えどさがし しゃばけシリーズ (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (329ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101461328

作品紹介・あらすじ

えどさがしは畠中恵さんが書かれている妖怪が登場する時代劇小説です。
少し怖いけどどこか憎めなかったり人間味のある妖怪達がおもしろおかしく登場します。5つの短編作品が収録されています。五百年の判じ絵、太郎君東へ、たちまちづき、親分のおかみさんなどが収録されています。しゃばけシリーズとして他にも発売されています。

感想・レビュー・書評

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  • しゃばけシリーズ外伝。
    よかったです☆

    若だんなは出てこず、それどころか、若だんなが生まれる前の話と、若だんなをうしなった後の話もあります。
    でもこれが、それぞれ中心になるキャラを生かして、希望の持てる展開へ!

    「五百年の判じ絵」
    長崎屋の手代になるずうっと前の佐助。
    大師を失い、さまよっていた‥
    三島宿の茶屋にあった判じ絵は、佐助に何かを伝えようとしていた。

    「太郎君、東へ」
    妖怪視点ファンタジー。
    利根川の流れが変わる様子を、河童の争いなども絡めて悠揚とダイナミックに。
    河原で普請が始まり、様子を調べに行った禰々子は‥?

    「たちまちづき」
    広徳寺の寛朝に、妖退治の相談がつぎつぎに。
    出向いた先での危険な出来事とは。
    お坊さんの遭遇する事件もの。

    「親分のおかみさん」
    日限親分のおかみさんは、身体が弱かった。
    何とか元気になろうとしてはいたのだが、上手くいかない日々。そんなとき、捨て子が‥?
    ほとんど出てこない人が主人公で、視点が新鮮。
    少し強くなっていくのが良かった。

    「えどさがし」
    時代は、江戸から東京へ。
    若だんなといつかまた巡り会える日を信じて待つ仁吉たち。
    おや~あの話「明治・妖モダン」の美形さんは、やっぱり仁吉たちだったんだ!

    仁吉や佐助の気持ちを思うと、切ない‥ 胸がきゅんきゅんして止まりません。
    短編それぞれ雰囲気は違いますが、絆を感じさせますね☆

  • 畠中恵「しゃばけシリーズ」初めての外伝(2014年12月文庫本)。文庫本オリジナルの短編5話からなる短編集。
    外伝なので主人公は5話とも一太郎ではない。主人公は第1話は佐助、第2話は河童の禰々子、第3話は広徳寺の寛朝、第4話は日限の親分のおかみさんのおさき、第5話は仁吉だ。
    一太郎を取り巻く妖達の時代が過去から未来へと綴られていく。

    第5話の<えどさがし>はこの本のタイトルになっているのだから、やはりこの外伝のメインテーマだろう。時代は明治になって20年以上経ち、妖達は同じメンバーが揃っているが、当然一太郎はもうこの世にはいない。シリーズ14作目「なりたい」で一太郎は神々に“生まれ変わっても妖達に巡り会いたい”と言った。シリーズ17作目「むすびつき」では貧乏神の金次が200年以上前、戦国時代に一太郎の前世に会ったかも知れないと言った。そして一太郎自身も振り売りの若者が輪廻転生した現実を見ている。必ずしも人に生まれ変わるとは限らないという現実を。
    しかし<えどさがし>では、きっと一太郎の生まれ変わりの若だんなと必ず出会い、妖達との生活が繰り返し続いていくという未来を予見させるのである。現実の世界でも輪廻転生というのが現実に起きればいいなあと本気で思ってしまう。
     
    第1話<五百年の封じ絵>
    佐助がまだ戦国時代のおぎんと仁吉との出会いの記憶を甦らせる封じ絵。500年後おぎんに再会、身籠ったおたえの子、おぎんの孫になる一太郎の兄やになる背景の物語。「長崎屋」の主人がまだ伊三郎の頃の話。

    第2話<太郎君、東へ>
    徳川家の利根川普請に河童の禰々子と利根川の化身たる坂東太郎が関わっていたと言う物語。徳川家康の業績が………と考えてしまう。まだ「長崎屋」は登場していない頃の話。

    第3話<たちまちづき>
    広徳寺の寛朝が秋英、延真と共に口入屋「大滝屋」夫婦と手代の相談事を解決する物語。終盤佐助も登場する。現在の「長崎屋」の頃の話。

    第4話<親分のおかみさん>
    日限の親分(清七)と病弱なおかみさん(おさき)の長屋の土間に赤子の男の子が捨てられたことから始まる押し込み強盗捕物帳の物語。子が無かった二人の子育て生活が始まる話でもある。しゃばけシリーズにたびたび登場する日限の親分にシリーズ途中から子が出来たことになった訳を今回初めて知ることになる。現在の「長崎屋」のちょっと前の頃の話。

    第5話<えどさがし>
    江戸が東京になって20年以上経った頃の話。一太郎と妖達が暮らしていた頃からもう100年ほど経っていた。「長崎屋」は「長崎商会」と名を変え、銀座の近代的な建物に様相を変えていた。
    一太郎が転生して戻って来ることを信じ、仁吉が佐助と共に店を守って来た。金次や鈴彦姫、獺も一緒だ。佐助は一太郎の情報を求めて店を出ていたが、屏風のぞきは居なかった。
    そういう状況の中で仁吉は、出向いた新聞社である殺人事件に遭遇する。そこで出会った交番勤務の巡査が妖で仁吉は捜査に協力する。事件は過去の強盗事件の盗品の隠し場所を知った新聞社の定年間近の社員の盗品を巡る内輪揉めによる犯行だった。
    盗品の中に屏風のぞきの屏風もあり、これは仁吉がこっそり持ち帰り、屏風のぞきも「長崎商会」の仲間の所へ無事帰れたのだ。そして出掛け放しだった佐助から「若だんなが見つかった」という手紙が届く。これからまた以前と同じような若だんなと妖達との生活が始まることへの期待が膨らんで物語は終わる。


  • しゃばけシリーズの外伝。
    しゃばけシリーズを何冊か読んだ人にとって楽しい小説。
    個人的には禰々子さんのエピソードが歴史を覆すもので好き。
    明治時代になっての妖達にも会えたのが嬉しい。

  • えどさがし、みんな100年も待ち続けてぐっときた。愛されてる若だんな。出会えるといいな。
    鳴家がかわいすぎすきる!

  • 文庫版オリジナルの番外編の短編集。どの話もほっこり優しい気持ちになれたけど、一番良かったのは、えどさがし。えどさがしの最後、どうなったのか。続きが気になる…。いつかえどさがしの続きが出ないかな…。と、すこーしだけ、期待してみる。

  • しゃばけシリーズ外伝。
    今回はシリーズの主人公若旦那は出てきません。
    佐助の過去の話や、仁吉の話、そして別のシリーズの登場人物の話など、妖怪に関わる話の短編集。
    若旦那が生まれる前と後の話で、心がほんわかします。
    家鳴もかわいい。

  • 久しぶりの「しゃばけ」シリーズ。
    外伝だけど、久しぶりに一部屋でワイワイ騒ぐみんなに会えて嬉しい。

    「五百年の判じ絵」
    江戸を目指していた佐助が三島宿の茶屋で見つけた判じ絵が伝えたいこととは。
    「太郎君、東へ」
    利根川が大荒れなのは最近人間が河原で普請を始めたから。坂東太郎からその理由を調べるように頼まれた禰々子は普請場で男女に出逢う。
    「たちまちづき」
    広徳寺の寛朝に妖退治の相談に来た夫婦。夫に憑いたおなご妖を祓えという。
    「親分のおかみさん」
    日限親分のうちに捨て子。
    「えどさがし」
    江戸が東京になった。若旦那とまた巡り会えると信じる仁吉たち。新聞の投書欄に気になる投書をみつけた仁吉は新聞社へ出かけるが、突然の銃声が。

    それぞれじんわりと染み入るお話。
    太郎と禰々子の掛け合いにニヤニヤしたり、安右衛門の器にビックリしたり、おさきにちょっとイラっと。
    なにより、チラリと出てきた若旦那にホッとしてまたシリーズの続きが読みたくなる。

  • 最期の話で「え?え?若だんないなくなっちゃってるの?」
    そうでした、こちらはスピンオフ的な本なのでした。
    光があれば影があり、影があればその中に妖達が棲んでいる。
    きっと今も、いろんなところに彼らはいるのね。
    ああよかった。

  • 「五百年前の判じ絵」古来より人が願う長寿というものは、居場所のない者にとってありがたくないことなのだなぁ。
    佐助の、おぎんが500年名前を覚えてくれていたことを喜び、時々挨拶に寄らせてもらえたらうれしい、ということが私からしたら驚き。
    子守は仕事であって、礼には見えないのに、微笑んでいそうな佐助の顔が目に浮かぶ。
    「太郎君、東へ」禰々子は強くて頼りになるし、ちょっと抜けてるし、本当に魅力的。あんな親分ならほんと素敵だなぁ。
    脳内配役の綾瀬はるかさんがほんとハマります。
    「たちまちづき」京都を気にする秋英さん可愛い。安右衛門さんの解決は天晴れ。
    「親分のおかみさん」日限の親分に赤子がやってきた経緯が気になっていたので、知れてうれしい。昔はああやって、捨て子も育てられていたんだなぁ。
    「えどさがし」若だんなが亡くなってからの百年、探し続ける妖みんなの気持ちがチクリと胸に刺さる。まさか金次も一緒に待ってきたなんてね。いつか、再会した時の話も読みたい。仁吉は明治のとんび姿もきっと素敵だろうな。

    しゃばけは、脳内配役でSnowManを配置して読んでいますが、長らく決まっていなかった佐久間大介さんは、奥さんを大切にし、妖が実は怖い、人のいい日限の親分がハマり役な気がしてきました。
    若だんな:ラウールさん
    仁吉:岩本照さん
    佐助:宮舘涼太さん
    松之助:目黒蓮さん
    三春屋の栄吉:向井康二さん
    屏風のぞき:渡辺翔太さん
    秋英さん:阿部亮平さん

  • 明治になったばかりの頃の仁吉と佐助が主人公。若旦那の生まれ変わりを待って暮らしていく妖たち。明治になっても妖たちは元気で大活躍。

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著者プロフィール

高知県生まれ。名古屋造形芸術短期大学卒。2001年『しゃばけ』で第13回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞し、小説家デビュー。「しゃばけ」シリーズは、新しい妖怪時代小説として読者の支持を受け、一大人気シリーズに。16年、同シリーズで第1回吉川英治文庫賞を受賞。他に『つくもがみ笑います』『かわたれどき』『てんげんつう』『わが殿』などがある。

「2023年 『あしたの華姫』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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