- Amazon.co.jp ・本 (219ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101468242
感想・レビュー・書評
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事件の経過がよく分かるとともに、マスコミの自己反省の無さが印象に残る。
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4-10-146824-9 219p 2003・10・1 ?
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学生の頃、実習で発掘の真似ごとみたいなことしていたから、この発掘捏造事件が話題になったときは興味深く進展をみていた。 前書の『発掘捏造』ではその捏造の手口や、毎日新聞取材班のスクープにいたる経緯が詳しく書かれている。
この『古代史捏造』は神の手と呼ばれたたったひとりの考古学者の石器発掘捏造が、考古学界に及ぼした多大な影響を追跡取材した本。影響というより旧石器時代に関しては崩壊といってもいいくらいだ。何十年も信じられてきた歴史が突然、全部ウソでした!となったわけだから、考古学会はもとより、遺跡を町おこし、村おこしに活用してきた自治体や、発掘に参加してきた多くの人々に与えた虚脱感は一体どれくらいあったのだろう。教科書で習った町の歴史は、ぜ〜んぶウソでした!と知った子どもたちのショックはいかばかりか。
終戦直後の日本人くらいのインパクトがあったんじゃなかろうか。
もちろん悪いのは藤村氏本人なのだが、彼の発見を認めてきた周囲も悪い。ある意味、藤村氏は捏造という間違った手段でだが、皆の願望を形にしてきたという面もある。
地質学者が火山灰の堆積層から石器がでてくるわけがないと主張したのに、考古学者たちは無視した。
ある遺跡から発掘された石器の破片が30キロ離れた他の石器の割れ口と一致した、だからこの遺跡間には交流があった、なんて話、なぜ信じるのか。そんな偶然あるわけないだろ、と普通の人だったら誰も信じないと思うのだが、考古学者たちは信じた。
だから旧石器時代の嘘の歴史を作り上げたのは藤村氏だけでなく、考古学会にも責任がある。
そんなに面白い本ではないから、読むなら『発掘捏造』だけでいいかと思う。 -
ありえへんっ!
「神の手」ってそんなにええもんか?なんで誰も気つかへんの?
おかしいやん?そんなに簡単にみつかるわけないやん?
考えさせられる一冊。 -
有名な「座散乱木遺跡」って知ってますよね。<br>
知らなくても聞いたことくらいありませんか?<br>
少し歴史の授業が好きだった人なら「馬場壇遺跡」とか「上高森遺跡」とか「早水台遺跡」とかも聞いたことがあるかもしれません。<br>
その他にも、三ヶ日人とか牛川人とか聖嶽人とか明石人なんていう、化石人骨の名前を覚えている人もいるかもしれませんね。
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でも、今の教科書には、これらはほとんど全部載っていません。
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全て捏造された遺跡だったからです。
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捏造していたのは藤村新一。彼の歩くところでは、必ず石器などが見つかることから「神の手」と呼ばれていました。でも彼は、自分で石器を埋め、そのまま自分で発掘したり、他の人に見つけさせたりしていたのです。その数42遺跡。<br><br>
これによって「ある」とされていた日本の「前・中期石器時代」の研究成果は、完全になくなりました。20年間以上に渡って続いていた、数々の新発見はほとんどすべて嘘だったのです。<br><br>
この事件で、日本の考古学の信頼はなくなりました。教科書は完全に書き換えられました。出版された本はすぐに改訂されるか、絶版になりました。
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化学でも物理でも、いろんな世界で(データなどの)捏造は起きています。でも、これだけ長くに渡って続けられ、しかも一般の人達に影響を与えた(教科書に載り、多くの人に誤った情報を伝えた)捏造事件は他にないのではないでしょうか。
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