- Amazon.co.jp ・本 (249ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101480121
感想・レビュー・書評
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日本人に限らず、母国語を愛している人は多いだろう。
だが、日本人の日本語好きは一種異様なまでである。
かくいう自分も日本語好きを公言して憚らない一人であるが、首を傾げたくなるのは「日本語好き」を通り越して、「日本語は他言語より難しい」「日本語は特別」という意識がある事だ。
日本語贔屓の本の中で往々にして現れるその意識が、何と鼻につく事か。
さてこの『日本語は天才である』にもその卦はあるが、それにも関わらずあまり反感を持たずに読めてしまった。
勝因としては「日本語がいかに特別か」についてではなく、「日本語の面白さ」について書かれているからだろう。
講壇で実際に語っているようなくだけた語り口も一役買っている。
時に口語体の文が逆に気になる事もあったが、方向性として日本語の面白さを伝えるのには悪くはないのだろう。
個人的に興味を惹かれたのが、いろは歌。
平仮名全てを一文字ずつ用いて歌を作るというものである。
制約が多いにも関わらず、実に多種多様なものに化ける。
音声学としてみると、日本語はむしろ乏しい言語だと思うが、それが文章になった途端生き生きとしてくる。
日本語は書き文字の文化だと思う所以である。
ざっとであるが色々な視点から書いてあるので、なかなかに面白い読み物に仕上がっている。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
平仮名、片仮名、漢字にアルファベット。
ごちゃ混ぜな日本語。
こう考えると、確かに国外の人にとって
読みにくいものかも知れません。
そして表現方法。
どう訳していくか、ニュアンスをどうするか。
ナナとシチの読み方も、言われてみれば…でした。
ニホンとニッポンの問題もありますし
発音しやすい? が前提で使われている、と
思っていましたが。
日ごろ使っているからこそ、気が付かず
うっかり考えると、答えにたどり着く道のりが
遠いような気がします。 -
何かの本に紹介されていたということで、読んでみた。なかなか面白い。肩の力を抜いて読むのにちょうどよいと思った。
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1/11 読了。
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人気翻訳家の日本語エッセイであります。
柳瀬尚紀さんの名前を初めて知つたのは、「翻訳の世界」といふ雑誌でした。もう30年くらゐ前でせうか。
当時はすでに新進気鋭の翻訳家として名を上げてゐたのであります。『翻訳困りっ話』なんて著書もありましたね。
翻訳家の条件として、まづ「日本語の達人たれ」とよくいはれる事ですが、柳瀬氏の仕事振りを見て「おお、なるほど」と実感することしきりなのでした。理想の翻訳家を具現化すれば、そのまま柳瀬氏の姿になるのではと思ふほどです。
表題は石川啄木の『雲は天才である』をもぢつたものださうです。
日本語が天才であるお陰で、翻訳家である自分がその恩恵を享受してゐますよ、と柳瀬氏は語るのですが、その天才たる日本語を操る自分も天才ぢやないかしらん、と読者に訴へてゐる気がしないでもない。ま、いいか。
http://ameblo.jp/genjigawa/entry-11279330589.html