そんな、何気ない手の差し伸べの連鎖。誰からジャパニーズ・ドリームを手にしたわけではない、本当にささやかな連鎖。ただそれだけで、涙が出たのを感じた。きっと、負の連鎖の文章が続かなければ、こんな思いはしなかったのかもしれない。


    そして、そうこうしているうちに、事件は刻々と展開していく。小さな問題が、その時小さくてもいつしか大きな亀裂となる。また、次なる連鎖へと続いていくのだろうか。負の連鎖を止めるには、何よりもまず、その負の側面に向き合うことから始まるのだと思った。

  • 「家族狩り」加筆・訂正

  • どんどん重くなる展開。

    でも、読むことがやめられないのが
    天童荒太のすごさだ。

  • 3冊目のやつ

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著者プロフィール

天童 荒太(てんどう・あらた):1960(昭和35)年、愛媛県生まれ。1986年「白の家族」で野性時代新人文学賞受賞。1996年『家族狩り』で山本周五郎賞受賞。2000年『永遠の仔』で日本推理作家協会賞受賞。2009年『悼む人』で直木賞を受賞。2013年『歓喜の仔』で毎日出版文化賞を受賞する。他に『あふれた愛』『包帯クラブ』『包帯クラブ ルック・アット・ミー!』『静人日記』『ムーンナイト・ダイバー』『ペインレス』『巡礼の家』などがある。

「2022年 『君たちが生き延びるために』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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