絶対音感 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (430ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101482231

感想・レビュー・書評

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  • 【読了】再相葉月「絶対音感」 8月24冊目

    「絶対音感」に関して書かれたノンフィクションもの。筆者の方が音楽家ではないだけあって、音楽的知識がほぼなくても読める作品になっていると思う。もちろん多少の音楽的知識はあった方がよさそうな気もするけれど。

    読んでいて自分でも意外だったのが、絶対音感なる技能は、人にもよるけれども、周波数判定能力ではなくて、単純に言語変換&認識能力である・・・ということ。

    例えば、日本人が日本人に向かって「あいうえお」といえば、それを「あいうえお」と言葉として聴こえるように、ピアノで「ドレミファ」と演奏すると、それが言葉として「ドレミファ」と聴こえてしまうらしい。歌ものなどは歌詞にメロディのドレミが上書きされてしまうんだとか。

    その他、絶対音感と相対音感などや、平均律の問題点など、基準音Aの周波数の歴史など、なかなかに興味深い話が続くし、コンピュータと音楽的な話も出てくるので、意外とミクさんとかで音楽を創ってる、創りたいという人なんかが読んでみると、ちょっとしたヒントが得られるんじゃないかなと思ったり、思わなかったり。

    前から音楽を言葉で語るということが、個人的になかなか面白い現象だなと思っているところがあって。でも音楽雑誌でも音楽を直接的に言葉に変換したりはしないで、その周辺をなぞるように描写しているにすぎないのだけれども、この本では本当に直接的に言葉として聴こえている人が存在すると書いてあって、世界認識の仕方というのは本当に人それぞれなのだなと思ったのでありました。

  • あそうか、絶対音感て言っても、西洋音階が元になってるんだからその教育とセットだよな~と今更ながら気づいた。すごく面白いルポです。

  • 絶対音感について、ものすごく詳しい取材と分析が書かれているけど、読み終わってもやっぱりわからない。よく、すべての音が音階に当てはめて聞こえるっていうけど、でも本当に音感のいい人は440Hzと442Hzの違いがわかるのだろうから、厳密にいえば、周波数が大きくずれている音は、音階にはハマらない音に聞こえるのが正解じゃないのだろうか。

  • 意外と面白かった!

    余談ですが著者は関西学院大学出身、
    「東京大学応援部物語」も書いている彼女の
    母校の応援団の思い出はというと

    試験前に当時の団長にノートを貸せと言われ
    顔は知ってるもののろくに話したこともないので
    断ると、俺を誰だと思ってる的な発言をされた

    らしい…(もちろん最相さんは吹奏楽部でもない)

  • 11/21
    読みたい
    銀座ヤマハで衝動買い。立ち読みしたらどのページを読んでも続きが気になったので思わず買ってしまった。因みにその時一緒に買った楽譜は、メンデルスゾーンの第3交響曲と、ピーターと狼のスコア。

  • 絶対音感を身につけると、音楽を左脳(言語脳)で聴く傾向が出来る (P.81)
    日本は絶対音感教育天国
    Missing Fundamental (P.108)
    1000Hz, 1200Hz, 1400Hz, 1600Hz の音 → 200Hz のピッチに感じる
    900Hz, 1100Hz, 1300Hz, 1500Hz の音 → 200Hz のピッチに感じない

    言語の習得と絶対音感とは似ていて、ある年齢までに覚えないと「母国語」として身に付かない。それ以降だと習得しても繰り返さなければ失ってしまう (P.98)
    絶対音感は、物を比較する能力を子供が獲得してしまうと身に付きにくくなる (P.134)
    日本の義務教育では、ドレミを階名とする 移調ド唱法が行われている (P.148)

    戦時中敵機の種類を見分けるのに絶対音感が使われた時期があり、絶対音感教育が奨励された暗い過去もある。(P.65)

  • 絶対音感は、ものの振動数が絶対的な値であることを考えれば不思議ではない。
    音叉という音合わせに使う道具は、コンピュータでも実現できる。

    人間の感覚が弁別閾という相対的な処理が得意なことを考えると、
    絶対処理と相対処理がどちらが得意かという問題になる。

    それでは、絶対音感がある人が音楽で有利かという幻想を持つ人がいるので、
    具体的な情報を提供しようとしていると理解している。

    体内に音叉を持っていることが、どれだけ人間に取って幸福なことであろうか。
    体内に音叉を持っていることが便利というだけであれば、
    では物理的に音叉を持ち歩くのは嫌なことかどうかを考えてはいかがでしょうか。

    事例から直接、自分や子供の教育について方針を決めるのではなく、
    その子にとって、何を得意であることを自覚すると幸せかで考えて欲しい。

  • 絶対音感を身につけるには、
    絶対音感を身に付けた人々とは?

  • 音を聴いて、その音名を言えるという「絶対音感」。

    音楽に関わるものには非常に便利な能力。
    だけど、絶対音感を持つ者には周り中の音が全て音名で聞こえてきてやっかいなものだとも言われる。

    私には絶対音感はない。
    だが、相対音感はあるし、絶対音感に近いものは持っていると思う。

    その中途半端な音感が身についた理由がこの本である程度明らかになった。

    私は4歳からバイオリンを習い始めた。
    そして和音の音名を言う練習もさせられ、15前後の和音を区別し3つの音名を言えるようにはなっていた。
    ただしドイツ語で。
    「ドミソ」なら「ツェーエーゲ」と言うように。
    もちろん子供の私にはその意味は理解出来ない。つまりそこでドミソの和音を聞いても「ツェーエーゲ」とは答えられるが、ドとミとソの音の合成音だとは認識しなかったのである。そのため、脳内で音と音階のラベリングができなかったのだと思われる。

    そして、もうひとつの理由。
    それは鈴木メソッドでバイオリンを習ったこと。
    これは音を音名ではなく指番号で覚える。脳内で音と指の位置がラベリングされてしまったのだ。
    つまり音を聴いたら音名はわからないが、どの指でどこを押さえれば同じ音が鳴るかがわかるようになった。

    ソルフェージュなんてしてないものだから楽譜は読めない。だけど、曲を聴けば弾けてしまうということができるようになったのは、この訓練のせいだと考えられる。

    あと、バイオリンの音で開放弦の音(E,A,D,G)であれば絶対音感は身についていると思う。(ピアノもある程度はわかる)
    ただしAの音を聴いてAの開放弦の音だとは認識できても「ラ」だとは認識できない。

    こういう音楽教育を小さい時に受けてきたので、このような音感の持ち主になったのだということがこの本のおかげで分かった。

    この中途半端な音感で役に立ったことと言えば、カラオケでキーを外さずに歌えるってことかな(そのキーが出せればだけど)。
    逆に不便に思ったのが演奏とボーカルのキーがほんの少しでもズレてると気になってしょうがないということ(はっきり言えば下手に聞こえてしまう)。特にライブの演奏などは気になってしょうがないってことかな。


    子供の頃からの音楽教育によって絶対音感を身につけることは可能だろう。だがそれが本当の意味での絶対音感ではないことをこの本で教えられた。

    ■この本を知ったきっかけ
     BS11『ベストセラーBOOK TV』で紹介されてた
    ■読もうと思ったわけ
     絶対音感に興味があったため。

  • 絶対音感を持つ自分って何だろうと思い読みました。参考になったようなならなかったような。

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著者プロフィール

1963年、東京生まれの神戸育ち。関西学院大学法学部卒業。科学技術と人間の関係性、スポーツ、精神医療、信仰などをテーマに執筆活動を展開。著書に『絶対音感』(小学館ノンフィクション大賞)、『星新一 一〇〇一話をつくった人』(大佛次郎賞、講談社ノンフィクション賞ほか)、『青いバラ』『セラピスト』『れるられる』『ナグネ 中国朝鮮族の友と日本』『証し 日本のキリスト者』『中井久夫 人と仕事』ほか、エッセイ集に『なんといふ空』『最相葉月のさいとび』『最相葉月 仕事の手帳』など多数。ミシマ社では『辛口サイショーの人生案内』『辛口サイショーの人生案内DX』『未来への周遊券』(瀬名秀明との共著)『胎児のはなし』(増﨑英明との共著)を刊行。

「2024年 『母の最終講義』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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