武王の門(下) (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (460ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101464053

感想・レビュー・書評

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    ★★★★★ 星5つ

    [感想]
    下巻は九州における一大勢力となった懐良親王が九州を独立させようとする壮大な計画だと感じた。
    九州は京から遠い上に大陸や半島とも接しているという事が独立心を育てる要因だったのかもしれないが、一方で大陸や半島から侵略を受ける可能性についてを触れられているのは印象に残っている。

  • 北方歴史ものワールド全開。南北朝時代ってあまり知らなかったけど、複雑すぎ。、

  • 菊池武光と兼良親王との関係が面白かった。それを支える武将、女性も浪漫があっていい。敵将もまたいい。戦国時代ではない、建武の新政あたりの時代なので、城や砦がイメージし辛いのだが、それは私の不勉強か。

  • 時は14世紀の南北朝期、劣勢の南朝の拠点作りのために幼少にして九州へ遣わされ在地の敵対勢力に対峙する後醍醐天皇の皇子懐良親王と、親王を武力で援けて南朝の勢力拡大に貢献する菊池武光が、本作で並び立つ2人の主人公。

    ネットで確認できる情報からは懐良親王の実際の人となりはあまり見えてこないが、武勇で卓抜した人物であったことは間違いない菊池武光と信頼関係を長年維持して九州一円の支配を実現した結果から推し量れば、懐良親王がリーダーとしての器量と共に武士に認められるだけの武略も併せ持っていたことは想像できる。

    そして大陸と半島に面する九州であればこそ、親王の目は必ずしも狭い京での南北の争いには向けられず・・・

    残念ながら九州の南朝はほどなく潰えてしまったようだが、本作は懐良親王の夢にまつわるロマン(妄想)を如何なく掻き立ててくれる。日本史の話題に上ることの少ないこの主人公2人に脚光を当てた着想が素晴らしい。

  • とても面白かった。戦法、領地経営もよく書けていた。

  • 破軍の星 と比べると、やや劣るかな、とも思うがそこは好みの問題だろう
    物語の迫力、重厚感、そして疾走感
    読むのではなく、読ませられる内容
    引き込まれて、惹きつけられて…
    大満足

  • ハードボイルド。九州に独立国家を目指した2人が挫折するまでを描いた。男たちの悲哀がいい。

  • 最後の100ページがすごかった…電車の中じゃなかったら号泣してた。

  • *上巻と同じ感想です*

     南北朝後期、後醍醐天皇の皇子懐良親王は征西大将軍となり九州の地を踏む。薩南から徐々に勢力を拡大するなかで、懐良は菊池一族の庶子でのちに棟梁となる若武者、菊池武光と出逢う。無二の友誼を結んだ二人は、やがて同じ夢をともに追うようになる。それはこの国の武士の有り様を変え、九州をひとつの国としてまとめあげ、戦のない世を作るという、壮大な夢だった…。

     血が沸き立ち心震える戦記物。懐良親王と菊池武光という二人の主人公が突き進む覇道に胸が熱くなります。サブキャラクタや敵方までみんな魅力的。大陸との貿易や山の民との協力など、背景を支えるディテイルも書きこまれていて読み応えがあります。本当に熱中しました。
     けれど『破軍の星』と同じく、この小説はハッピーエンディングになりえない題材を扱っています。夢が現実に手の届きそうな場所まで来ていて、本当にあと少しなのに叶わない、というもどかしい展開をコンボで食らってしまい、わかってはいてもそれはもう落ち込んだものです。元気や勇気ももらったけれど、すごく消耗した読書でした。
     『破軍の星』の北畠顕家の末路では、若者らしいまっすぐな清しさが印象的でしたけれど、『武王の門』は少し違う。御所さま(懐良)も武光も父となり、歳を重ねて、その先にある結末なので、哀しみの種類が違うんです。どちらがより大きいとかではないけれど、歳月の重みを感じる。
     夢は夢でも見果てぬ夢、なんですね。すごくきらきらしていて、悲しくて、やっぱり美しい。叶わない分そうなのかもしれません。それでもこの本を読んでいたあいだは、御所さまと武光とともに夢を見ることができて幸せな時間でした。

  • 読み返し通算No.1

著者プロフィール

北方謙三

一九四七年、佐賀県唐津市に生まれる。七三年、中央大学法学部を卒業。八一年、ハードボイルド小説『弔鐘はるかなり』で注目を集め、八三年『眠りなき夜』で吉川英治文学新人賞、八五年『渇きの街』で日本推理作家協会賞を受賞。八九年『武王の門』で歴史小説にも進出、九一年に『破軍の星』で柴田錬三郎賞、二〇〇四年に『楊家将』で吉川英治文学賞など数々の受賞を誇る。一三年に紫綬褒章受章、一六年に「大水滸伝」シリーズ(全五十一巻)で菊池寛賞を受賞した。二〇年、旭日小綬章受章。『悪党の裔』『道誉なり』『絶海にあらず』『魂の沃野』など著書多数。

「2022年 『楠木正成(下) 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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