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この作品からのみんなの引用
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こういう生理現象は、男女、身分階級、民族人種の別なく誰にも等しく訪れる。人間を分け隔てる諸々の壁を一挙にとっぱらってくれるのだ。しかも食欲と排泄欲はともに生理現象ではあるが、食物摂取と排泄を較べると、全車にてインプットされるモノには身分階級差個人差が顕著に現れるのに対して、後者にてアウトプットされるモノには基本的に変わりばえしない。この人類共通の、いや生きとし生けるもの共通の普遍性を確認する喜びゆえにわれわれは笑うのではないだろうか。
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さらに驚くべきことがあった。同じ言語の二つの方言ぐらいに思っていたセルビア語とクロアチア語を、どんどん人工的に「遠くする」政策がクロアチア政府によってされているのだ。信じがたいことに、これにクロアチアのジャーナリズムが全面的に協力している。以前はクロアチア語のテレビ、ラジオ、新聞雑誌を、ちょうど京都人が大阪語を理解するように辞書も無しに九九%理解できたというセルビア人が、今ではチンプンカンプンになってしまったというのだ。
― 244ページ -
どうやら、初級を徹底的に身につけること、これが言語を身につける基本のようだ。
ところが、人間の脳味噌にはなるべくサボろうとする機能が自動的に備わっている。あるパターンを新たに習得する労を惜しんで出来合いの類似パターンで間に合わせてしまう機能がオートマチックに作動してしまうのだ。近接する言語の学習においてはこれがしじゅう作動する。~略~そして、その言語との姻戚関係が遠ければ遠いほど、手元に類似パターンがないため、この省力装置は作動しない。
― 209ページ
みんなの感想・レビュー・書評
私たちの常識では1ダースといえば12。ところが、魔女の世界では「13」が1ダースなんだそうです。こういう話を皮切りに私たちが日ごろ思っている事を超えた別な常識があることをこの本では教えてくれます。 故米原万里女史のエッセイです。彼女の綴る異文化論は下ネタも交えつつ、物事の本質を鋭くついてくるので、読んでいてアハハハハと笑いながら、最後にはしみじみと『そういうことなのか』とうなづく自分がおり... 続きを読む »
自分の常識は他の人にとっては非常識。
というのを具体例を挙げて笑わせてくれる。
時代的にちょっと古い本なのでもし彼女が生きていてプーチンとかの通訳したらどんな話が出てきただろうと惜しく感じた。
常識、先入観を覆す、ってこういうことを言うのかなー、とぼんやり思う。それにしても面白い。興奮し、時には声を出して笑いながら読んだ。ありきたりの日常が少し楽しいものに変わる一冊。
異文化との接点。
ロシア語翻訳の第一人者として名高い著者のエッセイ。
世の中を風刺し、その中から何かしらの普遍や本質をかぎ分けようとしている。
シモネタから激しい意見まで、著者のカラーが強いため好き嫌いが分かれるかも。
翻訳を生業としているためか、言語や文化についての言明は面白い。
例えば、概念は液体のようで、それをロシア語という器から日本語という器へと移し変える。という件は納得できる。話す言葉によって性格が変わってくる、というのもその一例だろうか。
そして、異端との出会いが自分自身を自覚し、豊かにしてくれるという件も面白い。
自分らしさは他人との違いから生まれるように思う。それならば、自分を知るために他人を知る、というのは自明のように思える。
日本人バザーで購入。米原万里のエッセイは1冊過去に挑戦。その時はあまり乗れない文章だったのだけれど、このエッセイは共感することも多くてあっという間に読破。
通訳者として日本とロシアの橋渡しにたずさわった著者は、きっと中世における魔女に似ていると感じておられたと思う。グローバルな時代となった現代は、あまりにも安易な物語を必要としている。マスコミや権力から与えられる知識や宣伝を、簡単に真実であると信じてしまう。それに対して、立ち止り、自分自身の感性を見つめ直すために、著者のような発言は貴重でした。十数年前に発行されている本書は、少しもその貴重さを失っていません。
この人の本ピカイチだなぁ。どの話も当たり前だと思っていたことを覆され、新しい視点から人間の本質を見ることができた。あと、本当に世界は広いし知らないことがたくさんだとも気づかされた。シンポジウムに参加した、日本、ロシア、アメリカの学者の話が1番のお気に入り。
米原万里は、東ドイツに向かう飛行機で日本に住む在日北朝鮮人、金氏と隣り合う。WW2後、世界には3つの分断国家が生まれた。南北ベトナム、東西ドイツ、そして、韓国と北朝鮮。「この国(ドイツ)は、お国と運命を同じくする国ですね」と米原万里が言うと、彼は顔を真っ赤にして必死に否定する。ドイツは分断される責任の一端を自らが負っているが、朝鮮半島は違う、と。 米原万里は、「本来引き裂かれるべき責任を負ってい... 続きを読む »
ロシア語通訳者である米原さんによる、常識を覆すエッセイ。 米原さんは通訳者としてさまざまな国を訪れているし、さまざまな人々と交流を持っていて、その経験からご本人が思わず「ほほー」と唸ったエピソードがたくさん載せられている。 常識というのは環境によって作られた幻なんだなあと痛感する1冊。 作中におもしろいなぞなぞがあったので引用します。 『サウジ・アラビアの王子様の一人が日... 続きを読む »
社会にとらわれる常識と非常識について綴られている。
ちょっと難しい部分もあったけどこういう視野を広げさせてくれるエッセイは好き。
モテ猫からみえる日米関係についての話とかなるほどなーと思った。
「終生ヒトのオスは飼わず」を読んだ後、米原万里の本を、さらに2冊続けて読んだ。「パンツの面目 ふんどしの沽券」と、この「魔女の1ダース」。実際、「パンツ..」は、米原万里のパンツ/ふんどしに対する探究心と、題材を求める対象の広さに驚き感心した。しかし、いかんせん、私にはテーマに興味が持てなかったので、楽しんで読んだとは言えない。「魔女の1ダース」は、広く世界を知っていて、通訳をやっている彼女ならで... 続きを読む »
数年前にこの本を読んだ時は「難しいなぁ」と感じたけど、私も少しは成長したのか、今回はとても面白く読めた。
一番心に残った・・・というか驚愕の事実だったのは、『ベルリンの朝鮮人』。国家分断の運命を背負うはずだったのは、朝鮮でなく、日本だったということ。たしかに、ドイツが受けた罰を日本が免れたのは、朝鮮半島にその肩代わりをさせる結果になったから・・・なのかもしれない。いや、多分そうなのだろう。
米原さんには長生きして、もっと世の中を斬ってほしかった。
昨年、『オリガ~』を読んでからとても気になっていた米原万里さん。
ようやくエッセイを手に取れました。
いや~、面白かったよぅ!!何度吹き出したことか。
そして目からウロコがぽろぽろ落ちました。
さすが、同時通訳者として「ナマの言葉」に触れられてきただけあって、言葉とその背後にある文化・習慣に対するまなざしがとても厳しく温かい。
亡くなられたのが本当に残念です。
本プロで検索したところ、女性の読者が多いように感じましたが、男性とくに米原さんと同年代の方の御感想を聞いてみたい気がしました。
何冊か借りているので、しばらくは米原ワールドにハマることにします。
図書館の本
内容(「BOOK」データベースより)
私たちの常識では1ダースといえば12。ところが、魔女の世界では「13」が1ダースなんだそうな。そう、この広い世界には、あなたの常識を超えた別の常識がまだまだあるんです。異文化間の橋渡し役、通訳をなりわいとする米原女史が、そんな超・常識の世界への水先案内をつとめるのがこの本です。大笑いしつつ読むうちに、言葉や文化というものの不思議さ、奥深さがよーくわかりますよ。
翻訳ものはたくさん読んでいるほうだと思うのですが、ロシア側からの視点で書かれたものはほとんど読んでいなかったんだなぁ、と今更ながらに思うエッセイ。
そうか、最初の印象ね。
チェコとスロバキア、とかチェチェンとかもうちょっと世界情勢を知りたい視点も増えました。
問題が解決するまで、ご不便をおかけしますが、ご了承ください。
この人、本当に聡明。
