天久鷹央の推理カルテV: 神秘のセラピスト (新潮文庫nex)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101800905

作品紹介・あらすじ

白血病の少女を救うのは、医療か、奇蹟か。白血病が再発し、骨髄移植でしか助かる見込みがない少女・羽村里奈。だが、複数回に及ぶ化学療法を経ても病気が完治しなかったことで医療不信に陥った彼女の母親は、移植を拒否し、左手に聖痕を持つ預言者の言葉に縋るようになってしまう……。少女を救えるのは、医療か、奇蹟か。神秘的な現象を引き起こす“病気”の正体とは。天医会総合病院の天才女医・天久鷹央が奇蹟の解明に挑む。

感想・レビュー・書評

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  • 今回もおもろーかった

    鷹央と小鳥の信頼関係がぐんぐん強くなっていく感じが心地よいシリーズなんよね
    そこには安心感もあって読みやすさに拍車をかけてる
    のであっという間に読了

    そしてストーリーの仕立てはいい意味でマンネリだけど、聞いたことない病気や聞いたことはあっても珍しい症状などで謎解きされて行くことでちゃんと驚きもキープ

    良く出来てるなーってほんと感心しちゃうんです
    しかも知念実希人さんにしか書けないだろうなって思わせるところがまた凄い

    全体で醸し出すお手軽感に騙されちゃいけませんぜ
    ほんとに良く出来た医療ミステリーなんだこれが

    • 1Q84O1さん
      ウーパールーパーの酢の物もメロンのヅラも食べたくない…
      ウーパールーパーの酢の物もメロンのヅラも食べたくない…
      2024/03/31
    • ひまわりめろんさん
      食わず嫌いはいけません!
      食わず嫌いはいけません!
      2024/03/31
    • 1Q84O1さん
      茨城県のB級グルメ!
      茨城県のB級グルメ!
      2024/03/31
  • 天久鷹央シリーズ第5弾!
    3編からなる短編連作ストーリ
    緩急効いて楽しい物語。

    ■雑踏の腐敗
    渋谷のスクランブル交差点で体が腐る?
    人混みに遭遇すると指先が黒くなっていく症状。
    その原因は?
    って本当にそんな病気があるんでね。

    ■永久に美しく
    母親が若返る?
    「気」を使った「特別な治療」により、若返った母親。
    さらに母親だけでなく、ほかの女性も実際に若返る。
    その真相は?
    最後の一ひねりがすごい!

    ■聖者の刻印
    これは、辛い。
    白血病が再発した少女。骨髄移植しか助かる見込みがないものの、医療不信に陥った母親は移植を拒否。さらに、左手に聖痕を持つ預言者の言葉にすがる。
    子供にこれ以上辛い思いをさせたくない母親。
    すがりたい奇蹟。
    科学は信仰者を救えないのか..
    重いテーマです。

    明らかになる預言者の正体
    楽しめました。

  • 「永遠に美しく」で70代の女性がどんどん若返っていくというのが、とっても興味深かった。
    いつものように鷹央が医学的にしっかり証明してくれて納得。魅力的に感じたけど、副作用は恐ろしい。
    今回も知らなかった病気、症状ばかりが登場。面白かった!

  • 天久鷹央の推理カルテⅤ

    今回もイッキ読み…面白いです。

    短編が3つ
    ・雑踏の腐敗
    ・永久に美しく
    ・聖者の刻印

    鷹央先生が少しずつ人間として、成長しているのが感じられます。

    不治の病になると、うん臭い物等に頼ってしまう人がいますよね。民間療法とか宗教とか…そんな話です。

  • ☆4

    今作もとっても面白くて一気読みさせてもらったのですが、読んでいて「あれ?」と思う場面や内容があって調べてみたら…まさかの時系列を間違えて読んでおりました!?(Ⅰ~Ⅴを順に読み進めてしまいました…)
    それでまだ知らない出来事が書かれていたのですね!(納得です!)
    次は「スフィアの死天使」に戻りたいと思います!

  • 鷹央ちゃん、成長してますね。小鳥先生と良いコンビ。不思議な謎も必ず解明してしまうので安心して読めます。鷹央ちゃんの謎解きが楽しみ。安定の面白さ。・雑踏の腐敗・永遠に美しく・聖者の刻印

  • こういう作品大好きなんですよね。

    昔、小学生の時に推理小説は本ではないとかわけわからんことを担任に言われた私。
    じゃあなんで学校の図書室にあるんだよと言えたらよかったんだけどねぇ。

    今の子供たちはそんな思いをしないでこうした本を楽しんで読んでほしいよね。

  • 面白かったです
    鷹央が人として少しずつ成長していく姿がとても
    印象的でした

  • 今回の副題は、神秘のセラピスト。神秘とは人知を超えたこと、英語だとミステリーだ。

    雑踏の腐敗、人体の神秘とはいうものの、天久鷹央の脳内の方が神秘である。精神的な面と肉体的な面と両方の知識を持って臨む鷹央の洞察力は健在である。

    永遠に美しく、人類の夢でもある若返り、気で若くなるなら苦労はない。確かに気持ちで変わるのだろうが、寄る年並には抗えない。70歳超の女性が肌は30代、見た目も50代の不思議を解明していく。年齢を重ねた美もまた美である。

    聖者の刻印、宗教、占い、超能力、どれも信じる人には救いになるのだろう。ただしそれらを提供する側が悪意や自己の利益を考えてのものでなければだ。
    最終的に拠り所になるのは自分自身だけではない、当事者である。

  • 天久鷹央の推理カルテシリーズ第五弾。今回も不可解な謎という病が描かれていく。「人混みの中に入ると体が腐る男」「気を使って女性を若返らせる男」「聖痕と赤い涙を流す預言者」これってどうなってるの?!という謎の提示から、鷹央たちのリズミカルなかけ合いで解かれていくストーリーは安定して面白い。

    『雑踏の腐敗』
    「人混みの中に入ると体が腐る」
    上京してきた宮城辰馬が渋谷駅で襲われた症状。指先から青黒く腐っていくが、自宅に戻ると回復するという。幻覚かと思われたが、実験してみると彼の指や耳が本当に青黒く変色していき──。

    夢膨らむ上京で陥った、悪夢のような状況。自分が同じ立場になったらと思うと恐怖しかない症状に同情。渋谷という人が多い場所で感じる孤独はより一層つらいだろうなと。誰かが助けてくれるわけでもなし、病院でも原因が特定されないのは心ですら腐ってしまうよね。ラストが小粋なオチになっていて面白かった。春が待ち遠しい(笑)

    『永遠に美しく』
    気を使って細胞を活性化して若返らせる──母・松子の交際相手が胡散臭い男だと知り、娘・美奈子から正体を暴くように依頼された鷹央たち。いかにも詐欺だと思いきや、確かに母は20歳下に見えるほど若返っていて──。

    「体が腐る」の次は、「体が若返る」という事件へ。施術を受けた客が実際に若返っているという不可解さが興味をそそる。若さを失いたくないという願望が商売になるのは現実でもそう。感情だけで盲目的に飛びつくのではなく、理性にて思考する。それこそ年齢とともに重ねていく経験からの美しさではないだろうか。シンプルな事件かと思いきや、もう一捻りしてくれるところはさすが。

    『聖者の刻印』
    白血病が再発した少女・羽村里奈。しかし、化学療法を繰り返しても完治しなかったことで医療不信になった母・佐智は骨髄移植を拒否。手に聖痕、血の涙を流す預言者の言葉しか信用できず、娘の治療を拒否して心を閉ざしてしまう──。

    「悪いが、前にも言ったように私は科学者だから、どんなものでも疑ってかかる。その上で検証を重ね、最後まで残ったものが真実だ」
    「さて、お前の奇蹟は残れるかな?」
    ここの鷹央がめちゃくちゃカッコいい!これぞ謎解き!という舞台でたまらない。推理劇だけではなく、ドラマとしても見ごたえがあってよかった。

    人生で道を見失った時、何かにすがりたい気持ちは痛いほどわかる。しかし、そんな時こそ自分自身の中に信仰を見出さなければならない。与えられた甘い信仰にすがるのは楽なのだ。楽になろうとする手を引いた人間が善意とは限らない。

    ぼくの精神科の主治医が「誠実な先生ほど100%大丈夫と言い切らない」と伝えてくれたことを思い出した。「絶対大丈夫」は喉から手が出るほど聞きたい言葉なのはよくわかる。でも、聞きたい言葉を伝えるのは医師の役割ではないのだ。それが当事者にとっては冷たく聞こえても、治したいという思いだけは一緒のはずだから。

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著者プロフィール

1978年沖縄県生まれ。東京慈恵会医科大学卒業。医師。2011年、第4回「ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」を受賞し、12年、同作を改題した『誰がための刃 レゾンデートル』で作家デビューする。代表作に、「天久鷹央」シリーズがある。その他著書に、『ブラッドライン』『優しい死神の飼い方』『機械仕掛けの太陽』『祈りのカルテ』「放課後ミステリクラブ」シリーズ等がある。

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