仮想儀礼〈下〉 (新潮文庫)

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著者 : 篠田節子
  • 新潮社 (2011年5月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (601ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101484174

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仮想儀礼〈下〉 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 夢物語に終わったファンタジーゲームブックで創作した秘法が、宗教という衣をまとってまたたくまに拡がった・・・と思ったら、予想通り、本下巻は転落の道。しかも転落の道を引っ張るのは、予想外の敵ばかり。自業自得と言ってしまっては気の毒というくらいに、だんだん教祖に同情というか共感じみた感情も芽生えてくる。

    現代のモンスター、「宗教」の虚実・・・という売り文句でしたが、最近は「洗脳」というくくりでしょうかね。


    (2012/5/9)

  • 2017.2.1(水)¥250(-2割引き)+税。
    2017.4.4(火)。

  • この引き込まれて逃げられない展開。読まずにはいられない展開。想定しているより悲惨な境遇に一段一段落ちていく。目をそらしたいけれど指の隙間から見てしまうような、そんなストーリーでした。人間描写がすごい。
    どこかしらに、らもさんのガダラの豚を思い出させるそんな雰囲気があった。
    いやぁ、作り話にしてもなんとも恐ろしい話だ。ずーんときた。

  • このミスベスト10、2010年版7位。こりゃ、長すぎるでしょ。下巻なんて、生理的嫌悪感を感じる描写が徐々にエスカレートしながら延々とつづくし、冗長。上巻はまだ、この作者の客観的で感情を抑えた表現が妙に男性的で好感持てたんですが。で、他の人の評価みたらやたら高くてビックリした。確かに他の本ではめずらしいぐらいの苦行を強いられるし、単に難解で悶絶するのとは違って、ほんとやな感じ。それがこれでもかと繰り返されるので、読んでる人がトランス状態い入って、超常現象を体験したみたいに高評価つけちゃうんでは。ボクの場合は最後まで、主人公のように冷静さを保ったまま、何これグダグダやんと思ったりしました。

  • 上巻と下巻の趣きが全く違っていた。下巻の展開は全く予想がつかずとても切なく面白く読めた。

  • 上巻は正直言ってダラダラとめりはりがなく、何度か脱落しそうになった。しかし下巻では篠田節子の面目躍如。引きずり込まれるように読んだ。発端は食い詰めたふたりの中年男が、手っ取り早く大金を手にする手段として宗教教団を立ち上げた。教祖になった正彦が書いたゲームのストーリーブックから抜き出した教義で。信者は順調に増えていき、パトロンとなる企業もついた。とは言うものの正彦は常識人。新興宗教のガツガツさも、カルト教団の排他性もなく、教えと言えば常識の範囲内の穏やかな心の安定を得るための生き方だけ。しかし脱税、パトロン企業の奸計にひっかかり、評判は地に落ち、カルト教団の烙印を押されてしまう。女性信者が次々に持ち込む家庭不和、肉親による性的虐待など問題は山積。教祖が尻拭いをして回る羽目に。マスコミ、世論、娘を取り戻そうとする家族が仕掛ける数々の暴力事件に堪えている。嘘からでたエセ宗教が暴走し、女性信者が肉付けをし、もう教祖でさえとめることができない。篠田作品には珍しく男性が主人公なのだが、後半は5人の女性信者の狂気が描かれており、秀逸。

  •  エセ宗教家の末路がこれでよいのか、あの法の華三法行の福永法源などは娑婆に出てきて、性懲りもなく活動再開しているらしいし、大悪人の麻原なんて刑務所で日々脱糞しながら瞑想(迷走)している・・・小説に登場するエセ宗教家は悪人になり切れず、かといって自分がつくった宗教から逃げ出すことができずに自滅するのだが、何やら不思議なラストであった。この話の続きがあるとしたなら彼はもう一度、宗教家としてやり直しが出来るのかもしれない。

  • サービス業として「宗教」という商売を始める...という発想に深く興味をそそられてワクワクしなたら読み進めた。「心身のケアをサービスとして売る」ある意味正当な職業だ。それが宗教という枠に入った場合、世間との兼ね合いはどうなるのか。まともな職業でいられるわけがない。そういう事を念頭に置いて、どの様に、この物語は進んでいくか、ワクワクしながら読めた。

    上巻を読んだとき、そのうちに来るであろう崩壊が読めた。よくあるマスコミの餌食にされてボロボロになるというパターンを想定した。けれども、この小説はそこから先があった。それが異常に面白かった。

    エセ宗教から本物の信仰を見出した信者達。深い信仰を持った信者とエセ教祖様の立場の逆転。どんどん落ちていきつつも、エセ教祖が最後の最後で信者たちを守る姿に、教祖なのか、父性愛なのか分からないが、導こうとする人の信念を感じることができた。

    かなり面白い小説でした。

  • 途中で少し、あの狂気染みた感じには恐れを感じた。長かったものの、終わり方としては綺麗だったような。上巻とはまた違った味わい。

  • すげえ力技の小説。
    勿論、力だけではなく上手い小説でもあるんだけど、読み終わった後の疲労感が「オモロかった」より「読み遂げたぁ」という感想になるあたりが、力でガツんとホームラン打たれた感がするのである。

    新興宗教をテーマにしている小説。宗教観については個人的な見解も色々だろうし、そこをなんやかやというつもりはない。宗教とか救済とかその手の事についてどう書いてあるか気になる人は、この作品を読んで自身の感想をもてばよいと思う。

    「絶対信じる」と言うた側はそこで思考停止する言い訳をしてるのであって、またそれを受け入れた側が思考停止を認めた段階で相手を人間として扱っていないことになる。

    マスコミが言うていることが正しいのではないということ、大新聞がNHKが報道したんだから正しいというのは、「絶対」を信じる思考停止に似た心境なんだろう。この小説は「絶対」に信じる存在の危うさ、信じられることの危険性を一つのテーマにしてるのかなと思った。

    某知り合いが「Mバーガーはミミズの肉使ってる」と大勢の場で言うた事があって「そんな噂バラまくなよ。ここにかって関係者おるかも知れんねんで」と言い返したら「だってテレビで言うてたからホンマやろ」と…。この知り合いを稚拙と笑うのは簡単だけど、その手のギミックに引っかかってるは俺含めて結構多いのではないか?

    弱ってる時は寄る辺を欲するものである。それはもう絶対必要なんだけど、回復したら自分で立てるようにしとかないと、思考も筋肉も使わないと衰えるもんなんだということである。

  • 宗教を題材にしてるけど起業ものと捉えて読んでいたので失墜以降の展開は不本意。破滅させるしか無かったのは、宗教をビジネスとして扱ったことに対する報いなのか。ラストに希望を感じさせる終わり方だけどハッピーエンド至上主義の俺としては物足りない。でっち上げたはずの宗教に狂信的とも言える信者が生まれるあたりに宗教とは一体何かという姿を垣間見た。

  • やっと読み終わった。

    この本は友達のおすすめで出会った本。読み始めはおもしろそうだなーという漠然とした、どちらかというコメディ要素もあるのかなと勝手に想像を膨らませていた。

    ところが物語は宗教を興すという、意外な展開をみせる。
    そんな簡単にいくのかと思うほど、トントンと話は進み、わたしものめり込んでしまっていた。


    だけど、途端に事態は急降下。
    人間の欲や本能、心の奥底の深くて暗い隠された部分が見え隠れする。
    正直読んでいて、不快なときもあったし、終わったあとは疲れたなという思いが強かった。
    でもそれを含めて本当に面白かった。
    面白いという表現がいいのかわからないけど。

    人は究極という悲劇や、心のストレスなどを受けたとき、
    その環境の影響から、こんなにも人としての内面や感覚が理解できないようなことになってしまうものなのかと、漠然と怖くなった。

    人は弱い。
    弱くて、でも強い。


    結局、最後はどうなんだろう。
    これは洗脳なの?といまだに私も謎。

  • 上巻はトントン拍子に教団が大きくなり、普通はこんな簡単にできひんよな〜と感じるところもあったんやけど、下巻のあれよあれよという間にガンガン転落いく様はさらにリアリティを感じて、ああ〜もうこれ以上落ちていって欲しくないなあとだんだん読むのが苦しくなってくるんやけど、ほぼよどむことなく一気に最後まで読めました。

    でも一気に読めるんやけど、これは相当体力がいります。
    こんなに骨太の小説を読むのは久しぶりかもです。
    読み終わったあとはぼーっとして、頭のなかがぐるぐる回って、現実世界に帰るまでにものすごい時間がかかりました。

    仮想儀礼を読む前までは、新興宗教とか占いとかうさんくさいな〜、なんか信者のひとってだまされてる感があって気の毒〜、とか思っておったのですが、今となってはこの小説みたいなことってホンマにあるのかも。と感じております。それくらい、後半はすごくリアルに感じました。

  • 金目当てでエセ宗教を立ち上げる二人の男のいわば栄枯盛衰。世の中をこういうアングルから見た事はなかったので新鮮、かつ、宗教というものが一部の人間の心の闇に巣食う過程が実にリアルで恐ろしい。
    ある意味ミイラ取りがミイラになる・・・最後まで緻密で読ませる怖いサスペンス。主人公が最後まで「普通の人間」であり続けるのが救いか。

  • 作家になる夢に敗れて無一文になった男が,ビジネスとして宗教団体を立ち上げ,栄光と挫折,狂気の逃避行を描いた話。
    上下1,200ページ,ものすごい密度の濃い内容だった。

  • 上巻では、トントン拍子に成長していく教団の姿が書かれていましたが、下巻では一転。ドンドン転落していきます。

    適当にでっち上げた宗教。
    それが次第に一人歩きし始め、そして教祖・慧海の手には負えなくなって行く様子が見事ですね~。

    宗教って、信仰って何なんだろう?と考えさせられます。
    教祖以上に教えを信じ込む女性信者たち・・・
    信じる者は強く・恐ろしい。
    とにかく下巻は圧巻でした。

    暴走する信者・それを客観的に眺める教祖・世間からはカルト教団の烙印を押され弾圧される・押しかける信者の関係者。
    すごく怖いです。
    やはり下手なホラーよりも一番怖いのは人間だ、と再認識させられる怖さ。

    そして暴走する信者とは逆に、最後まで悪党にはなれない教祖・正彦と矢口。金儲けの為に2人で始めたビジネスとしての宗教。
    でもこの2人には「お金の為」と簡単には割り切れないほどの良心・常識がありすぎたのです。そこがリアリティを持ってありありと感じられて、ものすごく惹きつけられました。

    段々と自分の思惑とははずれた「教祖」になってしまった常識人の正彦。
    もう自分の手に負えない。放棄したい。
    でも逃げる事も許させず、教祖を降りる事も許されない。

    ラストがまた素晴らしかったです。

  • 失業男がビジネスのために始めたエセ宗教。一時は多くの企業などとも関係を持ち、大成功するが、下巻では、エセ宗教に飲み込まれた信者と共に、転落の一途を辿る教団の姿が描かれる。
    しかし、何かを信仰するパワーって凄いな。改めて、宗教が怖くなる作品。

  • 上巻では新興宗教を立ち上げて、順調に信者数を増やし、収入も増え、起業スポンサーもつくなど順調に経営をしていた。

    が、下巻に入り、所詮思いつきで教義をつくり、その辺にあるものを材料に仏像などを作ってきたため、だんだん化けの皮が剥がれ、今度は負のスパイラルに巻き込まれていく。

    嘘が当初うまくいき、それがいつの日か逆回転し始めるという意味で、著者の「ロズウェルなんか知らない」にパターンが似ている。

    小説を面白くするには主人公におきてほしくない事をどんどんおこすのが必要らしいが、よくここまでおきてほしくない事が思い浮かぶとおもう。

    本著で著者の現在長編で文庫になっているものは読み終わった。

  • この本は鏡リュウジ (占星術研究家)さんが推薦していた本なのですが、下巻を読むと「なるほどなぁ」と納得します。


    一つの歯車が狂い出すと、やがて全ての機能が狂い出していく・・。
    なのにその動きは停止することなく、最初に動かした者も手には負えない。
    それは読者にも想像できそうにない、あらぬ方向へ暴走し始めていく・・。

    虚業、ゲーム本から作り上げられた宗教ビジネスが、似非教祖の手の及ばないところにまで変貌し、制御不可能になって怖れをなした教祖自身がその中にズブズブと飲み込まれてゆく・・逃げることも許されず。

    とても怖いですし、異質なものが一旦社会で採り上げられてしまうと、もう社会(マスコミ)・市民運動・政治的圧力などと言う外部からの攻撃を受け、しかも内部からも醜く崩れていく・・。


    その中で、教祖桐生と矢口の奇妙な連帯感とお互いを自身の半身のように必要とし、頼り、嫌悪し、愛する(?)・・心の変化。

    知的でプライドの高い桐生よりも、笑みを絶やさず、愚かで素直ですぐ騙されやすい矢口の方が、最後には本当に仏の境地に至ったのではないかと思えるぐらい崇高に見えました。


    信者の心の闇も一筋縄ではいかなくて、彼らの「生き辛さ」に半ば嫌悪感を持つ桐生と、骨身を削ろうとする矢口。

    救われたと思ったら、次にはもっとどす黒い闇がまたたちこめて来る。

    ホント、怖いです・・これ。

    桐生にも矢口にも、本当の悪党になるほどの勇気もなく(?)
    良心が時折顔を出してしまうのが、人間らしいというか、こんな結果になった原因なのかもと・・。
    甘くないんですよね、宗教をビジネスにしようなんて。

    (「千石イエス」になりたくない)と思う桐生は、それよりも過酷な運命を辿ることになりました。

    ラストでは、嵐が去った後のような不思議な感覚を得ます。

  • 自分で作ったインチキ宗教に、教祖自身が飲み込まれていく過程は圧巻の一言。
    にしても、世の中寂しいが充満しとるんやな~。宗教が流行るわけや。

  •  信者の家族、マスコミ、国家権力によって追い詰められた聖泉真法会は次第に瓦解、暴走してゆく。様々な追及、いやがらせによって教祖と信者たちは狂気にむかってゆく。そして、あまりにもおぞましい事件が起こる…。
     この小説を読んでいて、登場人物に共感出来たことがなかった。あまりにも恐ろしく、醜く、そして弱かった。しかし、彼らは決して珍しい人たちではないと思った。このレビューを書いている俺も、聖泉真法会の教祖や信者、彼らを追い詰める独善的で残忍な人たちと同じ要素を持っているのかも知れない。彼らは少し前まで、「普通の人たち」だったのだから。宗教というのは、それに関わる人の運命を多かれ少なかれ変えてしまうものだと思った。

  • 面白くて、怖い。

  • 起承転結、転の巻き。但、転機ではなく転落。上巻末で登場した怪人物はその悪業を暴かれあっさりと舞台から姿を消すが聖泉真法会への世間の疑惑を招く契機となる。社会的異端者を排除しようとする世間、言論、公権力からの波状攻撃を受け教団は一気に崩壊の縁へと追いやられる。迫害に耐える哀れな信徒と思いきや似非教祖の統制を離れ信仰を深化、激化、狂化させて行く。行きつく先に一人の男の死。そして関係者の逮捕・審判・懲役。最後に結としての転生。マイナス札を全て集めるとプラスに転ずる札遊びの様に真の教祖誕生を思わせる後日談にて了。

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