絶対音感 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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感想 : 66
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  • Amazon.co.jp ・本 (430ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101482231

感想・レビュー・書評

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  • 何について論じているのかが分かりにくくて、読みにくい。
    ノンフィクションとはこういうものなのかもしれないが、もう少し要点を端的に書いて欲しい。
    興味深いエピソードはいくつかあった。
    絶対音感は絶対ではない。
    最終章の五嶋家族の物語は蛇足。

  • 音楽教育に絶対音感は必要か,様々なトレーニングの効果の程はどうか.絶対音感に基いたピアノ教室の生徒の親は絶対音感をつけさせるとさっさとやめてしまう状況が続いた.軍事目的でのトレーニングであっただとか,感性工学の分野から絶対音感を容易にに持たせることが出来るコンピュータが作る曲は必ずしも印象的なものとならない,将来はどうなるのか,などの調査も面白い.

  • ベストセラーが文庫になった。絶対音感ということばは本書が売れ出したときに初めて知った。それまではそんなこと考えたこともなかった。そして特に興味があるわけでもなかった。でも、たくさんの音楽家に取材して書かれているようなので、少し気になってはいた。それで文庫が出てすぐに読んでみた。なぜこれがベストセラーになったのかが分からない。おもしろくないというのではない。内容が少し高度に感じられるからだ。特に脳についての記述は、まったく初めての人には少ししんどいのではないかと思う。それがどうして売れたのか。絶対音感を我が子にも持たせたいと思っている親が多く存在するのだろうか。そういった音楽教室が成り立っているということは、そんなニーズもあるのかも知れない。私の本書を通しての1つの驚きは、基準になる440ヘルツのラの音が、時と場所によって異なるということだ。それこそどこでも絶対的なものだと思いこんでいた。そのずれがあるため、絶対音感を持った演奏家はときに苦労するのだそうだ。しかしまあよく考えてみると、そんな微妙な調整は温度や湿度によってもくるってくるだろうし、200年前に正確に計れたとも思えないし、もっともっといい加減なものなのかも知れない。専門外のものほど、何でも絶対視する傾向があるような気がする。文系の人間ほど、細かい数字を気にしすぎるなど。本書の中で一番おもしろかったのは、最終章の五嶋みどりさんの家族についての記述だ。みんな一般読者は脳の話なんかはすっと読み飛ばして、こんな音楽家のいろいろなエピソードを読んで楽しんだのかも知れない。しかしよくもまあ、これだけたくさんの人に、しかもかなりの著名な芸術家や研究者にインタビューができたものだ。その点が最も感心できる。

  •  
    ── 最相 葉月《絶対音感 199803‥小学館 20060425 新潮文庫》p430
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4101482233
    /カバー装丁;吉田 徳弘&浩美、デザイン;新潮社装幀室
     
     過去に書かれた“絶対音感”に関する最も信頼すべき研究レポート。
     ただし著者自身に“楽譜・楽器・楽理”の素養がないので、合理的な
    結論に至らない(騎乗経験なしに競馬を論じるような勇気が感じられる)。
     
    ♀最相 葉月 19631126 東京 神戸 /第4回小学館ノンフィクション大賞
    /関西学院大学法学部法律学科(国際法専攻)卒。広告会社、出版社、
    PR誌編集事務所勤務を経てフリーの編集者兼ライターとなる。
     
    (20150624)(編集中)
     

    • adlibさん
       
      https://jp.quora.com/%E7%B5%B6%E5%AF%BE%E9%9F%B3%E6%84%9F%E3%81%AE...
       
      https://jp.quora.com/%E7%B5%B6%E5%AF%BE%E9%9F%B3%E6%84%9F%E3%81%AE%E7%84%A1%E3%81%84%E5%9D%82%E5%B4%8E%E5%B9%B8%E4%B9%8B%E5%8A%A9%E3%81%95%E3%82%93%E3%81%AE%E3%82%88%E3%81%86%E3%81%AB-%E5%AE%B4%E4%BC%9A%E3%81%AA%E3%81%A9%E3%81%A7-?__filter__=all&__nsrc__=notif_page&__sncid__=41465418218&__snid3__=55497096212
       
       まずは、絶対音感など実在せず、無意味なことを学びましょう。
       
       世界中、無数にあるピアノは、指揮者や演奏家や調律師の都合から、
      てんでバラバラのピッチなので、誰かが不合理な権力で、あらためて
      チューニングするには、そのつど数万円から数時間かかります。
        
      …… 作曲者・演奏家・聴衆にとって、何一つ有利なことはありません。
      http://q.hatena.ne.jp/1371814999#a1205209(No.3 20130621 22:20:35)
       絶対音感 ~ 百害あって一利なし ~
       
      http://www.enpitu.ne.jp/usr8/bin/day?id=87518&pg=20150902
       鈍感教室 ~ 絶対音感を理解できない人々のために ~
      http://www.enpitu.ne.jp/usr8/bin/search?idst=87518&key=%C0%E4%C2%D0%B2%BB%B4%B6
       
      https://jp.quora.com/search?q=%E6%A5%BD%E6%AD%B4
       わたしの楽暦
      2023/07/07
  • 再読。ヘルツの微妙な違いで音の聞こえ方が違う云々を言葉で説明するのは難しいな、と思った。良く調べてあるが、専門的すぎて途中で飽きた。

  • 140514

  • 中学生のときに読んでからの再読。
    当時は難しくてわからなかったことがわかるようになった。理解できることが増えた。

    私は絶対音感を持っています。
    ですが、相対音感もありますし移動ドで気持ち悪さを感じたことはありません。

    色々な音楽家が絶対音感についてどう考えているか理解できて面白かった。

  • 実によく歩き回った作品である。
    なにげなく使っている言葉が、実はかなり深い歴史を持っていた。
    「絶対音感」;その響きは、何かを想像させる。

    五島みどりのおっかけストーリーを織り交ぜながら、
    日本の「絶対音感」をもつ人の多いことについての考察
    ヤマハそしてそのさきがけたる人物像。
    「絶対音感」が、なくても、ある程度の演奏家になれる。
    しかし、日本で絶対音感をもつことによって、
    国によって、絶対音感が違ってくる。
    ラ音 440ヘルツ
    音というのは、ヘルツなんだよね。
    ○ピアノの平均率で出来ている純正律の音程
    ○440ヘルツ、442ヘルツ

    音とは人と人の間の空間をどれだけ揺り動かすことが出来るか
    無意識、あたらしいもの、自分の考えていること

    「音響という物理現象が情動という心理現象へ移る接点」

    「プロになるということは、
    川の向こう岸に立つということです。
    好きでないと出来ないけれど、
    好きだけでは絶対出来ない。
    誰にも頼ることは出来ない。
    ソロの演奏家なら、一人で多くの人の前に
    裸で立つ勇気を持っていない限りやっていけない。 
    音を紡ぎ、自分を表現できる音楽家って
    幸せですかねといわれますが、
    紡ぐ音なんて見えない、どこにもない。

    その音を探すこと頃から始めるわけだから
    途方に暮れるのです。
    少しも幸せではないです。
    だけど、最終的にはなにかの幸せが祈られていて、
    そのために生きていくのでしょうね。」

    涙は心臓より出ずるものにして脳よりにあらず。
    科学論 レオナルド・ダ・ヴィンチ  

  • 10年以上前に話題になった、氏のデビューレポを今ようやく読んだ。五島家をメインとした幼児教育論に話が始まり、各界音楽家へのインタビューねたをもとに、絶対音感について徹底調査した内容。結論としては予想通り(今の流れを知っているからかもしれないが)であるが、裏取りもしっかりとしてあり、読み応えあるものだった。自分には相対音感はあるということも、本書を読んで理解できた。

  • 【読了】再相葉月「絶対音感」 8月24冊目

    「絶対音感」に関して書かれたノンフィクションもの。筆者の方が音楽家ではないだけあって、音楽的知識がほぼなくても読める作品になっていると思う。もちろん多少の音楽的知識はあった方がよさそうな気もするけれど。

    読んでいて自分でも意外だったのが、絶対音感なる技能は、人にもよるけれども、周波数判定能力ではなくて、単純に言語変換&認識能力である・・・ということ。

    例えば、日本人が日本人に向かって「あいうえお」といえば、それを「あいうえお」と言葉として聴こえるように、ピアノで「ドレミファ」と演奏すると、それが言葉として「ドレミファ」と聴こえてしまうらしい。歌ものなどは歌詞にメロディのドレミが上書きされてしまうんだとか。

    その他、絶対音感と相対音感などや、平均律の問題点など、基準音Aの周波数の歴史など、なかなかに興味深い話が続くし、コンピュータと音楽的な話も出てくるので、意外とミクさんとかで音楽を創ってる、創りたいという人なんかが読んでみると、ちょっとしたヒントが得られるんじゃないかなと思ったり、思わなかったり。

    前から音楽を言葉で語るということが、個人的になかなか面白い現象だなと思っているところがあって。でも音楽雑誌でも音楽を直接的に言葉に変換したりはしないで、その周辺をなぞるように描写しているにすぎないのだけれども、この本では本当に直接的に言葉として聴こえている人が存在すると書いてあって、世界認識の仕方というのは本当に人それぞれなのだなと思ったのでありました。

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著者プロフィール

1963年、東京生まれの神戸育ち。関西学院大学法学部卒業。科学技術と人間の関係性、スポーツ、精神医療、信仰などをテーマに執筆活動を展開。著書に『絶対音感』(小学館ノンフィクション大賞)、『星新一 一〇〇一話をつくった人』(大佛次郎賞、講談社ノンフィクション賞ほか)、『青いバラ』『セラピスト』『れるられる』『ナグネ 中国朝鮮族の友と日本』『証し 日本のキリスト者』『中井久夫 人と仕事』ほか、エッセイ集に『なんといふ空』『最相葉月のさいとび』『最相葉月 仕事の手帳』など多数。ミシマ社では『辛口サイショーの人生案内』『辛口サイショーの人生案内DX』『未来への周遊券』(瀬名秀明との共著)『胎児のはなし』(増﨑英明との共著)を刊行。

「2024年 『母の最終講義』 で使われていた紹介文から引用しています。」

最相葉月の作品

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