いなくなれ、群青 (新潮文庫nex)

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  • 新潮社
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感想 : 457
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  • Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101800042

感想・レビュー・書評

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  • 透明感のある、みずみずしい作品だった。
    キャラクターだけでなく、自然や風景の描写も丁寧。
    話の展開や伏線は分かりやすいので、キャラクターたちの揺れ動く繊細な感情をいかに追っていくか、が個人的な楽しむポイントだった。
    ……
    シリーズの由来である「階段島」の正体には驚いたけど!
    読後、心はまさに群青色でした。

  • 話題になってたので読んでみたが
    物語の構造は面白かった

    人は刻一刻と変わっていくのに人格に重きを置く人間の面白さよ

  • 映画の映像がきれいで、かつ、結末が不可解で謎めいていたので、気になっていた原作です。

    河野裕氏の作品はこちらが初読み。
    冒頭2ページ目にして村上春樹の文章に影響を受けた感じはしたけれど、そうだとしても美しさ、せつなさ、時にユーモアをはらんだ独特の表現は、思わず付箋を貼って抜粋したくなるほど魅力的。

    階段島という、捨てられた人が集められた島。誰に、何に、捨てられたのか?
    そして、再会した少女とのあいだに、何があったのか?
    真相がわかると、ますますせつない。

    突きつめて考えるとややこしくなる設定なので、わかりにくい箇所もあるけれど、全体的には読みやすかったです。
    ラストはハッピーエンドというか、エンドレスエンドというか。個人的には、そこはせつないままで終わってほしかった想いもありました。でもシリーズ化しているようなので、ああいうラストがしっくりくるのかもしれない。

  • すきです。言葉が透明。
    まっすぐにこころを突き刺してきます。青。

  • 興味を惹かせるような言葉などありつつ、淡々と進んでいくような感じだった。緩急はなかったかもしれないけど、心地のいい文だったなと思う。

    失くしものがなんなのかはなんとなく想像がつきつつ、設定とか主人公の哲学感とか、面白くて先が気になるような感じもしたので、半分くらいからは一気に読んでしまった。おもしろかった。
    読む前に続きを買っていて、期待していたので、続きも気になるようなお割り方をしていて、よかったぁ

    自分も確かに切り捨ててきたものはあるなぁとおもいつつ、今はこれに満足しているから、自分には幸せに生きていて欲しいと思う。

  • う、薄い……。
    シャビシャビのスープの底に、それでも何か具が沈んでいるのだろうと思い、最後まで読んでみたけど、残念ながら具など沈んではいなかった。
    期待外れである。

  • 階段島という不思議な島でおきる話。
    ファンタジー色強い。
    登場人物は少ないが関係は複雑。後半いろいろなことが明らかになっていくところがよかった。

  •  魔女が住み、捨てられた人々が集う「階段島」。高校に通う七草の前に、島の外で同級生だった真辺が現れる。島の暮らしに納得せず脱出方法を探し、浮きまくる真辺。更に、前例の無い子供の来訪者の出現、連続落書き事件の発生……島の謎との関わりは?


     タイトルと表紙の雰囲気がすごく良い。で、中身は……。
     若い頃の村上春樹にムーミン風の物語を書いてもらったら、なんか違った?……って雰囲気、だろうか。
     裏表紙には『心を穿つ青春ミステリ』とあるが、推理性は期待してはいけない。人々が島に来た理由も、読んでいけば薄々見えてくるのではないだろうか。そっち方面しかまともな解決の道、無いもんなあ。
     落書き事件も、真剣に推理するほどのものでも……。

    『心を穿つ』との惹句だが。一部の方は“穿つ”どころか“抉られる”可能性があるのでご注意を。
     登場人物、とりわけヒロインの真辺が、カウンセリングか医師の診断受けてこいやレベル。歩く迷惑でしかない。
     例を挙げると、ショックを受けて家に閉じこもっている同級生と話すため、窓ガラスを割り(もちろん同級生の家の窓だ)、鍵を開けて侵入……。万事この調子。
     こういう人を『気高い』などと言ってしまえるのは、作者がこの手合いに関わったことが無いからでは……?

     ヒロインはアレだが、島の雰囲気は悪くなかった。嘘臭く不自然ではあるが、ぬぼーっと穏やか。ある意味、平和な場所だ。
     そう悪くない作品だったが、続編は……まず読まないだろうなあ。

     ライトノベル的なノリを期待して読むと完全に当てが外れると思う。
    『キノの旅』とか上遠野浩平あたりが好きな人ならまあ、いけるんじゃないだろうか……???

  • シリーズの一作目とは思えないほど爽やかな読後感のある物語だった。主人公が知り得ていた情報を意図的に隠していることが多く、ミステリーとしてはイマイチに感じたが、階段島の秘密が明かされていく終盤は青春ものや新海誠のセカイ系のような切なさがあった。ここから完結までどう話が展開されていくのか気になる。

  • 英雄で綺麗で、そんな完璧さを壊したくないから近くにいたくない。遠くに見えるから壊れるところを見ないで済むピストルスター。
    ずっと飄々としている七草がピストルスターである真辺のことを後半になるにつれて繰り返し繰り返し溢れるように、たったひとつだけ諦められないもの、いけないことより大切なものと表現するのがすごくよかった。
    ピストルスターにだって感情はあって、互いで交わさないと結べないはずの約束だって果たされてしまう。
    壊れるところは見たくないから思い出のまま遠くにいたい、だけど近くで一緒にいたい。
    七草はそんな幸福と不幸が共存した願いを持っていると思った。

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著者プロフィール

徳島県出身。2009年に『サクラダリセット CAT,GHOST and REVOLUTION SUNDAY』で、角川スニーカー文庫よりデビュー。若者を中心に人気を博し、シリーズは7冊を数える。他著作に「つれづれ、北野坂探偵舎」シリーズ(角川文庫)、『いなくなれ、群青』(新潮文庫)に始まる「階段島」シリーズなどがある。

「2023年 『昨日星を探した言い訳』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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