ぬしさまへ しゃばけシリーズ 2 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101461229

作品紹介・あらすじ

きょうも元気に(?)寝込んでいる、若だんな一太郎の周囲には妖怪がいっぱい。おまけに難事件もめいっぱい。幼なじみの栄吉の饅頭を食べたご隠居が死んでしまったり、新品の布団から泣き声が聞こえたり…。でも、こんなときこそ冴える若だんなの名推理。ちょっとトボケた妖怪たちも手下となって大活躍。ついでに手代の仁吉の意外な想い人まで発覚して、シリーズ第二弾、ますます快調。

感想・レビュー・書評

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  • シリーズ2作目は短編集ですが、なかなかに面白い。
    仁吉の想い人がわかったのは良かったが、寂しくてため息です。
    江戸の日常が分かるともっと面白くなりそうです。


    きょうも元気に(?)寝込んでいる、若だんな一太郎の周囲には妖怪がいっぱい。
    おまけに難事件もめいっぱい。
    幼なじみの栄吉の饅頭を食べたご隠居が死んでしまったり、新品の布団から泣き声が聞こえたり……。
    でも、こんなときこそ冴える若だんなの名推理。
    ちょっとトボケた妖怪たちも手下となって大活躍。
    ついでに手代の仁吉の意外な想い人まで発覚して、シリーズ第二弾、ますます快調。

    【シリーズご案内】
    お江戸は日本橋。大店・長崎屋の一人息子である若だんなこと一太郎には秘密があった。
    大妖の血を引く彼には、鳴家や猫又といった妖(あやかし)が見えるのだ。
    しかも若だんなを支える手代、仁吉と佐助も、その正体は人ではなく妖なのである!
    そんな病弱だけど、心優しく頭のきれる若だんなが、妖たちとともにお江戸の難事件を解決。
    読めば気持ちがほっこりすること間違いなし、累計840万部突破の人気シリーズ「しゃばけ」の世界へようこそ!

  • "しゃばけ" シリーズ2作目。「ぬしさまへ」「栄吉の菓子」「空のビードロ」「四布の布団」「仁吉の思い人」「虹を見しこと」の6篇収録。文庫本に2ヶ所ほど落丁があった。まあ気にはならなかったが。基本的に、いわゆるアンラクイス探偵ものなのかな。超キョジャク体質の一太郎が、自分の代わりに妖達に事件を調べさせました真相を突き止めるというパターン。

    本作で面白かったのは、松之助が長崎屋に来るまで経緯を描いた第1作のサイドストーリー「空のビードロ」と、夢の世界に紛れ込んでしまったかのような日常の違和感と対峙する一太郎を描いた「虹を見しこと」。特に、「虹を見しこと」は好み。

  • 6編からなる短編集
    しゃばけシリーズ第二弾

    今回も若旦那と二人の手代、そして可愛らしい妖怪たちのはちゃめちゃな犯人探しや謎解きが繰り広げられます!

    ほっこりするような話や、心がチクっとする話、恋や人との別れ、ニコッとできてうるっとできるそんな小説。

    個人的に最後の話「虹を見し事」は不思議でのめり込むように読むことができ、最後にはいたたまれない気持ちになりながら本を閉じました。

    おすすめです。

    「私は本当に、もっと大人になりたい。」

  • 畠中恵「しゃばけシリーズ」2作目(2003年5月単行本、2005年12月文庫本)。今回は短編6話で時間軸は順番にはなっていないようだ。短編小説は入っていけないので好きな短編は少ないのだが、今作では次の2編がまさに求めていた話で興味深く良かった。
    ③<空のビードロ>では前作「しゃばけ」の事件と同じ時間軸で一太郎の異母兄の松之助のことが描かれていて、前作の結末の長崎屋に来る松之助がどういう経緯で来るようになったかが判り、胸熱の感動編になっている。
    ⑤<仁吉の思い人>では仁吉が1000年間想い続ける人(妖)を語る。その人はおぎん、一太郎の祖母だ。その壮大な片想いの歴史も凄いが、その仁吉を1000年間もこき使い続けるおぎんも相当な天然か心の広い人だ。愛する人の孫を命を賭けて守る仁吉、決して一太郎の為ではなく、おぎんの為なのだろうとわかる。

    ①<ぬしさまへ>
    仁吉の袂に恋文を入れた小間物商「天野屋」の娘、おくめが殺された。疑われた仁吉の為に一太郎は妖達におくめの情報を集めさせる。おくめに関する評判は良くなかった。特に女中に対する態度の評判は悪かった。女中のおさきは元々担ぎ商人であるおくめの父親が出入りしていた小間物屋の娘だったが、3年前の大火事で店は焼け、二親も亡くし、天野屋に奉公に入ったのだった。火事で立場が逆転したおくめとおさき、今回の鍵となっていると一太郎は推理する。

    ②<栄吉の菓子>
    栄吉の菓子を食べた隠居が死んだ。菓子が原因では無いことは判明したが、下手人を特定しない限り栄吉への悪い噂は収まらない。一太郎は妖達に隠居の情報を集めさせる。
    隠居の名は九兵衛、元火消しの臥煙で博打好きだった。3年前に百両の富くじに当たって、茶店を買い自分の女に仕切りさせていた。その女おこうも半年前に病気で亡くなり、そして九兵衛は毒物による死であることが判る。
    女中のおたねによると九兵衛は金食い虫がいると言っていたという。そしてその金食い虫とは九兵衛の妹のお加代、九兵衛の甥の次助、おこうの息子の竹造、おたねの娘のお品の4人だと判る。下手人は4人の誰かということが濃厚になってくるが、九兵衛の家の庭に多種類の毒草が植えられているのがわかり、しかもその毒草は九兵衛の依頼で植木職人が植えたこともわかる。そして一太郎はとんでもない推理を立てるが、どうやって実証するかが問題だった。最後に九兵衛の仕掛けた罠が明かされる。

    ③<空のビードロ>
    8歳で桶屋の東屋に奉公に出て、20歳になった松之助が長崎屋を訪ねて一太郎と感動の面会する話。前作「しゃばけ」の中で一太郎が東屋に松之助を訪ねてすれ違う話とリンクされている。前作で一太郎が東屋からの帰宅途中で妖がとり憑いた人殺しに遭遇するのだが、その時に落としたとされるビードロが今作の重要なアイテムになっている。
    東屋の主人やおかみ、跡取り息子の与吉、そして16歳の娘おりん全てに嫌気をさした松之助。理不尽な扱いにもずっと我慢してきたが、おりんが長崎屋の一太郎の嫁入りを狙って松之助を利用しようと欺いてきたのが判り、阻止すべく一時は一家全員毒殺まで考えたが、拾ったビードロの美しさに我に返り思い留まる。
    明くる日には暇を申し出て東屋を後にするのだが、翌日大火事が発生し東屋も実家も焼け落ちてしまう。ここも前作とリンクするのだが、松之助が東屋を出たおかげで妖がとり憑くはずだった松之助に代わって与吉にとり憑くことになって、それが大火事の原因になっているのだ。今回与吉が行方不明になっていることで納得してしまう。
    火事で何もかも失い生きるすべをなくした松之助は奉公先を紹介して貰うべく、実父の藤兵衛を頼って長崎屋を訪れる。前作ではこのシーンが最後のシーンとしてリンクしているが、今作では一太郎との感動の面会のシーンまで描かれているのだ。勿論前作では訪れたその背景は何も描かれていないので、今回その理由や背景がやっとわかったことになる。
    長崎屋では松之助のことはタブーとなっていたが、おそらく一太郎がおたえを説得して松之助を受け入れるように算段したのだろうと思う。おたえが納得すれば藤兵衛は問題ないはずだと助言したのは仁吉だ。これからの松之助と一太郎の関わり方がどうなるのか楽しみだ。

    ④<四布の布団>
    一太郎の新しい布団から女の泣き声がしたことから起こる繰綿問屋「田原屋」での事件を一太郎が見事に推理解決する話。
    長崎屋が一太郎の為に田原屋から買った布団が、注文した五布の布団ではなく、四布の布団で納入され、しかもその布団から女の泣き声がするという奇々怪界なことが起こった。
    藤兵衛は仁吉を連れて田原屋へ文句を言いに行く。田原屋の主人の松次郎は癇癪持ちで奉公人を怒鳴り散らすので有名だった。一太郎は田原屋の奉公人のことが心配で二人に付いて行く。案の定、松次郎は番頭とおかみのお千絵を怒鳴り散らすが、ここで事件が起こる。隣の部屋に後ろ頭から血を流した死体を見てしまったのである。死体は通い番頭の喜平だった。奇妙なことに他の場所で死んだ喜平がこの部屋に運ばれてきたようだった。
    長崎屋に戻った一太郎は妖達に喜平の死んだ場所を調べをさせる。妖達はすぐにその場所を特定し一太郎に次々に報告するが、場所は各々違っていた。4カ所の場所が報告されたが、一太郎はちょっと考えてすぐに謎を解明する。田原屋へ出向き、松次郎とお千絵に向き合い、ちょっと細工をして事件を再現するのだった。

    ⑤<仁吉の思い人>
    佐助の策に嵌って仁吉が一太郎に仁吉の失恋の話をすることになる。壮大な話でなかなか興味深い話だ。
    話は1000年前に遡る。時は平安時代、相手はやはり妖で吉野という名で美しい人の姿をしていたが、若い人間の貴族に恋をしていた。男は銀の鈴を吉野に贈り二人は愛を育んでいた。しかし男は30歳前に病で亡くなる。妖は3000年以上生きても人間の命ははかない。ここからがファンタジーなのだが、鈴君は姿を変えても何度でも生まれ変わって吉野と再度結ばれるというのだ。実際にそれから300年後に二人目、その後250年後に三人目、更に350年後に四人目と思われたが、これは違っていた。四人目を殺していたと思われ、吉野(この時はお吉と名乗っていた)を誑かそうとしていたので、仁吉が妖を使って成敗したらしい。
    そしてその100年後に五人目と出逢い、添い遂げて一人娘を設け、男の子の孫に恵まれていた。そうその五人目が一太郎の祖父伊三郎だった。仁吉の片想いの女性は一太郎の祖母おぎん、大妖の皮衣だった。

    ⑥<虹を見し事>
    一太郎の周りが日常とは何か違う、一太郎は一人で一生懸命考え、推理し、現状を冷静に分析して、打破しようとするが、憤慨する事件に悲しい事件が付いてくる。
    一太郎の周りから妖達が消えた。仁吉と佐助の行動も何か違う。まとも過ぎる。そして得体の知れぬものが一太郎を襲う。松之助が女中のおまき16歳の櫛のことを聞いてくる。その櫛は一太郎がおまきにあげたものだ。何もかも現実的ではない気がする。最初誰かの夢の中に自分がいるのではと考えるが、違っていた。そして大立ち回りの末に得体の知れないものを仁吉と佐助、いつもの大勢の妖達みんなで捕らえていた。捕らえたのは狐の妖だった。
    おぎんから仁吉に一太郎を狙ってる狐がいるという情報で狐をおびき出すための策略だったのだが、一太郎は納得しない。それとは別に悲しい事件が発覚する。おまきが田舎の実家から江戸の長崎屋へ向かう街道で殺されていたのだ。一太郎の前に現れた松之助のおまきの櫛の問いはおまきの霊が松之助の姿を借りて問うたことだった。おまきの一太郎への思いがそうしたのだろうと一太郎は悔やむ。そして少し大人になったと自分でも思うのだった。

  • 登場人物達の色んなエピソードが楽しい一冊でした。

  • 図書館本
    仁吉の話が好き

  • 短編集。若旦那が少し成長を見せたり、周囲の人や妖怪達との繋がりを感じる話が面白い。兄の松之助も転職出来て良かった(*^^*)

  • ①ぬしさまへ
    憎悪が動機のサスペンス系の話。
    ハッピーエンドとかではない。

    ②栄吉の菓子
    栄吉の菓子がとってもまずいことと心根が優しいことがわかる話。個人的にはハッピーエンドと言えなくもない。

    ③空のビードロ
    第一巻の時の(一太郎の兄)松之助視点の話。
    お互いを思う一太郎と松之助の兄弟の情に感動する。一番好きな話。大ハッピーエンド。

    ④四布の布団
    最終的に改心する的な話。
    一太郎の精神的な部分の成長を感じる。
    人は死ぬけど物語の筋的にはハッピーエンド。

    ⑤仁吉の思い人
    タイトルのまんま
    仁吉推し女からしたら若干見るの躊躇った
    誰も死なない話。もやっとした最後。

    ⑥虹を見し事
    まずまずのバッドエンド
    これを最後に持ってくるか…。
    一太郎の成長には欠かせない話とは思う。

  •  「しゃばけシリーズ」第2弾。病弱だけど聡明な一太郎が、ちょっと人とは感覚のズレた憎めない妖(あやかし)たちと謎解きをしていく話。第1弾とは違い、「ぬしさまへ」を含めた5つの短編集。
     正直言うと、おれが疲れた体で読んでいたせいか、初めの「ぬしさまへ」のストーリーがあんまり入って来なかったし、3つ目の「空のビードロ」の話は、おれが本当に大嫌いな、動物虐待(犬や猫がむごい形で殺される)の描写があって、ちょっとイマイチかなあと思ってしまったが、「仁吉の思い人」の話で、ずっと出てきていたキャラクターの人間臭い内面の話が、謎解きそのものよりも面白いと思ったし、最後の「虹を見し事」は、謎解きも面白い上に、一太郎の人間的な成長、純粋さというものを感じることができ、そしてちょっと悲しい雰囲気というもののせいで、全体が印象深い本となった。キャラクターに深みが増す、という感じ。それにしても、本当に鳴家(やなり)という小鬼がかわいすぎる。グレムリンみたい。特に「栄吉の菓子」の話に出てくる鳴家は犯罪的にかわいい。キャラクターについてもっと知りたいということに加えて、この鳴家の描写を読みたくて、このシリーズを読み続けたいと思う。でも本当に「虹を見し事」みたいに、このシリーズに鳴家が出てこなくなっちゃったら、悲しいなあ、と思いながら。(21/06/22)

  • シリーズ2作目という見方もあってか、やはりキャラクターが生き生きしています。
    最後の解説にもあるように、ほんとに作者は江戸時代の風景やSF要素のある妖達をものすごく鮮明に描いています。
    でもそれも難しい文章ではなく、するすると読める表現なのでどんどん頁が進んであっという間に読み終わりました。

    次の作品も読もうと思います。

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著者プロフィール

高知県生まれ。名古屋造形芸術短期大学卒。2001年『しゃばけ』で第13回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞し、小説家デビュー。「しゃばけ」シリーズは、新しい妖怪時代小説として読者の支持を受け、一大人気シリーズに。16年、同シリーズで第1回吉川英治文庫賞を受賞。他に『つくもがみ笑います』『かわたれどき』『てんげんつう』『わが殿』などがある。

「2023年 『あしたの華姫』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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