恋する男たち (新潮文庫)

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  • 新潮社 (2005年3月2日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101484143

恋する男たち (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 恋愛アンソロにふさわしいベタなタイトルの割に中味は糖度控えめでくどくなく読めました。

    ・密会/篠田節子
    妻ともう中学生になる子供がいながら、老いた母親のいる実家に密かに通う主人公の男性。老いた母が心配だが、自分の家は広さの都合で引き取れない。
    実家の居心地があまりにいいので妻や子の待つ家に帰るのが嫌になってダラダラ過ごしてしまう。
    妻はそんな主人公が女と浮気していると勘違いする。
    二人は離婚寸前まで行くが、主人公の母親が妻に真実を話し、全てが明るみに出る。
    広い家に越して母を引き取る方向で話がまとまる。
    主人公の男性が母親に抱いている感情は、アンソロのタイトルの通り恋心に近いのかもしれない。愛人は切れても母親は切れないと言い切っているのでそれよりも強いかも。
    兎に角母親の傍にいることがあまりにも心地良く、それを妻に言い出せない気持ちがよく書かれてました。女性からすると男性のこういう気持ちにあまり気が付かないような気がするんだけど、篠田さんは書いたんだなぁ。

    ・彼方へ/小池真理子
    ひとつ前の篠田さんの話同様、主人公は妻と子供がいる男性・幹彦。
    幹彦にはかつて別れた忘れられない女性・珠子がいて、その姿が最近頻繁に夢に出てくるようになり、彼女と過ごした日々に想いを馳せる。
    珠子は幹彦の4歳上で、なんと自分の母親の再婚相手・川端と密かに付き合っている。
    珠子は幹彦が予備校生だった時代に下宿していた先の娘で、幹彦は昔から彼女に恋心に近い仄かな気持ちを抱いていた。
    珠子が母親の再婚相手・川端との関係を幹彦に打ち明けた日、二人は契る。幹彦と珠子は互いに想いを打ち明け合うが、珠子は川端とともに駆け落ちした。
    その後、幹彦は別の女生徒結婚して子供を設ける。川端と珠子がともに亡くなったことを聞く。
    しかし死の間際まで頭の中にあるのは珠子のことだった。

    ・終の季節/唯川恵
    不景気で左遷され、会社で無為な日々をすごしている主人公の杉浦。左遷されて給料が減り、暇をもてあそぶ杉浦の妻は、杉浦に愚痴をこぼしながらも働き始め、今では杉浦より忙しくなっている。
    娘の夏美は高校生。年頃になり、家でだらしなくする父親を露骨に嫌っている。
    娘と妻から邪険にされ、家は居場所のない杉浦。
    そんな杉浦は、ある日昼休みに入った喫茶店で、援助交際をしていると思しき女子高生と会う。
    そしてその女子高生が夏美の友達の一人・ゆかりであることに気が付く。
    杉浦はゆかりに何とか援助交際を辞めさせようとするが、聞いてもらえない。
    そうこうしているうちに杉浦はリストラ対象になってしまい、妻から離婚を突き付けられる。
    一人になった杉浦は、再びゆかりに接触し、援助交際を辞めるように言う。
    ゆかりは「30万円もってきたら援交をやめる」と言う。
    杉浦は慣れないアルバイトで何とかお金をため、ゆかりのもとへ持っていく。
    その行為がゆかりの心を開き、「嬉しかった」と言われる。その一言で、杉浦の心も救われたような気分になった。

    ・マンホールより愛をこめて/松尾由美
    主人公の宏香は作家。「マンホールより愛をこめて」という小説を執筆中である。担当の楢林からある日作中の女性キャラである『千草』をあまり小説に出さないでくれ、と意味不明なことを言われる。
    楢林の話を聞くと、宏香の描いたその女性キャラ・『千草』が楢崎の前に現れたのだという。宏香が千草のことを書いているであろう間はその『千草』がかき消えてしまう。楢林は千草となるべく一緒にいたいので、あまり出さないでくれ、というのだ。
    宏香や周りの人たちは、楢林が悪い妄想に取り付かれているのではないかと思い、なんとか楢崎を元に戻そうとする。
    そこで、宏香が小説を書いている間『千草』が消えるということを利用して、しばらく消えたままにして引き離すという作戦に出た。
    しかしなぜか楢林のもとにいた『千草』は消えていなかった。
    宏香たちが千草と自分を引き離そうとしている人に気が付いた楢林は、千草と一緒に姿を消す。
    宏香はしばらくして、ただ小説を書くだけでは千草が消えないことに気が付く。宏香は楢林に仄かな感情を抱いていた。担当の楢林とともに考え出したキャラ・千草を楢林のために書き、彼のもとへネットワークで送ったために、千草は誕生したのではないか…。
    楢林は「千草」と楽しく暮らしているという。宏香は彼らはもうこのままでいいのではないかと思っていた。

    ・マジック・フルート/湯本香樹美
    主人公の「僕」が、調律師としてドイツのピアノ工房に行くことになった場面から話が始まる。
    「僕」は家の都合で祖父のもとへ預けられていた。そしてひょんなことから祖父の家の近くのピアノ教室に通うことになる。
    ピアノ教室の女性の先生・道枝厳しい人だった。ある日指導が終わった後、「僕」はピアノ教室の中で道枝の姉、網枝に出会う。網枝のことは話だけ聞いていて「すこし変わった人」と言われていた。
    僕と網枝はそれから神社で会うようになり、その時網枝は、入れ歯が喋る話など、ちょっと変わった話をしてくれた。
    二人の密かな関係はしばらく続いたが、ある日道枝に見つかり、終わりを迎えることになる。
    道枝は、姉は病気なのだという。そして網枝は「待っている人がいる」という。
    「あの人のために、帰らないと」と網枝は告げ、僕のもとから去る。
    あれ以来会っていないが、僕はおりに触れて網枝のことを思い出す。

    ・谷中おぼろ町/森まゆみ
    谷中の住民がリレー形式で、自分の身に起きた色々なことを話す。
    彼らの話は戦前から背後すぐ位の時期。その時に起こった実際の出来事や当時の流行などがフィクションと混ぜられて登場する。
    上野動物園の猛獣脱走事件や阿部定事件、当時はやった東京音頭、そして戦時中の空襲の様子などが、市井の人々の語り口で生き生きと描いてありました。

  • P274

  • 恋愛の短編集であるが・・・このくらいの短編の方が読みやすい。

  • 作品はどれも上手だとは思うのですが、タイトルにある「恋する」という単語から思い浮かべる、浮き立つような気持ちになる作品はなかった。
    むしろ、読後に物悲しくなったものもありました。
    「マンホールより愛をこめて」は設定が面白かった。

  • 恋とタイトルにある割りには恋っぽくなかった気がする。タイトルで中身を考えてしまいさらに期待していたよりもそうではなかったので評価も若干低め。書かれたのも1998年で若干その時の時代を感じた。

  • 6人の女流作家の恋愛アンソロジー。
    タイトルは「恋する~」となっているけれど、
    ガッツリ男女の恋愛を描いてるものは無い。
    短編集ということで、サラッと読みやすいかと思っていたが、
    意外と深い内容のモノもあった。

    篠田節子、
    小池真理子、
    唯川 恵、
    松尾由美、
    湯本香樹実、
    森 まゆみ

    個人的には、前半の3人がお気に入り。

  • こんどこの辺を読んでみようと思った。
    篠田/節子
    唯川/恵
    松尾/由美
    湯本/香樹実

  • 女性作家による、男性(といっても、壮年のサラリーマンから少年まで年齢も境遇もさまざま)をメインにした恋愛アンソロジーだ。
    発表された媒体が週刊朝日で、掲載されていたのが1998年。
    作家陣の顔ぶれや、内容に時代を感じる。
    今同じテーマでアンソロジーを作ったら、作家はもとより、各作品が持つ雰囲気もまったく異なるものだったろうと思う。
    女性作家が描いているのにどこか「男社会」な雰囲気が漂う作品が多い、と感じるのが不思議。

  • 倉庫行き

  • 【資料ID】737
    【分類】913.68/Ko34

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