十年交差点 (新潮文庫nex)

  • 新潮社
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本棚登録 : 505
感想 : 70
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  • Amazon.co.jp ・本 (273ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101800738

作品紹介・あらすじ

その一瞬の選択が、あなたの10年後を変える。「10年」。それだけをテーマに五人の人気作家が自由に物語をつむいだら、泣けて、震えて、心が躍る、こんなに贅沢な短編集ができました! 時間を跳び超える機械を手に入れた男の、数奇な運命を描く物語。戦慄の結末に背筋が凍るミステリー。そして、河童と猿の大合戦に超興奮の時代ファンタジー、などなど全五作。それぞれの個性がカラフルにきらめく、読みごたえ満点のアンソロジー。

感想・レビュー・書評

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  • 10年先を渡り歩き、10年先に立って今を見つめ、10年間を大事にし、10年経った今の幸せ、そして10年を待てない楽しみ。

  • どなたの作品も、文章がこなれていて読み易く、ぐいぐい読んでしまう。国産の小説って読み易いなあ。こなれてるなあ。読むのが楽しかった。

    原田ひ香がハートウォーミング。

    それにしても、新潮文庫nexは初めてで、古いニンゲンである私は、新潮文庫なのにスピンがない?!と何度も体裁を見てしまったことよ。

  • 10年をテーマにした短編集。どれも深い味わいがあった。私は原田ひ香氏の「君が忘れたとしても」に涙した。

  • どれも味があり面白かった。
    ただ、しゃばけシリーズを未読の方には、畠中さんの作品は面白みに欠けるのではないかな?と思った。童話とか民話のような感じに受け取ればまあまあで、シリーズ内の河童や天狗がどのような存在であるかを知っていてはじめてにやりとできるのかもしれない。

  • どの作品も、心に残る「10年」を読ませてもらいました。とくに印象に残ったのは『白紙』。
    物語の前半で、“もしや?”と思ってはいたのですが、まさか想像した通りの結末になってしまうとは.....。
    背に、ゾクリッと冷たいものを感じながらも、涙が止まりませんでした。

    白河三兎さん、今度長編を読んでみたいと思います。

  • 中田永一目当てで買った一人。
    それなのにそれ以外の作者の話でやられました。
    まず、「白紙」白河三兎。そもそも中田永一以外の方の作品は初めて読むので、この白河三兎さんて人はこういう作風の人なのか?と思った。
    生徒のことを真剣に考えつつ、リアリティーも持ち合わせた先生と、突然変わってしまった生徒との間で起こるストーリーが最後は残酷な終わり方になってしまう。でもそこに至る意味がちゃんとある話。こういう話は嫌いじゃない。現実味があると思う。
    次に「君が忘れたとしても」原田ひ香
    これは何となく想像のつくストーリーだけど、わかっていたけどラストは感動。子どもからたくさんのことを吸収して来ただけに、気持ちがよく分かったなぁ。歳をとると涙もろくなると言うけれど、働き出して子どもに情が出ると勝負してる姿を見るだけで我が子でもないのに涙が出た事を思い出した。
    ほか、中田永一と岡崎琢磨はまあまあ、畠中恵はよくわからない。

  • 2012年1月、父の友人・実相寺時夫が亡くなり、蔵の研究機材や私物を譲ると遺書にあったため弁護士と蔵を訪れた柳廉太郎。無職の彼は遺品を金に変えようと物色中にみつけた金色の懐中時計を作動させると蔵の外の様子が変わっていたー【地球に磔にされた男】他4偏◆

    わ-…ここまで面倒なタイムリープ初めて。でも数ある並行世界いじって自分の都合いい未来に作り替えるなんて映画や小説多いけど、こういう方が正解なんだよね。嫌なこと、辛いことも全て含めて今の私が出来あがってる、他と変わる気は無いけど、違う道の自分もみてみたい…。

    【ネタバレ】

    「十年後の自分」というテーマの作文を白紙で提出した立川小登乃を心配し、元彼や立川の弟の担任と連絡をとり家庭訪問してみたがー【白紙】くー…切ない…しかし頭のいい子(作者)

    ◆恋人にプロポーズされた北川巴瑠は自身の秘密により返事を保留にしてしまう。【ひとつ、ふたつ】これも切ないなぁ…「同じ痛みを知る者同士、それでも孤独を分かち合えなかったら。正真正銘、孤独になってしまう」という恐怖。

    姉が死別し、義兄・壮亮と甥・壮真の世話した結実子。10年前、義兄は再婚することとなり、再婚相手から甥には会わないよう通告されたー【君が忘れたとしても】うわ-…どっちの気持ちもわかるけど…ちょっとムカつくなぁ。にしても。聞き分けのいい子だ♪

    ◆中国から渡ってきた九千坊河童と手下たちは九州でうまくなじんでいたがー【一つ足りない】意味不明なおとぎ話

  • 10年間あるいは10年後をテーマにした短編アンソロジー。
    中田永一の名前に惹かれ買ってみたのだけど、それも含めて今ひとつピンとくる話がなかったわ。
    地球に磔にされた男…何だかうまく嵌り過ぎ?
    白紙…今の先生って、きっとこんな感じなんだろうな
    ひとつ、ふたつ…重たいテーマですけどね
    君が忘れたとしても…切ない話ですけどね
    一つ足りない…九州に九千部山ってあるけれど関係ないよね

  • 感想を書き忘れたので再読。
    「地球に磔にされた男」
    クズみたいな主人公が、父の友人である実相寺の死をきっかけにタイムトラベルに巻き込まれる話。
    最初は不純な動機で時間を超えた旅を始めるが、そこで並行世界の自分達に出会い改心?していく。
    引き込まれる展開に加えて終わり方まで気持ち良い。

    「白紙」
    教師の主人公が作文を書かない教え子と向き合うところからスタート。元々真面目な生徒が急にグレたのは何故か。教え子の彼氏の話を巻き込み、しっかり伏線回収されます。バッドエンドかもしれませんが、ちょっと前向きなバッドエンドです。一連の流れで出会った女教師と主人公が最後に未来の話をするおかげで明るい印象に仕上げられています。初めから終わりまで基本的に暗い雰囲気なので、そんな感じの話が好きな人には沁みます。

    「ひとつ、ふたつ」
    岡崎琢磨さんらしい。病気の主人公が人生と向き合いながらもがき苦しむ話。
    小さなハンドメイド店を営む主人公は、売れ筋のイヤリング3種を全て片耳だけ欲しいというお客様に出会う。何故片耳だけなのかという謎はすぐ明かされ、女性の耳たぶが片耳しかないことが判明。みんな色々抱えているけれど、そのままの自分を受け入れてくれる人を信じてみよう、という明るい終わり方。終始温かい雰囲気です。

    「君が忘れたとしても」
    亡くなった姉の子どもを姉の夫と育ててきた主人公の話。姉の夫の再婚を機に、大事に育ててきた子どもと引き離される。主人公の女性目線で進むので再婚相手の女性が冷酷にも思えるけれど、そちらの視点で考えると仕方ないことだとも思う。ちなみに姉の夫への恋慕などは全く無いので安心して読める。
    自分にとっては大切な思い出として残り続けていることも、相手は忘れてしまっているだろうという悲しみ。状況はさておき、この点だけで言えば共感しやすいと思います。
    このお話ではハッピーエンドで終わるので読了感良し。

    「一つ足りない」
    河童の話。時代小説?です。1回目はしっかり読んだのですが、今回再読するにあたりパスしました。完全に好みの問題です、ごめんなさい。

  • 中田永一さんの小説が読みたくて数年前に購入しました。
    SF的な設定が苦手なため、初読では時間跳躍の設定がわかりにくかったものの再読してみると涙があふれてしまいました。
    「十年」が交差する「現代」を旅して幸せを望む側から願う側へと変わっていく主人公、再会を切に願う家族の思いと、物語だからこそおこせる現実ではあり得ないと思われる奇跡に涙せずにはいられません。
    また作者のご家族を大切に思う気持ちも伝わってくるようで、これからも応援していきたいと思いました。

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著者プロフィール

1978年福岡県生まれ、2008年『百瀬、こっちを向いて。』でデビュー。他の著書に『吉祥寺の朝日奈くん』『くちびるに歌を』『私は存在が空気』。別名義での作品も多数。

「2017年 『僕は小説が書けない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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