カブキの日 (新潮文庫 こ 26-2)

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  • Amazon.co.jp ・本 (385ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101478128

感想・レビュー・書評

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  • 所用で旅に出ることとなり嵩張らない文庫本をということで積読の山から一冊。歌舞伎を借りたマジックリアリズムの作品。
    話がどこに向かっていくのか読めない楽しさと、結末に向かっていく疾走感と美しく映像的な描写も素晴らしい。このような作風の作品に弱い、好みであるのは仕方がなく、特に混沌した世界座三階の混沌さの描写は筒井康隆的というと作者には失礼になってしまうのかもしれませんが、特筆すべき場面のひとつに違いないでしょう。
    テーマであるエロスとタナトスに想いを馳せる良作です。78

  • 小林恭二作品初読。
    「歌舞伎の国のアリス」という感じでした。幹部の一階、役者の二階、混沌とした三階…迷路のようで扉を開けるたびに現れる不思議な世界と踊り、危険な目にあって、三階の奥に住まうと信じられている伝説の人物…。船舞台の謎とヤヤコ踊の哀しさと美しさ。
    それと同時並行して起こる、歌舞伎の派閥争いと顔見世の大舞台による張り詰めた緊張感。事件と疑惑の噂。
    21世紀の歌舞伎が大流行して、全ての人の熱量と関心と金が歌舞伎に集まっている世界線なら起こり得たかもしれない、歌舞伎を舞台にしたファンタジー、キラキラしい歌舞伎と先の全く読めないドキドキ感が面白かった。

    ところどころ挟まれる長唄?狂歌?の意味を理解できる感性と歌舞伎の知識が私になかったので、どこまで実在の歌舞伎を踏まえているのかが読み取れず、残念でした。

  • 神々のちょっとしたいたずらが舞台に大混乱を招き寄せる
    しかしそれがたたき台となって、奇跡的パフォーマンスを生じる
    「プロレスの神」アントニオ猪木が後にやろうとしたことだ
    数年先立って、ここではカブキを題材に行われている
    猪木のそれは散々な結果だったが
    しかしこの小説では
    カブキの申し子と呼ぶべき2人の「貴種」が出現して
    奇跡を成立させている
    2人の演技が具体的にどんなものか、誰もが知りたがることだろう
    とにかくすごすぎてポエムでしか表現できないほどだ(アカン)

    まあファンタジーと思えば済む話なんだけどね
    もうひとつ
    プロパガンダというものについて考えないわけにもいかんのだ

  • ドラマチックで、ドキドキしながら読み終えました。歌舞伎ファンにはなんともおもしろい!いくつかの外題が出て、あらすじも話してくれる。実在の人名と作中の創作人名が混ざって、不思議な物語となっている。世界座3階の空間の様が、森未富彦の4畳半~を思い出させる。また最後の蜷川さんの解説がいい。

  • 見えるはずのない 阿国踊り が
    見えてくる
    聞こえるはずのない 下座の囃子が
    聞こえてくる
    そこ(世界座)にいないのに
    その桟敷席の片隅で一部始終を見ているような
    その臨場感がすばらしい

    私たち(日本人)の中に流れている
    カブキの文化を愉しむDNAを
    引き出してもらったような気がする

    歌舞伎のことが よくわかっている人は
    むろんのこと
    歌舞伎を 全く見たことのない人も
    充分 楽しめる
    極上のエンターティメントですね

  • カブキを巡る革新派と保守派のあらそいのなか、女性に生まれたが故に、歌舞伎役者になれないのだが革新の騎手でありかつ別の顔がそれを支える脚本家である祖父に導かれ大舞台で大事な役を果たすまでになるカブキを巡るちょっとしたスペクタクル。カブキの勉強になるし、ちょっとしたサスペンスとしも面白い。カブキに興味のある方は是非。

  • 三島賞の作品はおもしろいの多いな―ってことでこの作品.カブキの日.最初はなんじゃこりゃっていう文章で難しいなーって思ってたけど歌舞伎に魅かれていたので読み進めて見れば高揚感.作者のリズムに持ってかれてしまいました.私たちが作品を読む、批評するというのは「作者の死」によって償われるといいますが、この作品には持って行かれますた!

  • 人よ命を燃やして傾け傾け!

  •  小林恭二は好きなので、手にとって読んでみたものの、なんだかよくわかりませんでした。ファンタジーを書きたかったのか、千と千尋っぽい印象を受けました。
     もう一回読めば理解できる気がしなくはないですが、たぶん読み返さないと思います。

  • 『心中への招待状』で好きになった小林恭二さんの本。図書館で借りた。

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