僕僕先生 零 (新潮文庫nex)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101800219

作品紹介・あらすじ

その少女、名を僕僕。後に伝説となる仙人なり。天地が今よりもずっと熱く、神々がその主人だった頃のお話。成熟を迎えた神仙たちの社会に、突如異変が襲った。水を司る神・拠比は、相棒の料理仙人・僕僕とともに異変を解消すべく、創造主・老君が天地開闢に用いた宝具「一」を探す旅に出る。時を同じくして、黄帝は「人類」を創り出し、世界を変革しようと試みるが……。美少女仙人×ヘタレ神コンビによる新たなファンタジー冒険譚、開幕。

感想・レビュー・書評

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  • 僕僕先生本編の『さびしい女神』を読んでからずっと、読んでみたいと思っていた僕僕の過去、神仙たちの話をやっと読むことができた。が、『さびしい女神』で感じた神仙たちの雄大さとは違い、なんとなくコミカル?僕僕もなんだか初々しい。でも、これはこれで面白く読めた。
    炎帝の神仙で今は人の姿をしている拠比と、その拠比に食事を作って力を与える為に作られた神仙僕僕。それに戒宣という馬の姿をした神仙(これは吉良なのかな?)は、ある物を探す旅に出掛ける。僕僕が料理を作る神仙だった事にも驚いたが、まだまだ力もなく未熟な姿にも驚き。僕僕は最初から何でもできる力を持っていると思ってた…。そして、『さびしい女神』で感じた二人の深い繋がりもまだまだ浅い感じ…。先が気になるラストシーンで、今後の二人の絆もとても気になる。少しずつだけれど、神仙仲間や彩雲など本編を思い出させるものも出てきてワクワクした。それにさすが料理を作る神仙だけあって、料理のシーンが美味しそう!今はまだ味が感じられない拠比が可哀想(笑)

  • 僕僕先生シリーズで繰り広げられる冒険よりも、ずっとずっと前の時代。
    世界が造られ、神仙たちが躍動する世界が舞台です。
    水の神・拠比のために料理を作る役割を与えられた料理仙人が僕僕でした。
    世界に散らばった宝貝を探すため、拠比と僕僕の旅が始まります。

    本編…というか、これまでの僕僕先生シリーズよりも文章が全体的に荒削りな印象を受けました。
    誰のセリフかわかりにくかったり、前後のつながりが気になってしまったり…。
    それでも、2人の旅の行方を見守りたくなるのは、普段はあまり語られない僕僕先生の過去が気になってしまうから。
    仙人としての力がほとんどない僕僕がこれからどう成長していくのか、黄帝と炎帝の関係がどうなるのか。
    おそらく悲しみを孕んだクライマックスが待っているであろうことも覚悟しつつ、零シリーズも読んでいきたいと思います。

  • 表紙、今までと同じイラストレーターさんにして欲しかったなぁ。統一感がないよ。レーベル違うから仕方ないかもしれないけど。神々が、人間臭い。そういう神様の話好きなんだよねー。ギリシャ神話とかも好きだし。僕僕先生シリーズの中で、重要な位置づけのキョヒが、出てきますが、これがまた、かなりの唐変木。たちの悪い天然。僕僕先生が王弁にキレない理由がわかったよ…←失礼。抜け作キョヒと若かりし僕僕先生の旅はまだ始まったばかり。

  • ★全てはご飯の後さ(p.317)

     僕僕が王弁に語る過去。炎帝の命で人の姿をとらされ極端に弱体化した拠比と彼の腹を満たすことを使命として産み出された弱い神仙の僕僕はエネルギー不足解消のためエネルギー源の欠片をさがす使命を与えられた。スフィアを探すアサキムみたいなもんかな。黄帝の不穏な動きのなか、とりあえずもの探しの神仙、導尤を探す。なんのストレスもなく読みやすかったです。

    ▼僕僕先生についての簡単なメモ(本編含む。気まぐれに累積。あとから記述したのも多いので読みを間違えてるかもしれません)

    【阿難陀/あなんだ】天竺から来た仏教の偉い人。
    【霰】雷神の国の後宮を守っている者の頭。子どもの頃のバンは遊んでもらっていた。
    【祈り】人間の祈りの力が神仙の力になる。
    【員/いん】神仙。太陽の少年。三聖が最初に創り出した存在。ギリシャ神話のアポロンの役割。
    【引飛虎/いんひこ】苗(ミャオ)人の双子の片割れ。ある事件で僕僕たちと知り合い、その後再会する。
    【炎帝】神農のこと。三聖のひとり。万物を生み出した神仙。ほぼ毛玉でその毛一本一本がなにかを創り出すの実験をしている。神仙は食事はしないでもかまわないが炎帝は食事を好む。
    【王達】父を黒卵に殺された。
    【王弁】僕僕とともに主人公。僕僕先生に惚れて仙骨もないのに自分も仙人になりたい。僕僕にからかわれる毎日。なにかにつれ、動揺している。そのついでに薬師の腕も上がってきたので先生のいないところではそれなりの薬師。「通真先生」とも呼ばれる。最近は喇叭を吹くのが得意になりつつある。薄妃にとって《これまでに見たことのないほどに魅力のない青年》『神仙の告白』p.43
    【王方平】神仙。『神仙の告白』のメインキャラかもね。
    【過去】《過ぎたことはもう戻らない。そしてすぎたことを話す者が話したいようなことしか、表には出て来ないんだ》零p.12
    【賈震/かしん】とあるカップルの男。死にかけている。
    【華陀】医療の神。かつて僕僕の弟子だった。関羽を神仙に近い存在にした。
    【火蛇/かだ】黄帝のとこにいる? 蓬莱を一瞬で横断できる。
    【化蛇/かだ】黄帝のとこにいる? 蓬莱を一瞬で横断できる。
    【関羽】あの関羽。昇仙したわけではないが仙骨を持っており今では神仙に近い存在になっている。
    【韓娥/かんが】ある街に出没する歌姫。その歌は僕僕をすら魅了する。
    【希瞳/きどう】神仙。色彩を作り出す。導尤と対。
    【魏夫人/ぎふじん】五つの霊山「五嶽」のひとつ衡山(南嶽?)の主神。最近ちょっと荒れている。
    【窮奇/きゅうき】共謀な肉食獣。
    【恐怖】炎帝いわく《相手が何をしでかすかわからないこと、というのがこんなに恐ろしいものだとはな。そして、恐ろしいは、楽しいのだな》零p.139
    【吉良】天馬。ふだんはただの痩せ馬の姿をしているが実は凄いんです。王弁を主と認めてくれる唯一の存在。
    【玉皇上帝/ぎょっこうじょうてい】今いちばん偉い神仙。
    【御史台】官僚などのチェックをする内部監察室。台院は高級官僚がターゲット、殿院は宮中での官吏の行動をチェック、察院は地方の動静を探る。他の著者の「彩雲国物語」で主人公が所属することになった怖い部署だけど、ほぼ同内容でしょう。
    【拠比/きょひ】零の主人公。神仙。「炎帝の氷剣」とも呼ばれる強力な神仙だった。元は水の精だったが炎帝の命で人の姿をとらされて限りなく弱体化しさらに弱体化が続いているようだ。本編ではあまり詳しくは語られなかったが僕僕にとって重要な人物として名前が出ていた。僕僕は元々拠比に食事させるため炎帝が創り出した神仙だったようで拠比あればこその存在だったようだ。最終的に恋人だったのかもしれない。ラクスがその面影を利用したようだ。
    【拠比の剣】王弁が手に入れた剣。僕僕が持っていたこともある。
    【くんくん/犭に旧字の重】零で僕僕が連れていた妖。小さな火を常にくゆらせている。料理に便利。
    【計見/けみ】神仙。西王母の従者。本来の姿は巨大な蝶。
    【玄宗】唐の王さま。のちに楊貴妃が骨抜きにする人? でもいまはまだギラギラしてる。このお話の時代はこの人の御世。
    【元綜】劉欣が手ほどきした弟分の殺し屋。ずんぐりむっくりだが、劉欣よりも腕が上の可能性すらある手練。
    【劫鰓/こうし】相思水の女神。元気な少女。薄妃に親切。なにやら悩みがあるらしい。
    【鋼人】大魔神みたいなもの。程海に沈んでいる。女神である刑天の似姿。荒れ狂ったせいで黄帝により首を切り落とされている。
    【黄帝】軒轅のこと。三聖のひとり。神農が創り出したものを調える。
    【黄帝の四天王】というか腹心で四真部と呼ぶ。白仁子(はくじんし)、青玲子(せいれいし)、赤精子(せきせいし)、黄木子(おうぼくし)で、炎帝配下の燭陰や耕父にほぼ匹敵する。
    【耕父/こうふ】虎仙。燭陰と対を組んでいる。
    【黒卵】衡州の乱暴者。
    【呼灼/こしゃく】炎の妖。神仙ではないが準ずるくらいのチカラはある。
    【呉紫蘭】宋格之に殺されたトレジャーハンターにして剣士の呉倫の娘。仇の宋格之を殺すためチャンスを狙い、ともに旅をする。
    【胡蝶】胡蝶房。御史台の暗殺部隊であり諜報機関でもある。
    【混沌】原初世界の残滓である化け物。かつて王弁が対峙したことがある。
    【彩雲】五色の雲。僕僕はこれに乗って旅することが多い。
    【蔡経】神仙。かつて僕僕の弟子だった。
    【沙悟浄】あの沙悟浄。捲簾大将。
    【蚕嬢/さんじょう】蚕娘。出自は不明。あやかしなのかどうかも不明。
    【三聖】黄帝軒轅(こうていけんえん)天地の秩序を担当。炎帝神農(えんていしんのう)天地を栄えさせる存在を創造。西王母(せいおうぼ)創造され秩序を与えられたものを殖やす。炎帝が創り黄帝が調え西王母が広める。いずれも老君によって創られた。
    【子尼/しに】導尤の巫女。少女。拠比が導尤に会う邪魔をした。
    【司馬承禎/しば・しょうてい】マッチョ系仙人。僕僕先生に弟子入り志願したことがあるが果たせなかった。
    【這這/しゃしゃ】司馬承禎のところにいる二人の童子の一人。
    【戎宣王/じゅうせんおう】かつての神馬の王。時を超えられそうなくらい速かった。彼を元に馬が創られた。拠比や僕僕とともに旅に出た。
    【戎宣国/じゅうせんこく】吉良の故郷。神馬たちが住む。
    【周典】薬種屋の主。
    【朱鼈/しゅべつ】巨大な亀。四つの目と六本の脚をもち、あだっぼくしゃべる。
    【鶉/しゅん】王達の妻。黒々として長い髪だけが目立つ女。
    【洵洵/じゅんじゅん】零で僕僕が連れていた妖。少量の水を体内に蓄えることができる料理に重宝な存在。
    【准遼/じゅんりょう】嫦娥の侍女。巨大なカエル。
    【嫦娥】月の女神。西王母に仕える仙女だったが夫のせいで? 失墜。舞は美しい。
    【蒋実】薬種屋の主人。本人は店を兄から預かっているだけのつもり。
    【燭陰】かつての大戦で活躍した。戎宣王とタメ張れる速度を誇った。今は虚空で荷馬車のような仕事をしている。赤い龍の姿をしている。
    【食事】神仙には食事は必要ではないが零で僕僕が作った料理を食べた神仙は皆幸福感に包まれた。だのにターゲットである拠比だけはなにも感じなかった。
    【魚尋/じん】ウオヘンにたずねるという文字。なんか変な魚。おいしいのだろうか? 王弁はこれを素材に料理を作らなくてはならなくなった。
    【神仙】仙人のこと。《やはり神仙の仰ることは道理が通っていない。》『神仙の告白』p.63。神仙は好きなように行動する。
    【神農】→炎帝
    【燧人/すいじん(字ちがうかも?)】炎のような神仙。炎帝がものを創り出すのにつかう。
    【西王母】三聖のひとり。炎帝が創り出し、黄帝が調えたものを広める。豹頭。
    【昔花/せきか】僕僕と拠比が出会った人間の子ども。飢えていた。
    【仙界】九つの地域に分かれている。鈞天(きんてん)は中央の山の周囲。東方を蒼天(そうてん)、西方を昊天(こうてん)、南方を炎天、北方を玄天、東北を変天、西北を幽天、西南を朱天、東南を陽天。西王母が鈞天を司り、炎帝が南方から西方を、黄帝が北方から東方を司っている。昊天はいちばん荒れているようだ。
    【仙骨】仙骨を持っていれば何でも、人でも人でなくても仙人になれる可能性がある。
    【ソウ(犭に争)】拠比の相棒の神獣。尻尾から薬丹を出して食いパワーアップできる。チョッパーみたいな感じ?
    【宋格之/そうかくし】石の裏が気になる少年。後に胡蝶に入りトレジャーハンターとなった。
    【蒼芽香/そうがこう】滅ぼされた苗の村唯一の生き残り。劉欣に惚れた。んやったっけ?
    【雙六/そうりく】双六の神様。
    【孫悟空】あの孫悟空。斉天大聖。今は闘戦勝仏という位についている。仏でも神仙でもなく天地の精。本人によると僕僕と闘いかけたことがあるが周囲への影響を考えやめたそうだ。
    【第狸奴/だいりど】僕僕の、猫のような狸のようなペット? 庵に変じることができる。
    【竹理/ちくり】とある砦で出会った少女。
    【茶風森】苗族の青年。フクロウに変じていた。
    【趙呂/ちょうろ】周典のところ(醤商「豊泰膳」)で働いている老人。なんだか妙に偏屈。願掛けでもしているのだろうか?
    【猪八戒】あの猪八戒。天蓬元帥。今は玉皇上帝に浄壇使者として仕え料理や供物の毒味を任されている。
    【対】神仙どうしの契約。互いの力を必要とし、周囲の神仙が承認をあたえると対として認められる。
    【程端/ていたん】旅の厨師。
    【鉄拐/てっかい】神仙。酒仙。旨い酒を醸す。一杯飲めば百年の若さを、一甕飲めば仙丹同様術力を増すことができる。
    【デラク】吐蕃の王家の人。宝石をチャラチャラ身にまとっている。なかなかの大人物。
    【貂/てん】胡蝶の頭領。少年のような姿。
    【田鎮/でんちん】とある砦で出会った体中に肉がみっしり詰まったような少年。
    【董虔/とうけん】長沙に住む少年。バンと友人になった。おっとりしてるが、正々堂々として頑固でもある。
    【董燈華/とうとうか】赤龍の一族。
    【時の味】《酒もうまく寝かせると、時を吸いこんで美味くなる》零p.10
    【導尤/どうゆう】探し物をする務めをはたす神仙。
    【吐蕃/とばん】まあ、だいたいチベットのこと。デラクの弟ドルマが王をやっている。
    【ドルマ】吐蕃の王。デラクの弟。
    【曇王】雷王。バンの父。
    【那那】司馬承禎のところにいる二人の童子の一人。
    【馬銀槍/ばぎんそう】程海あたりのトップ? 横柄で目立ちたがり屋の小物だが、意外に民のことを考えてる。
    【白仁子/はくじんし】神仙。女性の姿を真似ているが人をいじめたくなる。虚無の冷気を精として生まれた。
    【薄妃/はくひ】とあるカップルの女の方。後に軽くなって旅の友となり主要登場人物となった。く
    【魃】兵器として生まれた旱の女神。黄帝と炎帝が戦ったとき黄帝の切り札として投入され勝利を呼んだ。王弁になつく。
    【バン】雷神の少年。王族。
    【幡桃/ばんとう】西王母のいる中央にある。神仙と認められると食することができる。仙骨を強化し永遠のものとしてくれるらしい。巨大な一本の木に実がなるのは一度きり。
    【人】《足りないことと限りがあること、というのが人という生き物の根元にある》零p.224
    【美豊/びほう】赤精子の配下の神仙。ハデな雉の姿をしている。女性のようだ。
    【百樹/ひゃくじゅ】岩の牛の姿をした神仙。炎を操る。人間をいじめる下っ端。
    【不空】痩せ細った僧侶。かなりの法力を持つ。
    【碧水晶】苗族の王女。
    【朋】蒋実の義姉。
    【宝玉】妖が仙骨の代わりに持つ。個が持つのではなく一族にひとつ。
    【望森/ぼうしん】赤精子の配下の神仙。双頭の狗の姿。
    【蓬莱】神仙の住まう常春の国。マリネラじゃないよ。
    【僕僕】主人公。美少女仙人。じつは相当な年齢だろうが。かつて拠比と対を組んでいた料理仙人で拠比の腹を満たすために炎帝が創り出した。他の神仙に比べると強くはない。が本編ではけっこう無敵だったので「零」の話でなにかがあったのかもしれない。
    【仏】仏は仙骨を持っていない。すべて釈迦の化身(同一の存在ではない)。
    【摩訶迦葉/まかかしょう】天竺から来た仏教の偉い人。
    【麻姑/まこ】鳥の仙女。王方平の妹という話もある。
    【面縛の道士】何か企んでいそうな謎の道士。かなりの力を持つ。玄宗皇帝の配下らしい。胡蝶とは別系統のようだ。
    【木潤/もくじゅん】とある砦で出会った三歳くらいの少年。王弁よりも労働力になる。
    【雷帝】空を統べる。全ての雷神に命令できる。
    【ラクス】「光の子」。美形。自分の帝国をつくろうとしてその後もなにか企んでいる? 別名を安禄山。あの安禄山。
    【陸桐/りくとう】程端の弟子。生意気。
    【李双】商家の息子。誰にも見えないはずのものを見つけた。寺で囚われの身(保護されている身)。
    【劉欣】御史台の胡蝶房と呼ばれる暗殺部隊の一員。手足が異常に長く骸骨のような容貌。命じられれば王でも仙人でも心を動かさずに殺す。後に胡蝶を裏切り僕僕の旅の仲間となる。貂と闘い相討ちとなる。
    【李隆基】→玄宗皇帝
    【老君】この世界をつくった者。見たものはいないが存在は感じられる。まず「一」を置いた。次に三聖を創り上げた。

  • 読む順番を間違えたかもしれない。

    僕僕先生のクライマックス前に読んでおくと、ラストの話がより楽しめます。

    蓬莱山の麓にいた頃の僕僕先生はこんなキャラクターだったんですね。もはや別人です。

    ストーリーに振れると、これまで以上に神仙と人間の違いに触れています。人間とは何なのか?常に不十分で限られた命しかもたない身にあって、誰しもがもってしまう考えとは何なのか、いつもながら手を止め一考してしまう作品ですね。
    そして、万能であるはずの神仙も、一枚岩ではない。このほころびが数千年、数万年後の王弁に降りかかると思うと、世界の深みが一層増すというものです。

    あと一冊、楽しみます。

  • 僕僕先生シリーズの前日譚がスタート。
    まだ完全に新米で特別な能力を殆ど持たない僕僕がどのような過程を経て成長していくのか楽しみです。
    日本の記紀でも神様は決して完全無欠ではなく悩みや悪意すら持った存在として書かれていますが、本書に登場する中国の神仙は輪をかけて欠点だらけ。永遠の生命を持つにも関わらず悠然としていないところをどう描くかの加減がいまのところ上手くいっている印象です。
    ただ、登場人物?が一新されて皆んな漢字が難しいこともあって、途中で誰が誰だか分からなくなるのが玉に瑕。巻頭に一覧表が欲しいです。

  • 僕僕先生が仙人として新米の時代の頃、そして神話の時代の壮大なお話。

    神がひとを作り出すと言う話は、全世界共通の認識なんだすね。そして彼女の対となる存在の拠比の存在。彼の真面目な性格がマイペースの僕僕と正反対なのが面白いと思いました。神様とひとが共存する世界がファンタジーっぽくて良かったです。
    神様にとって、ひとはどういう存在なのか。ひとが神様の存在を考えることは有りがちだけど、視点を変えて、みるのはファタジーならではですね。

  • 初めましての作家さん&初シリーズです。
    僕僕先生が王弁(これが本編の主役になるのかな)に
    昔の話を聞かせるて感じで始まります。
    その世界観から、真っ先に小野主上の十二国記を連想しました。
    背景が古代中国みたいだからなんでしょうね。
    僕僕先生誕生&初めての旅編。
    人類が創られ、生活を営み始めた頃で、
    分割された「一」を見つけるお話し。
    こういう創世記も楽しくていいですね

  • 人の形の意味とは。

    僕僕先生本編を読んで読むのと、そうでないのとはかなりの違いがあるとは思いますが、読んでいてもわからないことだらけですね。
    なんだかんだで神様連中はなかなか気のいい人たちが多いような気がしますけど、それは永遠の命を持つ者の余裕なのかもしれません。

  • いきなり表紙が、可愛らしい人形の実写?
    中を読んでみて、ああ、なるほど、そういう展開だったんですねと納得。
    僕僕先生の過去をじっくり描く1冊目(終息していないから何冊続くか、未だ知らない...)。
    何を書いてもネタバレしそうなので書きませんが、世界感・キャラクター達に入れ込む感覚があるのなら、読み続けること必須です!

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著者プロフィール

1973年大阪府生まれ。信州大学人文学部に入学後、北京に留学、2年間を海外で過ごす。2006年『夕陽の梨─五代英雄伝』で第12回歴史群像大賞最優秀賞、同年『僕僕先生』で第18回日本ファンタジーノベル大賞を受賞。「僕僕先生」シリーズは読者の圧倒的支持を集め、ベストセラーとなる。著書に「千里伝」シリーズ、「くるすの残光」シリーズ、「黄泉坂案内人」シリーズ、「立川忍びより」シリーズ、『撲撲少年』『真田を云て、毛利を云わず 大坂将星伝』『三舟、奔る!』など多数。

「2022年 『モノノ怪 執』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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