青の数学2: ユークリッド・エクスプローラー (新潮文庫nex)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (315ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101800820

作品紹介・あらすじ

数式(まほう)は解け、僕の青春が始まる。数学オリンピック出場者との夏合宿を終えた栢山は、自分を見失い始めていた。そんな彼の前に現れた偕成高校オイラー倶楽部・最後の一人、二宮。京香凜の数列がわかったと語る青年は、波乱を呼び寄せる。さらに、ネット上の数学決闘空間「E2」では多くの参加者が集う“アリーナ”の開催が迫っていた。ライバル達を前に栢山は……。数学に全てを賭ける少年少女を描く青春小説、第二弾。

感想・レビュー・書評

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  • 前作はストーリーは面白かったのに登場人物が多くゴタゴタとした印象を受けていましたが、(2)は活躍する人物が絞られておりより濃い物語となっている印象を受けました。
    とくに皇と二宮の対決はまるで甲子園を見ているかのような熱を持っているように感じました。

    本作の最も大きな謎である「京の数列」の答えはとても衝撃的なものであり、とても共感できるものでした。
    前作から引き続き『青の数学』は数学という概念を的確に捉えているなと感じ読んでいて楽しく、為になる作品だと私は感じます。

  • 青春ってのは、何かを諦めるまでの季節のことだ。だから終わった後にしか気づけない、終わったときに初めて気づく。自分が今まで青春の中にいたのだと。(本書より)

    人はなぜ数学を続けるのでしょうか。

    壮大な発見をしながら早世したガロア
    数学の天啓を受けたラマヌジャン
    無限に魅入られたカントール
    二千年の時を超えたユークリッド
    数学が無矛盾ではないことを証明してしまったゲーデル

    数学が確かではないなら
    それまで発見された功績は無意味なのでしょうか?

    ここでは偉人の言葉をお借りしましょう。

    「私がかなたを見渡せたのだとしたら、それは巨人の肩の上に立っていたからです。」―ニュートン

    本書最大のテーマ。
    数学とはいったい何なのでしょうか。

    「数学を学ぶことは不滅の神々に近づくことである」―プラトン

    「数学というのは闇を照らす光である」―岡潔

    「万物の根源は数なり」―ピタゴラス



    何かを諦めたとき青春が終わるなら、
    諦めない限り、
    それは続くのでしょう。

    つまり
    数学とは
    青春だったのです。
    Q.E.D
    証明終わり

    ほんとか!?

  • 最強格と思われた皇(すめらぎ)が務める数学研究会部長の座は、ある部員との決闘に負けたことによる罰ゲームによるものだった!というような少年誌バトルもののような展開は熱くて結構なのだが、やはり1巻に続き内容が薄い。プロットを読んでいるみたいだ。その割に登場人物が多いから、1巻を読んでまだ日が浅いのに誰が誰なのかわかりづらかった。役割的に被っていたり省略できたり統合できる人物が多いので、もっと人数を絞るべきだと思う。

  • 数学に青春を賭ける高校生を描く青春小説、第2巻。1巻で、純潔に数学に挑む少年少女に惹かれて続編を。
    数学を言葉で表現する事は大変だろうなと想像します。その中で無限級数のくだりは、文学的だなあと思いました。“近づく事はできても届くことはできない。”
    2巻は、数学に賭けるというよりは、悩める高校生達の心情を描く方に重きが置かれていまして、その表現が、時折、詩的になっていってしまうんです。言葉は美しいのですが、読者としての年齢制限に引っかかってしまった感じ。
    登場人物が多めで名前とバトルネームもあり、かと言って、群像劇になる程それぞれの描き込みがあるわけでないので、読み分けできなくなる。
    それでも、高校生には、読んでいただきたいなあ。

  • 一巻から間を開けずに読んだこともあり、一続きの話しという感じで読んだ。評価や感想も前作とさほど変わらない。
    ただ、これで完結と言われると、そうなの?という感じ。もう少し続きがあってもいいなー。

  • 数学に全てを賭け数学で決闘する若者たち。
    決闘自体は描かず、決闘へと向かう心持ちと結果を受けての本人と周りの反応が示される。数学以外でも成り立つのではないかと思わされるが決してそうではない。数学の魅力と魔力が描かれている。数学でしか成し得ない世界。
    物語が完全に前巻の続きのため、登場人物の説明が一切なく、しかも大人数出てくるために、これは誰だっけと混乱しました。登場人物表が欲しい。
    これから読む方は1巻から続けて読むことをお勧めします。

  • 登場人物がおおい

  • 数学は自由だとか、美しいとか、続編となる2巻目は説明が少なくなって数学を賛美するファンタジー的、あるいは哲学ですらある。実際に数式や図形は出てこないから、イメージで数学をどう捉えるかを読み手に問うているのだろうか。数学の決闘をすることの面白さが今ひとつわからないまま終わったのは自分だけではあるまい。

  • 高校時代からずっと、自分のやりたいことと言うのがわからなかった私には、とても刺さる本だった。

    何より詩的な表現がいいし、大きな山場というものが無いものの、心に刺さり、わけも分からず泣いてしまいそうになる小説だった。

    表現もストーリーの進め方もとても好みだったので、王城先生の他の小説も読んでみたいと思う。

  • 京(かなどめ)の数列に解はない。全くのランダムで規則性はない。
    とのことだったが、素因数分解するとかなり大きな素数が因数になってる数が多いんだよな。だから何だ、と言われればそれまでだが、おそらく意図的にそういう数字を選んでるのだろう。
    本書において素数というのが重要なキーワードになってるのは確か。
    中三数学で習うように「素数とは1と自分自身でしか割れない数」という定義は簡単で分かりやすいが、それが無限に存在し、いつ現れるか、どういった法則で現れるかが分からない。分かりやすい部分と非常に分かりづらい部分の両面があるが故に人は素数に魅了されるのか。

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著者プロフィール

一九七八年八月、神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。二〇一四年、第十回C★NOVELS大賞特別賞を受賞した『天盆』(「天の眷族」を改題)で鮮烈なデビューを飾る。著書に、奇病に冒され、世界中を跳躍し続ける少女の青春を描いた『マレ・サカチのたったひとつの贈物』(中央公論新社)、本の雑誌社『おすすめ文庫王国2017』でオリジナル文庫大賞に輝いた『青の数学』(新潮文庫nex)がある。

「2018年 『マレ・サカチのたったひとつの贈物』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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