灰色の虹 (新潮文庫)

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著者 : 貫井徳郎
  • 新潮社 (2013年10月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (730ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101499130

灰色の虹 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 「乱反射」よりは落ちるが、素晴らしい作品。復讐相手となる刑事・検事・裁判官・目撃者の丹念な人物描写が秀逸。主題は勿論冤罪なのだが、その主題の側面や裏面を詳細に書くことによって単なる冤罪の復讐劇に終わらない人間ドラマを紡いでいる。婚約者となった相手と虹を見るラストシーン。母に抱かれて死ぬ直前に主人公が見た景色は...

  • 2017.8.12-63
    冤罪で有罪判決を受け全てを失った江木の復讐から起こる連続殺人。冤罪が生まれ全てを失う過程がリアルで重い。

  • 2016年39冊目。
    ナニゲに貫井徳郎作品は3作目。暗い、救いようのない話が好きなのかもしれないな^^;
    冤罪事件はもうそれこそ本当に救いようのない話。
    どうするべきなのかは誰もがアタマでは分かっていても、当事者になった途端それは絵空事にしかならないのだろう。
    誰が悪いのか、何が悪かったのか、どこで間違えたのか、そもそも間違っていたのか。
    オチは予想がついたけど心にずっしりくる作品。こういうことは小説の中であって欲しいと心から思わずにはいられない。

  • 「悪党たちは千里を走る」しか読んでいなかったのでユーモア小説の書き手かなと勝手に思っていた。失礼しました。誰もが主役のストーリー展開の小説は、素晴らしい「感動した」

  • でました社会派ミステリ

    冤罪って本当悲しい。

    なかなかずーんとくる作品

  • 決して悪徳ではないが、捜査手法に問題があり、誤った正義感と、思い込みの激しい刑事。
    己だけが正義を実現しているとの、思い上がりと自負心の塊のような検事。
    依頼人の期待に応えられない弁護士。
    そして、自分のあいまいな証言が、一人の無辜の市民の人生を変えてしまうことに、思いが到らない目撃者。
    それぞれのちょっとした無責任感が、どこにでもいる善良な一般人を冤罪に陥れる。
    刑事の、あざといまでの過酷な取り調べの章では、重苦しさに読み進むのもままならなかった。
    しかし、真相を追及しようとする刑事と同様に、いつしか冤罪者の気持ちに寄り添い、復讐劇の完遂さえ期待してしまった。
    作者は、いつでも、どこでも、誰にでも起こりうる現代の恐怖=冤罪を告発し、読者は、現代社会の不条理に直面させられる。

  • ものすごく読み応えがありました。
    重い内容ですが、読む手が止まりません。

    冤罪の恐ろしさがひしひしと感じられました。
    あってはならない事だけど、こうやって冤罪って生まれるんだって
    いうリアリティを感じてしまいます。
    江木の悔しさ・虚しさ・絶望が胸に迫ります。

    検事・弁護士・裁判官。
    皆悪意がある訳ではなく、淡々と仕事をこなしている。
    でも冤罪には気付けない。
    誰も江木の言葉に真剣に耳を傾けようとはしない。

    同じ貫井さんの著書「乱反射」と似た構成に感じました。
    悪意があった訳じゃない、でも少しの怠慢や少しの思い違い、
    そういったものが重なり合って最悪の結果が生まれる。
    その過程がとても丁寧に描かれていますので、とてものめり込めます。

    江木の担当刑事が伊佐山ではなく山名だったら。
    検事や弁護士、裁判官が別の人だったら。
    もしかしたら違う結果になっていたかもしれない。
    そう思うと本当にやるせない。

    ただ地味に生きていただけの、殺人なんて犯すような人物じゃない江木が、殺人の冤罪をきせられた事で実際に殺人を犯してしまうこの皮肉。
    それほどの事をしてしまうまでの絶望。
    ほんとやるせない・・・・・・

    なんだか遠い世界の事じゃなく、明日にでも我が身に降りかかるかもしれないと思わせる、それぐらい「ありそう」な風に書かれています。

  • 一気読みせざるを得ない物語構成と文章の明快さはさすが貫井徳郎さん。テーマが冤罪と私刑の是非ということで重く、考えさせられるが、それ以上に、7年前からの回想を交えつつ、視点を変えながら紡がれる物語に引き込まれる。

    読みながら思うのは、章ごとに視点が変わるため、その人物に都度、感情移入をするとともに、人の数だけ家族やその人に関わる人たちがいて、殺人事件が起きればその全ての人たちに影響があるのだということ。そして、悪意なきものの善や悪をはっきりと判断するのは極めて難しいということだ。冤罪が作られる過程も、さもありなんと頷きたくなるリアルさ。モヤモヤした心の中で直面する、切なすぎるラストのエピローグ。やるせない気持ちになり、貫井氏の代表作『慟哭』を彷彿とさせる。

  • 冤罪により刑に服した江木雅史。
    そこから復讐が始まる。

    冤罪に至った理由となる、目撃者、刑事、検察官、弁護士、裁判官の行動と思考。
    ひとつひとつの設定が特殊だ!
    例えば、目撃者ももう少し慎重に発言するであろうし、刑事が無理くり自白に持ち込んだことも他に知る人がいたであろう。弁護士にしてもあんなクソ弁護士ばかりではないと信じたいし、検察官も裁判官も特殊な設定になっている。
    物語上仕方ないのだろうが。。。
    現実にはこんなにひどい状況はありえないと思う反面、冤罪が繰り返される現状は否定できないわけで。

    こんな目に遭わされたらやはり獄中で発狂しかねないだろうと思うし
    私刑はあってはならないという常識を持ってしても、雅史に最後まで復讐を遂げさせてやりたいと正直、思ってしまう。

    追伸: 裁判長の石嶺が特例中の特例で行動することを聡子はどうやって知り得たの?
    石嶺は殺すより、罪人にした方が良かった気がする

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灰色の虹 (新潮文庫)の作品紹介

身に覚えのない上司殺しの罪で刑に服した江木雅史。事件は彼から家族や恋人、日常生活の全てを奪った。出所後、江木は7年前に自分を冤罪に陥れた者たちへの復讐を決意する。次々と殺される刑事、検事、弁護士……。次の標的は誰か。江木が殺人という罪を犯してまで求めたものは何か。復讐は許されざる罪なのか。愛を奪われた者の孤独と絶望を描き、人間の深遠を抉る長編ミステリー。

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