ちょちょら (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (535ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101461915

作品紹介・あらすじ

間野新之介は、兄の自刃を受けて、多々良木藩の江戸留守居役を引き継いだ。先輩の留守居役たちにしごかれながら、幕府と藩の橋渡し役として、接待や付け届け、情報戦に明け暮れる日々。そんなとき新之介は、多大な負担を強いる「お手伝い普請」の情報を得る。困窮する藩のため、何としてでもこれを逃れたい――。兄の死の謎や思い人の運命に悩みつつ奔走する、若き藩士の痛快奮闘記。

感想・レビュー・書評

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  • 面白かったので一気読み。
    妖モダンはちょっと肩すかしだったのですがやはり畠中さんはすごい。着目がおもしろい。
    ちょらちょら。けっこう深いタイトルかも。
    主人公はちょらちょらではないんですよね。ちょらちょらになりたいのですね。他人からはただのちょらちょらに見えるけど、その実、賢さと強かさが必要。それが江戸留守居役なのだということかしら。

  •  色々浮気して戻ってみれば、やっぱり畠中さんは江戸物が一番良いかも、と思ってしまった一作。馴染みの薄い「留守居役」の仕事に焦点を当て、裏舞台での駆け引きが分かりやすく描かれていて、本の厚さを気にすることなく没頭できました。平々々凡々々と語られる主人公に親近感を覚え、中盤以降の見違えぶりに嬉しくなる人も多いのでは。どうでもいいですが、嘉祥菓子よりも最初の方で出てきた芋菓子の方が美味そうだと思った私は根っからの庶民です(笑)

  • 時代背景は、11代将軍家斉の頃、洒脱な『化政文化』が爛熟した時代で、家斉の小姓であった老中水野忠成が幕政を牛耳り、金権腐敗政治をした時代、この後に、水野忠邦が、質素倹約・綱紀粛正を旨した天保の改革が実施されることになる。

    そんな時代背景を考えると、資金がない江戸留守居役はどんなに大変なことか。そんな中、人のつながりを大切にし、なんとかかんとか難局を切り抜けていく主人公は、応援したくなるキャラクタだ。 がんばれ新之介。

  • 全1巻。
    江戸留守居役(外交官みたいなの)を
    突然継がなければいけなくなった
    次男坊のドタバタ劇。

    や。
    これはいい。
    いつぶりだろう。
    夜を徹して読んだの。

    畠中恵といえば妖怪ものだけど今作はガラリ。
    妖怪は出てこなくて、侍の世界。

    が。
    意外と言っては失礼だけど、
    まったく違和感がない。
    この軽快さはどうだろう。
    物語の舞台が市井から武士の世界に変わっても、
    相変わらず軽やかで親しみやすく、温かい世界が展開され、
    最後まで一気に読まされた。
    気がついたら朝。

    そして魅力的なキャラ造形。
    侍なのに。
    ニヤニヤが止まらない。
    「頼りなくて、ほっとけない主人公」を描かせたら
    たぶん今日本で一番うまいんじゃないかと思う。

    導入部分も、どんでん返しも、伏線もすごく計算されてて、
    なにより結びがすごく上手い。
    そういう設定に持ってったかあって感じ。
    変な例えだけど、
    妙にスタンダードな時代ものシリーズっぽくなりそうな予感。
    逆に。
    シリーズのこれからを期待させるワクワク感が止まらない。


    妖怪ものじゃなくてもファンなら是非。
    これは楽しみ。

  • 兄の自害によって江戸留守居役を引き受けた次男坊(部屋住)の新之助が自藩を救うために奔走する。
    藩を救うために江戸城で催される嘉祥の義に出される8種類の菓子を集めなければならない。お菓子集めと藩の存亡というなんともアンバランスな感じか面白かった。

  • 江戸留守居役と言う情報収集や幕府との調整役をこなす大変な仕事。
    若き主人公がはらはらさせながらも成長して、見事に大仕事を成し遂げる。畠中さんの描く人物は本当にいつも魅力的

  • 畠中恵だけど、妖怪が出てこない方w
    ミステリーというか、江戸の留守居役たちの物語。
    実際に江戸留守居役という役職は聞いたことがあったけど、実際にどういうことをするのか知らなかったので、なかなかそのあたりの話がもちろんフィクションも多分にあるだろうけど、たくさんの参考書籍をもとに書かれていたので、そういう意味で、面白かった。
    結局今の世の中でもネットワーキングというか、仕事って誰を知っているかって、結構大きいところがあるので、そういう意味では共感しましたね。
    結局は偉い人やパワーのある人、ツボを押さえて物事を頼んだり、回していくことが仕事をうまくやるポイントだと思うので、すごくそのあたりは共感出来たりしましたね。
    実際は格式を重んじる武家社会では、名前のないそんな小さな藩の人間に動かせるほど甘くはないだろうなとは思いましたがw

  • まぬけ?の新之介が兄の跡を継ぎ留守居役になって奮闘するお話。
    ダメでもそれでも前に進もうとする新之介の奮闘振りは面白かった。

  • よくできた話

  • うん、まあお約束系といえばそうなんだけどしゃばけとかあこぎとかより断然読みやすい。メイン二人のバランスがいい。

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著者プロフィール

高知県生まれ。名古屋造形芸術短期大学卒。2001年『しゃばけ』で第13回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞し、小説家デビュー。「しゃばけ」シリーズは、新しい妖怪時代小説として読者の支持を受け、一大人気シリーズに。16年、同シリーズで第1回吉川英治文庫賞を受賞。他に『つくもがみ笑います』『かわたれどき』『てんげんつう』『わが殿』などがある。

「2023年 『あしたの華姫』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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