醜い日本の私 (新潮文庫)

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著者 : 中島義道
  • 新潮社 (2009年11月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101467283

醜い日本の私 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 著者は一見、ひねくれ者ではた迷惑なクレーマー親父。でも「善き人々」の薄汚い欺瞞性をメッタ斬りにするその姿勢が、自分は決して嫌いではない(だからと言ってそばにいてほしいとは思わないけど)。本書では日本の都市の醜い景観・環境がテーマ。

    なるほど、と思った点をひとつ。日本人の自然観について。日本人にとって自然とは、人工の対義というよりは「自然に発生したもの」を意味するのではないかとの論。それゆえ発展にともない猥雑さを増す街並みも、「自然に」こうなったものとして許容されてしまうのではないか。また人工と自然の不分離は、人間の意思と自然の成り行きとの不分離にも繋がっているのではないか、と。この考えはかなり面白い。

    例えば太平洋戦争について語るとき、欧米の価値観に傾倒した人々は、戦争に至った日本人の意思を鋭く批判しようとする。一方保守派の論客の場合、ABCDラインによって追い詰められた日本は成り行き上開戦せざるを得なかったのだ、と主張する。これぞまさしく意思と自然との不分離。

  • 沈黙しない正しきマイノリティーである著者の真骨頂。自分がいかに醜いもの不快なものに対し鈍感・無関心になっていたかを突きつけられた。僕も気づかぬうちに「感受性のファシズム」に支配されていたのだ。
    あることを「醜い・不快だ」と思った時、そう感じることがマイノリティーの感覚だと分かっていたとしても、そのことの正当性においてマイノリティーが潜在的、あるいは倫理的マジョリティーであることはありえるのだということを忘れずにいたい。

  • 多様性が実践的問題として浮かび上がるのは、もっぱら不快の多様性な関してなのである。

  • 癖がある性格が文章の隅々から伝わってくるw、
    ・・・が、ただ読んでいる分には面白い。

  • 2011.12.9-2011.12.16
    冒頭に出てくる「日本の盛り場の原型は縁日」といふ多田道太郎の言葉が一番印象に残つてゐる。
    本の題名からも分かるやうに、著者は日本の現状に批判的で、
    1 ゴミ溜めのような街
    2 欲望自然主義
    3 奴隷的サービス
    4 言葉を信じない文化
    5 醜と不快の哲学
    と続く各章では、街の乱雑さや騒音に鈍感な日本人の多数派に対する怨嗟の念が、独特の調子で繰り広げられてゐる。
    繊細な感受性を持つて今の日本に生きる著者の不幸にはご同情申し上げるが、多数派の鈍感を分かち持つ者としては、不平不満に付き合ふのは一度で充分だ。
    唯一、哲学者らしい第5章は、余り理解出来なかつた。

  • 読んでいて面白いのだけど、どうしようもなくイライラしてしまうのは筆者の文才かw 1〜4章エッセイもマジョリティとの視線の違いがとっても面白いけど、やっぱり考察篇の5章が読みどころ。どうして多様性を認めつつも、多数派なんて言葉でひとっくくりにして決めつけて「〜してもらいたいのである。」なんて断言してしまうのか?それはズルくないのかw あとこっちは共感できることだけど、なぜそんな『自分の固有の感受性を「治し」たくない』のか?もっと色々な視点からの氏の意見を読みたくなった!文庫てのが手軽で良い。

  • この本を読んで共感する自分は、きっとマイノリティなんだろう。
    でも、この本によって、日々悶々と抱えていた不安(自分の考えは本当にあっているのか?という疑問)は、きれいさっぱり無くなったように思う。
    問題は、じゃあどうするのか?ということだろう。中島氏のように怒鳴りこんでいたら、それを不快とする人たちによって拒絶されてしまう。門前払いである。そこのところを考えて行く必要があると、改めて思いましたと。

  • マジョリティに駆逐されるマイノリティ。
    日本は成熟した国というのはウソです。

  • 新刊読みちらし。もともとはちょっと古い本だから納得かなという感じ。状況は変わってないけど。

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醜い日本の私 (新潮文庫)の作品紹介

頭上には電線がとぐろを巻き、街ではスピーカーががなりたてる、ゴミ溜めのような日本。美に敏感なはずの国民が、なぜ醜さに鈍感なのか?客への応対は卑屈で、「奴隷的サービス」に徹する店員たち。その微温的「気配り」や「他人を思いやる心」など、日本人の美徳の裏側に潜むグロテスクな感情を暴き、押し付けがましい「優しさ」に断固として立ち向う。戦う哲学者の反・日本文化論。

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