家鳴り (新潮文庫 し 38-3)

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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101484136

感想・レビュー・書評

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  •  日常にある異界への入り口を垣間みせてくれる。そんなホラー好きにはたまらない7つの短編。どのお話しの主人公も最後はあちらの世界へと旅立ち、けっして日常を取り戻すことはない。現世と決別を果たした者だけが異界へ誘われるのだろう。ホラーとは一種のファンタジーなのだと知る。

  • いわゆる「人間怖ぇ」系のホラー短篇集。(そうでないのもあり)
    このジャンルではかなり上位に位置する怖さ。
    耐性のない人にはおすすめしない。

  • 会社が倒産した主人公の健志。経済的には手芸アーティストである妻、治美の収入が十二分にあるため心配はなかったが、彼は自分の「仕事」を失い、居場所を失ったような気がしていた。愛犬が病死して心身のバランスを失い、摂食障害になった治美。彼女に何とか食事を摂らせようと、健志は料理に打ち込みだす。当初は食べられなかった治美も、次第に健志の料理を喜んで食べるようになった。治美は次第に肥大化していく。しかし健志には「たくさん食べる」妻が健康的で嬉しかった……。
    失った己の存在意義を取り戻した男の狂気を描いた表題作。その他、痴呆の老女が介護ロボットと心を通わず「操作手(マニピュレーター)」、不倫の清算と会社の倒産の末、叩き上げの証券マンを待っていた現実を描いた「水球」など、現代社会の問題を生々しく取り扱った短編7編を収録。

    7編とも、ホラーにつきものの超自然は「怪異の主人公」としてはほとんど姿を現さない。恐怖の主体はあくまでバブル崩壊後に顕在化したとも言えるの社会や人間の心の歪みなのだ。その辺りは菊池秀行による巻末解説に詳しいが、その怖さとは一言で言えば「生々しい」。

  • 短編集。
    どの作品にも悲しい雰囲気が漂っていた。
    特に,「操作手」と「春の便り」は認知症の女性が登場しており,
    その患者自身の視線からこの世界がどのように見えるのか,
    知り合いの顔がどのように映っているのかということを考えたら胸が苦しくなった。

  • ・幻の穀物危機
    ・やどかり
    ・操作手
    ・春の便り
    ・家鳴り
    ・水球
    ・青らむ空のうつろの中に


    星新一風?

  • 現実の中で起こるかもしれない出来事とそも恐怖が描かれていました。怖かった。

著者プロフィール

篠田節子 (しのだ・せつこ)
1955年東京都生まれ。90年『絹の変容』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。97年『ゴサインタン‐神の座‐』で山本周五郎賞、『女たちのジハード』で直木賞、2009年『仮想儀礼』で柴田錬三郎賞、11年『スターバト・マーテル』で芸術選奨文部科学大臣賞、15年『インドクリスタル』で中央公論文芸賞、19年『鏡の背面』で吉川英治文学賞を受賞。ほかの著書に『夏の災厄』『弥勒』『田舎のポルシェ』『失われた岬』、エッセイ『介護のうしろから「がん」が来た!』など多数。20年紫綬褒章受章。

「2022年 『セカンドチャンス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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