殺人犯はそこにいる (新潮文庫 し 53-2)

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著者 : 清水潔
  • 新潮社 (2016年5月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (509ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101492223

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殺人犯はそこにいる (新潮文庫 し 53-2)の感想・レビュー・書評

  • 権力は公正のために行使されるべきであり、
    そのなかで絶対的な弱きを助けるに働く、という
    ことを期待しているのに
    権力をもって自らの面子を守る、それは自らのシナリオを
    力をもって、そうと知らぬ間に押し付け
    不都合にはふたをしているのではないか、
    そんな疑念を持たざるを得ない。
    冤罪云々ではなく、証拠と採用したものの取扱い
    本来の目的は自らの正しさを証明するのではなく
    正しい犯人を挙げることなのに。
    自分の都合に合わせるように、ひとつでもいじくったら
    そのあとはそれに合わせるために歪んで歪なものが
    出来上がるはずなのに、それを封じ込めるために
    権力が使われ、マスコミがそれに踊らされているとしたら
    ・・・受けとめてである、庶民の私たちは
    どう生きていけばいいのだろう。

  • 紀伊国屋でカバーが見えない状態で売られていて
    とても興味を持ったので読んでみました。

    タイトルからして読みにくい話かなと思っていたのですが
    そんなことはなくノンフィクションにもかかわらず
    ストーリーに惹き込まれて行きました。

    フィクションであれば最後に偉くて良い人が出てきて
    一気に勧善懲悪へ向かうというような展開を期待してしまいますが
    現実はやはりもっと厳しいですね。

    それにしてもメンツを守るために警察やら検察やらの
    国家権力がここまでするのかというのも衝撃でした。
    正義というのはもはや幻想でしかないのでしょうか。
    我々一般人は報道された情報しか知ることが出来ないですから
    それが当局から発表される時点で歪曲されているとは流石に思いませんでした。
    この本を読んでマスコミなどの報道機関の重要性を再認識しました。

    報道の端っこではありますが関わる人間として
    心にとどめておきたい作品です。

  • 1人のジャーナリストが埋もれていた冤罪を明らかにし、司法当局を動かす。報道機関としての真の姿を見たような気がして感動した。
    ただ、これは著者の方針でもあるのだが、真相を明らかにするための著者自身の取材部分の記述が多く、グイグイ読めるという感じではなかった。
    報道機関としての取材過程も読者に知ってもらおうというのは頷けるし、その内容は貴重であると思うが、正直読んでいてやや疲れを感じた。

  • 権力とは使い方を誤れば、人一人の命など赤子の手をひねるかのごとく消し去れる。
    それだけ強い権限があるということを、権力の側は自覚し適切に扱わなければならない。
    逆に言えば、それができないものは権力を手にすべきではないのだ。

    本書は「文庫X」としてさわや書店フェザン店(岩手県盛岡市)で販売が始まったものだ。
    この書店は私も実際に利用したことがあり、この本を紹介したこの書店の慧眼に感激した。
    話題になった本書を読み終わった当日、本書で挙げられていた渋谷暴動事件で手配中だった男(と思われる)が大阪府警に逮捕されたという報道があった。
    警察の執念が実ったのだ。
    しかし実らない事件も多いに違いない。
    また、保身のために隠された事件もあるかもしれない。

    警察、司法を取り巻く環境は大きく変化している。
    警察官の現認だけでは弱い証拠にしかならず、GPS捜査も違法とされた。
    自白についても、昔のような手法では公判維持すら危うい。
    マスコミについても同様だ。
    新聞、テレビ、雑誌といったメディアは、第四の権力であるのに一般人にスクープを抜かれ、マスゴミと揶揄される。
    しかし、だ。
    目的や存在意義を幾度となく問われ、揶揄されようとも、その権力が弱きもの、地位先苦しむ者に寄り添い、救おうとしている限り、その権力は決して無意味ではない。

    本書は報道のバイブルと評価される。
    私はそれ以上のものだと思う。
    「権力を生業とするもの」すべてに宛てたものだ。
    なぜ我われはここにいるのか、誰のために働くのか、己と向き合うために、この本はここに在るのだ。

  • 2017/7/10購入
    2017/7/15読了

  • 普通に売っていたら、買っていたのに…(-_-;)前から書店に平積みされていたのは知っていたけれど、文庫Xのカバーが放つ異様さ、不気味さに本を手に取る事も、近づく事さえしなかった。きっと友人から回ってこなければ読んでいない(^^;)書店員さんごめんなさい(..)内容は実際にあった誘拐事件の冤罪問題で興味深い!

  • カバーで作品名、著者を隠して販売されて話題になっていたが、本書がそれだとは知らなかった。
    ノンフィクションでありながら、実際に起こった事件であるとは思いたくない、フィクションであってほしい。ただ、このような冤罪事件が実際起こり、無実の人が罪を問われ、真犯人はのうのうと生きている。警察は正義であってほしい……

  • 「足利事件」を含む5件の連続幼女誘拐殺人事件について、その真実に迫る。
    「小さな声」つまり非権力側である事件被害者や冤罪被害者に耳を傾けること、「大きな声」つまり権力側の発表等を鵜呑みにしてはならないこと、徹底した裏取りに基づいて「事実」を探求することetc...、あるべきジャーナリズムの姿を、本書は教えてくれる。

  • ふつうに怖い。寝るのを惜しんで夢中でページを繰ったのは久しぶり。筆者の主観が前面に出すぎな感はあるがそんなことは気にならない密度。事前の知識がほとんどない状態で読んだので,本半ばのあの場面では声が出るほど驚いた。警察や裁判の実態がこれだ,とまでは言わないが,まあ現実はこんなところだというのがどんな話を聞くよりもよくわかる。

  • 平成29年6月28日読了

  • 殺人犯はそこにいる 清水潔
    桶川ストーカー殺人事件を取材し、警察よりも先に犯人の居場所を特定した敏腕記者。逮捕権のない著者は警察へ情報を提供するも、警察はそれまでの捜査の杜撰さ・情報操作を明るみに出すことになるため、放置。
    著者は真実に則り逮捕も報道もあるべきだと考え、その後も誌面で訴え続け、最終的には警察は動くが、時すでに遅く、主犯は自殺後。

    そんな記者が新しく追ったのは北関東幼女連続誘拐殺人事件。県を跨いで栃木で3件、群馬で2件起きている。4件目の通称「足利事件」で犯人を逮捕したとするが、著者の調査で誤認逮捕の疑いが強まる。DNA型鑑定を再鑑定させ、真犯人のDNA型と、収監された犯人とされる男のDNA型は不一致となり、冤罪を証明し、彼は17年間の懲役生活を終えた。
    が、真犯人は捕まっていない。著者が訴え、他の記者が訴え、国民の間で話題となり、国会にも話が及んだ。多くの国会議員が遺族会をバックアップし、総理大臣も「再捜査し、真犯人をつきとめるべきだ」と発言しているが、警察は動かないのが現状。
    真犯人は今も普通に暮らしていて、いつ次の事件が起きるかわからない。そして著者はなんと調査からすぐに真犯人をつきとめており、真犯人とされたDNA型とも一致させている。しかし彼には逮捕権がない。警察を動かすために雑誌、テレビ、こういった著書を出すなどしている。

    正義とは何か、長いものに巻かれる大人が多い中で、自分の進退よりも人間としての道理を貫くことを守っている彼は凄いし、口先だけではなく行動している姿勢を見習いたい。この本は「調査報道のバイブル」と呼ばれているが、人の在り方のバイブルだと思う。
    そしてこの本の読者がこぞって「この本をみんなに読んでほしい」と思い、文庫Xという形での販売もされた。著者の真っ直ぐな正義は国民を動かし、国会を動かしている。正しい行動をする人間は、他人を動かしてムーブメントをつくれると感じた。

  • 世の中には読書が何らかのアウトプットに繋がらないとその価値がないと考えている人がいる。ありていに言えば、ビジネスマン気取りのMother Fucker野郎に多い、こういうタイプを私は軽蔑している。その点で、本書のような素晴らしい本はその凄さをただ感じるだけで良い。「Don`t fight it ,Feel it」(Primal Scream)。

    群馬県と栃木県の県境で発生した5人の幼女誘拐殺人事件を巡り、
    ・そのうちの1事件であるとされた「足利事件」が実に杜撰なDNA型鑑定に基づく有罪判決であったかを暴きだし、結果的に冤罪を立証する
    ・実は5件の容疑者を著者は自らDNA型鑑定を行ってまで突き止めておりそれを警察にも情報共有するのだが、結果としてそれはなかったことにされてしまう。なぜなら、DNA型鑑定の誤りを認めてしまえば、既に同鑑定方法で死刑が執行された「飯塚事件」が取り返しがつかない事態になってしまう
    ということを、徹底的に現場に寄り添った調査報道スタイルで暴きだす。

    500ページの大著でありながら、一瞬たりとも無駄な瞬間はなく、一気に読んでしまい、様々な思いが胸をよぎる。優れた本というのはこういう体験を感じさせてくれるものだ。

  • 魂から揺さぶられました。こんなことがあっていいのか…。

    怒りのやり場のなさが残ります。

    被害者の方々のご冥府をお祈り致します。

  • 粗い手書きの本の表紙に惹かれて手に取った。
    話題になってる本だ、と購入して、
    一気に読み進めた。




    マスコミとかジャーナリストという職業についての知識がある程度あったから、
    正直、表紙の文句に期待しすぎていた感じがあった。




    でも、小さき声に常に耳を傾ける
    著者の仕事の姿勢は見習いたい。




    DNA型については勉強になった。
    これからは型が一致、という報道を見ても
    勘繰ってしまうだろうなと思う

    真犯人をきっと警察も知っているだろうに
    それを捕まえられない
    そんなことがいまこの現実の世界で起こっていることに歯がゆさ、もどかしさを感じた。

    それとともに、ジャーナリズムについて少しの希望が持てた。

  • 著者の思い、行動力、冷静な判断が素晴らしいです。信頼できると思わせる方なんだろうなと思いました。もしかしたら命の危険を感じたこともあったかもしれない。それでも取材を続けたジャーナリストとしての誇りと信念を感じました。

    無実を証明でき釈放された方もいたし、冤罪のまま死刑が執行されてしまった方もいたようです。どちらの人生も狂わされてしまったことに胸が痛みます。それは他人ごとではなく、私自身や家族、友人たちの身にも降りかかってくるかもしれない恐ろしさを感じました。

    それから、書かれていることが現在世の中で起こっていることとそっくりに思えて、とても驚きました。今だからこそ多くの人に読んでほしい。「多少の冤罪はしょうがない」と発言した人がいたそうですが、本書をちゃんと読めばそんな言葉は決して出てこないはずです。これは解説を入れると500ページを超える本ですが、どんどん引き込まれて読み切ってしまえます。躊躇せずに読んでほしいと思います。本当に読んでよかったと思いました。

  • 一気に読んだ。真犯人に辿り着けそうで辿り着けないもどかしさ。自分の子どもの身に起きたらと想像するだけでゾッとした。

  •  北関東で起こった「連続」少女誘拐殺人事件。著者は徹底した調査から同一犯による「連続」事件、そして真犯人までたどり着き、それを様々なメディアで報道する。一方警察は、「連続」事件とは認めず、「足利事件」のみで一人の男を逮捕、無期懲役の確定判決。他の事件は未解決。著者の調査のなかで、証言や証拠のでっち上げ、不利な証言や証拠の無視や、意図的な曲解などが明らかになり、結局冤罪であることについては認めざるを得なくなり、再審無罪。しかし、それでも警察は著者が真犯人にたどり着いた過程を無視し、真犯人を逮捕することはなかった。
     その過程を追認することは、警察のこれまでの捜査を否定することであり、そうすることで過去の幾つもの事件が実は冤罪(その中にはすでに死刑が執行されたものも)であったことが明らかになってしまう。真実よりも警察を守ること、ひいては「体制」を守ることが優先される。
     権力の本質をここに見る。おそろしい。

  • 書店で置かれるときの異様な表紙に興味を惹かれ買ったけど、読み終わってみてこの売り方が正しかったと痛感。引き込まれて、読める隙間を探しながらむさぼり読んだ。

  • かなり衝撃的でした。
    何を信用してよいのか。
    でも、読んでよかったです。

  • 面白いというよりも、読んだ充足感が物凄い。
    タイトルを隠して販売した書店員の情熱がよく分かる。
    たしかに途中読むのが面倒になるような部分もあり、プロの小説家は凄いなと思える面もあるけれど、大事なものは熱量だということが文面からひしひしと感じた。

  • 足利事件を取材した日本テレビのディレクターのノンフィクション。こういったテレビの記者がこんなに取材し結果的に足利事件を冤罪まで持ち込んだ。すごい取材力だと思うしこういった方がもっと増えて欲しいと思った。

    しかし、ものを書く人でないためか説明があちらこちらに飛び必要のないカメラマンの詳細な説明などにはうんざりして流し読みになってしまった。

    小説家は改めてすごいと思った

  • Focusとかバンキシャ!とか、なんか全然自分的にはジャーナリズムの範疇に入れてなかった媒体でも(っていうか、たぶんだからこそ?)こんなに魂のこもった取材ができるんだなあ、と自分の視野の狭さを反省した。まあ魂こもりまくっているだけに、客観性とかの確保はその分難しくなる面はあるんだろうけど、それでも凄い。桶川の方も読んでみたい。

  • 筆者のものすごいエネルギーが伝わってくる。
    事件に関わる内容や人物や経緯や結果そして現実に。
    日本の司法や警察と報道の事の興味深い内容に引き込まれた。
    現実はきびしい。
    でも、著者のような記者が必要だと。

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殺人犯はそこにいる (新潮文庫 し 53-2)の作品紹介

5人の少女が姿を消した。群馬と栃木の県境、半径10キロという狭いエリアで。同一犯による連続事件ではないのか? だがそのうちの1件「足利事件」は“解決済み”だった。冤罪の背後に潜む司法の闇。執念の取材は“真犯人”の存在を炙り出すが……。知られざる大事件を明るみに出し、日本中に衝撃を与えた怒りの取材記録。「調査報道のバイブル」と絶賛された傑作、待望の文庫化。

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